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1999年03月24日(水) 地球ゴージャス『地図にない街』

※アートスフィア、¥7,350−、H−16、全1幕:120分

<ストーリー>

所は、深海光(寺脇康文)が作ったバーチャルリアリティの西部劇風の街。
入るには、自分以外のどんな顔形でも構わないため、現実世界で、
いろいろな苦しさに追われた人々が、それを忘れられるよう、
まったく違う自分で存在したりしている。その街に、かつて
別のVRの街で出会った男を探しに、砂原泉(純名里沙)はやってきた。

そこは、現実を語らないことを基本に作られた安全な世界だったが、
VRの危険性を感じた警察(山本未来、山西道広)の介入があり、
人々は、現実を見つめずにそこに居続けることができなくなってくる。
その混乱と共に現れたのが、記憶の図書館と、その番人(岸谷五朗)。
彼に渡された鉛筆で、自分自身の記憶の書物の記述を線で消せば、
過去の嫌な記憶もトラウマも、すべて消すことができるという・・・。

<感想>

しまったぁぁぁぁぁっっ!!というのが一番の感想。
『温水夫妻』の翌日に観てしまったばっかりに、
この舞台に、正当な評価を下せなくなってしまった気がします。
だって第一印象「バランス悪い舞台だなぁ」だったんですもん。

多分、公演期間後半に入っていたせいもあるのじゃないかな?
SETの2人のじゃれ合いのシーンとかが長くなっていて、
その間、話の流れが分断されていると感じる事が多かったのです。
それはそれとして、ショーとして見れば本当に非常に楽しいけれど、
寺脇康文と岸谷五朗として見えるような状況は、嬉しくない。
そんな風に感じてしまう客は、地球ゴージャス向きじゃないのかなぁ?

話としては、2時間にキレイに収まる範囲のテーマを扱って好印象。
自分のトラウマを消し去る事で、「理想」というものも消える。
そのため「こうなりたい!」という欲望も消えて良い世界になると説く
記憶の番人に対して、感情も成長も消えてしまうのでは?と感じることも、
消し去られそうな記憶が実体を伴って現れて泣く というのも、
非常に嫌みなく分かりやすくて、勢いと共に見る舞台としては最高。

でもね、観終わって最後にいちばん記憶に残っているのが、
オープニングでの純名の歌声だってのも何だかなぁ・・って思いますね。
それだけ、彼女が印象的だったという話もありますが。
コゼットを演っている時には、ふぅん、という感じだったのが、
この役では非常に元気にキュートで、印象が変わりました。
彼女が、この舞台の最大の収穫だったかも?(^^;


1999年03月23日(火) 『温水夫妻』

※PARCO劇場、¥7,350−、L−26
1幕:19:00〜20:15、2幕:20:30〜21:40

<ストーリー>

温水浩一郎(角野卓造)と温水光子(戸田恵子)の夫妻は、
越後湯沢の隣の鄙びた温泉宿から帰る途中。
宿の主人の打雷(梶原善)に送られて駅まで来たが、雪で列車が止まり、
道も雪で埋まって、駅で一晩、過ごすことになる。
そこに偶然居たのは、光子の元恋人、太宰治(唐沢寿明)。
さて、どうなるのか?

<感想>

むちゃむちゃ笑いまくったのに、最後で泣かされてしまって、
そのせいで何でそんなに笑ってたのか覚えてないのが悔しい!!
でも、観終わってすっきり気持ち良くて、とにかく幸せ(*^^*)
何て私は、幸せな時間を過ごせたんだろうって、
文句無しに思えた、とにかく大絶賛!!の舞台です♪

泣いてしまった理由は分かってるんです。
とにかく最低としか言えない、人に頼りまくりの甘えた男の太宰治は、
打雷が、物置から出来たスキーで、助けを呼びに行った時も、
自分自身に当てはめてしまうあまり、打雷を信じられないでいる。
どうせ1人で助かってしまう。助けに来るわけなどないと思っていたら、
信じられないことに、打雷は助けに帰ってきてくれた。そして翌朝、
何の気無しに、なぜ助けに帰ってきてくれたのか話していたら、
「唯一読んだことある本が、『走れメロス』でさ」と打雷が言う。

「それを思い出したら、帰らなければいけない!って思っちまって。」
なんて打雷が言うのを聞いてる太宰を見てたら、泣けちゃったんです。
どうせね、この男がこんな事たった1回程度で、何か変わるなんて
そんな甘ちゃんな事は思ってないけれど、でも、彼も感動してたから。
どこかで三谷幸喜が、「つい、あざとい気持ちが出て、どうしても
最後に泣かせを入れちゃうんですね」って言ってたけれど、
まんまとそれにハメられてしまって、でも気持ち良く泣いてました。

でもね、いちばん感動したのはやっぱり「脚本の妙と役者の力」。
特に脚本と演出の力に関しては、こんなに強く感じたのは初めて。
舞台を壊しかねないまでにアドリブの多い舞台に辟易していたので、
こういった、予定調和を作り出す力というものに、ひどく惹かれました。
下手をすれば、役者の個性を潰しかねない作り方だと思うのに、
出てくる役者たちが、なんて生き生きしているのでしょう!
演出と役者の綱引きのバランスが取れた場合の素晴らしさを
見せてもらっているようで、本当に本当に幸せでした。
何度も繰り返し観るのは勿体ないくらい上質だから、
できれば半年に一回ぐらい、大切に観に行きたいなぁ・・・。



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