Deckard's Movie Diary
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2004年04月27日(火)  キル・ビル2/ラブ・ストーリー

小生はこう見えてもごく普通の常識人なので、ハチャメチャぶりが良かったと言っても自分の中で限界があったりします。というコトを踏まえて『キル・ビル2』です。元々1本だった映画を二つに分けてしまったのですから、今回はストーリーの途中からスタートです。っつーことは中だるみしているような部分から始まるので、ちょいとノロノロしているのは仕方がないでしょう。例によってサブカル系の引用が始まるのですが、いかんせんその描き方がアホらしくて・・・前作では“アホちゃいまんねん、パーでんねん”というところまで、ブっ飛んでいたので魅力的だったと思うのですが・・・もちろん、観るべきシーンもあります。トレーラー・シーンなんて大好きです!ただ、全編に渡ってやたらとセリフが多く、特にラストでの大甘でダラダラしたヤリトリには閉口しました。結局は『1』と『2』を通しての映画の質が別物になってしまったようです。なんだか後半はこじんまりとしちゃったね!っつー感じでしょうか。ドコゾで大連アリョノフスキーさんが「数年後『キル・ビル』という作品は1作目だけで語られるんじゃないかと思います。」と仰っていましたが、その通りのような気もします。例えば、メインで聞こえてくる音楽だけでもシンクロさせた方が良かったんじゃないでしょうか。結局は『2』は無理矢理“作品”にした印象が拭えません。というワケでこの『キル・ビル2』は買ってきたばかりの桃です(って、いきなり何を言い出すんでしょう)。桃は腐り始める直前が超美味です。前作は、まさに明日は腐る!という直前の味わいでした。でも、個人的には買ってきたばかりの桃のチビっと硬い甘さも嫌いじゃないです。だってオイラは常識人ですし(苦笑)。


2004年04月26日(月)  キャシャーン

宇多田ひかるの・・・と言われてしまうのは宿命でしょう。カメラマン出身の紀里谷和明初監督作『キャシャーン』です。公開前から話題になっている、クリップで養った映像感覚は悪くはないですが、別にどうってコトもありません(苦笑)。結局はストーリーですからね。だいたい、いまどき「すっげぇ〜映像だよ!コレ!」なんてモノがあるんですか?映像を生かすも殺すもストーリーが大きく関係(もちろん、脚本、演出、音楽等も密接に関係していますが・・・)してきます。つまり、男女が抱き合っている映像は腐るほど目にしますが、その魅力度が前後のストーリーによって大きく左右されるのと同じです。逆に言えば映像が陳腐だったとしてもストーリーがしっかりしていれば魅力的なモノになりますし、8ミリビデオの投稿映像から才能ある新人が登場してくるのも当然のコトなのです。さて、竜ノ子プロ(当時は今をときめくFFシリーズ有名な天野嘉孝氏も参加していたらしい)作品『キャシャーン』の実写版です。簡単に言ってしまえば長いし、くどいし、話がまとまっていません。おそらく初監督という気負いが空回りした部分があるのでしょう。アレもコレもと詰め込みすぎて全てが浅い印象です。登場人物それぞれの背景がほとんど描かれないので、思い入れも出来ません。後半になってようやく見えてくる物もあるのですが、そこからまた話が膨れすぎてしまって・・・とにかく語りが多く説教臭さだけが残ってしまいました。全体的な印象も芯が入ってないというか、居心地が悪いです。でも、少なくとも中野某なんぞよりは志の高さは感じられます。紀里谷和明・・・きっと真面目な人なんだろなぁ・・・ボソ。


2004年04月21日(水)  クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ

最近、完成度がだんだん下がって来ていると思われるシリーズですが、今回もまたその流れを止められなかったようです。観始めて「ひょっとしたら?」と思わせてくれたのですが、結局はキャラクターの勢いだけで突っ走ってしまい、脚本のツメの甘さは否めませんでした。前半で描かれる“***しまう”コトへの怖さや切なさがテーマなのかと思ったら、ストーリーが進むにつれ、そんなモノはドコかに行ってしまいました(苦笑)。十分面白くなる下地があっただけに残念です。


2004年04月20日(火)  ドラムライン ワイルド・レンジ

真に気持ちの良い青春映画でした。ストーリーは期待を裏切る事なくストレート一本!出だしから、そのスティックさばきのようにテンポ良く、要所要所での音楽タイミング等も効果的で最後まで飽きさせません。マッタリ〜となりがちな“好いた惚れた”もサクサクと、無駄な描写はほとんど無くラストのマーチング・バトルまで、あ!という間です。管楽器の耳から頭のてっぺんに抜ける高音も、身体に響く低音も、腰が自然と動き出すリズムも、その全てが気持ち良く、ドラム合戦の迫力も十分!エネルギッシュなパフォーマンスは一見の価値があります!何処かのCMがパクリそうなんだよなぁ(苦笑)。それにしても奨学金付きでスカウトとかするんですねぇ・・・全く知りませんでした。確かに、そんなに上手い連中が自然と集まるワケは無いわな(苦笑)。さすが!エンターテインメントの本場は違うわ。しかしEW&Fに「古〜い!」とブーイングが出て、「オールディーズは好きかぁ〜」で1970年ですか・・・トホホ(苦笑)。

どういうワケか今年2度目の試写会はケヴィン・コスナー監督・主演の西部劇『ワイルド・レンジ』です。まぁ、『13デイズ』以降は『スコーピオン』とか『コーリング』とかヤバい映画ばかり出ている(まぁ、その前にも多数ありますが・・・ボソ)ケヴィンですが、西部劇は『ワイアット・アープ』以来です。この人は『シルバラード』とか『ダンス・ウイズ・ウルヴス』とか西部劇は悪くないので(『ワイアット・アープ』はダラダラした映画でしたが・・・ボソ)、ちょびっと期待しながら、どうせダメだろう・・・という心模様で観に行ってきました(苦笑)。いやぁ!思ったより悪くなかったですよ。前半はテンポが悪く眠たくなりますし、ブレーキもアッチコッチでかかりますが、とてもリアルなウエスタンと言えるでしょう。鉄砲ぶっ放したって簡単に当たるモンじゃありませんし、よっぽど急所に命中しない限り一発で倒れて動かない、なんてコトもありゃしません(ショックで気を失うコトはあるでしょうが・・・)。舞台になる町の人間の行動にしても「ああ、本当はこんな感じなんだろうなぁ・・・」と納得出来ます。結局最後は「やっぱり、ケヴィン・コスナーの映画だったわ(苦笑)」となりますが、今回は大目にみます(苦笑)。クライマックスの銃撃戦は好き嫌いはあるでしょうが、十分見応えがあります。しかし、共演がロバート・デュバルにアネット・ベニングという正統派西部劇(内容は地味地味ですが・・・)なのに『スコーピオン』に続いてシネパトス公開ですか・・・いいのかぁ?それで〜(爆)。


2004年04月19日(月)  アップルシード

新手の映像技法を使ったアニメ映画です。簡単に言ってしまえば実際の人物の動きをCGに変換し、さらにセル・アニメーションで仕上げたってコトになるのでしょうか?まぁ。映像はそれなりに「ほほぉ〜」と思えるようなタッチも感じますし、予告編からちょいと気になっていたSEもハリウッド並みの完成度です。しかし、あのウォシャウスキー兄弟も言ってるように、大事なのはハードではなくソフトです。ファミコンを追い落とす為に幾多のゲームマシーンが挑戦しては消えていった歴史的事実。そのファミコンを駆使してゲーム界の巨人に上り詰めた任天堂をプレイステーションで追い落としたSCE!こう書くと、一見ハード本体で勝ち上がったようにも見えますが、それは大きな誤解です。要は良質なソフトを提供出来るかどうか!?つまり、SCEが『DQ』と『FF』の両ソフトを獲得した時点で勝敗はついていたワケです。『イノセンス』もそうでしたが、この映画も映像的には観るべきものはありますが、作品の出来としてはどうなんでしょう?決してストーリー自体がつまらないワケではありませんが、いかんせんキャラクターが平板で薄っぺらいことふぐ刺しの如し。『イノセンス』の深すぎて?意味不明になってしまった内面描写と、この映画の分かり易いストーリーが融合すれば多少は面白くなったんじゃないでしょうか?って、いいのかこんなマトメで(苦笑)。さてと『キャシャーン』はどうなんだろうなぁ・・・・ボソ。


2004年04月16日(金)  バーバー吉野

PFFのスカラシップ作品『バーバー吉野』。ナンだか自分の小学生の頃を思い出してしまいました(苦笑)。だって、この映画で描かれている“吉野刈り”とは、あの頃の“ぼっちゃん刈り”でしょう?古いしきたりの中に異端が紛れ込んで・・・というのは王道パターンのストーリーですが、それが“少年の髪型”というのに魅力を感じてしまい、予告編から気になっていました。前半は子供たちも瑞々しく、けっこう面白くて期待したんですが、物語が進むに連れ意外と平凡な展開なので、ちょっとガッカリ(苦笑)。たぶんに演出力の無さもあるでしょうが、あまりに予定調和なストーリーなので盛り上がりに欠けます。ところどころにオペラや合唱曲が使われているんですが、いまいちピンときませんでした。監督はこれが初監督の荻上直子。子供たちの間を生かした演出は悪くないだけに、今後に期待しましょう。


2004年04月15日(木)  真珠の耳飾の少女

オイラは美大出身ですが、この絵を描いたフェルメールという画家のコトは全く知りません。モグリの美大生と言われても仕方ないですな(自爆)。まぁ、美大なんて画家の名前なんか知らなくても、それなりに絵が上手けりゃ入れますからね(自爆)。でも、毎回も言ってますが、絵画って興味ないんですよ(⌒o⌒;A。海外の主要な美術館にはそれなりに顔を出してますが、いつも順路に従ってサクサクと歩いて終わりです(>_<)アチャ!おそらくフェルメールの名前も何度か耳にしているとは思うのですが、興味がないから忘れてしまうんでしょう。まぁ、先天的な絵画音痴なので許して下さいm(_ _)m。で、この作品です。とても静かな作品で、ストーリーに大して起伏はありません。“心まで描くの・・・。”というキャッチでしたが、それもピンと来ませんでした。“真珠の耳飾りの少女”のモデルになる使用人・グリートに色彩的才能があり、それがフェルメールに影響を与える・・・という部分もピンと来ませんでした。それでも、この映画にはとても良い印象を持ちました。起伏が無い分、それぞれの役者の表情で作品を支えているのですが、演出(これが初監督作のピーター・ウェーバー)が粘り強く、実に魅力的な表情を引き出しています。グリートを演じるスカーレット・ヨハンセンの微熱っぷりにも見惚れていましたが、ただ一人、強烈な印象を残すフェルメールの妻役のエッシィ・デイビスも中々のモノです。また、美術とライティングが本当に素晴らしい!美術はグリーナウェイ組のベン・ヴァン・オズ。最近作は『アドルフの画集』。撮影のエドゥアルド・セラはルコント作品で知られ、最近作は『奇蹟の輝き』『アンブレイカブル』『薔薇の眠り』です。撮影に関してはコダックとフジの両フィルムを使用したらしく、トーンが変わる部分がちょっと気になりますが、許せる範囲です。地味ですが、マッタリと有意義な時間が過ごせる作品になってるんじゃないでしょうか。


2004年04月14日(水)  ぼくは怖くない

ナンだか『みつばちのささやき』の今風アレンジ・・・みたいな趣きでした。コレはコレで悪くない設定ですし興味深いとも思うのですが、ところどころで描こうとしているテーマから逸脱します(苦笑)。無駄な描写が多すぎて、まるで“酒酔い”一歩手前の“酒気帯び運転”のようです。まぁ、そのフラフラっぷりも決して不快ではないんですけどね(苦笑)・・・イタリア人気質というか、何処かのんびりしています。以前、イタリアに行ったときのコトです。ドコゾの観光地で友人と二人で歩いていたら、前方から男が駆けてくるではありませんか・・・それは全速力というより、タッタッタッタ!っつー感じの・・・どこか呆けているような(真剣さが感じられないという意味です)走りでした。すると男は友人の前で自然と減速し、友人が「え?」と面食らっていると、サッ!っと友人のショルダーバッグに手をかけ、あれよっとぉ〜!引ったくり、んでもって、来た時と同じようにタッタッタッタ!っと私達の後方に逃げて去ってしまったのです。そのあまりにトボケタ手際に、二人とも追うのも忘れてポカ〜ンと口を開けてしまいました。まぁ、これもそんな香りのする映画です(って、わかんねぇ〜(苦笑))。監督は『エーゲ海の天使』でアカデミー外国映画賞を受賞したガブリエーレ・サルヴァートスでした。


2004年04月12日(月)  ディボース・ショウ

コーエン兄弟の新作『ディボース・ショウ』です。なんだかどうってコトないコメディですなぁ。それなりに面白いですが、別にねぇ(苦笑)。ジョージ・クルーニーは『オー!ブラザー』の時は鼻についた演技にしか見えなかったんですが、今回はとても魅力的です。同じくゼタ・ジョーンズもゴージャス感タップリで嵌っているんですが、ストーリーやキャラが平板で面白味に欠けます。英語に堪能な友人が「難しいセリフが多くて、さらにその訳が酷すぎる」と言ってましたが、全く英語の出来ないオイラでもセリフの内容が噛みあってないような、妙な間の悪さは感じました。しかし、コーエン兄弟とは思えないあまりに素直な作品・・・今までの自分達の作品を目を開きっぱなしにさせられて延々と見せられでもしたんでしょうか(苦笑)。解せないなぁ・・・・ボソ。

さて、ここでちょっと仕入れたネタです。まずキャサリン・ゼタ・ジョーンズですが、旦那のマイケル・ダグラスとの婚前契約ですが、離婚時には280万ドル(日本円で幾らなの?)に結婚年数を掛け算した慰謝料(だからぁ幾らなんだよ!)をダグラス側が払うという内容だそうです。でもって、ビックリしたのですが、この婚前契約書ですが、江戸時代には日本でも当たり前のコトだったらしいんですよ。当時は田畑や山林が対象だったようですけどね。それが明治時代になり法律が整うと同時に影が薄くなったようです。ただ、現在でも『夫婦財産契約』という婚姻届を出す前にお互いの財産関係を決める形があるのですが、この登記をしたカップルは2000年はゼロ、01年と02年で8件だそうです。なんだか、これから増えそうだなぁ・・・ボソ。


2004年04月09日(金)  Jam Films 2

前作が評判良かった(ホントかよ!)らしく、その第二弾で『Jam Films 2』。今回は一話30分で4人の共作です。
『机上の空論』・・・小島淳二(デジタル編集エディター&ディレクター)
『CLEAN ROOM』・・・高橋栄樹(クリップ・ディレクター)
『HOOPS MEN SOUL』・・・井上秀憲(放送作家&クリップ・ディレクター)
『FASTENER』・・・丹下鉱希(映像作家)
ラストの『FASTENER』だけがなんとか観られましたが、信じられないくらいの酷い代物でした。金を取って見せるようなモンじゃないでしょ。マジでこんなモノを海外(釜山国際招待作品)に出さないで下さいよ!全てはプロデューサーの河井信哉って御仁がアホだからなんでしょうけど、恥ずかしくないのかなぁ・・・。出ている役者も可愛そうだよなぁ・・・しかし、上映するまで誰も言わないんですかねぇ・・・「つまんねぇ〜!」ってさ!


2004年04月08日(木)  卒業の朝

一体このタイトルはなんなんだ?っつーコトで『卒業の朝』です。これはそんじょそこらの学園モノでは御座いません。そりゃ、マイケル・ホフマンの演出にメリハリが無く、ほとんどケビン・クラインの演技で持たせている映画ですが、しか〜し!その脚本は素晴らしく、先生と生徒を扱ったストーリーとしてはかなりの傑作と言っても過言ではないでしょう。あ、映画の出来じゃなくて、ストーリーの展開の仕方ですよ。だからもったいない!もったいなくて悔しいです(苦笑)。「こうなるんだろうなぁ・・・・」と観ていたら、良い意味で最後まで裏切られました。人の生き方は人の数だけあるものです。何が正しくて、何が正しくないのか?それは誰にも分かりません。自分の人生ですから、自分の信じる道を行くだけですが、それも中々出来ないモノです。ケビン・クラインの最後のセリフが忘れられません。何を書いてもネタバレになる可能性があって、上手いコト書けませんわ(苦笑)。それにしても、何で『卒業の朝』なんだ?原作の『宮殿泥棒』ってのもわかんないなぁ・・・ボソ。


2004年04月05日(月)  テキサス・チェーンソー

名作『悪魔のいけにえ』を、あのマイケル・ベイがプロデュースした『テキサス・チェーンソー』。簡単に言えば「マイケル・ベイが監督しなくて良かったんじゃないの!」です(笑)。最近のホラー映画の方程式に則った普通の娯楽映画でした。可も無く不可も無く。まぁ、いいんじゃないですか。しかし、ホラー映画なんだから、いくらでも好きなように作れるでしょうに!こんな風に小さくまとめて作り手は面白いんですかね?わかんねぇ〜。


2004年04月01日(木)  殺人の追憶 東京原発 かまち

『殺人の追憶』は韓国アカデミー賞の作品、監督、主演、照明の4部門受賞で『シュリ』『JSA』を配給したシネ・カノンが「韓国映画の最高傑作!」と宣伝している作品です。監督は『ほえる犬は噛まない』で妙なほのぼのタッチが印象的だったポン・ジュノ。さすがに悪い映画ではありませんでした。でも、長過ぎです。実際に韓国で起きた連続殺人事件を下敷きにした人間ドラマなんですが、監督の力量がいまいち追いつかなかったような印象を受けました。阪本順治がこの映画のチラシで「黒澤明の孫が、日本で生まれず、韓国で生まれた。まいった。」と言ってますが、そりゃ、幾らなんでも誉めすぎだろ!ってなモンです(苦笑)。逆に言えばポン・ジュノにあの頃の黒澤のようなバイタリティがあればもっとグイグイと観客を強引に引っ張って、凄い傑作になっていたような気もします。実際にはポン・ジュノの演出はアッチコッチで無駄に長く、流れが途切れるというか・・・『ほえる〜』では良かったこの監督が元来持っているセンスの部分が今回はちょっと邪魔したようです。それでも、長編2作目でこの作品!並外れた力を持っているのは間違いありません。将来、さらに素晴らしい監督になる可能性は十分です。情けないですが、最近の邦画に比べたら圧倒的に面白いですしね(´―`)┌ ヤレヤレ…。というワケで、面白くない!ってことはありませんが、傑作と呼ぶにはちょっと・・・。惜しい!マジで惜しい!観て損はありませんが・・・ボソ。

これは面白いです!『卓球温泉』の山川元監督・脚本『東京原発』。テンポ良し、役者良し、ボケ良し、ツッコミ良し、オマケにこの国の原発政策のデタラメさも分かり易く描かれていて邦画では久々のセンター前クリーンヒットです。話の進む方向も好感持てますし、ラストの描き方も申し分ないです。それなのに、何故に柵越え(ホームランを表す野球アナウンサー用語)出来なかったのか?都庁外でのストーリー部分の詰めが甘くてヌルい印象が拭えません。それゆえ、全体的に安っぽくなってしまいました。大手が金をかけてキチンと作っていれば左中間真っ二つ(劇的な2塁打を表す野球アナウンサー用語)位の出来にはなっていたでしょう。悔やまれます。フラットな画作りも安っぽいし・・・東京フィルム・コミッションのお陰で本物の都庁内会議室や都庁前で撮影されているにもかかわらず、それが本物っぽく見えないしなぁ(苦笑)。まぁ、この内容では大手では無理でしょうけどね(苦笑)。それにしても、原作があるものだとばかり思っていたのですが、ストーリーは山川監督のオリジナルだったんですねぇ。

初めてその作品群を見た時「このデッサン、この色使い、この筆の勢い・・・凄いかも・・・」という印象を持った山田かまち。そして若干17歳でこの世を去った山田かまち。『かまち』はその彼をモチーフにした映画です。で、この“モチーフにした”というのがクセモノでした(苦笑)。“山田かまち”を現代の若者とクロスさせる狙いは悪くないのですが、その試みは実を結ばなかったようです。時間を越えた二つのストーリーが全くリンクしていません。自転車で疾走する映像に山田かまちの詩がストレートに朗読される様は気持ち良く、「おお、これはいいかも!」と感じさせてくれたファーストシーンだったのですが、そこで終りでした(早いよ!)。監督は成人映画出身で、これまで大人の濃いぃ〜人間模様、男と女の濃いぃ〜関係を描いて秀作(『鬼火』『恋極道』『皆月』)を発表してきた望月六郎。やはり望月に“青春映画”は無理だったようです(苦笑)。なんともケッタイな作品になってしまいました!Σ( ̄□ ̄;)。底の浅い説教映画とも言えますが・・・とにかく、なんじゃこりゃ!の出来上がりです(笑)。それにしてもメインキャストを務めるLeadの4人ですが、しょーもないですなぁ・・・。上映中、女子高生二人組が携帯電話でスクリーンに向けてやたら写真撮ってましたわ。


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