Deckard's Movie Diary
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2003年12月26日(金)  コジラ×モスラ×メカゴジラ

『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ/東京SOS』は昨年の『ゴジラ×メカゴジラ』のストーリーが続いており2本で完結ということらしいです。昨年作はあまりにトホホな内容だったんですが、今回は話の展開が上手くストーリー自体は悪くないです。しかし、この作品のツボが何処にあるのか全く分かりません。子供とモスラの関係をもう少しじっくり描いて(子供が例のアイテムにもっと興味を持つシーンを入れるとか)、メカゴジラの内面にもっと踏み込めば(伏線を張るとか)面白くなったと思うのですが・・・。さらに、全体的に演出があまりにのんべんだらりとしているので全く盛り上がりません。赤面するようなあざとい演技、例えば窓外に居るモスラなんて誰だって窓を開けた瞬間に気付くだろうに、わざわざ探す演技をさせるとこなんて、もう情けなくなります。(笑)もう少し真面目に作りましょうよ〜!そりゃ、ハム太郎と併映ってのはオカシイと思いますよ!でも、そこまでレベル下げなくたって・・・(´―`)┌ ヤレヤレ…


2003年12月25日(木)  フル・フロンタル

う〜ん、こんなの作ってるとソダバーグは再び暗いトンネルに入っちゃうんじゃないかなぁ・・・とマジで心配してしまいます。ハリウッドの内幕モノですが、手垢のついたストーリー展開にウンザリ!結局は何がやりたっかったのかサッパリです。作り手が勝手に喜んでいるマスターベーション映画!朝まで舐めてれば!って奴です。ソダバーグは今一度キチンとした映画に戻った方が宜しいんじゃないでしょうか!『エリン・ブロコビッチ』『トラフィック』がまぐれだったワケじゃないでしょうに!『オーシャンズ・イレブン』『ソラリス』そして今作・・・不安だなぁ(笑)


2003年12月24日(水)  アイデン&ティティ

みうらじゅんの原作コミックの映画化『アイデン&ティティ』。こりゃ、かなり微妙な映画でした(苦笑)。個人的にはこの手の素材に甘い自分なんで、簡単にダメ!とは言えないんです♪〜( ̄ε ̄;)。まぁ、全然ダメか?と問われればそうでもないんですけど、やっぱダメかなぁ・・・(歯切れ悪ぅ〜(苦笑))。確かに“いかすバンド天国”が起こした第二次バンド・ブームの連中とは世代がズれているんで、ちょっと入り込めない部分もありましたが、それよりも何よりも細かい部分の美術(携帯を使っている人が居たりするのもいい加減ですし、セットの安っぽさもかなり閉口しました)や人物の背景(麻生久美子が絵の勉強をしている雰囲気が全くない)等、曖昧な部分が多くて参りました。この麻生久美子の描き方もちょっと意味不明です。事情通によりますと“ミューズ”というより“菩薩”である!というコトで、なるほど!それなら合点が行くわ!って、行くかい〜(笑)。確かにそう考えると腑にも落ちますが、それならそういう演出をして欲しいです。彼女が住んでる場所もなぁ・・・あんなんでイイのぉ?さらには予告編にも登場していた謎の男の描き方もなぁ・・・結局は田口トモロヲの演出が弱いんです。宮藤官九郎の脚本でどうにか形になってる!というような作品でした。だいたい最後の語りも長過ぎ!ロックを語ってどーすんだ!っつーの。それにしてもヌルい!もっと面白くなるのになぁ・・・ボソ


2003年12月22日(月)  MUSA/武士

韓国では210万人が泣いた?とかいう『MUSA/武士』。悪くはないんですけどねぇ・・・そんなに良くもないです(苦笑)。出だしは好調でその後の期待が高まるんですが、お姫様が登場してからというもの、巧みだった化粧がどんどん剥がれていく感じです。別にチャン・ツィイーが悪い!とか言ってるんじゃないですよ(苦笑)。物語というか設定というか、いまいち凝縮しておらず散漫な印象が拭えません。観賞中、何度も欠伸をしてしまいました(>_<)アチャ!数多居る登場人物の描き方もサラ〜っとなぞるだけでかなりおざなりです。誰一人として思い入れ出来る魅力的な人物は居ません。それぞれの関係も良く分かりませんし・・・。言い換えると30分×5話で完結のTVドラマを一度に観た感じでしょうか。オンエアでCMが入るとけっこう楽しめるかもしれませんが・・・。


2003年12月19日(金)  息子のまなざし ヴァイブレータ

全編手持ちカメラ、あげくに70%が被写体の後ろから撮っているので鬱陶しいことこの上なし!また、被写体の全身が写っているカットは数点しかなく、ほとんどがバストアップ以上のサイズで観ていて息苦しくなります。当然、気持ち悪くなる方もいらっしゃったようで、上映中に立ち去った人が2名ほどいました。その撮影方法に固執している理由は、おそらく主人公の心情の表現だったり、ラスト近辺に観られるシーンの伏線だと思われるのですが、どうなんでしょう・・・個人的にはやり過ぎだと感じました。重い話を淡々と描写した演出には確かなモノを感じますが、どうせならもっと堂々と描いて欲しかったです。ここまで手持ちカメラにこだわらなくても描けたと思うのですが・・・。この手の映画は苦手です!

『ヴァイブレータ』の脚本家・荒井晴彦は70年代に日活ロマンポルノとして上映された『赤い髪の女』(神代辰巳監督 石橋蓮司/宮下順子)という傑作を書いているのですが、今作はその現代版のような趣があります。トラック運転手とその運転手に拾われた女。前作は彼のアパートに住み着いた女でしたが(違ったっけ?)、今回はトラックでのロード・ムービーの形になってます。今作は原作があるのですが、映画の中身は荒井晴彦節が炸裂!特に二人が出会う最初のシーンは秀逸です。また、垢抜けている音楽がドロドロしそうな雰囲気をうま〜くカモフラージュしており、全編を通してちょっと洒落た大人の映像私小説のような味わいなっています。それでも荒井晴彦ですからザワザワしてますが・・・。主演の二人、寺島しのぶは何処か当時の宮下順子を思わせる色香を漂わせておりウェットな存在感タップリです。大森南朋はちょっとセリフ回しが気になりましたが(あまりに饒舌なので・・・)、それもストーリー展開上必要だと考えればアレでいいのかもしれません。監督は『不貞の季節』がトホホな出来だった廣木隆一ですが、今回は嵌ったようです。“あたし、あなたにさわりたい。”いいコピーじゃないですかぁ!しっかしキネマ旬報が好きそうな映画だなぁ・・・・ボソ。


2003年12月18日(木)  ジョゼと虎と魚たち ファインディング・ニモ

『ジョゼと虎と魚たち』です。犬童一心監督の前作『金髪の草原』が自分の苦手としている雰囲気の作品だった為、あまり期待していなかったところへ、ほとんど映画の趣味が合わない古い友人から「本年度ベスト!」なんて聞かされたモノだから、余計にテンション低めで観に行ったのですが・・・これは良い映画でした(苦笑!っつーか、文章なげぇ〜!)。自分の中でも本年度ベストかもしれません。脚本の渡辺あやという人は岩井俊二のウェブサイトから登場した主婦脚本家だそうですが、初の作品で素晴らしい才気を発揮したものです。同情と愛情のはき違いになってしまいそうな設定ですが、ごく普通の切ない恋愛映画になっているところがとても良かったです。妻夫木演じる“恒夫”は田舎のボンボン風で、その日をそれなりに楽しんで生きているどこにでもいる大学生。池脇演じる“ジョゼ”は図太いオバハンの雰囲気を感じさせながら、ガラスの繊細さを併せ持つ。この二人のキャラクターがとても魅力的で、ナンだか応援したくなってしまいました(苦笑)


<以下、内容に触れています。未見の方は読まないで下さい!>

この作品を観た友人二人が「ラスト近辺、ジョゼの家で別れた後に元彼女と即会っているのが許せない!」と言っていたのですが、オイラはそこが(この脚本は)上手い!と思ったところなのです。恒夫はジョゼと別れ、合流した元彼女と道を歩いてると、ジョゼとの別れがやりきれなくなり泣き崩れてしまいます。驚いた元彼女は「どうしたの?」と聞いてその場面は終わります。オイラが思うに、ジョゼは恒夫が初めて好きになった女性なんじゃないでしょうか。それまで恒夫は女性を本気で好きになったコトはなかったんです。元彼女にしたって、セフレから「ヤレるかもよ♪」とか言われて嬉しがったりしている程度の相手であり、もちろん「いいなぁ・・・」とは思っていてもそれは“愛”ではありません。それまで恒夫が女性に対して抱いていた思いは「それなりに可愛くて、それなりに性格が良ければいいや」という感じだったんじゃないでしょうか。それがジョゼと知り合って成り行きで接している内に最初はナンとも思っていなかったのに、だんだんと自分の心が彼女に惹かれているコトを知るわけです。それは彼が生まれて初めて経験する(人を愛するという)感情。そしてその気になるのですが、結局は理想と現実の間でジョゼから逃げてしまう・・・だからこそ自分の情けなさもあり号泣してしまったのではないでしょうか。で、その場所に元彼女が一緒に居るということは元彼女に対してそういう気持ち(本気で好き)が全くないことの裏返しなのです。おそらく元彼女はあの後に恒夫に「まだ彼女のコトが好きなんでしょ!私と別れた時には泣いたりしてないじゃない!」とか責めるでしょう。だから、あの二人は長続きしないでしょうね(苦笑)。つまり別格なんですよ!恒夫にとってジョゼはね!逆に恒夫が一人で泣き崩れたとしましょう。で、おそらく元彼女や友人と楽しそうな恒夫のワンシーンが挿入されるでしょう。その終わり方だと、どうでしょう・・・恒夫のジョゼに対する気持ちが薄く感じられませんか?又は、一人で泣き崩れ、そのままジョゼの横顔で終わる。これは嘘臭くないですか?まぁ、この辺の好みは人それぞれでしょうけど、個人的には最良のエンディングだと思いました。そして今後、恒夫の前にジョゼのような女性は決して出現しないし、恒夫はジョゼを一生忘れることは出来ないでしょう。それは恒夫もジョゼもこの恋愛で成長してしまったから・・・良い意味でもズルイ意味でも。それが“大人”になるってコトだったりするから切ないのです。過ぎた季節は二度と巡っては来ません。人と出会い、人を好きになり、二人だけの時を過ごし、楽しい夢を見る・・・それは全ての人が享受出来る甘い物語。例え苦い後味が残ったとしても、血となり肉となっていくモノなのです。しかし、そういう相手に巡り合えない人も多い中、恒夫もジョゼも幸せなのかもしれません。それはラストのジョゼの横顔が語っているんじゃないでしょうか。


今日『ファインディング・ニモ』を観て思ったのですが、自分にとってはピクサー作品は『トイ・ストーリー』で終わっているのかもしれません(>_<)アチャ!あまりにも健全なキャラクター達の滑らかな動きや饒舌な表情が体内時計と合わないようで、観始めると直ぐに睡魔に誘われてしまいます(苦笑)。元々ディズニー・アニメにあまり魅力を感じない自分にはピクサー作品にも同じような匂いを感じて来ているのかもしれません。『モンスターズ・インク』ではほとんど寝てしまったのですが、今回はウツラウツラ程度では済みました(自爆)。だからと言ってこの映画が退屈か?と言ったらそんなコトはありません!(矛盾してるなぁ・・・ボソ)作品の完成度はため息が出るほど高く、特にCG技術は驚嘆に値します。ストーリーは相変わらず細部までさらに練られていて素晴らしく、予告編をさんざん観ていたとしても十分面白いです。それでも個人的には何も感じるモノは無かったです。涙腺なんてピクリともしませんでした(⌒o⌒;A個人的には来年の作品のが魅力的に感じましたが、これからさんざん予告を見せられると、観る頃にはまた観たような気分になっちゃってんだろうなぁ・・・ボソ。


2003年12月17日(水)  1980 女はみんな生きている

『1980』。ケラリーノ・サンドロヴィッチとか言うケッタイな名前の監督さんなんですが、彼は今や演劇界をリードする存在らしいです。まぁ、早い話が元“有頂天”のケラのコトなんですけどね。というワケで第1回監督作品がコレ!全体的にテンポがゆるゆるで、ところどころすっげぇ拙くて学生映画と見間違えるようなお粗末なシーンもありますが、単純にケラケラ笑えます。1980年の年末が舞台なんですが、小道具やセット、抜けに見えるポスター等、当時を知る人間には嬉しいコネタが満載。登場人物はそれぞれ味があり、ストーリーも飽きさせません(テンポはゆるゆるで、お粗末なシーンはしょーもないですが(笑))。ただ、観終わって「だから、何?」という感じもしないでもありません。アナログからデジタルへ、そしてやがて来る世紀末。過渡期を向かえる人々の落ち着かない心情・・・それなりに上手いセリフもあるので、もっと凝縮されていたら秀作になったような気もします(お粗末なシーンは除いてね(しつこい!))。予告編でも聞かれた及川光博の♪セルロイドの夜〜♪って、自作自演なんですねぇ。いい歌じゃん(苦笑)

『女はみんな生きている』。とにかくストーリーが上手く、感心してしまうくらい良くまとまっています。娼婦の過去の話が長すぎて(長すぎるくせに分かり辛い!)、そのワリには最初のところで今現在の主婦の立場の描写が無いのは不親切ですが、まぁ、テンポ良くサクサクと進むので観ている方は強引に引きずり込まれ、それは決して悪い気分でもないです。そして、この映画はバイタリティ溢れる女性が大股で闊歩するような颯爽とした見事なラストシーンを迎えます。男の間抜け具合も全編に塗されたコメディ風味も嫌味が無く、ここまで上手く作られると降参するしかないでしょう(笑)。で、気になるのは、やはり娼婦の過去の重さであり、あそこまで複雑にする引っ張る必要があったのか?個人的には・・・?でした。


2003年12月15日(月)  イン・アメリカ/三つの小さな願いごと

『マイ・レフトフット』のジム・シェリダン監督最新作だそうです。アイルランドから夢を求めてアメリカに移住してきた、とある家族の再生の物語。アメリカを代表する二つのアイテムも効果的に配してありますし悪くはないのですが・・・、ちょっと難しい所がある作品です。この家族に大きな影を落としている部分の描写が個人的には大げさ過ぎて、ちょっと感情移入し辛いんですよ。人によっては問題ないんでしょうが・・・(⌒o⌒;A。また、とある人物と出会うまでの思わせぶりな描き方もワザとらしく感じてしまいました。まぁ、そんなワケで全編を通して簡単に入り込めない空気が漂ってるなぁ・・・と感じていたら、この作品はジム・シェリダンの半自伝的な話らしく、彼の二人の娘も脚本に名を連ねており、そういう意味で思い入れが半端ではなかったのかもしれません。しかし!子役の姉妹(実際にも姉妹)がやたら可愛い上に芝居が上手いから、やられちゃいますよ(って、なんだそれ!)


2003年12月10日(水)  美しい夏キリシマ

『美しい夏キリシマ』は黒木和雄監督の“戦争レクイエム3部作”の2本目にあたります。1本目は原爆投下前日の長崎を舞台にした『TOMORROW/明日』で、来夏公開の3本目『父と暮せば』は原爆投下後の広島が舞台だそうです。今作は終戦直前、連合軍の九州上陸目標になっていたと思われる宮崎・霧島近辺を舞台に、例によって戦争の波に揉まれる庶民の日常を描いています。いつもながらの真摯な目線で物事を捉えようとする黒木の演出は登場人物(子供から老人まで)の全てに細やかな配慮がなされ、その丁寧な仕事ぶりは賞賛に値します。何よりも驚かされるのは参加した役者の誰もがすんなりとこの物語に溶けこんでいるコトです。言い方を変えれば全ての登場人物が存在感に溢れています。原田芳雄や左時枝、宮下順子、石田えり、香川照之等の芸達者陣は言うまでも無く、ともすればクドくなりがちな寺島進も軽やかですし、中島ひろ子や小田エリカもしっかりと魅せてくれます。決して上手いとは言えない牧瀬里穂まで魅力的な印象を残します。これは明らかに黒木和雄の演出力によるもので、以前次郎長親分も書いていた「役者を演出出来る監督がいない」と言われる邦画界にあって数少ない力量のある監督の一人だと言えます。この作品でデビューした柄本祐も父親同様の妙な雰囲気を醸し出しており十分合格点でした。田村正毅が捉えた映像も素晴らしく、美しい日本の田舎の原風景を感じることが出来ます。観て損は無い作品ですが、さりとて、お薦め作品か!と言われると・・・・・やはり、観て損は無い作品です。としか言いようがありません(地味ですし、岩波ですし・・・ボソ)。しかし!橋を封鎖するような映画だけでなく、プロフェショナルが精魂込めてしっかりと作り上げた日本映画もたまにはいいもんです。因みに宮崎・霧島は黒木本人の故郷であり、自身の戦争体験が反映されているそうです。

話は変わりますが『底抜け!Xファイル♪』に“七色の鳥”という童話がアップされています。おそらく・・・・まぁ、止めときましょう。知っている人は知っていますから!本人が一番分かっている事でしょう。


2003年12月09日(火)  ケイティ

全くと言って内容を把握しておらず、ほとんどチラシ写真の印象しかなかったのですが、観てきちゃいました。始まって暫くこの映画の方向性が全く見えて来ず、心理的な恐怖もあり「一体、何処に向かってるんだぁ?」と思っていたら、はは〜ん・・・納得!つまり、元は同じジャガイモでも調理の仕方に寄って幾千もの味わいがあるように、この作品もまた調理の仕方が上手い!手垢のついたモノでも描き方によっちゃあ、まだまだイケル!って奴です。で、スタッフを見たら、監督はこれがデビュー作になる『トラフィック』でアカデミー脚本&脚色賞を受賞したスティーブン・ギャガン。制作に『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー作品賞を受賞したエドワード・ズウィック(またかよ)という顔ぶれ。道理でねぇ・・・。ヒロインは隣の映画館でコリン・ファレルに言い寄られていたフィーヴィー・ケイツの妹みたいなケイティ・ホルムズ(笑)。余談ですが、エンブリー役のチャーリー・ハナムってけっこうイケメンじゃないんですか?


2003年12月08日(月)  ラスト・サムライ

予告編を初めて観た時に「お、これは・・・」と思わせてくれる作品はそうは多くありません。今作はまさにそういう1本でした。その画面から並々ならぬ緊張感を発していたトム・クルーズ最新作『ラスト・サムライ』。監督はエドワード・ズウィック。デンゼル・ワシントンに初のオスカーをもたらした『グローリー』は極上の陶酔感に溢れた傑作でしたが、最近作の『戦火の勇気』『マーシャル・ロー』ではちょっと失速気味でした。今作は『グローリー』に近い雰囲気が感じられたので期待していたのですが、その思いは裏切られるコトはありませんでした。この作品は紛れも無く必見に値する映画です。“最後の武士”は全てが美しく、滅びゆく姿はまさに凛と咲いた花が散り行く潔い印象を観ている者に与えてくれます。このストーリーを「美化し過ぎ!」というコメントが東海岸の方からちらほら聞こえてきますが、それはこの映画の本質を全く理解していません。美しいから成り立つストーリーであり、何より驚かされたのはハリウッドの制作者達が武士道というモノをここまで理解していたのか!という事実です。もちろん、トム・クルーズ扮するオールグレン大尉の背景が脚本に厚みを加えているのは言うまでもありません。サムライ達の一挙手一投足にほとんど非の打ち所がありませんし、演じる渡辺謙、真田、こゆき、子役等への演出も的確です。特に渡辺謙は物語が進むに連れて、その存在感を存分に知らしめます。邦画だけに出演していたらこういう状況があったのかどうか・・・。また合戦シーンも凄まじいテンションと迫力に溢れ、素晴らしいモノに仕上がっています。欠点が無いわけではありません。が、そんなコトは気になりませんし、十分許せる範囲です。ハリウッド映画なのに、観終わった後、自分が日本人に生まれたコトを誇りに思えてしまう稀有な作品。嬉しくもあり、はがゆくもあり・・・ボソ(全編に渡ってちょいと褒め過ぎかも・・・(苦笑))


2003年12月05日(金)  幸福の鐘

前作『ドライブ』がトホホだったSABUの新作『幸福の鐘』は2003年ベルリン映画祭最優秀アジア映画賞受賞だそうです。今までは疾走感で映画を作ってきたSABUですが、今回は徒歩です(笑)。もちろん、それは『弾丸ランナー』とは対をなした狙いであるのは間違いなく、そしてその狙いは成功していた!と小生は判断しました(妙な言い方だわさ(苦笑))。途中、何度も睡魔に襲われましたが・・・(苦笑)。この映画には北野武監督に通じるモノがあります。つまり、素人だったからTRY出来た作品であり、ある意味、愚直で古臭い作風とも言えます。その素人臭さは、良く言えばイラン映画などの味わいに似ているかもしれません。で、それが苦手な方もいらっしゃるでしょう。いずれにせよSABU監督の個性が良く出ている映画で、細かいすれ違いやとぼけた味わい、不器用なりに少しでも深く“幸せ”を描こうとしている優しさに好印象を持ちました。ラストの寺島進がいいんですよ。優しいカタルシスの発散とでも言いましょうか・・・。っつーか、このラストが無かったら全然ダメだったかもぉ・・・・ボソ。


2003年12月04日(木)  river

『river』は前作『マンホール』が評判良かったらしい北海道で活躍する劇作家・鈴井貴之の新作です。始まって30分は良かったんですが、途中から話がどんどん複雑になっていき、最後には破綻してしまいます。破綻はちょっと言い過ぎですね。破綻というよりは「そりゃ、幾らなんでも強引過ぎるだろ!」という決着の付け方です。ただ、一見上手く着地しているように見えるのは、この監督の力量とも言えるかも知れません。物語の展開の仕方、ところどころに入る幹とは関係ないシーン、ラストの謎の残し方等、惹かれる部分もありますが、ここまで話しを広げてしまうと何が言いたいのかわからなくなってしまいます。このストーリーだったら2時間は越えないと描き切れないでしょう。まぁ、その前にストーリーが動き出すきっかけの話がお粗末過ぎますが・・・ボソ。


2003年12月03日(水)  エヴァとステファンとすてきな仲間

『エヴァとステファンとすてきな仲間』はデビュー作『ショー・ミー・ラブ』で、回りと馴染めない少女の真情を真っ直ぐな演出で捉え、清清しい印象を残したルーカス・ムーディソンの2作目です。『ショー・ミー・ラブ』が好きな雰囲気だったんで、観に行ったんですが、コレは拾いモノでした。かなり好みです。っつーか、最高評価です。何が良いって、この監督の人間を見つめる眼差しが優しくて、途中からジワジワきてたんですが、最後にボロッっと泣いてしまいました(⌒o⌒;A 舞台は1975年フラワー・ムーヴメント全盛期。理想郷を求めた若者達(って、言っても歳くってます)がひとつの方向として見出していたコミューン。まぁ、簡単に言ってしまえばひとつ屋根の下での共同生活。そこへ、夫に愛想を尽かし転がり込んで来た母親と娘(エヴァ)と息子(ステファン)。どうしようもなくダメで、グズで、いい加減で、自分勝手のくせに甘えん坊。大人も子供も一緒になって滑稽なほど人間臭い!登場人物それぞれへの演出は的確で脚本も素晴らしいです。特に70年代の話だから良いってワケじゃないですよ。欠点は多少散漫になったところでしょうか・・・まぁ、これだけの人物を登場させて、それぞれのキャラをキチンと描いて、そりゃまとめるのは至難の業ですわ!アルトマンならいざ知らず(笑)、その辺りはまだまだ2作目ですからね。大目に見ます。これがイギリス映画だとシンミリ終わって、フランス映画だとマッタリ終わって、イタリア映画だともっとノー天気になるんでしょうが、スウェーデン映画はウェット風味の大らかって印象です(わかんねぇ〜!)。それにしてもこの邦題はナンとかして欲しいなぁ・・・原題の『TOGETHER』でいいじゃないの!あ、ひとつだけ言っときますが、ボカシも多いですぜい!さすが、スウェーデン映画!(って、一体いつの時代の話だよ!スンマソン(自爆))


2003年12月01日(月)  飛ぶ教室 木更津キャッツアイ/日本シリーズ

12月の映画の日は2本です。まずはガーデンシネマで『飛ぶ教室』。ドイツの国民的作家エーリエ・ケストナーの歴史に残る名作の映画化らしいです。このケストナーという人はビリー・ワイルダーと一緒に仕事をしたコトもあるそうです。で、この映画ですが・・・まぁ、悪くないんですが、そんなに良くもないです(苦笑)。前半戦はちょっとダルくて「コレって大丈夫かなぁ?」という思いが沸々と・・・中盤からそれなりに面白くなってくるのですが、中々トップギアに入らない!で、ラストへ!おお!やっと来たかぁ!と思っていると・・・またまたドカ〜ンとは盛り上がらない(爆)。まぁ、そんな感じです。それでもつまらない映画ではないですし、そこそこ面白いです。べク先生は何故にそんなに怒るかなぁ・・・とか、ありますが、トレーシー・ハイドの妹みたいなモナも可愛いですし、マーク・レスターのお兄さんみたいなヨナタンもイケテマス。ウリーはメッチャ可愛いですしね(笑)。って、そんなコトばかりかよ!まぁ、暇な人はどうぞ!小学生との親子連れが多かったですねぇ・・・・。

続きまして、11月の映画の日には撤退を余儀なくされた『木更津キャッツアイ』に再突入です!いやぁ、面白かったです!相変わらずの異常なテンションでかなり疲れましたが、映画を観て感じた久しぶりの振りの心地良い疲れでした(苦笑)。中盤からちょっとダレますし、最後のシークエンスもどうなの?って印象もありますが、どこまでも徹底した馬鹿馬鹿しさは潔いのではないでしょうか!おそらく映画の中で停滞していた部分は明らかに映画化を意識した部分なんですよねぇ・・・ボソ。それでも、オイラは圧倒的に支持します。仕事のし過ぎとも思えるクドカンですが、質は落ちていません。彼の作り出すキャラクターは魅力的で、まさに今の時代にマッチしているのでしょう。今後公開予定の『アイデン&ティティ』『ドラッグストア・ガール』『ゼブラーマン』『69』・・・期待しちゃいます。ただ、この作品はTVドラマを観ていないとかなり難解でしょう。もちろん、観ていなくてもそれなりには面白いと思いますが、不必要なテンションの高さと、その映像話法があまりに個性的なので初めての接する人が面食らうのは間違いないです。結局は“映画”単品というよりは“TVドラマと映画のコラボレーション”って奴ですね。だから、単純にこれが“映画”なのかぁ?と不安になります。難しい時代になったモンです(⌒o⌒;A 予断ですが古田新太・・・薬師丸ひろ子に似てるんですね(苦笑)。

PS:『氣志團』って姿は知っていましたが、あんな声であんな歌なんですねぇ(爆)


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