INDEX|←back|next→
この話を一体どうやって映像化するつもりなのか興味津々でしたが、それなりにうまいこと処理されてたと思います。これって小説という活字媒体だからこそ可能なネタというか、はっきり言ってオチ自体は反則技スレスレじゃないですか(笑)。というか私は個人的に、トリックそのものよりも事件に絡む様々な偶然・思惑・事情の絶妙さ加減、そしてそれらを華麗な理屈でまとめ上げる京極堂の長ったらしい(※誉めてます)蘊蓄…というのがこのシリーズ共通の面白さだと思っているので、そこがきちんと表現されてた点を評価したい。でもまあ、確かに巷で言われてる通り原作を読んでない人にはわかりにくい展開だったかもしれないですね。うん、そこは否定しない(笑)。 昭和の雰囲気や小道具はなかなか。突然スポットライトが当たり始めたりする演出、グルグル回転したりチカチカ光ったり目に優しくないカメラワーク、どことなくチープなセット等はかなり独特で、人によって好き嫌いが分かれるところでしょうか。私は大丈夫でしたが。しかし「嗤う伊右衛門」の時もある種独特の美学が感じられましたが、同じ原作者の作品でも監督が違えばずいぶんカラーが違う仕上がりになるもんだよなあ〜。って当たり前か。
キャスティング。私は榎木津ファンなのでとにかく阿部ちゃん榎が不安で不安でたまらなかったのですが、これは意外にすんなり受け入れられました。や、良かったよ阿部ちゃん!インパクトに欠けるというような意見も聞いたけど、でも姑獲鳥の頃の彼はこんなもんだろ。奇行っぷりが冴えてくるのは魍魎以降ですから!(笑) ただ、せっかくの人材なんだからもう少し原作イメージに近い容貌にしてほしかったなあ。演技が良かっただけに外見が残念。とてもとても残念。なんたってビスクドールなわけだし(笑)、もっと色白に、ヒゲも剃って、髪は長めにして茶色っぽくするくらい出来たと思うんだ。なんかドラゴン桜に見えちゃったよ…。
そしてさらに適役だと思ったのが永瀬関口。配役決まった時には一番ピンとこなかったのに観てみたら一番ハマリ役だと思ったのがこの人でした。鬱っぽさ&猿っぽさ(※誉めてます)が絶妙。もう彼以外に関口は考えられない。 逆に、決まった時には違和感なかったのに観てみたらダメだったのが京極堂。喋り方が私のイメージしてた京極堂とだいぶ違ったというか…、まあ、要するにダメと言っても個人の好みレベルの話で、堤真一は何も悪くないです。そういえば一度も黒い和服を着てなかったのもイメージと違ったなあ。京極堂は黒ずくめ、と勝手に思いこんでいたので。
女優陣では、いしだあゆみが凄かった。一人でホラー…!突然叫ばないで!びびった! それと違う意味ですごかったのは原田知世です。あの人は歳をとらないのでしょうか? あと原作者の京極先生もチラリとご出演されてますよー!滑舌良いので驚きました(笑)。
****** 姑獲鳥の夏
2005年 日本 監督:実相寺昭雄 出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、 原田知世、田中麗奈 (劇場鑑賞)
|