Deckard's Movie Diary
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2008年12月31日(水)  BOY A  TOKYO JOE

『BOY A』
これは良く出来ています。良く出来ていますが、それだけです。観て損はないですが、何を感じるかは人によってかなり変わるような気がします。幼い時に犯した猟奇的事件・・・刑に服し、出所した後に社会はどう対応するのか?個人的にはソーシャルワーカーのテリー(ピーター・ミュラン)の背景があった方が良かったのかどうか微妙です。焦点がボケたような気がしました。しかし、こういう結末でいいのかなぁ・・・。



『TOKYO JOE』
ぶっちゃけ、インタビューばっかりで眠たくなりました。っつーか、何でこんな分かり辛い編集をしているんですかね?全く意味が無いような気がします。また、何故に彼がマフィアの幹部にまで登り詰めたのかほとんど描かれていないので、いまいち入り込めませんでした。もっと幾らでも面白くなっただろうに、なんだかなぁ・・・。


2008年12月30日(火)  アンダーカヴァー  K−20 怪人20面相伝

『アンダーカヴァー』
監督は『裏切り者』のジェームズ・グレイなので、同じ香りがプンプンしています。エヴァ・メンデスがシャーリーズ・セロンだったら、まんまでしょ!基本的には観て損は無いですが、オンエアまで待っても問題無いです。普通ですよ。っつーか、この監督って、ちょっとプログラム・ピクチャー過ぎるというか、もう少し頑張ったらいいのになぁ・・・。ホアキン演じるボビーは合法的に殺したくて警官になった!みたいな描き方をした方が面白いと思うんですよね。まぁ、そんなの個人的な感想ですけど、全編に渡って全てがあまりにステレオタイプじゃないですかね?




『K−20 怪人20面相伝』
観るに値する仕上がりだとは思います。映像も、音も、ストーリーも頑張っていますが・・・オリジナリティはゼロです!邦画に限らず、こんなハリウッド・エンタのモノマネみたいな映画って何処が面白いんですかね?っつーか、作っている方も面白いんですかね?観始めて、小日向文世演じるキャラが絡んで遠藤平吉・金城武の生い立ちとかが絡んでもっと邦画的なウエット演出なのかなぁ・・・と思っていたら、そういうワケでもないし、オリジナリティが出しやすい“少年探偵団”も全くと言っていいほどおざなりでした。肝心の怪人二十面相のキャラがオリジナルとかけ離れていて面食らった分だけ、整理するのに苦労しました。どうせなら原作は元ネタだけにしといて、新たなキャラを創作した方が良かったんじゃないでしょうか?しかし、この内容で2時間を越えって長過ぎでしょ!“大作然”としたところを捨ててもっとサクサクっと作っていたのならモノマネ・エンタでも気にならなかったと思うんですけどね。最近気になっていた本郷奏多も出ていましたが、魅力ありませんでしたねぇ・・・『青い鳥』はキャラが彼に合っていただけだったんですね(苦笑)。


2008年12月27日(土)  地球が静止する日  GOTH

『地球が静止する日』
オリジナルの邦題は『地球の静止する日』でした。『の』が『が』に変わっただけで、こんなにも情けなくなるモンなんですね。最大の過ちはクラトゥに協力してしまう女性を科学者にしたことですね。一般人の目線が無くなっているので、ごく一部の人たちで勝手に騒いでいる印象です。また、その家庭環境をいじっているのも意味が分かりません。オリジナルでは効果的な場面だった数式シーンなんてワザとらしくて苦笑せざるをえませんでしたし、監督のスコット・デリクソンは『エミリー・ローズ』の人なんで、少しだけ期待したんですが・・・今作を観る限り、忘れていい人ですね。冷戦時代の核戦争の脅威を環境破壊に置き換えたまでは良かったんですけどねぇ・・・それにしても駄作だなぁ・・・。



『GOTH』
最近、気になっている本郷奏多が出演しているし、猟奇殺人だし、ゴスだし、観に行って来ました。ツマラン映画でした。脚本の拙さを安っぽい映像としょーもない演出で補えると思っているダメ邦画の典型的な作品でした。原作は100万部も売れているらしいですけど、こんな映画化でいいんですかね?


2008年12月25日(木)  ラースと、その彼女

『ラースと、その彼女』
<ネタバレ>
予告編から一体どういう映画なのか興味深かった『ラースと、その彼女』。アカデミー脚本賞の候補になっていることでも惹かれたので観てきました!なるほどねぇ・・・上手いわ!大人が作った大人の寓話ですね。特に“傑作”とかいう作品ではありませんが“愛すべき小品”なのは間違いありません。この映画は“コメディの皮を被ったシリアスドラマ”です。ストーリーは様々に解釈出来ると思うんですよ。ラースは自分の世界を侵されたくなかった、でも誰かと触れ合いたがった、だから決して自分のコトを侵さないビアンカを選んだ。ところが、ビアンカに話しかけているうちに何も反応しない彼女がもの足りなくなった・・・。何故なら、ラースとビアンカの間にはコミュニケーションが無い・・・コミュニケーションが無ければ触れ合っていないのと同じです。お人形さんで遊んでいる子供がその内、物足りなくなるのと同じです。言い方を変えると、相手とコミュニケーションを取るという事は、自分の領土侵犯を許さなければ成り立たないという事なんですね。しかし!領土侵犯されるのが楽しかったり、嬉しかったりする場合も多々あるワケです。物足りなくなった子供は人形ではない誰かと触れ合うようになります。それが大人への第一歩なのかもしれません。他にも、ビアンカの登場は対人恐怖症のラースがリハビリの為に自ら治療に乗り出したとも考えられますし、人は常に満足しないという捉え方も出来ます。オイラは全くの無心論者ですが、「ビアンカ(リアルドール)が現れたのには理由があるのよ!」という言葉、時々出くわしますが、この言葉、好きなんですよ。まぁ、ひとつだけ言える事は行動なくしては何も変わらないって事ですね。

ラース役のライアン・ゴスリングを初めとし、医者役のパトリシア・クラークソン、兄嫁役のエミリー・モーティマー、マーゴ役のケリ・ガーナーと脇を支える役者陣も実に魅力的です!

低予算映画ですから日本でも十分リメイクも可能ですが、ラースの役は誰がいいんでしょうかね?山崎まさよし、香取慎吾、窪塚洋介、いしだ壱成?って、皆それっぽい役を演じた連中やんか!っつーか、日本版のキャスティングを考えるのがけっこう楽しいかも!兄は?兄嫁は?それにしても、子供はいつから大人になるんでしょうね。オイラなんて未だにガキだな・・・(/・_・\)アチャ-・・


2008年12月24日(水)  永遠のこどもたち  ワールド・オブ・ライズ

『永遠のこどもたち』
<ネタバレ>
いやぁ、怖かったぁ・・・この手(お面系)は苦手なんですよねぇ・・・♪〜( ̄ε ̄;)しかし、本当にあんなお面を被って遊ぶんかなぁ・・・?『20世紀少年』のハットリくんだってちょっと嫌なのに、洋物お面はヤバいでしょ!そんじょそこらのジャパニーズ・ホラーなんて比べようもありません。お面が出てきてからは観に来たのをかなり後悔してました!ホント苦手なんです!先日、何気なく夕方のニュースを見ていたら、ドイツのナマハゲとかいうトピックを取材していたのですが、アレも怖かったなぁ・・・あんなお面は禁止しろ!マジであんなの付けてんのかなぁ・・・怖くないんですかねぇ?

さて、怖い思いをしながら観た本編ですが、面白いです。ちょっと分かり辛いですけど、
観て損はありません。『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ制作なんで音楽の使い方なんてかなりツボですし、ウエットで哀しい結末は胸に響きます。母親の強さが描かれますが、それも自分の巻いた種なんですね。その辺りが深いというか・・・後悔先に立たず・・・みたいな感じで、取り返しのつかないってことって、ホンの些細なきっかけなんでしょうね。結局は母親の夢は叶ったワケですが、だからこそ!切ないんですねぇ・・・。

因みに、ドイツのなまはげ映像は↓
http://www1.ntv.co.jp/news/wmtram/dw/ng.html?m_url=081225044&n_url=125766



『ワールド・オブ・ライズ』
<ネタバレ>
これはダメだぁ・・・そりゃ、リドスコですからしっかりとした演出ですし、飽きさせないで見せてくれますが、このストーリーで、なんで女が絡むかなぁ・・・・どっちらけ!でしょ。絡んでもいいんですけど惚れるなよ!その辺りが妙に甘くなっちゃって、観ていて気持ち悪いです。疲れ果てて女に惚れた!とか言うのならまだ分かるけど、そんなでもないし、いきなり中東が好きだとか言ったって、アフリカの赤い土地へ注いだ愛着の微塵も感じられません。見てくればっかり良くて肉がスカスカのタラバガニみたいです。こんなストーリーだったら弟が作った方が断然良かったと思いますよ!リドスコはもうダメなんかなぁ・・・


2008年12月20日(土)  アラトリステ

『アラトリステ』
ヴィゴ・モーテンセンがスペイン語を喋るスペイン歴史スペクタクル?モノだそうで・・・。ヴィゴが演じる“カピタン・アラトリステ”は架空の人物だそうですが、映画自体が架空だったら良かったのに・・・と思わざるをえないシロモノでした。いやぁ、眠たかったぁ・・・(苦笑)。いつまでたっても終わらないし、っつーか、17世紀スペインの時代背景の説明が一切無いのでスペイン歴史を全く知らないオイラにはチンプンカンプンでした。そりゃ、勉強していないオイラにも問題ありますが、あまりに説明不足だと思いますよ。ストーリーに全然ついていけません。肝心なところで相手に止めを刺さなかったりするし、意味も分かりません。なんだか制作費がもったいなく感じてしまいました!監督は『ウェルカム!ヘブン』のアグスティン・ディアス・ヤネス。ふ〜ん、『ウェルカム〜』は全く憶えてないや(/・_・\)アチャ-・・。


2008年12月10日(水)  252 生存者あり

『252 生存者あり』
全く観客をバカにするにもほどがある!と言いたくなる様な恥知らずな映画。予告編で観ていた高潮のシーンは架空の出来事ばかりだと思っていたらマジでした(苦笑)。しかしまぁ、ここでツッコミを入れていると先に進まないので観なかったコトにする!パニックシーンを銀座4丁目の一部分と地下鉄構内に絞ったのは良かったんで、ちょっと期待しちゃったのが大間違いでした(オイラも学習しないなぁ・・・)。登場人物の一人が持っている荷物が“何でそんなモノなの?”と思っていたら、ああ、それがやりたかったのね!みたいな御都合主義の嘘くさい話ばかり!だいたい「身内が居たから助けたい!」って話しになっちゃってるようなんだけど、それでいいのかよ!ラストは『海猿2』に匹敵する“お笑い道場・重量挙げ篇!”。マジックマッシュルームでもやっていれば近年稀に観るコメディになっていたかもしれません。しかし、こんな映画を局の試写会で観て、ナンとも思わないのかなぁ・・・それを考えるとある意味、日テレホラー映画と言っても過言ではないです!役者陣はどいつもこいつも過剰演技で観ている方がこそばゆくなりますし、台風は何処に行ったんだよ(笑)。

辣腕の気象予報士に小娘をキャスティングしているのも相変わらずの幼稚な邦画って感じで嫌なんですけど、ラスト近辺、災害に遭った母と娘の手が異常に綺麗なのはもっと嫌!こういう細部のデタラメさはホントに恥かしい!監督は『舞妓 Haaaaan!!』『花田少年史』の水田伸生。二度と映画を作らないでいただきたい!

日テレはフジTV社屋をぶっ壊して面白がっているのかもしれないけど、あまりにレベルが低過ぎ!日テレのIQの低さは筆舌に尽くしがたいね。だいたい、お台場があんな状況ならば汐留だって似たり寄ったりだろうに!55周年なんだか知らないけど、日テレの低脳ぶりはフジTVと全く変わらない!っつーか、『容疑者X』『ハッピーフライト』と今年はどういうワケか佳作を送り出しているフジに比べたらもっとヤバいかもね。


2008年12月09日(火)  WALL・E/ウォーリー(吹替版)  俺たちに明日はないッス

『WALL・E/ウォーリー(吹替版)』
例によって、とても良く出来ています。メカ的なモノに息吹を吹き込む技術は天下一品で、それだけで十分楽しめます、よくもまぁ、そんなとこまで気が付くなぁ・・・!と、感心してしまうほどに良く出来ています。全く破綻のない作品ですし、全ては予定調和で収まり、全くと言っていいほど意外性はありません。それでも十分楽しいです。それ以外に言うことはありません!



『俺たちに明日はないッス』
う〜ん、微妙だなぁ・・・やりたい盛りの高校生ってのは分かるんですけどねぇ・・・それなりのエピソードを散りばめているだけで、映画としてのまとまりには欠けます。ストーリーも平板そのもの!また、何故にそこまでの暴力シーンを描かないとならないのかサッパリ分かりません。そりゃ、好きな女の子を弄ばれているように感じたからなのでしょうけど、その時点で殴られている相手が何も言わないのも不自然ですし、無抵抗の相手をあそこまで殴れるような人間に思い入れなんて出来ません。また、ホテルに入る時にお金が足りないというエピソードなんてどう考えても有り得ないでしょ。彼は最初からあのホテルに行こうとしているワケですから、下調べくらいしてますよ。いつもギリギリのお金で生活しているワケですから、そんな計算はバッチリやってますって!あるとすれば、いつものように何気なく勝った自販機のコーヒーのお陰で足りなくなるとかね。まぁ、そんんなシーンも含めて、全編を通して頭で計算されたようなストーリーばかりなので、リアルな登場人物の心情が伝わって来ません。どうも、この監督はエピソードの作り方が少々作為的な傾向があるように思えてなりません。こういう映画って日本人には人気ありますが、個人的には苦手です。


2008年12月08日(月)  SHINE A LIGHT

『SHINE A LIGHT』
ネタバレです。

「注文通りですが・・・」
「オレのじゃないだろ、マーティンのだろ!」

セットデザインを観た時のミックの言葉です。そのヤリトリだけで、このプロジェクトが順調でないのが分かります。♪黒くぬれ!とショパンのノクターンが交互に流されるシーンはこの映画の中で一番作為的なシーンですが、スコセッシのイライラは「ああ、世界の一流監督でもクライアント(ストーンズ)に振り回されるんだなぁ・・・」スケールは大違いですが、オイラと一緒じゃん!と、妙に納得したりして微笑ましかったです。

このプロジェクトは、元々はリオで行なわれる予定だった最大規模のライヴを映像に収めようとしていたらしいのですが、監督に指名されたスコセッシがNYのビーコンシアターという小規模な舞台に変えたらしく、発案者のミックとしてはイマイチ気に入ってなかったようです。まぁ、そんな舞台裏の話が少しだけあって・・・この辺りのサジ加減が、途中で挿入される過去映像(♪マザー・イン・ザ・シャドウのコマ落とし映像が懐かしかったあぁ・・・)も含めて上手いんですよ!♪Under My Thumb とか♪Wild Horse とか、ちょっとだけよ!と♪Gimme Shelter とか選曲も憎らしいですねぇ・・・で、肝心のライヴに突入するんですが、いやぁ、とにかく素晴らしい!素晴らしいとしか表現しようがありません。まさに、ガメラの火球を胸で受け止めたギャオスの気分でした(参照:『ガメラ 大怪獣空中決戦』)。こりゃ、ライヴ・ドキュメンタリーの最高傑作でしょ!っつーか、スコセッシはドキュメンタリーを作る気は毛頭無いですね。これは間違いなく“映画”ですよ。この作品がライヴを超えているのかどうか分かりませんが、確実に言える事は“ライヴを映画のように撮った”作品なのは間違いないです。

実を言うと最初は全く観る気はありませんでした。「今更、ストーンズのライヴドキュメントなんてなぁ・・・」とタカを括っていました。ところが、音楽好きでもなんでもない友人が試写会で観て「凄い!の一言!誰かに伝えたくて・・・是非!」とメールを送って来たんですよ。即座に「お前なんかライヴを観たことないだろ!ライヴに勝るモノなんて無いんだよ!でも、そこまで言うなら観てみるよ」と返答したのですが・・・全くもって、オイラの惨敗でした!宮崎君、ごめんm(_ _)m 斜に構えて観始めたのですが、演奏が始まってからはスクリーンにクギヅケでした!何が凄いって、全編こだわりのフィルム撮影!画面に映る撮影班のカメラには1000fマガジンが装着されていて驚きました。

<ちょっとだけ説明>
現在はライヴのような長時間一発勝負の取材は60分とかに渡ってテープチェンジ無しで録画出来るビデオ取材が当たり前です。何故なら、35mmフィルムだとカメラに装着できるのは1000fが最長なので10分程度でフィルムチェンジが巡って来ます。フィルムチェンジに要する時間は短くても3〜5分程度かかってしまいます。つまりフィルムで撮影するってことはメチャクチャ面倒な上に、フィルムチェンジしている間はそのカメラは何も撮れてないってことなんです。要は用意したカメラが全て同じタイミングでフィルムチェンジを始めたら、どのカメラにも撮れていないシーンが出てくるってことなんです。スコセッシもその部分が一番心配だったみたいですね。

フィルムの良いところは、まずは映像がメチャクチャ美しいです!フィルムはフォーカスが合っている被写体の前後に映っているモノのボケる度合いがビデオより強いので、距離感が出るんですね。あのボケ方(“ボケアシ”と呼びます)はビデオでは出ません!このボケアシは空間を映し出します。空間を映し出しすということは、メンバー同士や観客との間にある距離感を意識させられ、スクリーンを観ている者は否応なく立体的にその場所を感じることが出来ます。言い方を変えると空気(合間に漂う埃やらなんやら)が映っている感じですから、とにかく濃密な映像になります。その濃密な映像がミックの悪魔と取引したような声やストーンズのサバイバルナイフで削りだしたようなサウンドとがっぷり四つに組み合っているから、三位一体となった塊になっているんですね。また、通常はライヴドキュってけっこう飽きるんですが、15台以上?のカメラで撮ったフィルム映像をまるでTVのスイッチングで見せているようなカット繋ぎの連続で、ここぞ!とばかりにストーンズのメンバーやサポートミュージシャンを含めた一番美味しい部分ばかりを、溢れるような素材の中から抜粋し繋いでいます。っつーか、あのビジコン(カメラが撮っている映像が分かる装置)映像がズラっと並んだ卓を前にして「このアングルがいいねぇ!」って、それをフィルムでヤルって、贅沢過ぎるやろ!もちろん!そのカット繋ぎは通常では有り得ない“後からスイッチング(つまり普通の編集ってことね)”ですから、そりゃ的確で間違いないです!それぞれのメンバーのアイコンタクトやミックの仕切りの数々までフィルムに収められており、全く飽きさせません!信じられないくらい飽きません!ストーンズの一挙手一投足がオイラを魅了して止みません!どこをどう切り取っても、ワッツの溜息までも画になるロックンロール・ショーなんですよ。ストーンズのパフォーマンスを表現するためにこれ以上は考えられない細かなカット繋ぎの連続で、フィルム撮影に拘ったスコセッシの面目躍如ってとこでしょうか。特筆すべきは現在のストーンズに対してのインタビュー映像が皆無ってことです。挿入されているのは過去での取材シーンだけなんですね(因みにフジTVのインタビュアーは城ヶ崎裕子とのこと)。だいたい、インタビューなんてほとんどの場合、面白くも何ともありません。後から頭で考えた(思い出した)都合の良い言葉なんぞにどれほどの魅力があるんでしょうか?個人的には甚だ疑問です。少なくとも、興味深い話しがあったとしても、それに答えているアーティストなりミュージシャンの映像なんて要りません!だったら、リアルな映像を見せろよ!って、ことなんですよ。何故なら、他では見られないようなリアルな表情を引き出すのに成功しているインタビューなんてほとんどありませんからね。

「18秒で燃えます」
「燃える?火が出るってことか?」
「そうです。ミックが燃えます・・・」
「ミックが燃えるのか?それはマズいだろ!」

ライヴが始まる前のスコセッシとライトマンのヤリトリですが、何を言ってるのかと思ったら・・・このライティングは凄いですわ!そりゃ、ミックが18秒で燃えちまうワケですよ!通常、ライヴのライティングってのは、観客からステージが良く見えるように手前から当てるのがセオリーですが、もちろん!今回も基本はそうなんですが、通常と違うのは手前からのライティングが“押さえ”になってるところなんですよ。“押さえ”と言うのはキチンと見える程度にライティングするってコトで、メインのライト(“キイライト”と呼びます)は別のところを照らしているワケです。人を美しく撮る時の基本ライティングは逆光+押さえなんですが、このステージはその基本を踏まえていて、手前から照らしているライトよりステージの後方から照らしているライトの方が光量が多いんです。最近のライヴではそういうライティングも観られるようになったのですが、全編に渡ってキイライトが後方ってのは初めてでしょう!っつーか、ぶっちゃけ、これって映画のライティングですよ!良く見ると分かるんですが、ステージ後方から撮ったほとんどのカットがオーバー気味(光が強すぎる)です。で、最初に書いた“ボケアシ”を作るには望遠レンズの使用が丸必です。望遠レンズは写る範囲が狭いですから、当然レンズに入ってくる光量も少ないですから、必要以上に光を当てなければなりません!そりゃ、ミックが「ケツが熱い!」と言うのも頷けます。

個人的にはスコセッシが心配していたフィルムチェンジが一斉に始まった♪She Was Hot で思い切りスイッチが入ってしまいました!それまで(♪Jumpin’ Jack Flash ♪Shatteredの2曲)はパワフルなストーンズをガッチリ受け止めているスコセッシの演出に胸を熱くしていたのですが、それ以降はギンギンになってしまいました!つまり、オイラも現役復帰(何が?)していた!ってワケです。

「照れるから人に歌わせた・・・」と言っていた♪as tears go by は、あのマリアンヌ・フェイスフルのデビュー作。『あの胸にもう一度』の可憐な姿と『やわらかい手』での太ったオバサンが同一人物なんですよねぇ・・・遠い目(苦笑)。♪You Got The Silver ではキースが「オレってクールじゃね?」って、まだまだコマそうとしているとこがいいですねぇ!そのキースが「オレもロニーも下手だけど、二人揃えば最高だ!」って、そうだよなぁ!『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』でブライアン・ジョーンズの後釜として入ったミック・テイラーの流暢なギターソロに違和感を持ったオイラはやっぱり正しかったんだ。テイラーはストーンズカラーじゃなかったもんなぁ・・・。でもね、オイラはキースのギターテクはともかく、フィーリングとかタイミングはロックギタリストの中でも最高峰だと思っています。あのフィーリングはストーンズの売りになっているのは間違い無いですよ。そのままキースのソロで♪Connection 。“Between The Buttons”に入っていた小品ですが、あの頃のスウィンギン・ロンドンの雰囲気が思い出されて楽しかったです。で、この曲の最中に観客がカメラをストーンズに向けるのですが、その時にカシャ!というSEをスコセッシはわざわざ入れてるんですね。このライヴドキュを何とか演出してやろー!って、意気込みが感じられて映画ファンとして嬉しいです。音と言えば、このフィルムのサウンドミキシングなんですが、完全に映画用で音楽的なバランスは完璧に無視しています。つまり、ギターのアップ映像になるとそのギター音が異常に強調され、コーラスのアップになると彼等の歌声が前に出てくるんです。ライヴドキュではある程度はそういうことはされているんですが、今回は尋常じゃないバランスなんですね。これはミキサーは抵抗したと思いますよ。カットが変わったトタンに前のカットで強調していた音がほとんど聞こえなくなったりしますからね。でも、結局はその有り得ないミキシングが音までも立体的に見せているのに成功しているんですよ。

キースのソロが終わり♪悪魔を憐れむ歌 のイントロが流れて来た時には「そろそろ終わり?」と思い、淋しい気持ちになってしまいました。何故なら、このライヴをズーっと観ていたかったんです。いつまでも観ていたかった!今更、ストーンズのライヴフィルムかよ!と悪態をついていたオイラは、観始めてから1時間半、ズーっと終わらないで欲しいと思っていました・・・。そういう風に思える自分が幸せだとも感じていました。小学生の時に“牛も知ってるカウシルズ”で有名な『ビートポップス』という番組でストーンズのファンになってから40余年・・・ストーンズのファンで良かったなぁ・・・と、しみじみ思いましたね。そして、ここからが怒涛の4連ちゃん!“Let It Bleed”から♪Live With Me 。確か、アルバムレコーディングではベースもキースが弾いていました。ゲストで参加したクリスティーナ・アギレラがパワフルなパフォーマンスを見せますが、ミックは少しも負けてないんですよねぇ・・・以前、ボウイと共演した時もそうでしたが、ミックの声ってやっぱり人間じゃないね!っつーか、ミック自身が悪魔だな(笑)。♪Start Me Up は、忘れもしない!90年の初来日、日本の地に鳴り響いた記念すべき初のストーンズ・ナンバー!そのままアンコールで♪Brown Suger ♪Satisfaction 。挨拶が終わるや否や「up!up!」とスコセッシの声が飛ぶ中、ビーコンシアターからニューヨークの夜空へ!ライヴの余韻を残した終わり方も最高でした!「こんなに転がり続けて丸くならない石は見たことがない!」。Charも上手いこと言いますねぇ!このフィルムは間違いなく“転がっても転がっても丸くならない不思議な石”として是非『世界遺産』に登録して欲しい作品です。

オイラは『ブエナビスタなんたら』とかのドキュメンタリーが嫌いです。爺が枯れていい味を出している音楽なんてクソ喰らえ!です。枯れてるのを売り物にしてんじゃねーよ(そういうことじゃないんだろうけど・・・)。男は立たなくなったら辞めろ!立たなくなったら、立ってるフリをしろ!身体壊して入院したって「木から落ちて骨折した」と言って笑い話にするのが正しい不良ってもんだぜ!バンザ〜イ!ストーンズ!なんてたって、オイラはDecember’s Children だしね♪


2008年12月06日(土)  D−WARS  青い鳥

『D−WARS』
リバティ・ビルをスルスルと登っていくシーンはキングコングとエンパイア・ステートビルだし、ラストが怪獣?同士の戦いになっているところなんかは明らかに日本製怪獣映画の影響がモロに出ています。『ヤンガリー』のスタッフがロスを舞台にして作ったトンデモ怪獣映画の中盤は『ロード・オブ・ザ・リング』だったりしますし、もう何でもあり!です。韓国映画ですから東洋の神秘的な類はありますが、ストーリーには目新しさはありません。個人的に良かったのはドラゴンの造形かな・・・。で、良かったのか?と聞かれたら・・・って、聞くなよ!主人公はトム・クルの二番煎じみたいな役者でした(だから、なに?)。



『青い鳥』
ラスト近く、先生・村内(阿部寛)と生徒・園部(本郷奏多)のヤリトリが全てです!それまではそこへ行くまでの序章でしかありません。この映画に特筆するべき部分があるとすれば不本意にも苛めた側に加担してしまった生徒の心情を描いている部分かもしれません。自分の気持ちを相手に伝える仕方は人それぞれです。吃音の村内は「私のように上手く喋れなくて時間のかかる人間も居れば、ふざけてしか本音を伝えられない人間も居る。」と言います。コミュニケーションとはお互いが相手に対して想像力を働かせないといけないモノ!というコトが痛いほど伝わって来ます。

予告編で「みんな間違っている!」と村内が発言したシーンはそういう意味だったんですね。本気の言葉に本気で応えないことから苛めが始まっているという考え方は、ある意味“目から鱗”でした。己を振り返り、脳裏に思い出されることもありましたわ・・・(/・_・\)アチャ-・・ 村内が容赦なしに発する「それは卑怯だろ!」という言葉も胸に刺さりましたねぇ。

村内の過去の暗示させ方もさり気無く、また、そこに隠された真実がとても重く感じられるのは演出の賜物でしょう。この作品がデビュー作になる監督・中西健二はなかなかのテクニシャンです。トップシーンのカットの重ね方なんて上手いですし、地道に描かれる村内の仕草や衣装の見せ方なんかも丁寧で好感が持てます。園部の微妙な心情を表現する為の間の撮り方なんていかにも映画監督という感じです。それにしても、本郷奏多って子は上手いですねぇ!阿部寛もいつもの生命力過多の存在感を極力押し殺して、影の薄い印象を与えるのに成功している思います。

地味な作品で盛り上がりにも欠けますが、観て損の無い映画と言えるんじゃないでしょうか。


2008年12月04日(木)  デス・レース

『デス・レース』
言わずと知れた『デス・レース2000』のリメイクなんですけどね。まぁ、お利口さんになっちゃって!オリジナルは大陸横断だったと記憶しているんですが、今回は収容所が舞台です。それだけでも、どんだけ甘ちゃんなんだよ!とツッコミを入れたくなるんですが、さらに!逃げ惑う囚人を轢き殺すレースかと思っていたら・・・あらら!なんじゃ、こりゃ!しょっぱいサイドストーリーまで作っちゃって、みっともない!良かったのは設定が2012年とかで、あまりに近いとこだけだな(笑)。あ、それと!メカニックのオタク君が良かったなぁ・・・っつーか、あの役者はなんて名前なんだ?


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