昨日起こった、「イラク日本人誘拐人質事件」、こんなことが起こりさえしなければ、彼等３人の日本人ボランティアの活動は賞賛すべきことだろう。
　しかし、心憎い事件である。戦後日本人にとって一番痛い所を衝かれた事件である。丸腰の３人の「カモ」を手に入れたことで、一人の犠牲者（彼等にとっての「殉教者」）も出すことなく、日本の自衛隊を追い払うことに成功するかもしれないのだから。３人の日本人には気の毒だが、彼等３人は、テロリスト達にとってまさに、「カモが葱をしょってきた」ように写ったことであろう。
　小泉首相が「自衛隊は撤収しない」ときっぱりと言ったが、俺の感想は、「よくぞ言ってくれた」だ。ここで安易に彼等の恫喝に負けて自衛隊を撤収させたら、日本という国と、日本人全体が世界中の笑いものになり、テロリストが付け上がるだけだろう。
　戦後、イラクで民間外国人が殺害されたり誘拐されたりしたのは今回のこの事件が始めてではないのだから、本人も家族も、そうした危険性があることは覚悟の上でイラクに行った（家族にとっては「行くことを認めた」）筈である。（もしそうした危険がありうることを事前に想定していなかったとしたら、とんでもない愚か者である。）
　親として、子の命を助けたいと思う気持ちは当然だが、あくまで自己責任の下で個人が行なったことなのだから、家族が、「テロリストの要求通り、自衛隊の撤収をしてくれ」と頼み込むのはエゴであると思う。被害者の家族の方々は、「北朝鮮に来れば拉致被害者本人と会わせてやる」との北朝鮮の誘いを突っぱね、終始毅然とした対応を見せている、北朝鮮拉致被害者家族会の対応を見倣って欲しい。　
　親子で、「行くのはお前の勝手だが、もし、現地で誘拐されて、とても親一人では払いきれない程の身代金等を要求されたりした場合、助けることはできない。」といった会話はしなかったのだろうか。（←もし仮に日本が、テロリストの恫喝に屈して、自衛隊を引き上げさせたとしても、奴等も簡単に「それでは３人を返します」と、無邪気に返すとは思えない。数億円、ひょっとすると数百億円単位の身代金を要求するための新たなカードとして利用されるのがオチだ。）
　今の時点で国としてしなければならないことは、一刻も早くテロリストのアジトを発見し、特殊部隊を投入して「3人を今すぐ解放しなければ全員射殺する」と迫ること。
　残念ながら、他に、テロリストを付け上がらせずに３人を助ける方法はない。

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