Deckard's Movie Diary index|past|will
凄まじい兄弟愛の映画でした。男女の愛ではこのような展開の映画もあったと思うのですが、兄弟愛に徹した今作は素晴らしくも哀しい人間ドラマを生み出しました。個人的にはカン・ジェギュの名を一躍有名にした前作『シュリ』をあんまり評価していないので、正直なところ「どうだろう?」と半信半疑で臨んだのですが、『シュリ』でのベタな感性はこの映画では超強力な武器になりました。つまり、弟を思う兄の気持ちが一途で盲目的だったからこそ類稀なストーリーが生まれたというコトです。それはキレイ事と言ってしまえばそれまでですが、家族の序列に厳しい韓国だからこそ描かれた映画なのかもしれません。また、弟を思う気持ちから派生した兄の行動はいつしか人間が本来持っている残虐性まで引き出して見せ、さらに!彼らを取り囲む人々を通して理不尽で哀しい戦いだった朝鮮戦争の真実を垣間見せながら、民族紛争の空しさをも描くことにも成功しています。そういう意味では朝鮮戦争の流れをある程度分かっていた方が良いと思われるので、あまり詳しくない方は事前に知識を仕入れたほうが良いでしょう。戦争映画では付き物のツッコミ所もありますし、戦闘シーン(手持ちカメラが多くて閉口!)が長いのも気になりますが、傑作だと思いました。出来れば、飛来するレシプロ戦闘機はF4UコルセアではなくP51Dムスタングにして欲しかったですが・・・(笑)それにしても「またかよ!」と言われても声を大にして言いたいのですが、最近の韓国映画の熱さは羨ましい限りです。本当に良く出来ていますし、良くぞ作った!と声をかけたい気持ちにもなります。哀しいかな、今の日本に世界の何処に出しても恥ずかしくない大作を作れる力はありません(トホホ)。
『オアシス』で驚異的な演技をみせたムン・ソリが出ているので気になっていた『浮気な家族』です。はっきり言ってダメダメ映画でした。全く必要がないと思われる性描写があまりに多くて閉口しました。おそらくは現代の薄い人間関係を炙り出そうとしたのでしょうけれど、曖昧な人間関係や突然の出来事が雑然と放り出されているだけで一つの話として消化されていません。観終わって、とにかく後味が悪く“嫌悪感”すら覚える映画でした。
というワケで『ビッグ・フィッシュ』の2回目に行って来ました。驚いたことに2回目のが圧倒的に良かったです(⌒o⌒;A。どうにもティム・バートンが好きなもんで(⌒o⌒;A、1回目の前回は予告編の眩いばかりの映像を追うだけで終わっちゃてたような・・・(>_<)アチャ!今回はフラットな気持ちで観られました。やっぱり傑作ですね!
アカデミー賞外国映画賞トルコ代表作品『少女ヘジャル』。イスタンブールで功なり名を遂げ、今は悠々自適な生活を送っている孤高の老人ルファトと、家族を失ったクルド人少女ヘジャルとの交流を描いた映画です。観ている最中からこの映画には何処か懐かしい匂いが漂っていたのですが、それはデ・シーカに代表されるイタリア・ネオリアリズムの趣でした。音楽の多用や、中盤テンポが緩慢になるのは難点ですが、多くの人に観て欲しい傑作だと思います。
なかなか前評判の宜しい『海猿』。この原作は“殺し屋1”が読みたくてヤングサンデーをコンスタントに買っている時に接していました。海上保安庁が背景になっている漫画なんて珍しいですから良く憶えています。しかし、2年前にNHKで放映されたドラマ(未見。主人公の仙崎役は国分太一、こちらの方が原作の仙崎のイメージに近いです)よりも、さらに原作からかけ離れたとストーリー&人物設定になっており、全くの別物と言っても過言ではないでしょう。まぁ、それでも面白ければ構いません!
『アモーレス・ぺロス』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、最新作にしてアカデミー主演男優、助演男優、主演女優賞の候補になった『21g』です。ひたすら重く暗く、その上恐ろしく魅力の無いストーリー。なんなんですかね?この映画は?目先を変えているだけのカットバック手法にも、いい加減うんざりました。この鬱陶しい梅雨空にお似合いの映画とも言えますが、観たくねぇ〜!っつーの(◎`ε´◎ )ブゥーー!まぁ、予告編からけっこうヤバかったですから、オイラの自業自得ですな(苦笑)。アカデミー賞候補になった3人の演技は見もの(特にナオミ・ワッツが素晴らしい!)ですけどね。脇でクレア・デュバル、シャルロット・ゲンズブールが出ていました(21ヘェ)
とにかく熱い映画でした。その上、女性はほとんど登場しないので“男臭い”ったらありゃしない!さらに!所謂“いい男”も一人も登場しません(苦笑)。ストーリーは30年以上韓国の歴史に封印されてきた暗い真実を暴く骨太な物語です。主要キャラクターの心情はワンパターンではなく、それぞれが深みのある人物像に描かれています。ただ、日本人のオイラが観ると「何でそうなるの?」と、ちょっとわからないエピソードがあったりして、後半になるとある程度は理解出来るんですが・・・おそらく韓国人の方が御覧になると、日本人にはおいそれとは理解出来ない複雑な感情の動きがあると思われます。気になったのは映像センスが古臭く(30年前の雰囲気を出そうと思ったワケじゃないでしょうけど・・・)全体にチープな印象です。また韓国映画にありがちな映画話法の未熟さというか・・・この映画に関しては、訓練の時間経過があまり感じられませんでした。それでも歴史の闇に葬り去られた彼らの悲惨さ、やるせなさは観ている者にひしひしと伝わってきます。それは明らかに今現在のコリアンパワーの成せるワザなんでしょう!『オアシス』、『殺人の追憶』、そしてこの『シルミド』と映画制作に賭ける姿勢は羨ましい限りです。う〜ん、マジで邦画も頑張ろう!さて『ブラザーフッド』はどうなんだ?
『デイ・アフター・トゥモロー』・・・ロスが竜巻に、NYが洪水に見舞われるシーンを大きなスクリーンで観るだけでもうほとんど満足(笑)。物語りはもったいぶることなくさくさくと進み、「おお!すげぇ!」ってな映像を連発してくれます!中盤までに怒涛の迫力映像で十分満足させてくれるので「そりゃオカシイだろ!」なんてツッコミは野暮ってモンです。人間ドラマは平板ですから、旅の途中で“キリストで無言で語り合う”なんてシーンはありません(笑)。まぁ、ブラッカイマーならいざ知らず、なんせエメリッヒなんですから、泣けるわけがありません(笑)。というワケで映画は満足だったんですが・・・劇場入り口で最大級のバカチン竜巻に遭遇してしまい、危うく噴火するところでした(って、噴火しちゃったのか?)
『トロイ』です。はっきり言って“トロい”映画です。捻りがなくてすみません。とにかく長いですよ!大作感なんか捨てちゃって2時間程度にまとめておけば良かったんじゃないですか?でもこの映画で一番ダメなのは、ブラピ扮するアキレスのキャラです。どうしてそこら辺に居るようないい人にしちゃったりするんでしょうか?この辺りの描き方が最近のハリウッド大作ってつまらないんですよ!その他のキャラはそれなりの人物像に描かれているのに、肝心のアキレスが中途半端だから腰砕け状態です。だって月星(今はムーンスターとか言うんでしたっけ?)と並んで子供靴で有名なアキレスですよ!もっと強烈なキャラに描いてくれなきゃ、「わ〜い!アキレスの靴だぁ〜!」なんてはしゃいでいた自分がアホみたいじゃないですかぁ!そんなんだったらさっさと木馬を出せよ!
どういうワケかリュック・ベッソンが絡んだ『クリムゾン・リバー2/黙示録の天使たち』です。ベッソンが絡んだんですから、初めから期待値低目の設定で臨みました(笑)。初っ端から意味ありげな殺人が続きますが、物語とはほとんど関係ありませんし、途中からストーリーは良く分からなくなっちゃうし、そんな理由でそこまで身体能力上がるかよ!とか、ラストは“今度はソレかい〜”とか、突っ込みどころ満載です!ドコゾでコージ・パウエルさんが「鷲のマークの大正製薬もビックリな一本ですぞ。」と書いていましたが、まさに座布団3枚の表現です(笑)。まぁ、映画の話しはいい加減にして(オイオイ…( ;・_・)ッ( ゚ー゚)ウキ…)、問題は隣に座った女性(独断推定32歳)です。この女性が信じられないくらい飛び跳ねるんですよ(驚)。まさにボディソニック状態での鑑賞でした(爆)。しっかし、マジであんなに驚く人は初めてでしたよ・・・椅子から10センチくらいは浮くんですよ!!だから「お、いきなりナンか出そうだぞ!」とオイラのアンテナが反応する度に毎回身構えちゃったので疲れましたわ(苦笑)あ、そうそう!懐かしのSTOOGESがガンガンかかっていたのは何故ですか?
職人ジョエル・シューマッカー監督、ケイト・ブランシェット主演『ヴェロニカ・ゲリン』。悪い映画ではありません。一介のジャーナリストが自らの命を顧みず麻薬の元締めを追及する姿勢は頭が下がります。ただ、ドキュメンタリー・タッチで進むストーリーはそれなりに興味深いのですが、ほとんど思い入れが出来ません。単にスクリーンに映し出される出来事を見せられているだけの印象です。30代後半まで一介のジャーナリストだったヴェロニカ・ゲリンが何故、このような危険なネタに手を出したのか?その一番大事な部分がないがしろなので、イマイチ彼女に感情移入出来ませんでした。つまり、そこまでやるのかよ!と頑張るヴェロニカ・ゲリンの動機が理解出来ないのです。子供たちが麻薬に犯されている事実に目を背けられなかった・・・というのなら、それまでの人生でそのコトを知らなかったワケじゃないと思いますし・・・オイラの思い過ごしかもしれませんが、“何か”彼女を駆り立てたモノがあるのではないでしょうか?その辺りの突っ込みが甘く、またヴェロニカの家庭の描き方もまた中途半端で、四苦八苦している彼女がどうにも浮いて見えてしまいました。ケイト・ブランシェットは相変わらず素敵なのですが・・・。ところで、この実話はつい最近のコトだったんですねぇ。全く知りませんでした(⌒o⌒;A しかし、こういったストーリーを探してくるジェリー・ブラッカイマーは相変わらず目が利きますねぇ(笑)。余談ですが、カメオ出演している人物の刺青が笑えます。
デッカード
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