開幕戦から三日後、清水エスパルスのリーグ戦初勝利となったこの試合はホームゲーム第一戦だった。当時の日本平競技場はまだ、改装前でキャパシティも小さく、メインスタンドこそ現在と同じだったが、ゴール裏とバックスタンドは最前の数列だけが座席で、後ろ側は芝生席だった。その芝生席も傾斜が緩く、大変、見づらかった。
芝生席の一番後ろのフェンスに登って、傍に植えられていた木につかまりながら観戦していた記憶がある。
実はこの試合のチケット、発売日に並んだのだが買えず、観戦をあきらめていたのだが、後になって知り合いから譲ってもらうことが出来たのだった。

日本平運動公園球技場、曇り、観客9,183人、主審 菊池光悦
メンバー：
＜清水＞
ＧＫ真田雅則
ＤＦマルコ・アントニオ、内藤直樹、堀池　巧、斉藤浩史
ＭＦ大榎克己、トニーニョ、澤登正朗
ＦＷエドゥー、長谷川健太、向島 建（→杉本雅央）
SUB山田泰寛、太田貴光、青嶋文明、杉本雅央、大滝勝巳

＜広島＞
ＧＫ前川和也
ＤＦ佐藤康之、松田　浩、柳本啓成、片野坂知宏
ＭＦダニエル、森保　一、風間八宏（→小島光顕）、田中哲也（→チェルニー）、盧　廷潤
ＦＷ高木琢也
SUB田口禎則、小島光顕、吉田安孝、チェルニー、河野和正

開幕戦で3失点を喫した清水は、早速DFラインをいじってきた。平岡に代えてブラジル帰りの斉藤浩史を起用。

広島のメンバーを見るとフジテレビの解説でおなじみの風間氏が先発。ついこの間まで神戸の監督だった松田氏の名前も。盧　廷潤はまだ新人。
サブメンバーには、レッズを経て現さいたま市議の田口氏も。現役なのは森保、片野坂、柳本くらいかな。

試合の方は、清水が前半16分にトニーニョのゴールで先制すると、虎の子の一点を守りきってリーグ戦初勝利を上げた。個人的には快勝という記憶はない。実際、公式記録によるとシュート数は12対14だった。

清水 1-0 広島

前日のＪリーグ開幕戦、ヴェルディ−マリノス戦はアルバイト先の結婚式場のビデオプロジェクターで見た。
翌日、大学の同級生Ｙと共に三ツ沢に向かった。

開幕戦の相手は昨年のナビスコカップでは予選リーグで最下位に沈んだ横浜フリューゲルス。静岡では、開幕戦の勝利は堅いと、楽観ムードが広がっていた。

三ツ沢公園球技場、晴、観客14,162人、主審マーチン・ポデナム
メンバー：
＜横浜Ｆ＞
ＧＫ森　敦彦
ＤＦ薩川了洋、渡辺一平（→堀　直人）、岩井厚裕、高田昌明
ＭＦ山口素弘、モネール、反町康治（→桂　秀樹）、エドゥー
ＦＷ前田　治、アンジェロ
SUB大嶽直人、堀　直人、小林慎二、桂　秀樹、石末龍治

＜清水＞
ＧＫ真田雅則
ＤＦマルコ・アントニオ、内藤直樹、堀池　巧、平岡宏章（→青嶋文明）
ＭＦ大榎克己、エドゥー、澤登正朗
ＦＷトニーニョ、長谷川健太、向島 建（→杉本雅央）
SUB斉藤浩史、太田貴光、青嶋文明、杉本雅央、大滝勝巳

得点：
前半9分　 横浜Ｆ・アンジェロ(1-0)
前半42分　清水・エドゥー(1-1)
後半12分　横浜Ｆ・モネール(2-1)
後半14分　横浜Ｆ・前田(3-1)
後半44分　清水・トニーニョ(3-2)

メンバーを見ると、まず清水は三羽ガラスが揃い踏み。向島も先発。大榎が引退を発表したので、現役で残っているのは真田と澤登だけ。
横浜Ｆの方は、新潟監督の反町さんがまだ現役。今度新潟に移籍する山口素とはここでつながりがあったんだと今気づく。GKはレゲエの森君。彼は今どこにいるのだろう。薩川はまだ柏で、モネールは横浜FCで現役。カッツンも交代ながら出場している。
岩井は後に福岡に移籍し、今では学校の先生。渡辺一平はスカパーの解説でおなじみである。

試合開始早々に、あっさりと先制を許す。一度はエドゥーのゴールで同点に追い着くも、後半に、向島のバックパスを受けた真田が蹴ったボールはモネールのところへ。モネールが相手のミスを見逃さず、きっちりと勝ち越しゴールを決める。さらに追加点を許した清水は終盤反撃するも、トニーニョが1点を返すにとどまり、記念すべき開幕戦を落としてしまった。
肝心な時に勝てない芸風はこの時から。
見るものといえばエドゥーがゴール後に短パンの中に隠していたエスパルスキャップを被るというパフォーマンス位だった。

試合後、新横浜駅から新幹線に乗ろうとすると、エスパルスの選手達と一緒になった。新幹線ホームで大榎選手に「今度は頑張ってください」と言ってサインをもらったのだった。

横浜F 3−2 清水