Deckard's Movie Diary index|past|will
上戸彩、神木隆之介主演『インストール』。原作は『蹴りたい背中』の綿矢りさ。まぁ、ある程度予想していたとは言え、ここまで幼稚だとは・・・(苦笑)。っつーか、アホか!まるでボンクラ妄想学生が作ったような出来損ない!久しぶりに映画館から出たくなりました。テンポは悪いし、しょーもない話をダラダラと見せられるのでウンザリします。中高生辺りが見れば興味深いストーリーなのかもしれませんが、オイラにはそこら辺に転がっている手垢のついた話にしか見えませんでした。ヴァーチャルとリアルの間の話なのに、その辺りの突っ込みもヌルい!っつーか、理解度は浅くて、どうしようもありません!とにかく、作り手の頭の悪さが如実に出た映画であるのは間違いないですね。もちろん!来年のワースト1候補!
フランス、ベルギー、カナダの合作『ベルヴィル・ランデブー』。面白い!とにかく、その有り余るセンスの良さに酔ってしまいました。極めて個性的な造形美に溢れたキャラクターの数々。その全てが実に魅力的で、動きは大胆にして繊細!ノルスタジーカラーに彩られた画面の中でバイタリティ溢れるお婆ちゃんの達観とした佇まい、「うるさいよ!」とツッコミを入れながらも愛着を覚えずにはいられない愛犬・ブルーノ、敵も見方も入り乱れて大活躍!大して表情はありませんし、台詞もほとんどありません!なのに、描かれるキャラクター全てが愛嬌タップリにスクリーンから飛び出て来ます!もちろん、音楽も素晴らしく、ほとんど非の打ち所がありません!製作は『キリクと魔女』『白くまになりたかった子ども』のディディエ・ブリュネール。監督はフランスで食えないでカナダで成功したらしいシルヴァン・ショメ。ベルヴィルの街のイメージはケベックとモントリオールだそうです。この映画を観るとジャパニメーションの一方の雄と言われる押井や大友のアニメが如何に小賢しいだけのモノかが分かります。まさに、アニメーションの原典がココに!個人的にはピクサー作品に物足りなさを感じるオイラにはツボにハマリ捲くりの映画でした。あ、ひとつだけ・・・シャンピオンの表情の無さが気になるなぁ・・・ボソ。
『アベックモンマリ』『とらばいゆ』と生き生きとした台詞回しで映画に存在感を持たせてきた大谷健次郎最新『約三十の嘘』。今回は今までで一番贅沢な役者が揃っています。ところが・・・芸達者な連中だと思っていたんですけどねぇ。どうにも落ち着きが悪いです。台詞が板についていないというか、リハーサル不足というか、ちょっと過剰な演技も目に付きますし、わざとらしい印象です。さすがに、後半は落ち着いてきますが、時既に遅し!でしょう。ストーリーは寝台特急トワイライトエクスプレス内での密室劇で、その辺りの設定とか、過去を引きずる人間関係とか、クレイジー・ケン・バンドが手がける音楽とか、十分魅力的なんですが、小賢しくまとまってしまったようです。悪い映画ではないんですけど、いまいち魅力に欠けます。“嘘”がテーマなのに、あんまり“嘘”が際立っていないのが一番の欠点なのかなぁ・・・ボソ。
『AVP』・・・予告編のダメダメさが信じられないほど、良く出来ています。南極を舞台にしているのに、息が白いシーンはわずかですが(苦笑)、それでも、この作品は気に入りました!まさか、そんな展開かよ〜!と良い意味で裏切られました。上手い脚本です!成功した原因は、作り手が“プレデター”“エイリアン”の両キャラクターに妙な思い入れをしなかったからじゃないでしょうか。美味しいところだけをキッチリと拝借していて、その辺りの割り切りの良さは気持ち良いくらいです。あ、そうそう!『プレデター2』を観ていない人は、予習してから観に行った方が良いと思われます。チラシとか読んじゃっている人には関係ありませんけどね(苦笑)。続編ではシガニー・ウィーバーが出て欲しいなぁ・・・。
スティーヴン・スピルバーグ最新作『ターミナル』。う〜ん、ヌルい!それなりにエピソードを散らしてはあるのですが、結局はヌル過ぎる風呂状態を脱しません。まぁ、元々そんなに奇抜なストーリーを作る監督ではありませんが、今まではそんなステレオタイプのストーリーでもツボを得た達者な演出で、観ている者を楽しませて来たんですが、今回はあまりに不甲斐ない出来です。何処までも整形美人を眺めているような気分になりました。だいたい、トム・ハンクス扮する主人公が、何故に空港から出ていけるチャンスを生かさないのか全く分かりませんでした(オイラが馬鹿なのかも・・・(⌒o⌒;A)。また、彼がNYに来た理由もいまいちピンと来ませんでした。涙を流して感激するような話なんすかねぇ?キャサリンの心には熱いモノをもたらしたのかもしれませんが、オイラの琴線に全く触れませんでした。しかし、スピルバーグ・・・オーラが消えちゃったなぁ・・・ボソ。
高村薫の最高傑作と呼び声の高い『レディ・ジョーカー』。高村原作と言えば崔洋一監督の『マークスの山』が思い出されますが、世間の評判とは別に個人的にはダメでした。傑作長編推理小説の映画化というのは大変難しい作業だとは思うのですが、元々のストーリーの良さは折り紙つきですから、上手く着地すれば娯楽大作として十分魅力的な作品に仕上がるワケです。当然、映画化が決れば、読者の多くはそれなりに期待します。しかし、何せ“長編”ですから、そのまんま全てを映像化するワケには行きません。何処を生かして、何処を省略するのか?言い換えれば監督や脚本家の力量が試されるコトになります。そういう意味で、今作での平山秀幸、鄭義信のコンビの頭の悪さと言ったら、開いた口がふさがりません!この“しょーもなさ!は一体なんなんでしょ!簡単に言ってしまえば“火サス”で最後に犯人の語りが全く無いような映画です。救いようがありません!小生は原作を読んでいませんから、余計にチンプンカンプンです。何故に今になって?彼らの繋がりは?何故に“レディ・ジョーカー”なのか?そりゃ、オボロゲには分かりますが、そんなんダメでしょ!原作の上澄みだけを掬い取ったような、薄っぺらい仕上がりの作品を「5年に及ぶ歳月を費やして、遂に実現させた感動作」等と謳っている情けなさ・・・「あなたたちは分かりはしない」って言われてもねぇ!っつーか、分かるわけねーだろ!友人が言ってました「映画みたいに作っているけど、これは単に高村薫の原作のCMだよ」。なるほどねぇ!実際に映画を観た後、原作を買いに走った人間が約一名居ましたわ(笑)。これが今の邦画の限界とは思いたくありませんが、『飢餓海峡』の内田吐夢、『華麗なる一族』の山本薩夫、『砂の器』の野村芳太郎等・・・彼等の後を継ぐような監督が居ないのは淋しい限りです。
友人がNGを出していた『バッド・サンタ』です。いやぁ、仰るとおり!これはダメですよ(笑)。監督が『ゴースト・ワールド』のテリー・ツワイゴフだったので、ちょいと期待したんですが・・・とにかく弾けない作品でした。テンポが悪いのは置いといても、一番のNGはビリー・ボブ・ソーントンが演じる主人公です。全く魅力がありません!単にだらしないだけで、ぜ〜んぜん可愛くありません!これは主演のビリー・ボブに責任があるワケじゃなくて、演出がダメダメなんだと思われます。脚本も無駄な描写ばかりで、それぞれのエピソードは全く説得力がありません。重要な役割になるヘタレ小僧も、どうしてバッド・サンタに纏わりつくのかさっぱり分かりません。なんだか、日本のTVドラマのような軽薄な映画でした。
最近は全世界的に音楽ドキュが流行のようで、日本からは『ザ☆ゴールデン☆カップス/ワンモアタイム』がエントリーです。「トーキョーなんてハマの残りカスみたいなもんさ!」と言ったのはフェンスの向こうに“アメリカ”がドカン!と構えていた“本牧”の言葉です。ベトナム帰休兵が踊り撒くっていた横浜・本牧にあるクラブ“ゴールデンカップ”。60年代後半の世相(安田講堂、新宿騒乱事件など)を垣間見せながら、今現在は各界で活躍する人々が証言する本牧の実態は、同じ時代を生きて来た人間としては懐かしくもあり、悔しくもありました。日比谷野音でのフリー・コンサートに革マル派が乱入したり・・・という、その時、現場にいた遠い記憶を呼び覚まされる話なんかも出て、胸がちょっと熱くなりました。ただねぇ・・・遅れてきた大物バンドだったカップスが♪いとしのジザベル なんてバタ臭い楽曲でデビューし、こいつらはちょっと違う・・・な〜んて思っていたのに、いきなり♪長い髪の少女 かよ〜!っつー印象はありました。つまり、バカにしていたトーキョーのやり方に乗っかったワケですからねぇ・・・地元の風当たりはどうだったの?とか、どんな気持ちでやってたの?みたいな、その辺りのコトにあまり触れてないんですよねぇ。まぁ、そんな細かいコトなんか考えてないよ!っつーことなのかもしれませんけどね。それと、気になったのは前半後半(A面B面)に分けた構成が良かったのかどうか?つまり後半は所謂フィルム・コンサートなんですよ。やっぱり、生生しいインタビューと復活ライブを交互に見せた方が良かったと思うんですけど。それにしても、マジでカップスの連中って悪かったんですねぇ。曰く「あんな不良は見たことない」、「いい奴なんだけど、ヤク中だからなぁ・・・」とか、やっぱ住んでた世界は違いますわ(笑)。観客は同窓会のような雰囲気で、何処か共犯意識にも似た空気が流れていました。そんな女性客の中には現在のマモル・マヌーの姿を見てトホホな溜め息をこぼしている方もいらっしゃいました(笑)。インタビューで面白かったのは土屋昌己(カップスのローディだったんですね)。あんなに嬉々としている土屋昌己なんて見たコトありません(笑)。葉村エツコなんて人の顔が見られたり、ちょっとビックリ!
まぁ、北村龍平ですからねぇ・・・『ゴジラ ファイナル ウォーズ』。予告編で見て想像した範囲は全くと云っていいほど越えていませんでした(笑)。映画を観ながら「ああ、北村だなぁ・・・」と思えるのが良いのか悪いのか分かりませんが、例によって最後は長いですし、うるさいです(苦笑)。X星人がたくさん出てきたらX−menってのはギャグなんですかね(笑)。カイル・クーパーのメインタイトルや、エンディングで延々と流れるキース・エマーソン節とか、見所は満載ですが、一番興味深かったのは予告編で流れた『TOKYO TOWER』を見せられた後の観客の所在投げな様子でした。すっげぇ、気まずい空気がドッヨ〜ン・・・全く興味ねーよ!くだらねぇ!とか、観た事を静かに記憶から抹殺したいとか、隣の奴には絶対悟られたくないけど、ちょっと見たいかもとか、いいなぁ・・・とか、実に妙な状況が生み出された瞬間でした(笑)。しかし、菊川怜って下手だなぁ。
山中貞雄は「こんな作品を遺作にしたくない!」と言って戦地に赴いたそうですが、結局は遺作になってしまった『人情紙風船』です。劇場鑑賞は初めてでした♪〜( ̄ε ̄;)。現存する山中3作品(『丹下左膳絵話・百萬両の壷』『河内山宗俊』)の中では一番大人しい作品になっていますが、これは当時、既に召集令状を手にしていた山中の厭世的な胸中が反映されたモノだとも言われています。ちょっと前に劇場で、どちらかというと活劇風味の前記2作品を観ていたせいか、今回の『人情紙風船』は遠い昔にLDだかVHD(古いよ!)だとかで観た時より、かなり緩慢な印象が残りました。それでも山中らしい“粋”な演出は健在で、新三や海野、海野の奥方の描き方なんぞは特筆に価します。特にラストの竹を割ったような潔さは、まさに山中節の炸裂です。個人的には完成度が一番高いと思うのは『丹下左膳絵話・百萬両の壷』。一番好きな作品は『河内山宗俊』。『人情紙風船』は、後付ですが、作られた時の背景を考えてしまうと何処か寂しげな表情が見え隠れしまい、ちょっと切ないかも・・・ボソ。
森崎東監督、原田芳雄、倍賞美津子と揃えば『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』を思い出されますが、今回の『ニワトリはハダシだ』もまた『死んだら〜』に近い印象の映画です。森崎と言えば、世の中の不条理に対して“一億総中流階級”の意識など全くない庶民、言い方を変えれば全てのアウトローな人々が「ざけんなよ!このやろー!」とたくましく向かっていく姿を描いてきた映画作家ですが、今作は久々に森崎節が炸裂しています。しかし!『死んだら〜』の時も、話を広げすぎてまとまり切らなかったように、今回もまた・・・さらにバラバラな印象が残りました(苦笑)。それぞれのストーリーが上手くリンクしていません。特にバックボーンになる汚職事件が分かり辛いのが致命的です。多彩な登場人物(原田、倍賞の他に石橋蓮司、柄本明、岸部一徳、李麗仙、笑福亭松之助、塩見三省、余貴美子、加瀬亮)は皆魅力的なだけに惜しいんですよねぇ・・・77歳の森崎東としては精一杯なんかなぁ・・・ボソ。映画の完成度はそこそこですが、それよりも何よりも一番心奪われたのは、観ている最中ズーっと「誰だっけかなぁ・・・新山千春じゃないしなぁ・・・こんな女優いたっけかなぁ?」と、気になっていた養護学校の担任役です。あまりに自然で躍動感溢れる演技だったので、てっきり既存の役者だとばっかり思っていたら、全くの新人“肘井美佳”という女優でした。CMなどで露出している、所謂アイドル路線のタレントだそうですが、この娘は上手いですよ!初めての映画出演でこれだけの存在感を発揮するのは並大抵ではありません!何処かで見たことあるようなルックスがちょいと欠点ですが、それでも何処か土着的な印象を残す佇まいは生命力が漲る力強さを感じさせてくれます。しっかりと勉強してちゃんとした女優に育って欲しいなぁ・・・。
『魚と寝る女』を観た時に「ああ、この監督とは相性悪そう・・・」と思い、前作の『悪い男』もスルーしたんですが、この監督特有の暴力シーンは今回は無い!というコトで観てきました。キム・ギドク監督作、2004年の韓国大鐘賞最優秀作品賞受賞作品『春夏秋冬そして春』です。確かに直接的な暴力シーンはありませんでしたが、怒りのシーンにしろ、ラストの歌声にしろ、異常なテンションの演出を見る限り、この監督には肉食動物の獣の血が流れているような気がします(笑)。ストーリーは予告編で想像した通りの展開で、特に言うコトはありません。そういう意味では今までで一番観やすいですし、東洋の神秘っぽいストーリーに海外のマスコミがゴロニャンしちゃうのも頷けます。まぁ、そんな話ですから、元々東洋人のオイラには、だからぁ?みたいな印象ですが(笑)。ただ、韓国の名勝と言われる国立公園に作られたロケセットは研ぎ澄まされた美しさを醸し出しており、一見の価値はあります。後から知ったコトなんですが、“冬”と“そして春”を演じた主人公は監督自身(“秋”の人物とは違い過ぎるだろ!)だそうです。しかし、この監督の作品は評価高いですねぇ・・・最新作の『サマリア』(かなりヤバそうでした・・・ボソ)はベルリン映画祭で最優秀監督賞受賞ですから!う〜ん・・・わからん!あ、そうそう!登場する和尚ですが、まるでヨーダのような・・・・ボソ。
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