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2006年03月28日(火) 『ザ・ビューティフル・ゲーム』

観に行った一番の理由は、題材が北アイルランド問題だから。
そして、舞台の始まりが1969年という年だったから。
私のF1歴の始まりは、1人の男への一目惚れだった。
その男は1964年にこの地域に生まれ、イギリス国籍でありながら
アイルランド国旗をデザインしたメットでF1を走っていた。
なのに、ユニオンジャックを掲揚したからといって、
殺人予告まで受けたことがある彼を見てきたからこそ、
彼と同時代を舞台にした作品を、観てみたいと思った。

まあそれでも、「櫻井君主演〜?チケット取れないよ」と
引いたり、「大介君出るならチャレンジはしようかな」とか、
ミーハーな理由でも、行くかどうか揺れはしたのですが、
大した理由もなく投獄され、そういった人々に抵抗して、
牢の中でハンストを行った末、妻と、まだ見ぬ子供を
残したまま獄中死した人がモデルになった話と聞いて、
結構重い話を観るつもりで、行ってきました。

感想は、今日書こう明日書こうと思いつつ、
気がついたらズルズルと引き伸ばしてしまいました。
既にもう観劇から1週間たっています。(現在4/3深夜)
明日、次の作品を観に行ってしまうので、簡単に感想を。
すごくブルーな感想です。嫌な人はパスしてください。


『ザ・ビューティフル・ゲーム』

<時間>1幕18:30〜19:40、2幕20:00〜21:05
<作曲>アンドリュー・ロイド・ウェバー
<脚本・作詞>ベン・エルトン
<演出・振付>ジョーイ・マクリーニー
<出演>櫻井翔、安良城紅、山崎裕太、黒田勇樹、脇知弘、
  華原朋美、浜畑賢吉、安倍康律、遠藤麻綸、
  青山航士、近藤大介、坂元宏旬、佐々木誠、下道純一、野島直人、
  羽山隆次、原口勝、原田優一、宮川ギナ、横田裕市、横山敬、
  浅野実奈子、五辻彩子、紀元由有、栗原由佳、谷合香子、樋口綾


一番の感想は「大介君にソロがある!」だったと言っちゃったら、
観劇おたくな自分としては、悲しい気分になっちゃうかな・・・。
あとは、終演後の2度目か3度目ぐらいのカーテンコールで、
いきなり沸き起こった「キャ〜ッ!」という大歓声に驚いたこと。
気持ちがほとんど動かず、平坦な気分で観終えていたから、
この声を聞いた時の「驚き」という感情が、新鮮でしたね。
下手すると、この観劇で一番面白かったことかも(苦笑)

とにかく、全体的にまったーりした作品だったんですよ。
唯一気持ちが動いたのが、まだ幸せな時代の決勝の試合中に、
大介@審判が、舞台上手から下手までグランジュテで渡った時。
あの広い青山劇場の舞台上に、なーんもセットがない状態で、
跳び上がった瞬間から落ちていくんじゃない、ちゃんと宙に浮かぶ
ジュテを見せてくれた唯一の人。勿体ない!とマジで思った。

ソロはその直後、サイゴンでのシュルツ大尉程度の長さであって、
近藤大介という役者が、この舞台でどの位置を占めていたかと
人に話す場合には、そのソロで語るのが正しいんだろうけれど、
ソロで心が動いたかと言われると、微妙なラインなんで・・・。
やっぱり、踊ってなんぼの人だなぁと思ってしまったりも。
それでも今回は、ジョン(櫻井)を捕らえに来る2人組の警官の
セリフの多い方も演じていたし、カーテンコールでは
アンサンブル列のセンターに立っていたし、それなりに他の点も
認められてきているようなのは、嬉しかったりはするのですが。

で、作品としてどうだったかと言われると、まったり。
仮にも、サッカーに燃えていた少年たちがプロテスタントと
カトリックという争いの渦によって引き裂かれ対立していく姿を
描いている作品だというのに、なーんの情熱も緊張感も感じない。
1幕はまだ、社会情勢がどうでも、少年たちはサッカーに燃え、
猛練習を続けている感じで、チームメイトの1人デル(安倍)が、
プロテスタントであるだけの理由で追い出されたりしていても、
まだメインはサッカーと恋愛という感じなので、一応許せた。
こういう青春群像劇なら、WSSの時のようにジュニアの子たちを
ぞろぞろ出しておけば、もう少し格好つくのになぁと思いつつ、
ほとんどセットのないだだっ広い緩んだ世界を眺めていた。

でも2幕に入り、デルと結婚したクリスティーン(華原)が迫害され、
夜道を歩いていただけのジンジャー(脇)がテロリストに殺され、
トーマス(山崎)がIRAに入り・・・という状況になっても、たるい。
メアリー(安良城)との結婚式の夜、警察に追われるトーマスから
電話が入り助けに行くという場面では、「きっと、こんな日常の
温かい生活にすらテロが入り込む辛さを表したいんだろうな」
なんて、作者の意図を一生懸命読み解きながら観ている始末。

ただ、1つだけ弁護の余地を与えるなら、
私が2階席から観ていたというのは大きいのかもしれません。
全体的に、ただ広い舞台に、ポツンと1人2人がいるだけ、と
見えたことも、緊張感がないと感じた理由の一つだと思うのですが、
全編通して、背景の映像は美しく、頑張っていたと思いましたから。
脱獄してきたジョンが「もう仲間たちと行かなくてはならないから
時間がない」とか言いつつメアリーと会っている場面で、やたら
広々と美しい風景が広がっていたりと不思議な点はありましたが、
映し出されたベルファストの街並みの中に、彼らがいるように
見えるだろう1階から観ていれば、違った印象もあったのかも。

まあ、もう一回チケット取ってあって今度は1階なので、
一応それだけでも確認しに行ってきます。
1回じゃ理解できなかったら嫌だなと思って2回取っただけで、
理解不能な点はなかったし、もう一度観る必要も感じないけれど、
席が悪いんで、割り引いても、全く売れる気配がないんですよ(^^;
どうするんだってほど下手っぴーが多い舞台だし、エンディングも
あまりに何もかも放置した安易なハッピーエンドに感じるけれど、
嫌味を感じる役者はいなかったし、櫻井君は伸びそうな印象だった。
最悪、何も変化が見られなかったとしても、1幕の華原&浅野や、
2幕の安良城・華原・安倍の歌は、また聴けるのは嬉しいし、
とにかくも大介君の久々の舞台で、それなりに目立ってるし、
期待ラインをぐっと下げて、もう一度観てくることにします。


2006年03月26日(日) 旅行してきました。

恒例の(元?)観劇仲間温泉旅行してきました。
97年頃、レミゼを通じて知り合った友人たちですが
今じゃほぼ観劇オタ卒業した人たちもいるので「元」。

それでも夜ともなれば、先日来日した韓国ジキハイで
エマを演じたイ・ヘギョンさんがクリスティーヌを演じる
韓国版オペラ座の怪人CDが流れたり、ウィーン版
エリザベートの、存在感バリバリ完璧主役のルキーニや
やんちゃ坊主風味のトートに見入っては、日本版の
武田トートへの期待を語り合ったりしていたから、
「元」だけど、やっぱり()をつけたくなる。

あと、泊まったホテルで20:00〜20:30に行われた
「中国雑技団」なる4人のミニ公演を観た後も
「見せ方が悪いよね〜」「うん、演出悪いよ。
拍手のタイミングも取れないし、笑顔はりついてるし」
「まったりしちゃうね〜」とか妙に批評しちゃうのも、
既に「元」でも、観劇おたくの血というか。

タクシー乗ったり土産物屋に入ったりするたび
「今はオフシーズン」とか「見るものないから」とか
やたらと言われまくった、石和温泉〜塩山周辺の旅で、
風景は、桜はまだ、ぶどうも桃もなし、裸木だらけでしたが
一度お金を払えば一日中何度でも出入りできるという
有難いワイン蔵に、昼を挟んで ほぼ半日居着いたり、
温泉はきっちり3回入って、ガラス工房も行ったし
ほうとうも食べてきた。夜は語ったし、昼は
晴れて暖かい中をマスクなしで歩き回れて幸せ。
花粉は飛んでるはずだけど、結局は、都会の空気と
混じった時点で、体調に影響するってことなのかな。
帰ってきてしばらくで鼻や目の調子が悪くなって、
花粉を思い出し、戻りたくなった旅でした。


2006年03月20日(月) 『Miss Saikon〜ミス再婚〜』

TSの舞台は割りといつも、役者さん目当てで行きます。
どんなにつまらない作品であろうと、たいていの場合、
役者さんたちの魅力は見事に使いこなされていて、
ファンとしての私は、それだけで十分に満足できるから。

TS作品リスト、今回含めず9本中8本観ている中で、
作品として納得しているものは再演を繰り返した2本のみ。
要は、確率的には「当たりだったらラッキー」ぐらいの気分。
しかも今回の原作は、一度も納得できたことのない大谷さん。
更には、もう若くない女性が結婚に関して悩む話と来たら、
よしんば作品として良い出来であったとしても、私には絶対に
共感しようもないことは最初から納得の上で¥7,500-払って、
出演者6人中4人、役者さん目当てで行ってきました。


TSミュージカルファンデーション
辛口ミュージカル『Miss Saikon〜ミス再婚〜』

<場所>博品館劇場D-12番
<時間>1幕19:00〜20:10、2幕20:25〜21:25
<原作>大谷美智浩、<上演台本>永元絵里子
<演出・振付>謝珠栄
<出演>
 香寿たつき(高嶺希美)、
 安崎求(君島彰、フォーチュン・テリー)、平澤智(後藤慶太)、
 パク・トンハ(キム・カンミン)、成瀬こうき(高嶺礼子)、
 新納慎也(桐ケ谷俊介)

今回は予想どおり、話の主軸に関しては「あー、はいはい」
としか思わず観終えてしまいました。真正面からすごく頑張って
物事に対応しちゃおうとする主人公は、前回の香寿さん主演作品、
『天翔ける風に』のような時代ものならついていけるのですが、
下手に自分に近い世界だと、うざく感じてしまうみたいで。
悩んでいる対象が「結婚」だからねぇ・・・。

なんで、好きな人もいない状態で、結婚ごときばかりを
そんなに一生懸命考えていられるの?と思ってしまうんです。
気になる人ができたら今度は、思い込みや早とちりな夢ばかり。
しかもその彼女が最後に選んだ結論を聞くと、ますますガックリ。
同じような悩み抱えて、同じような結論にたどり着き、そして、
数ヶ月たつとまた同じような悩みを相談してくる人って、いる。
それでも、本人はいたく真剣に考えているのは分かっているし、
30代半ば独身として、そこまで悩めるのは若干羨ましくもあるので、
どこかで吹っ切れるといいねと思いつつ毎回つきあうのですが、
わざわざフィクションで観たいとは思わないかなぁ。
まあ予想した上で来てるんだから、今回はいいのですが。

ただ、今回はコメディ風味で作られていたのが助かったところ。
彼女が出てきたとたん「たかねのぞみ」というフルネームで
「マジに悩みつつ観るものじゃないよ」というフォローが入るし、
香寿さんの可愛さも全開で、一生懸命さが深刻になりすぎず、
いちいちジタバタ空回りしまくり、いきなりなドレスを着たり、
占い師に高額支払っちゃったりというのも笑って観ていられる。
また、いかにもな御曹司ボンボンっぷりを見せるパクさんや、
希美と一緒に「かぁっこいいっっ!」と叫びたくなってしまった
「強盗慶太」こと、強引な手法のIT社長な平澤さんなど、
魅力的な男たちが、そこはかとない時代遅れ感を漂わせながら
次々と現れる辺りも、気持ちよく笑えたり。

あと観ていて助かったのは、礼子-俊介ラインがあったこと。
「仕事うまくいかないし、やめて結婚したいな〜」と言う姉に対して
「そんな勇気もないくせに」と切って捨てて、自分は結婚なんて
考えないで負け犬人生謳歌すると言っている礼子の位置は、
観ていてすごく助かりました。そんな礼子と同じ店で働く俊介は、
最初のうち、「なんでこんな小っちゃい役に新納君?」なんて、
不満を感じたりしたのもつかの間、マイペースな生き方から来る
安定した微笑みで見守ってくれているのが心地よくなってきて。
彼の作りこまない「自然」な感じがとても好きなせいもあって、
店の場面になるたびに、彼に癒されていました。好き〜♪

そうやって考えてくると、テーマが苦手だった割には、
この舞台、結構好きだったのかも?いや、好きじゃないけど。
でも何だか、むーっと怒ってしまいそうになりながらも笑わされ、
芸達者な役者さんたちのおかげも多々あって、楽しく観られました。
うん、良かったかな。特に平澤さんと新納君は、また観たいな。
あと個人的にこっそり、パンフレットで「迷った時はどうする?」
という設問に対して「とりあえず寝るでしょ!?」と答えた新納君に
惚れ直しました。「起きたら大した問題じゃない事が多いから」
って。俊介、適役だよ。そういう人、大好き♪
ところで、このミュージカルのどこが辛口だったんでしょう・・・?


2006年03月17日(金) 『レ・ミゼラブル』in中日(綜馬・岡田楽)超長文

レミゼin名古屋行ってまいりました。大阪も含めて唯一の遠征。
今のレミゼのために遠征するつもりはなかったけれど、
一応はと、キャスト表を前に蛍光ペンセットを持ち出して、
綜馬・岡田・駒田・シルビア・東山・田中利花(未見)が揃い
山口(or別所)を探したら、綜馬・岡田楽というイベント日発見。
ちょっとメンバー足りないけれど、絶対外せない人はいるし、
一度ぐらい行ってみるかと申し込んでみたら、とても好きな席。

仕事の都合もあって何度もやめようかと思ったけれど、
温かいのか諦めてるのか微妙な対応の同僚たちに
それなりに後押ししてもらえて、ありがたく行ってきました。
今回は、1回の遠征で観劇1本限定と、贅沢に一球入魂。
でも、某役者さんお勧めのあんかけパスタを食べに行ったり、
終演後に飲みに行けば役者さんがいらして泡食ったり、
友人と安ホテルで飲み明かしたり、旅行の楽しみは満喫して。
毎日気温が乱高下する中、温かく晴れた日で、
幸せ〜♪な気分で帰ってきました。


『レ・ミゼラブル』

<出演>
 山口祐一郎、鈴木綜馬、剱持たまき、岡田浩暉、
 ANZA、駒田一、森公美子、井料瑠美、東山義久、
 グランテール:伊藤俊彦、クールフェラック:横田大明
 ジョリ:岡田雄一、コンブフェール:小鈴まさ記
 フイイ:清野秀美、レーグル・司教:宮腰裕明、
 バベ:阿部よしつぐ 、ブリジョン:岸祐二、プルベール:萬谷法英、
 モンパルナス:森隆二、クラクスー:沓沢修一郎、
 買入れ屋:三木麻衣子、マテロット:高島みほ、
 ファクトリーガール:香山ゆき、ジベロット:田島麻子、
 マダム:井上珠美、少年1:村井麻友美、少年2:井上喜代子、
 かつら屋:亜久里夏代、ちびコゼ:藤井結夏、ちびエポ:福田夏未、
 ガブローシュ:大久保祥太郎
<指揮>塩田明弘
<場所>中日劇場11列19番

良かったかな。
いや、レミゼとして良かったかと聞かれると答えはNOですし、
すっごいバランス悪い舞台観てるなぁと思いはしていたけれど。
そうだな、一番近い感覚は「今、観て、行ってよかった」かな?
以下、語ります。久々なので半端なく長文です。

とにかく主役はもう、体力・気力ともに限界という感じでした。
輝きも随分失せてしまっていたのがファンとして悲しかった。
おかげでオープニングから「そういえばここがマリウス位置で
ここがテナってことは、アンジョが隣だったっけ」なんて、
余計な知識を反芻しているうちに話が進んでいってしまい、
更には司教が歌を忘れて無言になり「あー、だからアンサンブル
レベル低くなりすぎーっ!」とか頭の中で毒づいたりしていたら、
気がついた時にはバルジャンが許可証を破り捨てている始末。
エンディングまで、ほとんどバルジャンの細かい記憶はなし。

コゼットは剣持さんと知って「歌下手になった?」と思っただけ。
エポは、2幕冒頭、休んで元気を取り戻して帰ってきた客から
観る気を奪っていってしまう薄〜い存在感のソロやっている。
気がついたら死んでいて誰だったか思い出すのに苦労したファンテ、
以前の圧倒的な華が消えて学生に埋もれているアンジョルラスに、
ほとんどのアンサンブルは久々に観ても容赦なく「動く大道具」。
だから本当に、舞台としてはダメダメだったんですよ。

けれど今回は、そんな絶望的なレミゼに慣れた身に、
「こんなものに慣れるな!」と魅せてくれた人たちがいたから。
綜馬ジャベ、岡田マリウス、駒田テナ、岸ブリジョン(など)。
あと、小鈴コンブフェールも好き。この人はやっぱりコンブ役者。
アンジョでは無理が見えて沈んでいたけれど、こっちの方がいい。
伊藤グランも、今日は目立ちすぎずに意外に良かったかな。

でもアンサンブルでは、とにかく岸さんが特筆。
実はABCカフェでは、安定した存在感と静かな熱を感じて、
東山さんよりもリーダーができそうに見えてしまったために、
アンジョと演じ分けできてないのかよとか思ってしまっていました。
が、プリュメ街襲撃では少々とろいがドスの効いた存在感を感じ、
砦でガブとの絡みの瞬間には「絶対、このオヤジ、子供いる!」と
思った温かみ(ABCカフェでの絡みとは別人!)を感じたんです。
それらが皆、「特別な演技をすることなく」「悪目立ちすることなく」
気がついた時には、そういう人なんだと分かるようになっていた。
強いて言えば視線の上げ方とか、そんな程度のことで。

そういえば、それがレミゼのアンサンブルだったんですよーっ!
悪いけど、別に彼のファンじゃないし、じっと観ていた覚えは全くない。
それぞれの場面で、駒田テナや綜馬ジャベ、岡田マリウスなど、
観たくて観ちゃっている人たちがいるんだから。でも、ふとした瞬間、
プリンシパルではない「この人」を感じさせてくれる上手さがあった。
動く大道具ではないアンサンブルを感じたのは久しぶり。嬉しい。

岸さんが、アンサンブルでほぼ唯一人間に見えたと言うなら、
学生たちの中で唯一フランス人に見えていたのが岡田マリウス。
あんまり楽しくって、幕間、友人に送ったメールの第一声は、
「コスプレミュージカルやってる学生たちの間で、1人だけ
フランス人だから、浮いてる浮いてる・笑」だったぐらいだし。
いやね、多分動きがオーバーだったりしてるんでしょうけれど、
それがあんまり自然だから「あ、フランス人」としか言いようがない。
演技してる日本人の中に、「あ、外人が1人」ってことなんです。

例えばプリュメ街。「♪君を困らせた〜」って帰ろうとしたマリウスが
「♪ああ、君の名前も知らない」って戻ってきた瞬間に、「そうか、
詩を捧げるところから改めてやり直そうと思ったのね!(笑)」と
感じたんですよ〜。「愛する○○へ」と始めるには名前が必要だから
聞かなくっちゃ!って思った思考回路が理解できた自分に驚き。
コゼットも日本人だから、若干バランスが悪いっちゃ悪いけれど、
相手の気持ちを窺ったり、引く時は引くのもおフランス。任せなさい(笑)
「♪もう離さないよ〜」と突進して彼女の手に触れ、相手の反応に
慌てて手を引っ込める仕草も日本には稀な「紳士」なんですよね〜。

そして更に岡田マリウスに惚れたのは、きちんと思想があるところ。
その辺りも、現代日本人とは全然違うのね。何のために戦うか見える。
きっとこのマリウスは、誰もが少しでも幸せになるために戦うんだと思う。
だから、エポが死んだ時も「こんな小さな子が死ななければならない
戦いとは・・・」という感じの嘆きに見えたし、アンジョが慰めるのも、
一瞬手を触れただけにとどめ、大人同士の扱いが感じられた。

ガブローシュが弾を拾いに砦の外に出れば、無意味に見守るだけの
学生たちの中、アンジョルラスの指示で撃ち手を狙って銃を構え、
犯罪者であると告白したバルジャンには、見逃すのが精一杯という感じで
以後、一切目も合わせず「コゼットのため、誓います」と言うだけ。
すらりと若者らしい立ち姿で、品も良く育ちの良さを感じさせる外見からは
意外なほどの思想の強さ、男らしさが魅力的でした。いや、それでも、
ABCカフェなどでの恋に溶けまくりっぷりも見事で、アンジョルラスに
「♪マリウス、分かるけれど」と言われた瞬間、「分かってくれるか!」と
感激で抱きつこうとして、腕一本で思い切り胸を突いて止められたり
する姿に笑っちゃったり、というのも健在だったりするのですが。
ただ1つ、♪カフェソングだけは何かが物足りなかったけれど、
基本的に、「あんた、もう最高!」と叫びたくなるマリウス像が完璧。

そして、今回驚愕したのが綜馬ジャベ。
いえ、前から好きで気になっていたからこその遠征目当てでしたが、
知らない間にこんな物凄い変化していたなんて。信念の強さがいや増し。
オープニングでは、出てきた瞬間に空気が変わってピリッと張り詰めても、
まだ「そうかぁ、ジャベールって音楽も変わるし得な役だよな」とか、
生ぬるいことを思ったりしていたのですが。

あれ?と思ったのは、ファンテーヌの逮捕の場面。
再び、音楽とともに雰囲気を変えて現れたジャベール。
自分には理解不可能な市長の行動に、最初は戸惑いを感じるだけ。
その戸惑いが、馬車の一件で疑念に変わるが、その疑念も戸惑い。
だって彼は「バルジャン」は捕まっているということを知っているから。

そうやってきて「♪不思議だ、信じられない」の場面で感じたのは、
このジャベールがバルジャンに執着したのって、市長になっていた彼に
自分が気づかなかったからなんだろうなということだったんです。
逃亡囚は追うのが当然だけれど、バルジャンに対して職務以上に
こだわり始めたのは、その瞬間からかなって。自分に迷いを抱かせるから。
釈放した時点では、ただの囚人24653。多分、それが逃亡したとか
再度捕まったとか聞いても、よくある事例の一つでしかなかったはず。
それが、ジャベールの中で特別な事例になったのはこの瞬間から。
正確に言えば、この時点では、こだわりの相手は「この男」で、
それが犯罪者だと分かった瞬間が、彼の生涯唯一の迷いの原点になって。

「♪ヤツはきっと白状します」とジャベールは言う。けれど「ヤツが白状する
=こいつがバルジャンだという自分の勘が否定されること」である事実。
今まで市長を人格者として疑わなかった自分と、今疑っている自分と、
でもその疑念が間違いだという事実の間の動揺が見える気がして。
多分、 ジャベールはそれまで、「悪人には自分は気づく」と、
「悪人が善人になるなどありえない」の2つの信念に従って生きてきた。
それを覆す唯一の男だからこそ、10年後になっても、目の前の犯罪者を
「どうでもいいゴミ」と言い、彼のことしか頭になくなるほどなんだと実感。

彼の生き方が最も強く感じられたのは、砦に戻ってきた場面でした。
バルジャンに逃がされ、崩れるほど揺らぎかけていた自分の信念が、
落ちた砦でバルジャンが逃げたと知ったことで、また裏打ちされる。
けれど、再び信念を確信できたことへの安堵や喜びは一切見せない。
ただ、立ち上がって再び確信を持って追いに行くだけ。
逸脱しかけた自分の職務と信念に、ただ戻っただけの姿は、
ジャベールとしては確かにあまりにも当然で、けれど私なんかには
考えても見なかった行為で、目からウロコが百万枚ぐらい落ちました。

な・・・長すぎる(^^;
既にテキストで9kb超え(苦笑)携帯で読んでる方、すみません。
あと、やっぱり好きだったのは駒田テナなのですが、駒田さんに関しては
もはや「安心して好き」というか、今更どうこう言わんでもというか(^^;
とにかく、宿のオヤジっぷりから、10年後での「何があった、お前?!」
という変化が好き。何が違うって分からないんだけど、田舎の愛想いい
オヤジが都会の強盗団のリーダーになるまでの凄みの違いかげん。
そして絶対は、下水道。ジャベールが「悪人がいたら追う」のが当然なら、
テナルディエは「死体があったら探っとく」が染み付いた生活なんだなと。
別に凄んでいるわけじゃなく、普通の生活の一場面。彼にとっては
道端で「もうかりまっか?」程度の内容の会話をしている状態で、
滲み出てくる凄みがいいなぁ。これが、10年後のテナルディエ。

カーテンコールは、駒田さんの司会で岡田さん&綜馬さんのご挨拶と、
今日の私的には高笑いしたくなるほど納得で満足なおまけつき。
「じゃあ、浩暉ちゃんから」と言われた岡田さんは、微笑んで前に出て、
まだレミゼは続くので観に来てくださいとか、また名古屋に来たいですとか
自分のことはほとんど言わないのがファンとしては寂しいくらいのご挨拶。
綜馬さんは「皆様の健康を祈って入水自殺いたしました」と、やはり
実は祐一郎さんと同じ事務所にいられる人なんだなぁと思う意味不明の
言葉から始まり、ジャベールとは打って変わりすぎの朗らかなご挨拶。
「奥で浩暉さんと、帰る日が大雨でなくて良かったって話してたんですよ。
ねっ」などと、何かと岡田さんを振り返って「ね?」と相づちを求めながらで、
好青年姿でにこにこと応える岡田君との雰囲気が、男っぽくて好きでした。
2人の挨拶が終わったところで「実はもう1人終わりの人が」と駒田さんが
小鈴さんを紹介、ちょっと驚いた感じの小鈴さん、一歩前に出てお辞儀。
駒田さんは「まだまだ寒い日が続きますが、体に気をつけて・・・」と、
暖かい日になって良かったなと思っていた私には意外な言葉で締めて。

まあ、そんなわけで(どんなわけだよ(^^;)、
ガシガシ舞台を締めまくった3人+1人がいてくれたおかげで、
「そうよ!本来のレミはこういうものだったのよ!」という感覚を、
久方ぶりに思い出せたのが、非常に嬉しかったです。やっぱり、
適当なところでごまかしてちゃいかんよ。全員このレベルまで来なきゃ。
日生レミ、2回だけ取ってあるのですが、1回外れてしまった回が、
綜馬ジャベで、現時点で綜馬さんがないという事実があったり。
どこかで1回追加しようかな・・・。岸アンジョもないから、その日で。
少なくとも、それくらいの気分にはなれた観劇でした。良かったかも。


2006年03月13日(月) 『ジキル&ハイド』(韓国版・来日ツアー初日)

開演前にはちょっとびっくり。
会場1階席最後方の席1列くらいに、韓国語の文字。
何だろうと思ったら、一面にはられた韓国語の横に小さく
「プレス席」と日本語が。こんなに韓国取材陣来てるのか。

しかも、開演前の挨拶が韓国語。「間もなく開演です」とか
言ってるんだろうことは想像できるけれど日本語が続かず、
もしやチョ・スンウも見たことありませんなんてやつは、
ここに私しかいないのだろうかと心配になったりも。
韓国語放送の後の間に耐え切れず、隣の友人に
「日本語は?」と聞いてしまった直後に、日本語放送。
よかったぁぁ(泣)と心の中で泣きつつも、心配にもなり。
華と力で押し切れるかもしれないジキハイが観たいだけで
来てしまったけれど、私、ムチャクチャ場違いなのかも?
そんな不安に囲まれまくりながら観始めた舞台です。


『ジキル&ハイド』(韓国版・来日ツアー初日)

<場所>ゆうぽうと7列17番
<時間>全2幕、18:30〜21:10ぐらい
<主な出演>ジキル&ハイド:チョ・スンウ
エマ:イ・ヘギョン、ルーシー:キム・ソニョン

いや〜良かった!私、この演目については
勢いと華が至上主義のところがあるのですが、
それも十分に満たしていて、かつ、演技面でも大満足。

主役はもう、めちゃめちゃかっこ良くってですね、
カーテンコールでの最後のパフォーマンスなんて、
単純なのに一瞬で目を奪われ、心臓わしづかみにされ、
思わず友人連中と「うひゃぁ!かっこいい〜!!」なんて
叫び合っちゃったくらい。でも、そんな声もかき消す拍手の渦。
そして、そんなにかっこいいというのに(顔は好みじゃないけど)、
実際に観ている最中は、華とか歌とか、そんなものより何より、
演技力・・・、特に、何も話しても歌ってもいない時の
ストレートばりの演技の魅力に、惹きつけてくれていた。
ジキルとハイド、本当に間近で見てても別人に見えるかも。

とにかく主役絶賛モードだったのも確かなんですが、
それ以外もとても納得したからこその、これだけの満足感。
まずは、翻訳と構成かな。韓国語は全く分かっていないので
実際のとこ、どれくらい字幕が意訳されているかによって
変わってくるのかもしれないのですが、字幕で読む限りは、
ここで何が起こったのかとか、時間軸はどうなんだとか、
無駄なことで悩む必要のない舞台。・・・っていうか、
こんなことで悩まされ続けた日本版が間違いなのですが、
ずーーっと悩みがあって、しかもそういう悩みが似合わない
作品であるだけに、そうでないことがものすごい幸福で。

ただまあ、悩む余地がないのが嫌な人もいるかな?
ジキルはハイドのことを「憎めない自分の一部」だと、
はっきり言い切っちゃっているし「この町を出ろ」という
手紙をもらったルーシーの反応は、どちらにも取れる
日本版の歌詞を「喜び」方向に演じたマルシアと反対に
「ああ、また捨てられた」という歌詞になっているし。

それらの表現まで役者に委ねる手もあるのかもしれないけど、
私は、分かりやすく堪能できるこの舞台が、とても好き。
BWで観た時にとても好きだったものに似て、赤と黒と
単純なラインをメインに作られた割とチープな舞台美術や、
停電→雷など、定番だけど怖かったり悲しかったりする、
分かりやすく単純な演出もなかなか好き。

ルーシーもうまかったけれど、あまりに華奢で貧弱なので、
ハイドにいたぶられて、自分の内の思いを否定しながら
身を任せるなんて場面は、痛々しくて個人的に見たくなく。
友人には「観る側のメンタリティだね」と切られてしまったけれど、
私には、これを観られる感覚の持ち合わせがないです・・・。
個人的に特筆は、エマ。自分の意思でもって「ついていく」を
選択している女性の強さや賢さが、とても美しく、素敵。
実は少々お年が上なのか、ウエディングドレスとかはあまり
似合っていないのだけれど、そんなの問題なしと言い切れる
賢く貞淑で皆の憧れのお嬢さん。その芯の強さがあってこそ、
エンディングに泣きまくることになるのであって、彼女もまた、
今回の舞台を〆てくれた最高の人だなと思いました。

何しろ、いろいろとすごく満足。
後ろの書割とかは、そこまで要らないと思ったり、
アンサンブルさんたちが踊りすぎてるのは、多少気になったり、
(でもあれだけ踊れて歌えるキャストがそろうのは、すごい)
アターソンが単なる「弁護士」としての風格ばかり目立っていて、
年齢差も大きく、ちっとも友達っぽくないのが嫌だったりとか、
ちょこちょこあるけど、メイン3人と演出が非常に良かったから。
いいなぁ、演技がすごくできて、華もあって、歌も結構歌える人。
「どうだ!」って俺様パワー満載で、満足でした♪


2006年03月09日(木) 『ハゲレット』(初日)

<場所>紀伊国屋ホールC列3番
<時間>全1幕19:00〜21:10
<原作>ウィリアム・シェイクスピア
<翻訳・監修>小田島雄志
<脚色>鈴木聡
<演出>山田和也
<出演>ハムレット:近藤芳正、
 オフェーリア:笹本玲奈、ホレーシオ:陰山泰、
 ポローニアス:石田圭祐、レアティーズ:鈴木浩介、
 オズリック、役者、墓堀りほか:福本伸一、
 ローゼンクランツ、役者ほか:木村靖司、
 ギルデンスターン、役者ほか:桜井章喜、
 マーセラス、隊長、牧師 ほか:湯澤幸一郎、
 フォーティンブラス、役者、墓堀りほか:土屋裕一、
 ガートルード:久世星佳、クローディアス:ベンガル

ものすごーく『ハムレット』でした。
いや、勝手に、「ハゲてることを悩んでいる物語」に
なっているんだと思っていたんですが、思い切り間違いでした。
悩んで悩んで悩みすぎてハゲちゃってるけど、ハゲても、
そのことよりも悩むことが多すぎて、髪は二の次って感じ。

どちらかというと「今、目をそらしたな?そらすな!」と
相手に繰り返しているハムレットは、ちゃんと真正面から
悩みにぶち当たっている証拠として誇らしく思ってる節すら
感じられて、思わず「すげぇ・・・」と感心してしまったり。
先日観た『夏ノ夜ノ夢』とは、ある意味、真逆と言えるかも。
あっちは、福田恒存訳で覚えているセリフが、結構な量、
そのまま使われていたけれど、テーマからして全く違う話。
『ハゲレット』では、小田島訳のセリフには、ほとんど
気づかなかったけれど、『ハムレット』の精神がある感じ。

言葉遣いとか、簡単な設定とかは、
現代風味になっていて分かりやすいんですけどね。
「オフェ」とか、省略した愛称で相手を呼んじゃってたり、
だいたい、オフェーリア、処女じゃなかったりもするし。
個人的には、そこは変えなくてもよかったんじゃないかと
思ったりもしましたが、玲奈オフェのサバけっぷりには
似合っていたから、若干当て書きの部分もあったとか?
「いーじゃない、それくらい」なんて言うオフェーリア(^^;
先王の亡霊の表現方法を筆頭に、笑いも満載。

あんまり周りが気楽に生きちゃっているだけに、
一人で勝手にやたら真剣に悩んでいるハムレットの姿は、
ちょっと可哀相でもあり、可愛げがあっておかしくもあり。
父の死後に、速攻で叔父と再婚した母を責めたところ、
「だって、そうしたかったんだもん♪」と言われる姿も哀れ。
途中でレアティーズが(彼が言うのはキャラがあまり合ってない
気がして、納得いかなかったのですが)「あの方は、ハゲて
ますます味が出てよくなった」とハムレットを評すんですが、
観終えてすごく納得。もうちょっと肩の力抜いて生きな?と、
声をかけてあげたいような、せっかく隣にいるんだから、
もう少し眺めていたいような気分だったりも。
いつも通りのハムレットなのに、こうも見られるんだなと、
とても納得して観終えました。楽しかった。
あ、でも、途中休憩は、ちょっと欲しかったかな。


2006年03月08日(水) 『夏ノ夜ノ夢』(3/7夜の部)

村井さん出るし、何となく気にはなったけれど、
メインがタレントにモー娘。に、これ誰?って人ばかり。
松緑は、辰之助時代の「疾風のように」だけしか観たことなく、
その時点では華も感じずイマイチ好みじゃなかったしなあと、
興味に対して¥10,500は高い印象で、パスしてしまった舞台。
でも、別件のチケット探しをしていた時に、ふと半額以下の
チケットを見つけ、手に入ってしまったので行ってみました。
3/7夜の部観劇。いつにも増してネタバレです。


『夏ノ夜ノ夢』

<場所>日生劇場G列14番
<時間>1幕18:30〜19:30、2幕19:50〜21:25
<原作>ウィリアム・シェイクスピア
<脚色>小池竹見(福田恆存訳より)
<演出>加納幸和
<主な出演>パック:尾上松緑
 ヘレナ:佐藤江梨子、ハーミア:保田圭
 ライサンダー:海東健、デメトリアス:河相我聞
 タイターニア:床嶋佳子、オーベロン:村井国夫
 イジアス:菅野菜保之、フィロストレイト:辰巳智秋
 クィンズ(作家):住田隆、ボトム(ピラマス):マイケル富岡
 スナウト(塀):水下きよし、フルート(シスビー):矢代進一
 スターヴリング(月):秋葉陽司、スナッグ(獅子):北沢洋
 小姓ほか:岡本昭裕

で、この脚本は、どうなのよ?
まず、1幕60分かけてかったるく説明、2幕面白い話は
1時間弱で終了、残り40分全部が劇中劇という構成が疑問。
次に、パックがヘレナに軽く恋心を抱いてしまったりとか、
実は彼はオーベロンと人間の間の子供だって設定はともかく、
「パックがいたずらをするのは、目に見えないものを忘れがちな
人間に、自分たちのことを思い出してもらうため」であって、
最後にパックは都会の人たちにも思い出してもらうために、
彼らにいたずらをしかけに都会へ旅立っていくってのは、何?
いや、そこまでにも、彼が結構シリアスに主役なんだと
感じていられれば良かったのかもしれないんだけれど、
脚本的にも演技的にも、松緑@パック、やたら影薄いし。

いっそ思いっきり脚色しまくって『パック』とかって
タイトルにしちゃってれば、また話は違ったと思うんですよ。
でも、まったく違う。結構普通の『真夏の夜の夢』が進んでる。
それどころか、加納演出らしい、色気満載エロエロが強くって、
いかにもお祭り、無礼講の一夜という印象が前面に出ている
今まで観た中で一番『真夏』らしいくらいの『真夏』の舞台。
もともとは、夜がそうであればあるほど、明けた朝の
政治やら式といったものとの対比が面白いという話だし、
人間(妖精もですが)らしい感情全開の中で動き回るパックの姿は
やっぱり「いたずらっ子」という感じなのに、実は昼間の論理で
動いていたんですよと最後にいきなり付け足されても変なだけ。

まあそんな感じで、とにかく脚本に文句はあったけれど、
出演者は、心配していた割りにいい人が多かったです。
床嶋タイターニアの踊りと色気にはゾクゾクさせられたし、
受ける村井オーベロンも、踊らせるのは無理があったけれど、
絡むと色っぽいなぁとうっとり。2幕後半の劇中劇の場面では
突っ込んでは笑わせているらしい声が聞こえない距離で残念。
個人的には、「手に入れた半裸の青年を抱き寄せて満足げ」
という姿を見られたのが、あまりにレアで良かったかも(笑)

そして、心配だった若者4人組は、大健闘!
佐藤ヘレナは少し演技の一本調子さが目立ったけれど、
皆、本当に呆れるほど自分勝手でおバカで単純な子供たち。
イジアスに、(元?)親友は女ったらしだと汚点を言い募る
ライサンダーに、そこでうろたえる、どう見ても本当にヘレナを
遊び捨てたんだろうデメトリアス、優越感に満ちたハーミアに、
親友を売るヘレナと、どれもこれもロクな奴らじゃない。
夜になれば、全員やたらと無意味なように服を脱ぎたがり、
誘っておいて拒み、当然の権利のように覆いかぶさり拒まれ。
もう、パックにかき回されても、同情の余地なしな感じなのが、
だんだんそれなりに人間味あふれて愛おしく思えてくる。

彼らが朝、2組のカップルになった時点で素直に「良かった」
「めでたしめでたし」と思えただけに、そこで終わらず、
「素人の」「下手な」を強調しまくった、劇中劇を延々と行い、
果ては妙なパックの話をつけくわえた辺りが、とにかく失敗。
それがなければ、松緑さんもパックの作りようがあったかも?
今はただ、中途半端で芯が取れず、サ行がうまく話せないという
役者としての未熟さをネタに笑いを取ってるだけと感じたし。

森に鳥居が立ち、妖精たちは真っ白なナマハゲ様の衣装と、
和風の部分があるのに対して、お小姓はカボチャパンツ1枚、
オーベロンたちは、ずるずるしたギリシャ風衣装を着こなすと、
いろいろ地域が入り混じった感じの美術。でも、全体的に
幻想的で美しい一貫したイメージが出来ていて、美術には満足。
中央に座ったままのパックに対して、くるくる回る舞台の周囲を
歩かされて森をさまよう若者たちを表した1幕のラストなど、
演出も、全体的に印象的なものが多かっただけに、とにかく、
脚本の出来の悪さが、気になって仕方がない舞台でした。


2006年03月07日(火) 書いた書いた。

3/5分に『アルジャーノンに花束を』東京楽の感想。
早起きといっても1時間ちょっとしかできなかったので
髪を洗う時間がなくなってしまった。うわ〜ん。
今日は通路際の席なので、服に悩・・・んでる暇もない!
行かなきゃ!(^^;

でも、楽日カーテンコールを思い出すのは、
ちょっと楽しかったです。すごくいい雰囲気だったな。


2006年03月06日(月) しょっちゅうこんな事している気がする。

とりあえず今日中にこれだけ書いておきます。
駒田一さん、お誕生日おめでとうございます〜(*^^*)

今(22:56)から寝て、早起きできたら昨日の感想を。
こんなデロデロに眠いのに9時に間に合うように
ダッシュで帰ってきて『西遊記』見ている私、不思議。
何だか毎週毎週、くっさいセリフを吐いてる悟空に
ボロボロ泣きまくりながら見てるんですよね。

今週と来週は大地真央様も出演。きれいだわ〜♪
この人、大河とかのシリアスはいまいちだけど、
コメディタッチの話や舞台では、すごく好き。
来週の方が本格出演なのかな?楽しみ。
では、おやすみなさいませ。


2006年03月05日(日) 『アルジャーノンに花束を』(東京楽)

久しぶりの青空。舞台に似合いの感じかも。
浦井君のほんわり笑顔を思い出したりもする。
こんな日だと墓参りもしやすいよなとか思いつつ
洗濯して、春物を出して、ついでにうとうとしたり。
すっかり春気分でまったりしていたら時間ギリギリで
またしても遅刻寸前で駆け込み、観てきました、東京楽。
つい最近も「東京楽」に行ってきたけれど、最近は東京から
始まる舞台が多いのかな?ちょっと悔しいような気も。


『アルジャーノンに花束を』

<場所>博品館劇場H列17番
<時間>1幕14:00〜15:30、2幕15:45〜16:55
<脚本・作詞・演出>荻田浩一
<作曲>斉藤恒芳
<出演>
 チャーリィ・ゴードン:浦井健治
 アリス・キニアン、ローズ(幻想):安寿ミラ
 ジェイ・ストラウス博士、アーサー・ドナー、マット:宮川浩
 ハロルド・ニーマー教授、ギンピイ:戸井勝海
 バート・セルドン、フランク、リロイ:永山たかし
 アルジャーノン、アーニィ、チャーリィ(子供):森新吾
 フェイ・リルマン、ジョー:小野妃香里
 ヒルダ、ファニィ、ローズ(回想)、ノーマ:朝澄けい
 ルシル、エレン、ノーマ(回想):小田島クリスティン

前回は冒頭から気持ちをつかまれたチャーリィの言葉が、
何やらうるさく感じて、少し違和感。キニアン先生のセリフも
少々大きく感じるから、マイクボリュームなのか気持ちの問題か。
最高の席で観ているのに、今回もまだ他の音のバランスも悪い。
結局、ミュージカルとしては、今のままの作りであれば、
ストーリーの良さと一部の好演に流されて観る1回目が
一番いい舞台なのかもしれないという気分を抱きつつ観る。
前回は「不満があってもなお、いい舞台」と思ったのが、
今回はちょっと、ストーリーに流されなくなってしまった分、
粗に目が行く余裕があって、ちょっと悔しい気分。

音楽が懐メロっぽく感じるのは
薄い電子音を使ってるせいかもしれないと思えてきたり、
前回今ひとつ気に入らなかった役は、見分けがついて
いなかったんじゃなく、実は全部同じ人なんだと分かったり。
そういう、原作と関係ない舞台としての部分が、残念すぎ。
ただ、ミュージカル化したに当たっての難が多少あっても、
分かりやすさ(「簡単」ではなく)は絶対にいいと思うので、
原作の入門として、読まない人にも伝えるのにいいのかな。
実際私は、舞台でようやくタイトルに得心したし。

チャーリィは、少し「作り込み」が見える演技だったかも。
もっと自然体な感じが好きだったんだけど、毎日演じたうえに、
毎日考えて変えていってるんじゃ、仕方ないことなのかな。
でも冒頭では気になった作り込み感も、知能が上がるに従って、
違和感がなくなってきました。前回は、多少知能が上がっても、
「あいつは変わった」と言われるのは主に周りの人の感覚で、
チャーリィ自体はそれほど変わっていない気がしていたのが、
今回ははっきり「嫌み」や「見下し」を感じる部分もあったり。
初対面から傲慢さまで見せるアルジャーノンとのシンクロ性が
強くなった感じは、今日の方が好み。

少々引っ掛かりを感じる部分がありつつも観終えて
エンディングで切ないきれいな気分に満たされたところで
カーテンコール。役者さんたちが1列でお辞儀した瞬間、
後ろに真っ白な紙テープがダーッと滝みたいに垂れてきて、
知らなかったらしい役者さんたちびっくり。隣同士にいた
戸井さんと浦井君が一番最後まで驚いてたかな。
二人で何やら「うわ〜」とか「すげ〜、知らなかったよぉ」
とか言い合ってた感じが、何ともほほえましく嬉しくて。

その後、皆がはけて浦井君1人の挨拶では、
浦井君はまだ抜け切ってないのか地なのかボケボケで、
「『アルジャーノンに花束をミュージカル』、あ、『ミュージカル・
アルジャーノンに花束を』・・」って何度も繰り返しては
笑いを取っちゃって苦笑したり。言いたいことはいっぱい
あったみたいだけれど、どうしても うまくまとめられなくって、
結局最後は、「感謝の気持ちを伝えたいだけなんですが、
うまく伝わらなくて・・・」って。ああ、いいなぁと何だか納得。

その後も、紙テープを足に引っ掛けちゃったまま退場して、
はけてからも、上からぶら下がってる部分がずっと揺れていて、
奥で一生懸命外そうとしてる様子が想像できたり、
結局足から取れずに破いて外したのか、次に出て来た時
まだ切れ端が絡まってたり、可愛らしいなぁと思いつつ。
安寿さんに「ほら、前に出て」みたいに後ろから押されたら、
浦井君「落ちるから!」と本気で慌てかけたり、宮川さんが
「大阪で」と言いつつ退場したら「大阪で、あ、名古屋でも、えと、
静岡?で待ってます〜!」みたいなこと言いながら消えてったり。

本当に、半分キニアン先生気分で彼を見つつ終われた感じ。
もともと視点は完全に安寿キニアンだったし、不満が大きく
なりつつも、浦井君に巻き込まれて納得して終われたのかな。
つい、そっと後ろから成長を見守りたくなってしまう感じが、
まさに適役だったのかなと思いつつ、何となく納得した舞台でした。


2006年03月04日(土) 更新など

「2月中は観劇が忙しいから目指せ残業ゼロ!」
とか言ってたら、本当に残業1.5でした(^^;有休消化4日。
危うく実働100時間切りそうなくらい。社会人なめてます。
まあ、2月のうちのチームはほぼ全員そんなものなので、
今回に限っては、私だけが恨まれる心配はないのですが。

が、わが職場の優雅な日々もオリンピックと共に去り、
そろそろ総集編も終わったかという3月に入った1日から、
早速、番組改変期どんと来いメニューにモード変更され、
連日残業&連週休出と、仕事に追いまくられております。
1か月間怠けきった頭はマジメに丸一日働くと飽和状態で、
帰宅したら何もせずに、ぱったり倒れて寝てしまう日々。

というか、頭働いてないので、間違ってテレビつけちゃうと
何も考えないでボーッと何時間でも座っているので危険なんですね。
ここ数日でまともに見た記憶あるのは『バタフライはフリー』だけ。
またしてもDVDの残量が残り3時間と危険になってきたので、
見たら消すつもりのものだけでも、とにかく流そうと見始めたら、
主役の男性が、とても井上君に印象の近い人で驚いたり。
彼女役も由美子ちゃんっぽい雰囲気で、結構映画を意識した
キャスティングだったのかなと今更ながらに思ったりして。
心情が丁寧に描かれた映画で、まったりテンポなのに全く飽きず。
舞台も前に観た時は、井上君の演技力に、悲しい思いを抱きながら
退屈していた覚えがあるけれど、今なら違うんじゃないかなぁ。
あ、でも、演出家は絶対変えてほしいけれど。

そんな感じで、家に帰るとロクなことをしていないので、
明日また観劇してしまう前にネットカフェに飛び込んで、
とにかく、舞台の分だけでも感想を書いてしまいました。
2/28の日付で『Ohダディー!』です。



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