Experiences in UK
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2004年12月27日(月) 第71-72週 2004.12.13-27 リーズのクリスマス・マーケット、修道院廃墟と大庭園の共存

クリスマスウィークに入ってから日に日に交通量が減少し、25日(土曜)のロンドンは日本の元旦のように閑散としています。

(リーズのクリスマス・マーケット)
19〜21日にかけてイングランド北部への小旅行に出かけました。ロンドンから真っ直ぐ北に伸びる高速道路M1を終点近くまで約3時間北上すると、「北のナイツブリッジ」と呼ばれる商業都市リーズに到着します(ナイツブリッジは、超高級デパートのハロッズを中心に有名ブランド・ショップが軒を連ねるロンドン市内でも有数のお洒落な界隈)。

今回の小旅行の最大の目的は、リーズにあるクリスマス・マーケットの見物です。ここのクリスマス・マーケットにはドイツからやってきた屋台が多数出店して、英国にいながら本場ドイツのクリスマス・マーケットを味わうことができるとのことでした。やむを得ずキャンセルしたドイツ旅行の代わりとして、リーズでそのミニチュア版の雰囲気を味わうことにしました。

聞き及んでいたドイツのクリスマス・マーケットの特徴であるグリュー・ワイン、ソーセージ、木製玩具などを売る50店ほどの屋台が街の広場に集結しており、店員をはじめとして聞き慣れないドイツ語を交わしている人たちがそこここにいました。
グリュー・ワインとは、甘くて暖かいワインのことで、日本の甘酒みたいなものでしょうか。マグ・カップに入れて売られており、同じマグ・カップでお代わりをすることができ、帰る時にカップを返すとカップ代が返金されるシステムになっています。もっとも、我々もそうですが、多くの人は記念にカップを持って帰ります。

ワインを飲みながらの屋台めぐりは、日本での夜店めぐりを想起させるものがありました。ただし、クリスマス・マーケットに出店しているのは主に大人向けの屋台であり、落ち着いた雰囲気がある点は夜店見物とは異なります。本場ドイツのものと比べるとぐっと小規模なものだとは思いますが、クリスマス・マーケットの雰囲気を手軽に感じるには、リーズを訪れるだけでも十分のような気がしました。
また、リーズの街自体も、活気にあふれていて楽しい街でした。ガイドブックによると、イングランド北部の人々の間で住みたい街として人気が高いらしいのですが、そんな街の勢いのようなものが感じられました。

(ヨーク)
翌日に訪れた街ヨークは、ヨーク大聖堂を中心にぐるりと城壁で囲まれた歴史の趣がある街でした。ヨーク大聖堂は、英国国教会において、南のカンタベリー大聖堂に対して北の本山とされる教会です。
ヨークのガイドブックの冒頭には「ヨークの歴史はイングランドの歴史である」というジョージ六世(現エリザベス女王の父)の言葉が引用されています。その言葉どおり、ローマ人の駐屯、アングル人やヴァイキング、ノルマン人による侵攻など、北部イングランドの拠点都市として英国の歴史の痕跡がそこここに残された街でした。

英国でもっとも保存状態が優れているとされる城壁の内部は、大部分に車両規制がひかれています。小さな路地が入り乱れた城壁内には古い街並みがそのまま残されていて、様々な個性的な商店が軒を連ねており、そぞろ歩きを大いに楽しむことができます。
大聖堂は、カンタベリーと比べるとやや小振りながら、数百年をかけて完成されたというだけあって一見の価値有りの立派な建物でした。カンタベリーの方が有名であり、周囲の賑わいも勝るのですが、私にとっては落ち着いたヨーク大聖堂近辺の方が好感を持つことができました。

さすがに北イングランドは寒さがひときわで、ヨークでは雪が降りしきっていました。我々にとって、今シーズンにおける初雪でした。

(修道院廃墟と大庭園の共存)
今回の旅で最後に訪れた街リポンは、やはり大聖堂を中心にした歴史の痕跡が色濃く残った街でした。
リポンの郊外に、ファウンテンズ・アビイという修道院の廃墟があります。中世には千人あまりの人が暮らしたという大規模な修道院があったのですが、ヘンリー八世による宗教改革(ローマ・カトリック教会と絶縁して新たに英国国教会を設立し、カトリックに関係のある修道院等を悉く破壊。16世紀前半)で取り壊され、廃墟がそのまま放置されています。ただ放置されているのではなく、修道院廃墟の周辺に小川や池を配した大規模なウォーター・ガーデンが造成されていて、一帯がユネスコ世界遺産に登録されています(管理しているのはナショナル・トラスト)。

中世の残滓としての廃墟と人工の近代的大庭園の取り合わせは、歩いていると奇妙な感覚を呼び起こします。必ずしもメジャーな観光地ではありませんが、この奇妙な取り合わせの修道院廃墟は、自然環境と調和した美しい庭園とともに、訪れる価値のある場所だと思いました。


2004年12月13日(月) 第69-70週 2004.11.29-12.13 グルメ・バーガー・キッチン、ロンドンのドイツ村

(グルメ・バーガー・キッチン)
パットニーのハイ・ストリートに、かねてから気になっていたハンバーガー・ショップがありました。グルメ・バーガー・キッチン(gourmet burger kitchen)という名のその店は、いつ見ても超満員で、客が列をなしていました。
先日、比較的すいている時間帯にたまたま店の近くを通ったので、テイク・アウェーで購入してみました。店名の通り、日本にもいくつかある高級路線のバーガー・ショップです。

どういう具合に「高級」なのか?素材と調理法にこだわり(もちろんオン・デマンドで調理する)、オリジナリティに富んだ各種バーガーはどれも魅力的で、私がセレクトしたブルー・チーズ・バーガーはチーズ好きの私には大変に美味でした。
食べる前にぎょっとするのが、バーガーのサイズです。ビッグ・マックの三倍ほどありそうな巨大バーガーが標準で(小さめのジュニアでもビッグ・マックより大きい)、食べるのには大いに苦労します。価格は、一個7〜8ポンド(1500円くらい)と高めですが、納得の味と分量でしょう。

同店のウェッブ・サイト(www.gbkinfo.co.uk)を覗くと、「グルメ・バーガー・キッチンは、厳選された新鮮な素材を使って栄養価が高くて洗練されたバーガーを作ってきた」とあり、他の凡百バーガーとの違いを長々と説明していました。同サイトによると、メディア等で「バーガーのロールス・ロイス」などと持ち上げられているとのことです。
厳選素材だけではなくて、分かりやすいこだわりが人気の秘密のような気がします。日本人にとっては余りに大きすぎるので、日本進出は難しいでしょうが。
現在、ロンドンには六店あるそうです。

(ロンドンのドイツ村)
実は先週末から、クリスマス・マーケットめぐりを主目的としたドイツ小旅行を予定していたのですが、諸般の事情からキャンセルせざるを得なくなりました。そこで、ドイツ気分を少しでも味わうために、近くのドイツ食材店でソーセージやドイツ・ビールなどを買い込んできました。

うちから車で15分程度のハムという町(ハム・ハウスのある所)に、数軒のドイツ商品を売る店が集まっている場所があります。肉屋さん、パン屋さん、ワイン屋さんなど、どれもドイツ人向けにドイツのものを売っています。確認はしていませんが、周辺の住宅の様子もどこかイギリスっぽさがないので、ドイツ系の人たちが集まっている地域なのかもしれません。
駐車場には、ベンツやポルシェなどドイツ車が目につき、英国のものとは異なる趣のナンバー・プレートを付けた車が数台止まっていました。

我々の目当ては、なんと言ってもドイツのソーセージです。これまで英国の食材で口に合わないモノはいくつかありましたが、いまだに甚だしい違和感が消えないのが、パリッとした感じが全くない英国のふにゃふにゃソーセージです。イングリッシュ・ブレックファーストなど伝統的な英国料理にソーセージは付きものですが、必ずふにゃふにゃソーセージか出てきます。我々日本人がよく食べるパリッとしたソーセージは、スーパーなどでもまったく見かけられません。ドイツから輸入したパリッとしたソーセージも店頭に並んでいてもいいと思うのですが、なぜか全く見あたらないため、ドイツ食材の専門店で買い求めるしかないのです。

この日は、おやつにドイツ・パンを食べ、夕食時にドイツ・ビールを飲みながらドイツ・ソーセージを食しました。ビールに関しては、味覚が完全に英国化しているせいか、あまり美味しく感じられませんでしたが・・・。

(ナーサリー授業参観)
先週水曜は、三歳の長男が通うナーサリー・スクール(幼稚園・年少組に相当)の今年最終日でした。園児たちがお芝居を演じるというので、午前中だけ休暇を取得してビデオ片手に親バカ参観に出かけました。
30分程度のお芝居で、子供の話すせりふはほとんど無くて筋はよくわかりませんでしたが、20〜30名くらいのこどもたちが、それぞれに工夫した衣装を身にまとってナーサリー・ライム(マザー・グース)と呼ばれる英国の童謡を唄い、踊っている様は微笑ましいものでした。

長男は、シェパード(羊飼い)の役でした。事前に先生から、羊飼いにふさわしいガウンのような衣装を持たせてください、と言われていたのですが、そもそも羊飼いの着用するガウンのようなものとは一体何なのかがよく分からず、また子供の着るガウンもなかったので、似たようなモノだろうという勝手な判断のもと、洋服の上に浴衣をまとわせて送り出しました。
本人はお芝居(お遊戯会?)をエンジョイしていたようですが、見ていた方からすると、ただでさえ白人のこどもたちとは髪の毛の色や容貌が異なるのに、着ているものまで頓珍漢だったので、完全に浮いているなあとちょっと冷や汗ものでした。もう一人いる日本人の子供は、クリスマス・ツリーの役ということで、それっぽい衣装を身につけて溶け込んでいたのでなおさらでした。
自分が浮いていることなど長男本人は何も分かっていないので、親としては無責任に「まっいいか」と考えているのですが、見ていた英国人の父兄にとってはかなり異質感があったことでしょう。感想を聞いてみたいものです。


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