思うこと
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2001年11月15日(木) |
アフガニスタン この小さき「地球」 |
今のアフガニスタンというのは、世界地図の上ではひとつの「国」として色分けされているけれども、いわゆる国民国家というのとは程遠く、ひとつの小さな「地球」同然だと考えたほうがいい。 近代以前の地球をね。
その中で平和をもたらす為には、 1、ひとつの有力な勢力が、「小さな地球」を軍事的に統一してしまう。(古代ローマによる地中海「世界」統一やモンゴル帝国によるユーラシア「世界」の統一を想起されたし。) 2、旧ユーゴのように、それぞれの民族ごとに国家を形成する。 という二つの方法がある。いずれにしても、秩序を生み出す過程で多くの血が流れることは避けられない。
1・2のような、「自然に任せる」方法を採る以外には、「地球」の外からの働きかけが必要になる。 それには、「元国王」という存在を、錦の御旗として最大限利用する方法が考えられる。 現在のアフガニスタンの国境を変更せずに、しかも比較的少ない血で戦乱を終結させるにはこの方法しかないと思う。 アフガニスタンには複数の民族がいるけど、元国王はただ一人だからね。 アフガニスタン全土を一旦国際管理の下に置いた上で、元国王を帰還・再即位させる。そして、国王の名のもとに、実際には国際機関が統治を行ない(国際機関がオモテに出てはダメ。)、逆らう者に対しては、国王の名のもとに逆賊として成敗することにより国王の権威(今は、非常に弱い)を高め、秩序を回復する。しかるべき時がきたら、徐々に実権をアフガニスタン人の手に委ねる。引き続き国王は諸民族の統合の象徴としての地位に納まる。
今の情勢を見ていると、「元国王抜き」でアフガニスタンの統治に国際機関が介入(いわば、不完全な統治)するような雲行きだけど、それでは真の平和は訪れないか、訪れるには訪れるがそれまでに多数の血が流れてしまうと思う。
アフガニスタンに住む人の帰属意識というのは、「1、私はイスラム教徒(=ムスリム人)です」もしくは「2、私は(民族名)人です」が優先され、「3、私はアフガニスタン人です」というのはそれらに次ぐ帰属意識でしかない。
国王を上に戴くことで、3の意識が高まる。それにより、「何故、同じアフガニスタン人同士、戦争してるんだ?」という疑問が初めて生まれ、それにより、内戦は必然的に収束の方向に向かっていく。
ところが、1が優先されると、新たなイスラムがらみの戦争やテロに、「イスラムの同胞の為に」と、わざわざジハードをやりに行くムジャヒディン(=イスラム聖戦士)が生まれてくる。また、現在の国境を越えて「汎イスラム国家」を作ろうとする動きが高まり、国際情勢の安定そのものが損なわれる恐れがある。
2が優先されると行き着く先は旧ユーゴの二の舞。民族浄化の末の小国家分立という結末を迎える。小国家分立という結末事態はそれ自体不幸なことではないが、それに至るまでの民族浄化と、それぞれの民族に深い傷跡を残してしまうことを考えると、避けたい結末である。
2001年11月14日(水) |
アフガニスタン 北部同盟軍による首都陥落に思う |
カブールを占領した北部同盟軍はさっそく派閥ごとに利権や主導権を巡って内輪もめしてるって話、報道によれば、(敵対部族であるパシュトゥン人に対しての)処刑や、市内の略奪を行ってるとのこと。まるで、ユーラシア大陸上の全ての都市が城壁で囲まれていた、近代以前の世界を見ているかのよう。
もともと政権担当能力などないと言われていた勢力だから、まあこんなものだろうとは思ってはいたけどね〜、こんなに早くボロを出すとはね。
アメリカに追随して、日本も戦争に参加することになった。 少し前(11/4)の新聞に、「パキスタン大統領が日本に自衛隊の医療支援、国連難民高等弁務官事務所も難民キャンプへの野戦病院の開設を求めたが、安全性確保の点で日本が直ちに応じるのは難しく・・・」とあった。難民救援という一点に絞って支援するのが、平和国家を標榜している我が日本の採る道だと思う。 もちろん、難民キャンプが略奪に遭ったりする恐れがあり、その際には派遣された自衛隊員が鉄砲で人を撃ったりしなければならないことも考えられるだろうが、それは「戦争」とは言わない。警察が刃物を振り回している犯人を撃つのと同じだ。どうも、日本のエラい方々は、鉄砲を撃つことイコール戦争と考える節が見受けられるが、困ったものだ。 「後方支援」という名の「鉄砲を撃たない戦争参加」ではなく、「難民支援」という名の国際援助をお願いしたい。(キャンプと難民を守るために鉄砲を撃たないといけない可能性があるかもしれないけど。)
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