Deckard's Movie Diary index|past|will
大女優でウォーレン・ビューティの姉であるシャーリー・マクレーン初監督作『ぼくが天使になった日』。コレは泣けました。いつも学校でイジメられてる女の子のみたいな男の子。母親は過食症で230キロもあり、それもまたイジメの対象で、そんなことから両親は別居。少年は小さな頃から天使に憧れていて、天使の姿(ドレープだらけのドレス)で学校のスペリング大会(漢字検定みたいな大会)に優勝したことから・・・。この映画は色んな人々が登場し交差しますが、基本的には人(または世間一般)と違っている事が生む差別を描いています。まぁ、差別なんて皆そうなんだけどネ。解決の糸口はやはり相手を思いやる心に尽きるのでしょう。少年は素晴らしい才能に恵まれていましたが、現実にはそんな才能に恵まれてない人のが多いワケですからねぇ!その辺がちょっと・・・・^^; そんな才能のない凡人の私は中嶋みゆきでも歌いましょう。♪Tell Me Sister 教えておくれよ Tell Me Sister 恵まれたものは何? Tell Me Sister 何を真似ればいい?「そのままでいいのに」と微笑みだけが残った〜♪ いつも強面のゲイリー・シニーズがいい味出していました。しっかし「フリーク(freak)」にあんな意味があるなんて知らなかったなぁ・・・。
ゲイリー・オールドマン制作総指揮で、本人も敵役で出演している『ザ・コンテンダー』。大統領が指名した女性副大統領候補にセックススキャンダルの過去が!?っつー話。予告編ではあんまり気乗りしなかったんだけど、けっこう面白い!モニターやニュース影像を多用した演出がリズムを出していて、実にテンポ良く引っ張ってくれます。かなりイイ感じで進むのですが、ラスト近くのドンデン返しあたりから、どうもワザとらしい展開になってきて「オイオイ!話がキレイ過ぎるヤロ!」とちょっとツッコミを入れたくなってしまいました。いかにもアメリカ的な正義の映画で、とってもハリウッドらしいです。まぁいいんだけどね。それでもイけてたのは、とにかく上手い!オールドマン&ジョーン・アレン!
制作直後から、理由がわからないまま一切の上映が禁止になっていた幻のイラン映画『ダンス・オブ・ダスト』を見ました。ストーリーは煉瓦造りをして暮らしている少年と、その村に来た季節労働者の娘との儚い心の思いを描いています。二人は手を触れるどころか言葉さえ交わしません。遠くから名前を呼び合うだけです。音楽はほとんどありませんし、字幕もありません。ただ、笑い声、泣き声、叫び声、歌声、祈りの声、風、水、火の燃える音、土を捏ねる音、道具の音など様々な音が聞こえてきます。ほとんど影像と現場音だけを重ねたスケッチ風な作りで、映画はどこまでも淡々と進み突然終わります。しかしこの影像映画が観る物に強いるイマジネーションは心地の良いものでした。イラン映画というのは淡白な作りが多くて、ハリウッド的コミュニケーションに慣れてしまった身としては少々もの足りない気もしますが、それはそれで奥深く侮れないものを感じます。それにしてもスカーフとかヴェールとか小物が綺麗だなぁ・・・・。もちろん表情が一番なんだけど!
前作『シンプル・プラン』で慣れないコトに手を出しズッコケたサム・ライミの新作は、初心に戻ってサイコ・ホラー・サスペンスの『ギフト』です。元はといえばB級ホラー専門の監督だったワケですから手馴れたモンですなぁ。主人公のケイト・ブランシェトが生まれながらに授かった「過去や未来が見える力」を使って占いなどをやっているのですが、いろいろトラブルに巻き込まれて、まぁ舞台が田舎ですから魔女扱いされたりするワケです。話しはヨク出来ていてけっこう楽しめます。まぁオチは推測出来ますけどネ!でも超能力モノってのは、凄みがないのなら切なくないとなぁ・・・超能力者ケイトの哀しみっつーのかなぁ、その辺がキチンと描けないとサム・ライミは二流のまんまだろうな!それでも全然構わないけどネ!それにESPカードってのもどうなの?ちなみに登場人物の弁護士(否定派)は大槻教授のような論法でした。
全く期待していなかった前作が、それなりに楽しめたので続編『ハムナプトラ2』へ!ハリウッド超大作、相変わらずスゴイですねぇ!もう疲れちゃったです。でも最近はこれくらいあたりまえだからなぁ・・・もうちょっと何かやってくんないと!だから誉めてあげない!
纏わりつくような雨の中、覚悟して見に行った『ユマニテ』は1999年のカンヌ映画祭審査員グランプリ受賞作。監督はこれが『ジーザスの日々』についで2作目のブリュノ・デュモン。なぜに“覚悟して”かっつーと、なんだか眠たくなりそうな予感があったし、2時間半という長丁場だし・・・。で、やっぱり寝てしまいました。とほほ。だってぇ、つまらないんだもん!全く入り込めませんでした。ボーッとした表情が延々と続き、ベタベタとSEXして、誰彼構わずハグして、感受性の鈍い小生はナ〜ンにも感じませんでした。滝沢クンじゃないけど「笑おうよ・・・」と言ってしまいそうでした。ガッカリ!
シネマチャット内をやたら賑わしているアダム・サンドラー主演のコメディ『リトル・ニッキー』を見ました。アダム・サンドラーは日本では全く人気がありませんが、全米ではマネー・メイキング・スター(客を呼べるスター)として超有名なコメディアン&シンガーソングライターなんですねぇ。それが証拠にビッグスターがチョイ役で多数出演しております。まぁ、小生もあんまりヨク知らなかったんですけどネ。マイアミ・ドルフィンズの名QBのダン・マリーノがマジ出演しているのにはビックリしたー!『シーズン・チケット』のアラン・シアラーにもびっくらこいたが・・・。映画は最近のアメリカのコメディ映画らしくマニアックなギャグ満載で、クスクスさせてくれます。あのキャラがちょっとクドイなぁ・・・と思っていたんですけど、いつのまにか慣れてしまいました。この手のハリウッド映画を見ていつも思うのは、隅々まで脚本が練られている上に、影像としてもキッチリと作ってるコトなんですよねぇ!ホンマ感心するわ!ラーメン大好き元スッチーのY子さんに教えてあげないと。あ!チョウチョが・・・・。
久々のテアトル水曜1000円(男もネ!)の日。まず新宿でクリップ出身の中野裕之監督の『ステレオ・フューチャー』。どうも今ひとつ消化不良な映画です。簡単に言ってしまえば別れた男女が再び元に戻るまでのストーリー。で、そこへなにやら意味ありげな「言葉」や「人々」そして「環境問題」「バラエティ乗りのコント」など、色々盛りだくさんです。で、結局なんなの?なんだか780円くらいのフレンチのフルコースみたいな料理で、これだったら同じ値段の一品料理の方がいいなぁ・・・と。でも若い人にはウけるんかなぁ・・・?オレの隣で一人で見に来ていた女性(独断推定年齢25才)は竹中直人の怪演に膝を叩いて大受けしていました。それ以外のシーンになると携帯を見たり、欠伸をしたり・・・でもたぶん、ぴあの出口調査隊に聞かれたら「面白かったです。90点!」なんて言うんでしょうねぇ・・・。あ、そうだ!永瀬正敏の部屋の美術だけは素晴らしかったなぁ・・・。
ジョゼッペ・トルナトーレの『マレーナ』。予告編の印象(年上の女性に憧れる少年というベタな設定)からあんまり期待していなかったんですけど、どうしてどうして、さすがにトルナトーレです。ベタな話しには違わないんですけど、この手の映画(少年はやがて大人に!)ではかなりの高水準。男としてはちょっと懐かしくもありました(苦笑)。ヒロイン役のモニカ・ベルッチ演じるマレーナは曖昧な感じですが、彼女を取り巻く人々はかなりワカリヤスイ人達なんです。で、それはトルナトーレの狙いなのでしょう。主人公の少年が心の中で感じたシーンが全て影像になっているんだと解釈しました。
一時は「香港のスピルバーグ」などと呼ばれた事もあるツイ・ハークの新作『ドリフト』。色んな細かいシーンを積み重ねて、練りこんだ脚本のようなんだけどストーリーに関しては、全く感情を揺さぶられないお座なりな演出でした。途中で飽きてしまいますし、いくらなんでも話しを端折り過ぎでしょ。ただ、だらだらとアクションが続く凡作。アクションと香港映画が好きな人だけ、どうぞ!
東映50周年記念作品、高倉健主演『ホタル』。この映画はとてもいいです。相変わらずの古臭い演出や、セット照明、安っぽい合成等、突っ込みを入れる部分には事欠きませんが、補ってあまりある素晴らしいストーリーです。とにかく話がいいので、涙なくしては見られません。昭和天皇崩御から始まる太平洋戦争秘話。特攻隊の生き残り、朝鮮人特攻隊少尉、その許嫁。心の傷が本当に癒される事は無いのかもしれませんが、前向きに生き続けていれば新たな出会い、新たな幸せを見つける事も出来るでしょう。奈良岡朋子が絶品で、もうボロボロ泣いてしまいました。でも、若い人達は見ないんだろうなぁ・・・ジジ臭いし・・・。観客もスゴイ年齢層でした。独断推定年齢層60才以上じゃないでしょうか・・・。岩波ホールも真っ青です。ちょっと田中裕子が若すぎるのが気になったなぁ・・・。
オウム真理教を思わせるカルト集団。実行犯の家族のその後を描いた是枝裕和監督の意欲作『DISTANCE』。前作『ワンダフル・ライフ』同様、朴訥に物語は進んでいきます。この監督の場合、とにかく「あー、退屈しそう!もうだめだぁ・・・」と思うか思わないか、実に微妙な間合いで話しが進んでいくのですが、そのタイミングが絶妙なんですねぇ。ただ、その長い間合いの中にとても大事なメッセージを含んでいる時があるので、かなりの神経集中が要求されます。まぁ、それが心地よかったらりするんですけどね。で、今回は、どうも話しがわかりません!最初の方で大事なカットなり言葉なりを見逃したのかもしれませんが、話しが良くわかりませんでした。だから、ペケです。どちらにせよ、その程度でわからなくなってしまうのは問題でしょ!ちょっと寡黙すぎます。何かありそうなんですけど、それが何だかわからないんじゃねぇ!ペケ!
縁があってまだ公開が決まってない『ランドリー』という邦画を見させていただきました。監督・脚本はこれが初メガホンになる映画畑出身の森淳一。主演は窪塚洋介、小雪の二人。知的障害者の青年と悲しい失恋から窃盗癖を患った女性、不器用にしか生きられない二人の微妙な関係を軸にストーリーは進んでいきます。まぁ、よくある設定です。つい最近も『ミリオンダラー・ホテル』がそうでしたし、『聖者の行進』なんて野島ドラマもありました。この脚本はサンダンス・NHK国際影像脚本賞(この呼称は正しくないかもしれません!確か『彼女を見ればわかること』がサンダンス・NHK国際影像作家賞なんですよねぇ・・・。)受賞らしいです。最初、コインランドリーに勤める窪塚のモノローグで始まった映画は、いつのまにか小雪のモノローグに変わり、途中からはモノローグがなくなってしまい・・・そして、いつのまにかタイトルのランドリーからも離れていってしまいました。そんな映画でした。映画を見終わって思ったのは「確かに脚本はいいかもしれないなぁ・・・複雑な内容を丁寧に上手くまとめている。でもそのまま映画にしたら、ちょっとまとまりに欠けてしまった!ということか・・・」でした。つまり脚本というのはあくまで文章で、そこには実際の時の流れがありませんし、血の通った表情もありません。力のある演出家はフィルムに焼き付ける時、脚本では必要だったシーンでも実際に必要がなかったらCUTするし、逆に脚本に無くても必要だったら新たなシーンを追加するものです。その辺の引き算足し算が上手くいかなかった映画かもしれません。二人の恋物語は胸が締め付けられるほどに儚いのですが、映画そのものまで儚くなってしまっては・・・。
デッカード
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