Deckard's Movie Diary
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2006年10月23日(月)  カポーティ

あちらこちらで評判の良い『カポーティ』ですが、う〜ん、何とも中途半端な映画でした。この映画は一体何を描きたかったんでしょうか?個人的にはホフマンの怪演におんぶに抱っこした作品としか思えませんでした。タイトルで『カポーティ』と名乗っているのですが、要は代表作のひとつである『冷血』を書いた頃の話です。『冷血』は彼の一番有名代表作なのですから仕方ありませんが、カポーティという作家は本来、少年少女の思春期を書いてナンボの人でした。まぁ、そうは言っても刹那な青春模様だったりするワケですから、あながちズレていないのかもしれません。ただ、個人的にはカポーティ自身が殺人犯と同じ穴の狢というだけでなく、犯罪ノンフィクションに興味を示す部分をキッチリと描いて欲しかったんですよね。新聞の記事に目を留めたとしても、あまりに簡単にのめり込み過ぎです。とある人物を描く時にその一部分だけを切り取るならば、観ている方がうんざりするくらい濃く描いてくれないと・・・表裏だけの表現でそれを語るのはあまりに短絡的でしょう。全編を覆う寒々しい空気感は特筆するべきモノがあるだけに惜しまれる作品です。個人的にはカポーティの原作を映画化したリチャード・ブルックスの『冷血』の方が圧倒的に面白いと思いますね。


2006年10月17日(火)  スネーク・フライト

まずは“ヘビがジャンボをジャックする!”ってコピーがいいですねぇ(笑)。で、フラフラと吸い寄せられたんですが、きちんとストーリーの辻褄を合わせているのに驚きました。真面目に作っているんですねぇ。もっとふざけているのかと思っていたので好感が持てました(別にふざけていても全然OK!だったんですけどね)。とにかくストーリーがしっかりしているので、説得力があります(ホントかよ!)。サミュエルも頑張り甲斐があるってもんです!私のコメディ大好き友人は「ぐーすか眠っていたハワイの太ったおばさんは絶対殺さないし、絶対に起こさないですね。どんなに蛇に体をまさぐられようが目を覚まさず襲われず、飛行機到着後に目が覚めて「何かあったの?」って顔をさせて欲しかったです。この手の話にはこういうキャラが不可欠ですから。」と言ってましたが、『フライング・ハイ』っぽいですね。確かに頷く指摘ですが、オイラには十分面白かったです。監督は『デッド・コースター』『セルラー』で手堅い演出を見せていたデヴィッド・エリス。これからも注目ですね!しかし“パニック・アクション超大作”っつーキャッチはどうなの(苦笑)。


2006年10月13日(金)  フラガール ワールド・トレード・センター ストロベリー・ショート・ケイクス

日本の炭鉱映画もヤルじゃないですか!常磐ハワイアンセンター物語の『フラガール』はけっこういいですよ。監督の李相日は『69』や『スクラップ・ヘヴン』なんて作品を撮っているんですが、今回は最高の出来です!(キッパリ!)おそらく、この手の映画をかなり研究していると思われ、水を得た魚のような演出はお見事!の一言です。それぞれのエピソードは実に効果的ですし、何よりも、出演している役者が皆さん輝いて見えます。元々田舎娘顔の蒼井優は適材適所ですし(実際に上手いですよ)、日本のお母さんと化した富司純子は(ちょっと饒舌ですが)力があります。控えめな“しずちゃん”こと山崎静代も、北海道へ去ってしまう木村早苗役の徳永えりや、ママさんフラダンサー役の劇団大人計画の池津祥子も、皆いい味出しています。で、父親役は、あの志賀勝だったんですねぇ・・・・まぁ、毒が抜けちゃって(苦笑)。岸辺一徳、豊川悦司の脇もしっかりしていますし、個人的にはあまり好きではない松雪泰子でさえ魅力的に描かれています。また、美術の種田陽平や音楽のジェイク・シマブクロ等、スタッフも一流の仕事をしています。こういう映画はストレートに感動的に作るのがセオリーですから、そういう意味では間違いなく傑作ですね。フラダンス自体に魅力を感じたコトは無かったのですが、ラストのショーは素晴らしかったです。 やはり陽気なハワイアンなんでしょうか、フランダンスの熱が明日への希望を沸かせてくれるんですね。この手の映画はドップリ浸かって楽しみましょう♪ 時間を置いて、また観てみたい映画でした。ところで、寂れた炭鉱の町にハワイを持って来ようと考えたのは誰なんですか?

あまりにアッサリしていて、とてもオリバー・ストーンの監督作品とは思えない『ワールド・トレード・センター』です。いつもなら、あの海兵隊員がもっと出しゃばるんですけどねぇ・・・(苦笑)。まぁ、決して悪い映画ではありませんが、特筆される映画でもありませんでした。動きのある映画では無いですし、中盤かなり眠たくなりましたヾ( ̄o ̄;)オイオイ まぁ、そこまで言わないとしても、正直なところ、題名がコレじゃない方が良かったんじゃないでしょうか?タイトルに偽りあり!とは思いませんが、ちょっとずれているような気がします。9.11がアメリカ人をひとつにした、助け合った、みたいなコトを描きたかったから、この題名になったのかもしれませんが、逆に言えば、9.11じゃなかったら、あの海兵隊員は見向きもしなかったってコトですよね?それって、どうなんでしょ!オイラは捻くれ者なんで、そんなコトを考えてしまいました。そんな風に考えると『ワールド・トレード・センター』という題名にしたことが、実にオリバー・ストーンらしいのかもしれませんね(意味不明だなぁ・・・、映画を観ると謎が解けるんでしょう)。それにしても、この映画の感想で「何も出来なかったのに英雄扱いっておかしくない?」とか「何も出来ずに埋もれちまった間抜けな連中の話」とか書く人って、あまりに感受性が無いですね。っつーか、馬鹿でしょ!

『ストロベリー・ショート・ケイクス』は魚喃キリコ原作のコミックの映画化で、『blue』についで二作目のようですが、個人的にはこちらの方が良かったです。まぁ、そうは言っても、大して面白いとは思いませんでしたけどね(苦笑)。前半は単調で「ああ、ヤバい映画観に来ちゃったなぁ・・・」という後悔の念が押し寄せて来ていたのですが、後半どうにか立ち直りました。しっかし、こんなに病んでる女性たちばかりでイイんですか?彼女たちの行動が全く理解出来ないワケじゃないですが、男性目線からなのかもしれませんが、彼女達ってちょっとイタいなぁ・・・。そういう意味では少しばかり特殊な女性たちのストーリーに見えちゃったんですが・・・どうなんでしょ?それにしても、あんな編集者なんて居ないし、棺おけの扱いとかもなぁ・・・うそ臭い部分もかなりあるし、その辺もちょっと興醒めなんですよねぇ。


2006年10月06日(金)  レディ・イン・ザ・ウォーター

『シックス・センス』でオイラを魅了したM.ナイト・シャマランでしたが、その後はイマイチ君で「どうしたんだよ!シャマラ〜ン!」なんて思った時もありましたが、ようやく彼との付き合い方が分かりました。というワケで、今回の『レディ・イン・ザ・ウォーター』です!彼はオイラにとってミヒャエル・ハネケと並んで永遠に追いかけたい監督になりました(この二人は純粋と不純の両極ですけどね)。とにかく、堪能させていただきました!これでいいんです!独創的(独断とも言う)なシャマラン・ワールド超バリバリ全開で御座います。とにかく強引!重いゴン俵じゃなくて、思い込んだら、まさに猪突(ネタバレかよ!)猛進!今回は自らもガンガン登場して、その役どころと言ったら、そりゃもう!スンゴイです!でもって、彼の大嫌いなキャラを存分に懲らしめております(幼稚過ぎて笑えます)。まさに「オレについて来られるか!」と言わんばかりの強引グ・マイ・ウェイ映画ですが、微笑ましい限りです。いけ!いけ!シャマラ〜ン!GO!GO!てんね〜ん!


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