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2004年08月10日(火) |
前立腺生検後の重篤な出血 |
久々に外来の間に時間があったので、トルコの論文に目を通す。
前立腺生検後の直腸出血というのはまれな合併症ではない。 ただ重篤に至る場合は少なく、抗生剤投与もそんなに長い間必要ではなく、経口剤でOK、また生検後の止血に関しても、指による圧迫で可能という、先日の県の泌尿器科医会での見解だった。 それからは、生検後3時間直腸内にガーゼを2枚詰め込んで安静にしていただいていたのを、1枚に減らしてみたのだが(以前ショックの患者さんを経験したのでそう簡単には手法は変えられない。医者は保守的で経験論則に基づいて動く部分も多分にあるのだ。だから抗生剤投与も静注でおこなっている。)、まあ今のところはうまくいっている(というかそんなに生検自体がないのが実情なのだが・・・)。
この文献ではPSA55と高値の69歳の男性に、標準的手技で前立腺生検(8カ所)を施行した後、直腸大量出血して、カテーテルを入れて引っぱってもダメ、指で押さえてもダメ、で、入院。 輸血するくらい出血して、大腸ファイバーで確認したところ生検部の直腸前壁よりの出血であり、最終的に、コンドームを直腸から入れて200ml(なんと!)蒸留水で膨らませて2時間圧迫で止血できた、というものであった。
考察には以下のように述べられている。 生検後の出血の頻度は50%以上である。(直腸出血や、血尿や血精液などであるが) しかしほとんどは自然に止まる。 まれに入院や輸血を必要とするものがある。
いくつかの文献で重篤な出血が報告されているが、それによると、圧迫での止血が困難な場合は、 1.バルーンでの圧迫牽引 2.大腸ファイバーでの止血(凝固・クリッピング・アドレナリンの局注) が用いられる。
このコンドームによる圧迫はバルーンより広範囲な場所を大きな口径で補いうるし簡便な不法で素晴らしい。
そういう結論だが、いやあこんなになるとパニックだよなあ、と、大きなため息をついた。
Simplified treatment of massive rectal bleeding following prostate needle biopsy:Murat Gonen et al;International Journal of Urology(2004)11.570-572.
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