■映画の感想です。映画館で観たもの中心。普通にネタバレしてるのでお気をつけください。
■好きなのはハリウッドエンターテイメント。邦画は苦手。イケメン俳優に甘いです。美しい男を発掘するのがライフワークです。
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2002年06月27日(木) マジェスティック

つい数日前「アイ・アム・サム」の感想で“私は人間ドラマで二時間超えると限界だ”みたいなこと言い放ちましたがさっそく撤回。この作品もある種の人間ドラマですけれど、なんだか二時間半があっという間に感じられました。何故だろう。次々と急展開のストーリー!ってわけでもないのに。

共産主義者である、と身に覚えのない疑いをかけられた新進脚本家(ジム・キャリー)が、ある夜自動車事故で川に転落し、見知らぬ海岸にうちあげられる。ショックで記憶を失って自分が誰だかもわからないのに、案内された町の人々は彼を知っている様子。それどころか、彼の存在が人々に活気を与え、やがて彼自身も記憶が戻らないままその町に溶け込んでゆく。が、しかし ―――。…っていう感じのお話。

ありがち、とか、凡庸、とか言ってしまえばその通りなのですが、これが結構、悪くないんですよ。むしろ好き。うーん、どこがどう良かったか明確に説明するのが難しいんだけど、結局私はこういうのが好きなんだろうな。安心して見ていられて、最後にああよかったね、って爽やかに終わりにできる、そういうの良いではないですか。
舞台が50年代のハリウッドで、音楽なんかも素敵でした。「アイ・リメンバー・ユー」とか「シング!シング!シング!」とか「虹の彼方に」とか。名曲を、とても効果的に取り入れている。

ジム・キャリーは、シリアスでも十分いけるんじゃないでしょうかね。実は私、今までこの人が何となく苦手で、ほとんど意識的に避けてたと言っても過言ではないくらい(←全然“何となく”じゃないじゃん…)に彼の映画を観てないのですけれども。なにしろ「マスク」すら未見でございます。観たことあるのは……(思い出し中)……、……リドラー?(@「バットマンフォーエバー」)。えっそれだけ? わーそんなに嫌いだったのか私! 愕然。 
いや、今回かなり見直しました。今までごめんよジム。よく見れば背も高くて顔小さくてなかなかハンサムだしね。これから過去の出演作を謹んで拝見いたしますです。とりあえず「ボクの彼女は地球人」あたりから。<過去に戻りすぎだっつーの


しかしマット・デイモンにはやられた。パンフレット見るまで気付かなかったよー!
(↑声のカメオ出演をしてたそうです)



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マジェスティック 【THE MAJESTIC】

2001年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:フランク・ダラボン
出演:ジム・キャリー、マーティン・ランドー
ローリー・ホールデン
(劇場鑑賞)


2002年06月26日(水) ワンス・アンド・フォーエバー

実際にベトナム戦争で任務についた陸軍中佐と、その時戦闘に同行した報道カメラマンの共著ノンフィクションが原作。中佐をメル・ギブソンが、カメラマンをバリー・ペッパーが演じていて、その他のキャストの方々も含め、それぞれ自分が演じる人物とコンタクトをとりつつ役作りを行ったそうです。

公開前から反戦映画ということを打ち出して宣伝してたように思うんだけど、わざとらしく反戦メッセージめいたものを強調する作りにはなっておらず、そこがかえって印象的で良かったです。あと何だか戦闘のシーンが妙に迫力あったなあ。私は普段戦争映画を見慣れてないからそう感じられたのかもしれないけど。銃で何発も撃ち抜かれて身体中から血を吹き上げて倒れたり、全身炎に包まれて焼かれたり。「待ってろ、大丈夫だ、今焼けたところを切り落とすから」っていきなり顔面にナイフを入れちゃうのには驚いた。極限だ…。

俳優さん女優さんバランスとれててみんな良かったですが、カメラマン役のバリー・ペッパーが特に良かったな。この人絶対どこかで見たことあるんだけどどこだっけ?と気になりながら見ていて後で確認したら、「グリーンマイル」の看守役! ああ納得!
えっと、それから私的お気に入りのクリス・クライン君、出てましたよ!(そりゃ出てるだろ) 出番少なめだったけど。序盤、スクリーンに出てくるたびについ嬉しくて「ね、ね、カワイイでしょ?」「ホラ、声がちょっとキアヌに似てると思わない?」などと小声でしつこく同行の友人に話しかけていたらそのうち相手にしてもらえなくなりました。今考えてみると大迷惑でしたね。てへ。ごめん友達。



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ワンス・アンド・フォーエバー 【WE WERE SOLDIERS】

2002年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:ランドール・ウォレス
出演:メル・ギブソン、マデリン・ストウ、バリー・ペッパー
グレッグ・キニア、サム・エリオット、クリス・クライン
(劇場鑑賞)


2002年06月21日(金) ハイ・クライムズ


あるきっかけから夫の意外な過去が明らかになり、おまけに彼には殺人容疑がかかって軍事裁判にまで発展してしまう。アシュレイ・ジャッド演ずる敏腕女性弁護士が、突然の出来事に戸惑いながらも同じく弁護士(こちらは元海軍出身)のモーガン・フリーマンと一緒に夫の無実を信じて闘うお話。サスペンス。

最初、これはきっと通常の裁判の常識が通用しない(らしい)軍事法廷に一般の弁護士が挑むお話なんだ!と、勝手に法廷モノだと思いこんで見てたのですが、そういうわけでもなかったです(それも見どころのひとつではあるけれど)。アシュレイ・ジャッドの葛藤や冒険をを主軸にしたミステリと言うべきかなあ。何となく設定とか展開が小説っぽく感じたので、この映画絶対原作があるだろうと思ってたらやっぱりありました。ジョセフ・フィンダー「バーニング・ツリー」(新潮文庫)。なんかベストセラーだそうですパンフレットによると。そうなんだ。知らなかった。

モーガン・フリーマンは、やはり良いですな。どんな役でも上手いと思います。本作ではハーレーに乗ってたりしてちょっとカッコイイぞ。
アシュレイ・ジャッドもこの役似合ってましたね。それと内容と全然関係ないけど彼女の着てた服はどれもセンス良かった! 特に最初の方で着てた胸にカットが入ったワインレッドのワンピ&ジャケットと、後半パーティの場面で着てたドレス。シンプルで上品で素敵だー。欲しい! いやたとえ同じのが手に入ったとしても私じゃ着こなせないけどさ。美人はいいなあ。


しかしこの映画、ちょっと前の私だったら、ビデオでいいや、と思ってたんじゃないかな。こういう割と地味めな作品までいちいち観に行ってしまうあたり、最近映画館がクセになってる証拠。




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ハイ・クライムズ 【HIGH CRIMES】

2002年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:カール・フランクリン
出演:アシュレイ・ジャッド、モーガン・フリーマン
ジェームズ・カヴィーゼル
(劇場鑑賞)


2002年06月20日(木) アイ・アム・サム


知的障害のためおよそ7歳程度の知能しかない主人公のサム(ショーン・ペン)。養育能力を問われて不本意に娘と引き離されてしまった彼が、ミシェル・ファイファー扮する弁護士と共に娘を取り戻そうとする姿を描く感動作。

そう、感動作。
…なんだけど、もともと映画で泣くことがほとんどない私はやっぱり今作でも泣けなかったです。先に観た人達は口を揃えて「泣けたー!」と言ってたし、実際すすり泣く声があちこちから聞こえたりして館内ウェットなムードだったのですが。う〜ん。どっちかというと私は、主役である無垢な父娘の姿よりもミシェル・ファイファーがショーン・ペンに向かって自分の感情を吐露する場面に、じんときてしまった。仕事ができてお金もある有能な女性だからといって、それであらゆる不安が免除されるわけじゃないんだな、と。そう思うと救われるような気がするし、逆にやりきれなくもあり、なんだか不思議な気持ちになったのでした。人は人であるという時点で、根本的に同じフィールドに立たされている部分があるのかもしれない。社会的地位や能力には関係なく。

ちょっと前に見た「アトランティスのこころ」でも書いたような気がしますが、最近子役が達者な映画が多いですよね。サムの娘・ルーシー役の女の子、ダコタ・ファニングちゃん、とても可愛らしくて、上手でした。いっそあざといくらいの名演。あ、それと、全然関係ないけどダイアン・ウィーストって歳とったなあ。

サムとルーシーの親子中心の話でありながら他にも考えさせられる要素が色々あって、なかなか見応えある映画だと思いました。でも上映時間がやけに長く感じられたんですけど。どうも私は人間ドラマ系の話で二時間超えるとダメらしい。堪え性なさすぎです自分。



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アイ・アム・サム 【I AM SAM】

2001年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:ジェシー・ネルソン
出演:ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、
ダイアン・ウィースト、ダコタ・ファニング
(劇場鑑賞)


2002年06月19日(水) ニューヨークの恋人

19世紀の英国貴族が時を超えて現代のニューヨークに迷い込んでしまい、そこでキャリアウーマンと運命的な恋に落ちる、というお話。「犬夜叉」?いや、これは逆か。「王家の紋章」、…も違うな。とにかく設定はすこぶる非現実的なのですが、これがなかなか楽しめましたです。主演メグ・ライアン、ラブコメ女王の魅力全開。彼女はやはりこういうの似合うと思います。作品自体、とっても王道ラブコメ的な仕上がり。


そしてなんと言っても「ソードフィッシュ」以来ヒュー・ジャックマンがお気に入りの私としては、彼のロマンチスト&フェミニストぶりにもうメロメロでございます。ていうか19世紀の貴族ってみんなあんななんですか? それなら私も19世紀に生まれたかったよビバ貴族! だってねえ、朝起きたら既に朝食を作っておいてくれるんですよ。にっこり笑って「チーズと苺のトーストだよ」ってヒュー・ジャックマンが! 夜はソファでまったり過ごし、眠くなったらお姫様抱っこでベッドまで連れてってくれるんですよ、ヒュー・ジャックマンが! おまけに「行かないで。ここにいて」とか甘えれば、添い寝までしてくれるんですよ! っかー!たまらん。結婚してくれヒュー・ジャックマン!

寂しい独身女ぶり丸出しの感想ですみません(いつものことだけどな)。話の筋よりそういう細部がいちいち 羨ましくて 気になって仕方なかったです。制作者側もそこが狙いだと思うけどさ。そりゃタイムスリップでもして19世紀から連れてこない限り、こんな都合のいい男がいるわけないよなあ。これでこそ映画だよなあ。映画の世界っていいなあ。
でもこれ、逆に男の人にとっては煙たい作品かも。観た後は、思わず男性に必要以上の過剰なサービスを求めたくなってしまいますもの。

*気に入ったので公式サイトも紹介しちゃえ。 →こちら! 作中でヒュー・ジャックマンがしたためた古風な恋文が迎えてくれます。



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ニューヨークの恋人 【KATE & LEOPOLD】

2001年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン
(劇場鑑賞)


2002年06月13日(木) アリ

ウィル・スミス格好良かったなー。今までの彼と違う人に見えたよ。鍛えられた美しい肉体。と、あのリズミカルな喋り方。さすがミュージシャン。この徹底した役作りは評価すべきだと思う。

そして全編通してスタイリッシュな感じの映像。こういうの、何て言うんだろう。どことなくドキュメンタリーっぽい撮り方、そのバックで場面に見合った印象的なサウンドが割と長めに(ほぼ一曲まるごと、とか)流れてる。ていうかむしろ曲の方を強調してるような?台詞も少なめで。もちろんそういうシーンばかりではなく、急に音楽がなくなってリアルな効果音のみになったりして、その転換がカッコイイ。うん、そういえば音楽も全般すごく良かった。


…などと外側からの感想しか思い浮かばないのは、私がモハメド・アリについて何も知らないからなんだろうな。アリについて、あと黒人問題についてきちんとした知識があれば全然違った見方ができ、そして内容に触れたコメントもできたのだと思います。1964年にヘビー級王座を獲得してからその後およそ10年間の波乱に富んだアリの半生が描かれていて、マルコムXとの関係、数度の結婚、徴兵拒否など、予備知識がない私はついていくのがちょっと大変。後からパンフレット読んで、ああそうだったんだ!と理解した部分が結構ありました。2時間半がちょっと長く感じたなあ(実際長いけど)。あ、映像はほんとに印象的でした。



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アリ 【ALI】

2001年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:マイケル・マン
出演:ウィル・スミス、ジェイミー・フォックス
ジョン・ボイト、マリオ・バン・ピーブルス
(劇場鑑賞)


2002年06月12日(水) 少林サッカー

笑える〜。私は普段ほとんどハリウッド物しか観ないので周星馳さんの作品は初めてでしたが、ウワサ通りの楽しい映画でした。序盤の、饅頭屋台の前でお客さん巻き込んで踊るシーンなんてもう最高(特に途中から参加してくるあの個性的な男性は強烈なインパクトでわたくしの脳裏に焼き付いております)。それで主人公が後からそのことを報告するのに「兄さん、聞いてくれよ!今日饅頭屋ですごいことがあったんだ!」とか言っちゃって、この“饅頭屋ですごいこと”っていうフレーズが妙にツボでまた笑いました。なんかこの言い方可笑しくないですか。“饅頭屋ですごいことがあった”って、どんなすごいことかと思いますよ。つーかそんな地味な部分にいちいち反応して笑ってるのは私だけだったけどさ。でも面白かったんだもん。(全然ネタバレではないですがストーリーに触れてるので隠してみました)

いや、ええと、そういう話ではなくて。サッカーです、サッカー。でもサッカー映画というよりは少林寺映画?というか根本的にはコメディ映画?(そりゃそうだ)
いかにもベタな感じのギャグ満載。ボールが壁にめり込んだりとか、宙を歩いたりとか、瞳の中に炎が燃えてたりとか、馬鹿馬鹿しい演出に心血注いでるところが素晴らしい!(←誉めてます一応)  なんだか昔マンガで見たことあるシーンを実写で再現してくれてるようで、思わず笑っちゃうんだよね。こういうくだらなさ加減って爽快で良いなあ。…や、誉めてるんですよ、ホントに。楽しいです。

なんかね、今こうして冷静になって考えるとそんなに大笑いするほどでもないじゃん!とも思うんだけど、でも出演者達の熱いノリに巻き込まれてしまったというか。会場(映画館)も一体となって、さあ来い!笑ってやるぞ!的な空気だったんだよねー。好き嫌いはあるかもしれませんが、何にも考えず素直に笑いたい人にはおすすめです。


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余談ですが、今回この作品を、ちょっと前にオープンした品川プリンスシネマで観てみました(東京・品川プリンスホテルに併設されてる映画館)。全席指定らしくて(料金は通常通り)、先にチケットだけ買っておけば並ばなくてもいいのでなかなか快適。ネットで席の確保もできるとか。レディースデイも普通にあるので今後活用しようと思ってます。

そしてココには同時にアイマックスシアターもできたそうで…。新宿のアイマックスが閉鎖される時に嘆いた私は何だったんだ…。「美女と野獣」もやってるし!(→1/23日の日記参照)



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少林サッカー 【少林足球】

2001年香港 / 日本公開:2002年
監督:周星馳(チャウ・シンチー)
出演:周星馳(チャウ・シンチー)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)
(劇場鑑賞)


2002年06月05日(水) パニックルーム

豪華なタウンハウスに引っ越してきたばかりの母娘と、その家の内部に隠された遺産を狙う侵入者との一夜の攻防戦。作品の大部分がこの一夜(正確に言えば深夜から明け方までの数時間)の出来事を描き、舞台もほとんど“パニックルーム”を中心とした屋内のみ。

閉鎖された空間が舞台でありながら、なかなか上手く引っ張ります。状況が二転三転するのでハラハラ感が断続的に訪れていい感じ。カメラワークもさすがに凝ってるという気がしました。デビッド・フィンチャー流のこだわりってやつですか。鍵穴から寝室までワンカットで駆け抜けるシーンなんて、こっちも思わず息継ぎせずに見てしまったよ。苦しかったよ。え?私だけ?(多分な)
ただ、ラストはちょっとあっけなかったかも。ストーリーがどうというより、純粋に過程を楽しむ映画だと思います。

こういう、ジョディ・フォスターの、危機的状況を体当たりで切り抜けていく演技が、私はとても好きなんだよね。非常に使い古された言い方で申し訳ないんだけれども、「知的な美しさ」は、やはり彼女の魅力だと思う。今作では怜悧なだけでなく感情的な部分も垣間見え、離婚直後の母親(という役柄上の設定なんです)らしい神経質さがうまい具合に出ています。

そうだ、一瞬でしたがニコール・キッドマンの声のカメオ出演も確認できました! ほんと一瞬なんだけど。あと何だか音響がやたらと良かった。その点映画館で観て正解でした。

しかしS○NYさん(←伏せ字の意味なし)、見事な宣伝ぶりでしたな。“パニックルーム”内8台のモニタ全てにメーカー名が入ってて、スクリーンに映し出されるたびにそりゃもうCM効果抜群。さすがぁ。




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パニックルーム 【PANIC ROOM】

2002年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジョディ・フォスター、フォレスト・ウィテカー
ジャレッド・レト、クリステン・スチュワート
(劇場鑑賞)


2002年06月02日(日) ガタカ

自分を、自分たらしめているものは何なのか。

イーサン・ホーク演ずる主人公は、自分の夢のために、自分自身を捨てます。彼個人の肉体的痕跡全てを排除しながら他人になりすまし、たとえいつか夢が実現したとしても、それは自分であって自分ではない。
一方で、遺伝子操作により生を受け完璧な遺伝子を持ちつつも、不慮の事故で障害者となってしまったジュード・ロウ。隠れて暮らしながら自身の遺伝的特徴だけを黙々と提供し、データ上でのみ存在している彼もまた、自分であって自分ではない。

旧世紀のサイエンスは要素還元主義に基づいて発展し、遺伝子まで辿り着きました。生身の一個体と、それを突き詰めて行き着く遺伝子。客観的絶対的情報としての遺伝子。ゆえに人は、生まれ持った遺伝子によって全てが決まってしまうものなのか。本当に?
主人公の生き方に投影して描かれるのは、そうした「遺伝子に挑戦しようとする“意志”の力」だと思います。兄弟の相克、ジュード・ロウとイーサン・ホークの関係、事件の真犯人、医師の言動、そしてそれぞれの結末…、など、SFでありながら人間ドラマ風な印象が残りました。

脚本的につっこみたいところもないわけではないのですが、でも私はこの映画好きだな。まず主演の夫婦が好きですし(常にキャストによって作品の好き嫌いがわかれるミーハーな私)。いや、この時にはまだ夫婦ではないか。これがきっかけで結婚したんだっけ?

あとはジュード・ロウ。惚れたよ(またか)。「A.I.」のジゴロ・ジョーにも違う意味で惚れたけど。本作での彼は、すごく切ない。
そして切ないと言えば音楽。出たなマイケル・ナイマン! 好きだ!(またか) 内容がどうあれ、鈍くうねる灰色の海にこの人の旋律が重なればもうそれだけでドラマチックな雰囲気は半分完成したようなもので、何だかちょっと反則だなあと思いながらも私は、ついつい画面に引き込まれてしまったのでした。




ところでこの「ガタカ」っていうタイトルは、…あ、カタカナで書いちゃうと何の意味もないか。つまり、「…GATTACA…」、なんですよね? 私は観終わって初めて気付いたのですが、なるほどそう考えると、オープニングのキャストのクレジットなんてなかなか意味深い演出だなあと思いました。
(全然ネタバレではないのだけど何となく隠してみる)




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ガタカ 【GATTACA】

1997年アメリカ / 日本公開:1998年
監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ
(ビデオ鑑賞)


2002年06月01日(土) ファイナルファンタジー


この映画にはCGに混じって一人だけ本物の人間が出演してるらしい!(笑)という昨年秋の公開時に仕入れたウワサ(というかジョーク)を当時私はさっそくサイトの日記でネタにしてましたけれども、今回確認したところやっぱり全てCGで生身の人間は出てませんでした(当たり前)。


ものすごく宣伝してた割にはヒットしなかったですよね(失礼)。声優さんも錚々たる顔ぶれ(下記参照↓)なのに。

うーん、何となく、地味な印象なんだよね。CGキャラをまるで生きた人間のように作り込んだことがこの映画のひとつのセールスポイントなのですが、それが逆に仇になってしまった、…と言ったら言い過ぎでしょうか。CGの人物が走る、微笑む、声優さんに合わせて口元の筋肉を違和感なく動かす、そうした何気ない動作ひとつひとつをこのレベルに作り上げるって、確かにすごいことなんだろうと思う。思うんだけど、でも私みたいな素人には、その専門技術的なすごさが実感としてよくわからないわけです。だから、映画としてのインパクトがもうひとつ欲しい、なんて思ってしまう。

いや、リアルを追究したことが間違ってると言いたいのではなくて、例えば観てる人を反射的に惹きつけるような、いかにもCGならではのド派手な映像の見せ場が一ヶ所くらい盛り込んであってもよかったんじゃないかということ。ばばん!と召喚獣出したりとか。だってファイナル“ファンタジー”なんだから。“リアリティ”ではなく。バハムート登場とかアルテマ発動とか、ぜひスクリーンで見てみたかったぞ。スーファミ時代からのFFファンとしては。

ストーリーもちょっと弱いかなあ。「ファントム」という地球外生命体に侵略されている人類の危機を描いているのですが、あまり緊迫感が感じられなかったです。どれくらい危機なのか、主人公の行動の意味は何なのか、いまいちピンとこない。オリジナルな世界観(設定)の構築というのはゲームにおいては非常に重要なことだと思いますが、映画である以上、短時間で観客を引っ張るわかりやすさも必要ではないかと。

FFのテーマ曲が使われなかったのも残念。エンディングであのテーマ曲が流れてほしかった。植松大先生、名前だけでも関わることはできなかったんでしょうか。坂口+植松、それでこそFFだよ!ねぇ!どうです?違いますか皆さん!<落ち着け


あああ何だか偉そうなことばかり書いてすみません。もしも万が一□社関係者の方がいらしたら本当にすみません(土下座)。一人でエキサイトして毒舌全開ですが、私これでもFF大好きなんですよー。何て言うか、ゲームにおけるFFの優れた特徴が映画では裏目に出てしまったような気がして、それが、ファンとして、悔しいのです。


内容とは関係ないけど、DVD特典の「ゲーム版FF1〜10フィルモグラフィー」が個人的にかなり嬉しかった。懐かしいねえ(遠い目)。そういえばもう11が出たんですよね? どうなんでしょう。面白いのでしょうか。なんかオンライン専用だそうで、私のようなアナクロ年寄りには手が出ません。…ていうか私FF10まだ終わらせてないんだった…(ほんとにFF好きなのか)。



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ファイナルファンタジー 【FINAL FANTASY】

2001年日本・アメリカ / 日本公開:2001年
監督:坂口博信
声の出演:ミン・ナ、アレック・ボールドウィン 、ジェームズ・ウッズ
ドナルド・サザーランド、スティーブ・ブシェミ
(DVD鑑賞)


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