Comes Tomorrow
ナウシカ



 医療現場の実態

許可を頂いたんで、mixiの『今そこにある医療危機』でのコメントのやり取りを転載します。


コメント

水○○め 2009年04月19日 13:29
裁判に関しては賛成です。


でも、

>軽症患者を診る医師は増える。

うーん。

本当に、街の中に軽症だけを診る病院がたくさんあったとして、
本当に、「金持ちだけが云々」というように、庶民の経済状態がそんなに良く無いとして。保険の仕組みも破綻しそうで一回医院に行く費用が高くなったら。。。

軽い病気でそんなにジャンジャン病院に行く市場が成り立つでしょうか?

ナウシカ 2009年04月19日 17:27
>軽い病気でそんなにジャンジャン病院に行く市場が成り立つでしょうか?

ワークシェアするようになるでしょうね。
ナースがもうそうなってますから。

有資格者は多いけど、万年人手不足と言われる3Kとも8Kとも謳われる過酷な職場を避け、勤務数や時間を割り振って数人で働いています。

だから結局は需要は増えても、供給は充実せずって感じです。

水○○め 2009年04月19日 17:58
>ワークシェアするようになるでしょうね。
ナースがもうそうなってますから。

確かに、
簡単な病気の市場規模は、手術や先端医療を行う大きな病院のそれよりも小さく、そこに人が集中すれば、そういう事になりますね。

でも、それは給料が半分になると言う事。
すべての医師がそれを選択するでしょうか?


私はこの解決策、診療報酬の重みを変えれば良いんじゃないかなと思います。
産科や救急など、命に関わる「軽く無い」病気は高く、それほどでないものは、安く。。。。そうすると、軽い病気の市場規模はもっと小さくなりますけれど。

ナウシカ 2009年04月19日 18:15
>でも、それは給料が半分になると言う事。
すべての医師がそれを選択するでしょうか?

いえ、それがそうでもないんですよ。
あちこち、楽な診療所など掛け持ちで、つまりフリーでさほど責任も持たなくて良くて、そういうところで小銭稼ぐ方がよほど儲かるんです。

だから、麻酔医が少ないというのは、本当はいるにはいるけど、フリーになって自由に自分の行きたい職場に登録制で行ってるということです。
常勤医になって麻酔科で仕事してても、しんどいだけで儲からないからです。

>私はこの解決策、診療報酬の重みを変えれば良いんじゃないかなと思います。
産科や救急など、命に関わる「軽く無い」病気は高く、それほどでないものは、安く。。。。そうすると、軽い病気の市場規模はもっと小さくなりますけれど。

その通りです!
でも、実際には国は財政難を理由に、必要な診療報酬まで下げています。
リハビリの必要な患者のリハビリの回数制限をしたり、一部の手術の点数を低くしたり。

実際に、うちの職場でもドクターがボヤいていることですが、手術1件で得る報酬と、実際にかかる必要経費では、やればやるほど赤字になる算段になります。
そこで、できたらそんな手術はしたくない。
それを積極的にやっていたら、その科、病院はいずれ潰れます。

そこで、うちみたいな中規模民間病院は、大学病院に患者を振ろうと思って紹介なんかすると、『そんな患者をうちに送ってくるな!』と怒られます(x_x)
これ、うちの職場で実際に起きてる話です。
こんな理不尽なことってないです(/o\)

水○○め 2009年04月19日 18:31
上で懸念されてたのは、
重い病気を診る医師がいなくなるってことでしたが。。。
「市場規模」として、軽症を診る開業医のマーケットが限られていて、そこへ大量の医師が流入すれば、一人当たりの給与は低くなるのは、掛け持ちしようが何しようが、当然の事なんです。


でも、


>でも、それは給料が半分になると言う事。
。。。。つまりフリーでさほど責任も持たなくて良くて、。。。自由に自分の行きたい職場に登録制で行ってるということです。


この登録先が大病院であるなら、かなり理想的なワークシェアであって、
ちゃんと、重い病気を診る病院はやっていけることになります。

しかも、
病院組織にとってとても都合が良いのは、アウトソーシングでバイト医師を雇えば、厚生年金、福利厚生他の人件費がカットできます。
今の派遣と一緒です。
こんな都合が良いコトない。


でも、誰でも気づいてしまうと思いますけど。

ナウシカ 2009年04月19日 19:02
>上で懸念されてたのは、
重い病気を診る医師がいなくなるってことでしたが。。。

一例として麻酔医を出しましたが一緒のことです。
手術に立ち会う麻酔医がいないと手術ができないとか、できる件数が限られるとか、ほんと大病院で、しかも緊急性のある手術が順番待ちってことで、救急医療と同じで手遅れで死亡なんてことになります。

>「市場規模」として、軽症を診る開業医のマーケットが限られていて、そこへ大量の医師が流入すれば、一人当たりの給与は低くなるのは、掛け持ちしようが何しようが、当然の事なんです。

保険診療を中心とするか、自由診療を中心とするかでも変わります。
また設備投資をして、検診を数こなすことで利益に繋がります。

産婦人科医がどこに流れてるかというと、街中のビル内のそういったクリニックです。

極めてリスクが少なく、儲けがいい。
病気を見つけたら、大病院に紹介状を書くだけ。
紹介料も取れます。

>この登録先が大病院であるなら、かなり理想的なワークシェアであって、
ちゃんと、重い病気を診る病院はやっていけることになります。

うちの病院でも、そんな感じで常勤医がいなくなった科を若い非常勤の医師に来てもらって外来を開いていて、かろうじて診療科はなくならないけど、非常勤医師だとまず病棟の患者を診れない(単発で診るだけでは治療計画も立てられない)、手術ができない…つまり結局は軽症患者しか診れないってことですよ。

>病院組織にとってとても都合が良いのは、アウトソーシングでバイト医師を雇えば、厚生年金、福利厚生他の人件費がカットできます。
今の派遣と一緒です。

例えば、検診医師、往診医師などでしたら歓迎されるでしょうね。
でも、本当に医師が来てほしいところには来ない。

人件費をカットできると言われますが、手術何件したか、分娩を何件扱ったかで、病院の利益は上がるんです。
それが全くできなくなったら、人件費云々どころの騒ぎじゃありません。

ナウシカ 2009年04月19日 19:21
追記

バイト医師でもいいから雇って、かろうじて息をしている状態です。
耐えて耐えて、10年後、医師が増えて戻ってきてくれることを期待してるんですよ。

水○○め 2009年04月19日 20:34
>保険診療を中心とするか、自由診療を中心とするかでも変わります。
また設備投資をして、検診を数こなすことで利益に繋がります。

うーん。
でも、軽症(風邪とか)で何万円もかけて自由診療の病院に行こうという患者がどれだけいるかなあ。プチ成形が流行っても知れてるでしょうし。
検診のキャパシティだって限られてます。

そして、大病院も軽症しか診ないとすると、完全にマーケットとしては競合してしまいます。大病院と開業医が、限られた軽症患者を奪い合うでしょうか?


いずれにしても、
懸念されてるように、本当に日本の医療が軽症しか診ない開業医さんばっかしにはならないと思います。

ナウシカ 2009年04月19日 22:37
>でも、軽症(風邪とか)で何万円もかけて自由診療の病院に行こうという患者がどれだけいるかなあ。

軽症は何も風邪だけではないし、風邪なら自由診療じゃなくて保険診療です。

>プチ成形が流行っても知れてるでしょうし。

最近のプチ整形は、病名をつけて保険診療でするのが流行っています。
患者さんもそれをよく知っていて、保険で整形してくれるクリニックに行ってます。

最近、そのクリニックが儲け過ぎていると問題になり、監査が入りました。

>検診のキャパシティだって限られてます。

うちの病院は、今まで簡易な検診しかしてなかったんですが、利益を少しでも上げるため人間ドックを導入しました。
個人で来院する人もいるし、企業で集団で来院する場合もあります。
昨今の健康ブームでまずまずです。

>そして、大病院も軽症しか診ないとすると、完全にマーケットとしては競合してしまいます。
大病院と開業医が、限られた軽症患者を奪い合うでしょうか?

現在のところ、そうならないように医師(医局・科別です)たちは協議して、一定のルールを決めています。
近所の開業医さんが木曜に休診にしていたら、大病院も木曜を休診にしています。
なぜなら、開業医さんの患者を取ってしまわないためです。

その代わり、何かあったら患者を紹介してもらい、ある程度よくなれば、患者を開業医さんに返します。
その辺は医師同士、実に連携がしっかりしています。
医師同士で潰しあうようなことはしないんですよ。
自分の首を絞めてしまうことにも成りかねないですから。

>懸念されてるように、本当に日本の医療が軽症しか診ない開業医さんばっかしにはならないと思います。

そうですね。
厳密には医役分業でしょうか。

 水○○め 2009年04月20日 00:39
 >医役分業

うまい!座布団1枚ですね


2009年04月22日(水)



 医療のワークシェア

医師にしろ、看護師にしろ、人手不足人手不足と言われているけど、こと看護師に関しては、有資格者は十分な数がいると思われます。
でも実際には、職に従事してる人が少ない。

医師も開業医ばかりが増えてやっていけるのかって話ですけど、リスクが伴い、報われない仕事をするぐらいなら、ワークシェアするようになるでしょうね。
看護師がもうそうなってますから。

有資格者は多いけど、万年人手不足と言われる3Kとも8Kとも謳われる過酷な職場を避け、勤務数や時間を割り振って数人で働いています。
フルで働いたところで、それに見合う報酬を受け取ることは年々難しくなってますし。

私の知るある病院では、看護師の給料が高過ぎて潰れてしまいましたもん。
だから結局は需要は増えても、供給は充実せずって感じです。


2009年04月21日(火)



 今そこにある医療危機

今の勤務医がみんな開業したら、街には小さな診療所がいっぱいになります。
うちの近所も歯科医が溢れてます。

でも、歯科は医師は医師でも、一般の医師とはまた違うかな。
自由診療の領域が、一般の医師よりも広いんじゃないでしょうか?
私もよく知らないけど。

『医師がいなくなる』ということは机上の話か?

机上ではなくて、ほんとに現場では困ったとよく聞く話です。
開業医ばかりが増えても困るんです。
ちゃんと緊急の事態に重症患者を診て、ちゃんと処置なり手術なりできる医師、施設がないと。

それに何も大病院を辞めた医師皆が皆、開業するわけではありません。
都会の真ん中で、雇われ医師としてサラリーマンのように医師業を続ける人もいます。

昔みたいに、診療所兼自宅に医師がいて、夜中に『ドンドンドン、先生お願いします』と言って、やってくる急患を診てくれるような街医者は増えてはいません。
自宅は別にあって、通勤で診療所に来て、時間が来たらサッサと帰る…医師にとっては、その方が楽でしょう。

軽症患者を診る医師は増える。
重症患者は高度医療にかかれるでしょうが、それこそ運次第。
昨今の救急医療を見ていてもわかるでしょう。
そこから漏れた人は死ぬのを待つだけになるかもしれない。

中程度の病状の患者さんは、小・中規模病院で診てもらえるかもしれないけど、治療の施しようのないホスピス患者、介護領域の患者さんは順番待ちで、ほんと適切な医療・看護・介護を受けるのも難しくなる。
お金持ちなら、ヘルパーでも何でも雇って見れるでしょう。

どうしても、この現状がそのまま行くと、漏れ出る患者が出てくる。

介護事業所も一時乱立して、だいぶ淘汰されましたけど、だからといって今ちょうどいい感じに充実してるかといったら、そんなことはない。
高齢者、障害者の中でも一番困っているのは、小児の重度障害者。
家族に重く負担がのしかかっています。

医療・介護が、資本主義経済の渦に巻き込まれてしまっています。
でも今と比べて、昔は良かったかというと、そうも言えない現実があります。
試行錯誤しながらでも、少しでも良い方向に行くといいのですが…

医療過誤裁判、私は賛成ですよ。
情報をちゃんと開示して、ちゃんと専門家による検証をして(決して身内を庇うような形にはしないで中立の立場で)本当に裁くべき症例かどうか見極めて決めてほしい。

そうなれば、医師も逃げないで準備をしなければいけませんね。
保険みたいなものあるのでしょうか?
医師も、患者と患者家族も多大な痛みを伴うでしょうが、再び社会が信頼関係を取り戻せるなら、どんどん公正な裁判をしてほしい。
私はそう思います。


2009年04月20日(月)



 医師数の絶対値は減らないは本当か?

私は私の知る現場の話しかできませんから、統計なんかの数値は出せませんが、うちの病院の話をしましょう。

ある日、患者さんがうちの眼科に来て、『○○病院の眼科がなくなってしまって(閉鎖)、それでこちらに来ました。ちょっと遠いんですけど、あちらが無くなってしまったので…』と困り顔で来られました。
これからの通院が大変そう。

これまたある患者さんが、『大学病院で診てもらってたんですけど、白内障の手術、こちらの病院でしてもらえないでしょうか?』
よくよく話を聞いて、検査一通りして、出た結論は…

ドクター『あなたの場合、全身麻酔をしながら手術をした方がいいですね。
でも、うちでは全身麻酔で白内障の手術はしてないんですよ。
大学でしてもらったら、どうですか?』

患者『いや、大学は嫌なんです。
手術の予定は数ヶ月先ですし、こちらが家から近いし、こちらでお願いしたいんです』
切実に頼まれる。

ドクター『できるものなら、うちもしたいんですが、麻酔医がいないんですよ。
だから、したくても、どうしても無理なんです』

患者『えっ!? じゃぁ外科の手術なんかはどうしてるんですか?
手術してるじゃないですか!』

ドクター『外科は麻酔医がいないので、外科医が麻酔医もしてるんです。
ギリギリの人数で手術してるんです。
でも、うちはどうしても麻酔をする医師がいないので、無理なんです。
大学でしてもらったら、いいと思いますよ。
もう予定は入ってますでしょ?』

患者『早く手術した方がいいと言いながら、数ヶ月も待たされるんです』

ドクター『大学も手術予定が立て込んでますから、もっと待ってる人もいますよ。
あなたの場合、それでも早めに無理やり入れてくれた方だと思います。
納得がいかないなら、もう一度お話をされた方がいいと思いますよ』

患者『どうしてもダメなんですか?
全身麻酔じゃないとダメなんですか?
別に全身麻酔でなくても結構ですけど…』
何が何でも、うちでしてもらいたいらしい。

ドクター『そうですか…う〜ん…いや、やっぱり局所麻酔では、あなたの場合リスクがあるから、全身麻酔の方がいいですよ』

そんな押し問答が続いた末、仮予約だけでもいいから手術の予定を入れてくれと懇願される。
できないって言ってるのに…
なかなか納得して帰って頂けないので、大学に行ってもう一度主治医と相談するという条件付で、形だけ手術の予約を入れる。
でも、できないもんはできないからね。

医師の絶対数が足りてるなら、どうしてこのような事態に?
うち、片田舎でもなく、都会の真ん中だよ。


2009年04月19日(日)



 医師はどうやっていなくなるのか?

いなくなるといっても廃業ではないかもしれないけど、一番必要とされる高度医療の?現場から立ち去り、手っ取り早く稼げる科や開業に流れるんでしょうね。

うちの職場のドクターが言ってましたが、今は皮膚科医、美容外科医を志す人が増えているそうです。
夜勤もなく、そこそこ儲かるからだそうです。

それとドクターの転科もありますね。
うちの近所の開業医で、元々は産婦人科医なんですが内科の看板を挙げ開業されているドクターがいます。

また外科医だったドクターは、整形外科の看板を挙げ開業されました。
高齢化社会だし、足が痛い、腰が痛いと言って来る患者さんにリハビリなど諸々の治療を施しています。

ある大学病院では、大学の過重労働で若い医師たちが逃げ出し(開業)人手薄になったので、大学も苦渋の策で5〜6年開業禁止令を出しました。
そして、それが解禁になった途端、15〜6人の医師が大学を辞め開業しました。
そこでまた慌てて禁止令を出しましたよ、大学…すでに大量に医師が辞めた後ですが…

また医師の子どもは医師へと、政治家並みにそういう流れがあったように思うけど、それも自分が大変な思いしてるもんだから、自分の子どもには医師になってもらいたくないと言ってるドクターが、私の周りでも増えてきてます。

数十年前と事情が変わってきました。
そんな感じで、じわじわ医師がいなくなるんですよ。


2009年04月18日(土)



 『医師が必ず起訴される制度』

<割りばし死>遺族側の控訴棄却 東京高裁「予見は不可能」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090416k0000m040068000c.html

日経メディカル
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/200904/510166.html

以下転載
******

5.21 改正検察審査会法が施行(2009.4.14 訂正)

「医師が必ず起訴される制度」が始まろうとしている

棚瀬慎治(弁護士)

 間もなく「一般市民の判断で、医師が必ず起訴される(刑事裁判にかけられる)」という制度が始まろうとしている。04年5月28日に公布された「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」によって「検察審査会法」が改正され、これまで最終的には検察官に委ねられていた起訴ないし不起訴の判断について、一定の場合には一般市民で構成される「検察審査会」の判断に拘束されるようにする、という制度である。(記事全文を読む)

******

ここで名前の挙がってる弁護士は、割り箸の件で弁護された人だそうです。

ああ〜どうなるんだろうか…
医療崩壊は進むんだろうか?
それとも…良いことなのか?
裁判員制度も始まり、ますますなんか吊るし上げになりそうな気がして、とっても不安…
ていうか、適切な医療を適宜受けられなくなる事態になりそうで、そっちが不安…


○関連リンク

魔女狩りはじまる 「「医師が必ず起訴される制度」が始まろうとしている 5.21 改正検察審査会法が施行」
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-763.html

検察審査会法:や、やられた
http://blog.goo.ne.jp/amphetamin/e/341103e7e6c34f3bfb842c5fa07e29f1

[医療制度] 検察審査会法
http://d.hatena.ne.jp/virion/20080319/p1


2009年04月16日(木)
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