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2004年05月23日(日) 映画よろず屋週報 Vol.72

*****映画よろず屋週報 Vol72 2004.5.23*********************

是枝裕和監督の『誰も知らない Nobody Knows』
主演した中学生・柳楽優弥君が、
カンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞しました。
続報は今後どんどん入ってくるのでしょうが、
今朝のニュースで見たその少年は、
大きな目が印象的なかわいらしい顔立ちで、
「ブラッド・ピットを越えちゃった?」という
大胆なほど素直な感激のコメントに好感が持てました。

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きょう5月23日は「キスの日」です。
1946年のこの日、日本初のキスシーンが登場する映画
佐々木康監督の『はたちの青春』が公開されたことに因むとか。

ちょっとでも恋愛の絡む作品なら、
特定の製作国のものを除き、
キスシーンのない作品を探す方が難しいくらいですが、
さて、改めて考えたときに、真っ先に思い出すキスシーンというと、
『フル・モンティ』『ライフ・イズ・ビューティフル』の終盤の
親子愛の発露みたいなものばかりなのでした。

が、気を取り直して、
とにかく『恋愛』が張り付いたキスを集めてみました。

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ニューシネマ・パラダイス Nuovo cinema Paradiso
1988年イタリア ジェゼッペ・トルナトーレ監督

小さな村を出て映画監督になった主人公が、
恩ある老人の死をきっかけに、
二度と戻るまいと思っていた故郷に帰る物語。
彼の少年時代は、映画が最大の娯楽、とはいえ、
そのフィルムたるや、独自の「検閲」を経て、
キスシーンというキスシーンをすべてカットされていました。

紅の豚 Crimson Pig
1992年日本 宮崎駿監督

白雪姫やオーロラ姫(眠り姫)の生還・目覚めのために
王子様のキスが必要だったように、
(少々とうの立った)王子様にも、可憐な姫君のキスが必要?

恋しくて Some Kind of Wonderful
1987年アメリカ ハワード・ドイッチ監督

マイ・ガール My Girl
1991年アメリカ ハワード・ジーフ監督

ウェディング・シンガー The Wedding Singer
1998年アメリカ フランク・コラチー監督

恋人ではないけれど、かけがえのない友達。
自分の婚約者じゃないけど、婚約者以上に心を許せる。
上から「高校生」「小学生」「それぞれ結婚間近の男女」と
年齢や状況は異なるものの、 
全く同じ趣旨に基づく「キスシーン」が登場します。
見ている方としては、
これが単純なラブシーンより印象的だったりします。

八月のクリスマス Palwol Ui Christmas
1998年大韓民国 ホ・ジノ監督

穏やかな写真屋のおっちゃん(ハン・ソッキュ)と、
厚かましいけれどかわいい
交通巡視員(シム・ウナ)との間に芽生えた
じれったいほどに淡い恋愛模様は、
キスのキの字もないまま進行していきます。
そうした表現にやかましいお国柄だということよりも、
そんな関係が、
この映画のトーンに全くもって合っていました。

世界中がアイ・ラブ・ユー
Everyone Says I Love You

1996年アメリカ ウディ・アレン監督

ニューヨークの美しい四季の移り変わりを背景に、
(時々ヨーロッパのソレナリの街も差し挟まれます)
皆リッチで人間性も好ましい老若男女が
恋をしては失って…を楽しむかのような、
とっても上機嫌なミュージカルラブコメディー。
金持ちでリベラルな家庭環境のお嬢様(ドルー・バリモア)は、
母親(ゴールディー・ホーン)のボランティア活動の一環で
家に招かれたマフィアのチンピラ(ティム・ロス)に
強引にキスをされ、
婚約者(エドワード・ノートン)そっちのけで、
彼に夢中になります。
キスされた後のせりふが、なかなかふるっていました。

ウィズダム/夢のかけら Wisdom
1987年アメリカ エミリオ・エステベス監督

一応「俺たちに明日はない」のリメークという意識で
つくった(らしい)、恋人たちの暴走映画。
当時、本当に恋人同士だったらしい
兼監督のエミリオ・エステベスと
デミー・ムーアが共演しているせいか、
映画の出来そのものはともかくとして、
血が通った、リアルなキス(ラブ)シーンが拝めます。
ちなみに、1934年の今日5月23日は、
『俺たちに明日はない』のモデルになったカップル、
ボニー&クライドが警官隊に射殺された日でもあります。


ショー・ミー・ラブ Show Me Love(Fucking Amal)
1998年スウェーデン ルーカス・ムーディソン監督

ミソッカスのいじめられっ子アグネスと、
みんなの人気者エリン。
全く正反対の2人は、
面白半分けしかけられたキスがきっかけ?で、
お互いを恋しく思うようになるのでした。
(注・役名から判るであろうとおり、2人とも女の子です)

汚名 Notorious
1946年イギリス アルフレッド・ヒッチコック監督

これはきちんと作品として見たことがないのですが…。
まだ「3秒以上続けてのキスは御法度」だった時代、
知能犯ヒッチコックの演出による
イングリット・バークマンとケイリー・グラントの
長い長いキスシーンが、
「作戦勝ち」で、大層印象に残る…ようです。


2004年05月16日(日) 映画よろず屋週報 Vol71

5月16日は、1689年のこの日(旧暦3月27日)
松尾芭蕉が『奥の細道』の旅に出かけたことに因む
『旅の日』です。
参考としたサイト きょうはなんの日
そこで、ロードムービー特集を、とも思いましたが、
もっと広義の『旅』にこだわって、映画を集めてみました。

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5月16日は、1689年のこの日(旧暦3月27日)
松尾芭蕉が『奥の細道』の旅に出かけたことに因む
『旅の日』です。
参考としたサイト http://www.nnh.to/05/16.html
そこで、ロードムービー特集を、とも思いましたが、
もっと広義の『旅』にこだわって、映画を集めてみました。

ウォレスとグルミット チーズホリデー
A Grand Day Out

1989年イギリス ニック・パーク監督

人気のクレイアニメ
『ウォレスとグルミット』シリーズ第1弾作品。
発明家のウォレスと、その相棒犬グルミットは、
『月はチーズで出来ている』という言い伝えを信じ、
自作のロケットで、月へとバカンスへ出かけます。
選択を誤らなければ、かなりマッチするという
『紅茶とチーズ(+クラッカー)』というティータイムを
ぜひ試したくなる1本です。

刑務所の中 Doing Time
2002年日本 崔洋一監督

カルト漫画家でガンマニアの花輪和一氏の原作に材をとり、
これまでになくまったりとした調子でつくられた
刑務所コメディー。
夜のひと時、房での悪ふざけを
『修学旅行じゃないんだぞ!』
刑務官に注意されるシーンがありました。

不思議惑星キン・ザ・ザ Kin-Dza-Dza
1986年ロシア(旧ソ連) ゲオルギー・ダネリア監督

妻にお使いを頼まれた技師と
グルジア人の音楽学生が
ひょんなことからキン・ザ・ザ星に瞬間移動してしまい、
苦心惨憺、地球に戻ろうと奮闘する物語。
これは夢オチでは?(ではありませんが…)と思うほど
訳のわからない気分になる作品です。

逢いたくてヴェニス
Four for Venice

1998年ドイツ ビビアン・ネーフェ監督

2人の子供はやんちゃ盛りで、
時にシャレにならんいたずらをし、
売れない夫の画家は、会社重役の女性と浮気……
何かとトラブルだらけの主人公エバは、
子供たちと、愛人のダンナである弁護士を伴って、
夫とその愛人のヴェニス行を追っかけます。
なるほど、ヨーロッパは『1つ』だなあと実感する
ちょっと小粋なロードムービーでした。

おもひでぽろぽろ Only yesterday
1991年日本 高畑勲監督

岡本蛍原作、刃根夕子作画のコミックが
もとになったアニメーション。
1982年。
『「ふるさとは東京』で、
田舎に強い憧れを持つOLタエ子は、
姉の結婚で山形の農家に縁ができたのを幸いに、
夏休みをベニバナ農家で過ごすことにしますが……。
少女時代のシークエンスは原作に忠実ですが、
大人になってからのお話はオリジナル。
原作を読むと、そのオリジナルエピソードが
いかに見当違いなのかがわかりますが、
映画としての出来は、言われるほど悪くない気がします。

愛しのタチアナ
Take Care of Your Scarf, Tatjana

1994年フィンランド・ドイツ合作
アキ・カウリスマキ監督

母親と2人暮らしの仕立て屋の男が、
母親がコーヒーを切らしてしまったことにキレ、
似たような境遇の友人を伴って、プチ家出を敢行。
エストニア人とロシア人の女性の2人連れと出会い、
それぞれにカップリングします。
カウリスマキ映画の看板女優であるカティ・オウティネンが
エストニア人タチアナを、テンション低く演じました。

八日目 Le Huitieme Jour
1996年フランス・ベルギー合作
ジャコ・バン・ドルマル監督

やり手のビジネススマン、アリーが、
偶然知り合ったダウン症の青年ジョルジュとともに、
ジョルジュの母親を訪ねる旅に出る物語。
実際にダウン症だというパスカル・デュケンヌ が
ジョルジュを演じているのですが、
彼は、同じ監督の「トト・ザ・ヒーロー」にも出演し、
お茶目で好いたらしい青年を好演していたけれど、
(障碍者という設定ではありましたが)
この『八日目』では、
ダウン症への偏見を植え付けてしまうのでは?
と思うような“熱演”ぶりでした。
実は、私にはイマイチだったこの作品、
意外と(意識的に)素直に向き合ったら、
美点も見えてくるかもという可能性も否定できないので、
敢えてお勧めいたします。
『レインマン』や『ハリーとトント』を
どこか思い起こさせる作品。

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2004年05月10日(月) ファインディング・ニモ

ただいまピクサーの秀作DVDを1,890円(税込み)で
大奉仕中放出!とのことですが、
その局面でわさわざ6月18日発売のこの作品を
選んでしまったことに
我ながら、少々根性悪さを感じないでもないのですが……


ファインディング・ニモ Finding Nemo
2003年 アメリカ
アンドリュー・スタントン監督


アカデミー賞に長編アニメ部門ができてからというもの、
毎回、ノミネートにだけは挙がるものの、
ことごとく賞を取り逃すという屈辱を喫した
いわゆる“ディズニー作品”ですが、
三度目の正直というのか、満を持してというのか、
美しくも厳かな大海を舞台に、
親子愛や友情を高らかに謳った本作が見事受賞と相成ったのは、
まだ記憶に新しいところでしょう。
もっとも、日本関係では、
「ラスト・サムライ」の渡辺謙さん(助演男優)と、
山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」(外国語)のノミネートが話題で、
昨年の「千と千尋の神隠し」受賞とはうってかわって、
長編アニメ部門への注目は集まらなかったようですが…


カクレクマノミのマーリンは、
サメに妻と子供(卵)たちを襲われるという悲劇に遭って以来、
かなり臆病になっていました。
そのとき唯一生き残った子に“ニモ”と名づけ、
惜しみない愛情を注ぐのはいいけれど、
彼の片方の胸びれが少し小さ目で、うまく泳げないこともあり、
学校に行かせるのをためらうほど過保護になっていました。

父親を愛しながらも、
過干渉をうっとうしく思ったニモは、
父親を振り払って勝手な行動をとったばかりに、
ダイバーに捕まってしまいます。

さてさて。
迷子のカクレクマノミを保護した気になっている
いい気なダイバー(ちなみに歯科医)は、
魚の扱いの粗雑さには定評のある姪に
ニモをプレゼントしようと考えており、
他の海洋生物と一緒に、自分の歯科医院の水槽で
しばらく彼を飼うことにします。

しかし、黙って乱暴娘の餌食になるのニモではありません。
水槽の中で、同じように捕獲された海洋生物たちとの協力のもと、
脱出計画が敢行されようとしていました。

そのころマーリンは、
いつもの臆病風はどこへやらで、
危険がいっぱいの海を、
しゃかりきになって息子探しに泳ぎまくります。
本当にあの小魚が、あんなペースで泳いでいたら、
とっくに事切れそうな勢いでした。
途中、ひどい健忘症のナンヨウハギ・ドリーと知り合いますが、
彼女がなぜか人間の用いる字が読めるということから、
ニモ探しの大きな手がかりも得ることになりました。

魅力的なキャラクターたちと、呑まれそうな青い海と、
見苦しいほどの親子愛の美しさときて、
なんとなく、傲慢な人間の「美しくなさ」が垣間見えるのは、
ちょっと悲しいところなんですが、
素朴に笑ったり泣いたりできたら、
きっと、ほかのどの映画よりも気持ちよいことでしょう。

オリジナルの吹替でマーリンを演じたのは、
知性派コメディアンのアルバート・ブルックス、
ドリー役が「エドtv」などに出演している
エレン・デジェネレスでした。
日本語版では、それぞれを
木梨憲武、室井滋が担当して話題になりましたが、
人気お笑いコンビ、ドランクドラゴンの2人も
ニモたちに絡む柄の悪いカニの役で、ちょっとだけ出演していました。


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