Deckard's Movie Diary
indexpastwill


2001年06月29日(金)  ぼくが天使になった日 バロウズの妻

 大女優でウォーレン・ビューティの姉であるシャーリー・マクレーン初監督作『ぼくが天使になった日』。コレは泣けました。いつも学校でイジメられてる女の子のみたいな男の子。母親は過食症で230キロもあり、それもまたイジメの対象で、そんなことから両親は別居。少年は小さな頃から天使に憧れていて、天使の姿(ドレープだらけのドレス)で学校のスペリング大会(漢字検定みたいな大会)に優勝したことから・・・。この映画は色んな人々が登場し交差しますが、基本的には人(または世間一般)と違っている事が生む差別を描いています。まぁ、差別なんて皆そうなんだけどネ。解決の糸口はやはり相手を思いやる心に尽きるのでしょう。少年は素晴らしい才能に恵まれていましたが、現実にはそんな才能に恵まれてない人のが多いワケですからねぇ!その辺がちょっと・・・・^^; そんな才能のない凡人の私は中嶋みゆきでも歌いましょう。♪Tell Me Sister 教えておくれよ Tell Me Sister 恵まれたものは何? Tell Me Sister 何を真似ればいい?「そのままでいいのに」と微笑みだけが残った〜♪ いつも強面のゲイリー・シニーズがいい味出していました。しっかし「フリーク(freak)」にあんな意味があるなんて知らなかったなぁ・・・。

 続いて『バロウズの妻』。ウイリアム・S・バロウズにキーファー・サザーランド、妻ジョーンにコートニー・ラヴ、ルシアン・カーに『処刑人』のノーマン・リーダスという配役に惹かれて見に行ってきました。50年代にアメリカで起きたビートニクという文学の新しい流れの中心にいたバロウズやギンズバーグ、彼らを支えた記者ルシアン・カーの若き日の出来事。ウ〜ン、はっきり言ってツマラナイ!せっかく個性的な役者を揃えてそれぞれに魅力的なのに、中身はまるっきりナイです。93分の映画なんですが、なんだか30分くらいカットされているような印象です。ラストのその後のスーパー(字幕)があって、なんとか納まった凡作!


2001年06月28日(木)  ザ・コンテンダー

 ゲイリー・オールドマン制作総指揮で、本人も敵役で出演している『ザ・コンテンダー』。大統領が指名した女性副大統領候補にセックススキャンダルの過去が!?っつー話。予告編ではあんまり気乗りしなかったんだけど、けっこう面白い!モニターやニュース影像を多用した演出がリズムを出していて、実にテンポ良く引っ張ってくれます。かなりイイ感じで進むのですが、ラスト近くのドンデン返しあたりから、どうもワザとらしい展開になってきて「オイオイ!話がキレイ過ぎるヤロ!」とちょっとツッコミを入れたくなってしまいました。いかにもアメリカ的な正義の映画で、とってもハリウッドらしいです。まぁいいんだけどね。それでもイけてたのは、とにかく上手い!オールドマン&ジョーン・アレン!


2001年06月27日(水)  ダンス・オブ・ダスト

 制作直後から、理由がわからないまま一切の上映が禁止になっていた幻のイラン映画『ダンス・オブ・ダスト』を見ました。ストーリーは煉瓦造りをして暮らしている少年と、その村に来た季節労働者の娘との儚い心の思いを描いています。二人は手を触れるどころか言葉さえ交わしません。遠くから名前を呼び合うだけです。音楽はほとんどありませんし、字幕もありません。ただ、笑い声、泣き声、叫び声、歌声、祈りの声、風、水、火の燃える音、土を捏ねる音、道具の音など様々な音が聞こえてきます。ほとんど影像と現場音だけを重ねたスケッチ風な作りで、映画はどこまでも淡々と進み突然終わります。しかしこの影像映画が観る物に強いるイマジネーションは心地の良いものでした。イラン映画というのは淡白な作りが多くて、ハリウッド的コミュニケーションに慣れてしまった身としては少々もの足りない気もしますが、それはそれで奥深く侮れないものを感じます。それにしてもスカーフとかヴェールとか小物が綺麗だなぁ・・・・。もちろん表情が一番なんだけど!


2001年06月21日(木)  ギフト g:mt

 前作『シンプル・プラン』で慣れないコトに手を出しズッコケたサム・ライミの新作は、初心に戻ってサイコ・ホラー・サスペンスの『ギフト』です。元はといえばB級ホラー専門の監督だったワケですから手馴れたモンですなぁ。主人公のケイト・ブランシェトが生まれながらに授かった「過去や未来が見える力」を使って占いなどをやっているのですが、いろいろトラブルに巻き込まれて、まぁ舞台が田舎ですから魔女扱いされたりするワケです。話しはヨク出来ていてけっこう楽しめます。まぁオチは推測出来ますけどネ!でも超能力モノってのは、凄みがないのなら切なくないとなぁ・・・超能力者ケイトの哀しみっつーのかなぁ、その辺がキチンと描けないとサム・ライミは二流のまんまだろうな!それでも全然構わないけどネ!それにESPカードってのもどうなの?ちなみに登場人物の弁護士(否定派)は大槻教授のような論法でした。

 英の青春音楽映画(ミもフタもない言い方)『g:mt』は出だしからいかにも「そういう映画でっせ!」という流れでズンズン進んでいくから、なんだかなぁ・・・と思っていたら、だんだん引き込まれてしまいました。基本的には男性4人が主役で、そこに絡んでくる女性達や友人、親類、悪役等の登場人物、それに夢、嫉妬、才能、出世、過去、誤解等の話しが実に上手く整理されていて、ストーリーに新味はありませんが上級の仕上がりです。彼らは結局大きな代償を払います。「この思いでもやがて消える・・・」なんて言っちゃあイケないよ!レプリカントじゃないんだから!題名の『g:mt』は「Greenwich Mean Time」の略でグリニッジ標準時のことです。映画の舞台ももちろんグリニッジ。また音楽も相当レベルの高い仕上がりで、そういう意味でもハンパじゃないッス!担当はガイ・シグワース。ビョークのアルバムプロデューサーでもあります。


2001年06月18日(月)  ハムナプトラ2 みんなの家

 全く期待していなかった前作が、それなりに楽しめたので続編『ハムナプトラ2』へ!ハリウッド超大作、相変わらずスゴイですねぇ!もう疲れちゃったです。でも最近はこれくらいあたりまえだからなぁ・・・もうちょっと何かやってくんないと!だから誉めてあげない!

 三谷幸喜の監督2作目『みんなのいえ』。いやぁ、混んでたなぁ・・・。まぁ、三谷ですからハズしてはいませんよ。面白いです。八木亜希子も田中直樹も、拙いけど好感持てるキャラだし、チョイ役でたくさん有名人が出演しているし、普通に楽しめます。だけんどもしかし、オレの近くの席でやたらと「ねぇ、これはどの部屋?」「アラ、●▲■ちゃんじゃない?あれ!」などと騒いでるオバサン!ここはアンタの家じゃないっつーの!みんなのいえ!


2001年06月15日(金)  ユマニテ

 纏わりつくような雨の中、覚悟して見に行った『ユマニテ』は1999年のカンヌ映画祭審査員グランプリ受賞作。監督はこれが『ジーザスの日々』についで2作目のブリュノ・デュモン。なぜに“覚悟して”かっつーと、なんだか眠たくなりそうな予感があったし、2時間半という長丁場だし・・・。で、やっぱり寝てしまいました。とほほ。だってぇ、つまらないんだもん!全く入り込めませんでした。ボーッとした表情が延々と続き、ベタベタとSEXして、誰彼構わずハグして、感受性の鈍い小生はナ〜ンにも感じませんでした。滝沢クンじゃないけど「笑おうよ・・・」と言ってしまいそうでした。ガッカリ!


2001年06月14日(木)  リトル・ニッキー

 シネマチャット内をやたら賑わしているアダム・サンドラー主演のコメディ『リトル・ニッキー』を見ました。アダム・サンドラーは日本では全く人気がありませんが、全米ではマネー・メイキング・スター(客を呼べるスター)として超有名なコメディアン&シンガーソングライターなんですねぇ。それが証拠にビッグスターがチョイ役で多数出演しております。まぁ、小生もあんまりヨク知らなかったんですけどネ。マイアミ・ドルフィンズの名QBのダン・マリーノがマジ出演しているのにはビックリしたー!『シーズン・チケット』のアラン・シアラーにもびっくらこいたが・・・。映画は最近のアメリカのコメディ映画らしくマニアックなギャグ満載で、クスクスさせてくれます。あのキャラがちょっとクドイなぁ・・・と思っていたんですけど、いつのまにか慣れてしまいました。この手のハリウッド映画を見ていつも思うのは、隅々まで脚本が練られている上に、影像としてもキッチリと作ってるコトなんですよねぇ!ホンマ感心するわ!ラーメン大好き元スッチーのY子さんに教えてあげないと。あ!チョウチョが・・・・。


2001年06月13日(水)  ステレオ・フューチャー 非・バランス

 久々のテアトル水曜1000円(男もネ!)の日。まず新宿でクリップ出身の中野裕之監督の『ステレオ・フューチャー』。どうも今ひとつ消化不良な映画です。簡単に言ってしまえば別れた男女が再び元に戻るまでのストーリー。で、そこへなにやら意味ありげな「言葉」や「人々」そして「環境問題」「バラエティ乗りのコント」など、色々盛りだくさんです。で、結局なんなの?なんだか780円くらいのフレンチのフルコースみたいな料理で、これだったら同じ値段の一品料理の方がいいなぁ・・・と。でも若い人にはウけるんかなぁ・・・?オレの隣で一人で見に来ていた女性(独断推定年齢25才)は竹中直人の怪演に膝を叩いて大受けしていました。それ以外のシーンになると携帯を見たり、欠伸をしたり・・・でもたぶん、ぴあの出口調査隊に聞かれたら「面白かったです。90点!」なんて言うんでしょうねぇ・・・。あ、そうだ!永瀬正敏の部屋の美術だけは素晴らしかったなぁ・・・。

 終わってすぐ渋谷へ直行!シネセゾンも水曜1000円なんで!気になっていた『非・バランス』を見ました。どうも小生はオカマという人種が苦手でして、この映画も小日向文世演じるオカマが重要な要素になっていて、気にはなってたんですけど見ようか見まいか迷っていたんです。結果は、アタリ!でした。ストーリーは小学校時代に信じていた友人からイジメに合ったことで、中学生になったら「クールに生きる」「友達は作らない!」という二つの誓いを立てている派谷恵美(ハタチヤメグミと読むらしい。完璧8頭身スタイルの新人。ホンマに最近の子供は!)演じる14才の少女・チアキが、オカマの菊ちゃんと知り合って過去の傷を乗り越え、成長していく話しです。オカマというのは男でもなく女でもないワケで、考えてみれば10代前半の少年少女達も同じようにどっちつかず存在(もちろん個人差はあるでしょうけど)なんでしょう。そのあたりがチアキにとっていごごちが良かったのかもしれません。ただオカマというのは一般的にはアウトローですし、おかしな人達という認識しか持たない人々も多いでしょうから、なんの差別もせず菊ちゃんと付き合えたチアキはかなりの純粋少女ということも考えられます。そういう少女だったからこそイジメの対象になったのかもしれないし・・・ふー!生き難い世の中だぜ!映画としては、オカマの切なさがもっと出てると良かったんだけどなぁ・・・普通の女性と大差のない描き方になってしまったのが惜しい!ちなみに、小日向文世のオカマの菊ちゃんは驚くほどリアルでした。余談ですけどチアキの部屋に貼ってあった『スリーピィ・ホロウ』『バットマン』のパンフレットが嬉しかったな。


2001年06月11日(月)  マレーナ 誘拐犯

 ジョゼッペ・トルナトーレの『マレーナ』。予告編の印象(年上の女性に憧れる少年というベタな設定)からあんまり期待していなかったんですけど、どうしてどうして、さすがにトルナトーレです。ベタな話しには違わないんですけど、この手の映画(少年はやがて大人に!)ではかなりの高水準。男としてはちょっと懐かしくもありました(苦笑)。ヒロイン役のモニカ・ベルッチ演じるマレーナは曖昧な感じですが、彼女を取り巻く人々はかなりワカリヤスイ人達なんです。で、それはトルナトーレの狙いなのでしょう。主人公の少年が心の中で感じたシーンが全て影像になっているんだと解釈しました。

 『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家、クリストファー・マックァリー初監督作『誘拐犯』。『トラフィック』でアカデミー助演男優賞受賞で人気沸騰のベニチオ・デル・トロ主演です。これはどうなのかなぁ・・・・。ちょっと意味不明。っつーか、意味不明が気持ち良くないです。なんだか出てくる人達全員、ナニをダラダラしているのか、ハッキリしないというか、まぁ狙いなんでしょうけど・・・。おかげで眠たくなるんですが、そうするとやたら耳障りな銃の発砲音がけたたましく、おちおち寝てもいられませんでした。♪〜( ̄ε ̄;)




2001年06月08日(金)  ドリフト

 一時は「香港のスピルバーグ」などと呼ばれた事もあるツイ・ハークの新作『ドリフト』。色んな細かいシーンを積み重ねて、練りこんだ脚本のようなんだけどストーリーに関しては、全く感情を揺さぶられないお座なりな演出でした。途中で飽きてしまいますし、いくらなんでも話しを端折り過ぎでしょ。ただ、だらだらとアクションが続く凡作。アクションと香港映画が好きな人だけ、どうぞ!


2001年06月07日(木)  ホタル ロスト・ソウルズ

 東映50周年記念作品、高倉健主演『ホタル』。この映画はとてもいいです。相変わらずの古臭い演出や、セット照明、安っぽい合成等、突っ込みを入れる部分には事欠きませんが、補ってあまりある素晴らしいストーリーです。とにかく話がいいので、涙なくしては見られません。昭和天皇崩御から始まる太平洋戦争秘話。特攻隊の生き残り、朝鮮人特攻隊少尉、その許嫁。心の傷が本当に癒される事は無いのかもしれませんが、前向きに生き続けていれば新たな出会い、新たな幸せを見つける事も出来るでしょう。奈良岡朋子が絶品で、もうボロボロ泣いてしまいました。でも、若い人達は見ないんだろうなぁ・・・ジジ臭いし・・・。観客もスゴイ年齢層でした。独断推定年齢層60才以上じゃないでしょうか・・・。岩波ホールも真っ青です。ちょっと田中裕子が若すぎるのが気になったなぁ・・・。

 久々に2本です。ウィノナ・ライダー主演『ロスト・ソウルズ』。ストーリーは『エクソシスト』と『オーメン』を足して、その2本の良いところを全部はぎ取っちゃったようなモノでした。監督のヤヌス・カミンスキーはアカデミー撮影賞を獲得しているカメラマンなんですが、やはり撮影だけに専念している方が良いようです。だから、画は素晴らしいです。それだけ!ところで、製作者にメグ・ライアンの名前があるのですが・・・・どういうコト?


2001年06月04日(月)  DISTANCE

 オウム真理教を思わせるカルト集団。実行犯の家族のその後を描いた是枝裕和監督の意欲作『DISTANCE』。前作『ワンダフル・ライフ』同様、朴訥に物語は進んでいきます。この監督の場合、とにかく「あー、退屈しそう!もうだめだぁ・・・」と思うか思わないか、実に微妙な間合いで話しが進んでいくのですが、そのタイミングが絶妙なんですねぇ。ただ、その長い間合いの中にとても大事なメッセージを含んでいる時があるので、かなりの神経集中が要求されます。まぁ、それが心地よかったらりするんですけどね。で、今回は、どうも話しがわかりません!最初の方で大事なカットなり言葉なりを見逃したのかもしれませんが、話しが良くわかりませんでした。だから、ペケです。どちらにせよ、その程度でわからなくなってしまうのは問題でしょ!ちょっと寡黙すぎます。何かありそうなんですけど、それが何だかわからないんじゃねぇ!ペケ!


2001年06月01日(金)  ランドリー

 縁があってまだ公開が決まってない『ランドリー』という邦画を見させていただきました。監督・脚本はこれが初メガホンになる映画畑出身の森淳一。主演は窪塚洋介、小雪の二人。知的障害者の青年と悲しい失恋から窃盗癖を患った女性、不器用にしか生きられない二人の微妙な関係を軸にストーリーは進んでいきます。まぁ、よくある設定です。つい最近も『ミリオンダラー・ホテル』がそうでしたし、『聖者の行進』なんて野島ドラマもありました。この脚本はサンダンス・NHK国際影像脚本賞(この呼称は正しくないかもしれません!確か『彼女を見ればわかること』がサンダンス・NHK国際影像作家賞なんですよねぇ・・・。)受賞らしいです。最初、コインランドリーに勤める窪塚のモノローグで始まった映画は、いつのまにか小雪のモノローグに変わり、途中からはモノローグがなくなってしまい・・・そして、いつのまにかタイトルのランドリーからも離れていってしまいました。そんな映画でした。映画を見終わって思ったのは「確かに脚本はいいかもしれないなぁ・・・複雑な内容を丁寧に上手くまとめている。でもそのまま映画にしたら、ちょっとまとまりに欠けてしまった!ということか・・・」でした。つまり脚本というのはあくまで文章で、そこには実際の時の流れがありませんし、血の通った表情もありません。力のある演出家はフィルムに焼き付ける時、脚本では必要だったシーンでも実際に必要がなかったらCUTするし、逆に脚本に無くても必要だったら新たなシーンを追加するものです。その辺の引き算足し算が上手くいかなかった映画かもしれません。二人の恋物語は胸が締め付けられるほどに儚いのですが、映画そのものまで儚くなってしまっては・・・。


デッカード |HomePage

My追加