MEMORY OF EVERYTHING
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2002年09月19日(木) 本物・偽物

自分が本物かどうか。

誰がわかる?

私はまだ、自分についてよく知らない。

そして誰もが、私についてよく知らない。

まだ少しも動いていない自分を、そのうちきっと、伝えてみせる。

自分だけじゃない、周りの世界に。


2002年09月09日(月) catch your eyes

今夜もまた、アイツの目はオレを光のように射抜いた。
目を閉じると、その代わりに記憶の中でアイツの瞳が開く。

「目が印象的」だとか、「神秘的な瞳」だとか、小説なんかに出てくるそんな表現を、いつもオレは莫迦にしていた。
現実では、他人の目なんかそんなに印象に残りはしないのだ。長いまつげの下だったり、はれぼったいまぶたの傘を被っていたり、眼鏡の奥にひっそりと隠れていたりするだけで、それはただの真っ黒いコインに過ぎないのだ。

少なくとも、アイツ以外のヤツはそうだった。

アイツのあの目に初めて出会った時、身震いしたのを覚えている。
多分その時、アイツはオレを憎んでいたわけでも、欲していたわけでも、羨んでいたわけでもなく、まして好き好んでいたわけでもなかったに違いない。
しかし、その時のアイツの目には、何か強い感情があった。
――いや、実際は本当にただオレがそこにいたから、だから見上げた。それだけだったのかもしれない。
それならそれでも今はいい。オレが感じた何かがアイツにあったのは確かだ。
そしてアイツは結局、オレを忘れられなくなった。
オレがアイツを忘れることがないように、アイツも恐らくどこまででもオレを追ってくるのだ。
アイツはわかっているだろうか。
おい、知ってるか? 「惹かれ合う」って言葉さ。

追いつ追われつして成立するオレたちの関係、オマエのその目で今はオレの背を見てるがいい。
いつか近いうちに必ず、オレは逆襲してやるよ。

これ以上近づけないくらいに目と目を合わせて、オマエを身震いさせてやる。








さあ。明日はどこで会おうか?
――そうだな、この国で一番でっかい銀行の屋上で、待っていてやるよ。


2002年09月08日(日) 吐き気のもとを吐き出すために

ネット上の、例えば小説などを読むことで、泣いたりすることはあまりない。
笑うことはある。でも、泣くほどの強い影響を及ぼされることはほぼない。
ショックを受けることもそうない。
間違ってアダルトサイトを開けてしまったとしても、「よくあることだ」で事が済む。

しかし今、この深夜にネットを回っていて私は、心から吐き気をもよおしている。
その原因を吐き出してしまいたい。そう強く思うので、とりあえず、ここへ記しておきたい。
誰も見なかったとしても、誰かに伝えられる可能性があるのはここしかないから。

この気持ちの原因は、恐らくひとつではない。
だがそれは、大きく2つの事柄に分けられる。

「盗作」と「荒し」だ。

今の私が最も優先するもの、それは恐らく「ルパン三世」だ。
・・・ちょっと待って、オタクの話をしようと言うんじゃないんだ。
その「ルパン三世」に現在、ある「盗作」疑惑が浮上している。

2002年9月6日に発売された、ルパンのタイピングソフト。
そのパッケージに描かれたルパンのイラストが、あろうことか、あるファンサイトの管理人のイラストのパクリだと言うのである。
もちろん、アドレスもその情報と共に掲載されていたので、実物を両方拝見した。
確かに似ていた。いや、正直、ほぼ同じだった。
ここで私がハッキリと「盗作」であると言い切るのはあまりに危険なので控えておくが、「その可能性がないとはいえない」のは確かである。

その問題により、何箇所かのファンサイトはもちろん、公式サイトのBBSにも、批判的意見が募りつつある。
ルパンファンを自負する以上、気にならないわけは無い。いろいろな意見を、いろいろな場所で見させて頂いた。
「盗作」をした、という疑惑のある作画監督名は明白にされている。
今年のTVスペシャルも手がけた人だ。
もちろん、BBS等での発言の中で、その作画監督の擁護記事など1つもない。
今現在、凄まじい批判の嵐である。
オフィシャル側からは、今のところ何の返答も返されていない。

本当に「盗作」をしたのだろうか。
それは気になるところだが、実際、私が吐き気をもよおした原因は、オフィシャルが「盗作」を行ったという事実を仮定したからではない。
恐らくそれは、「疑惑」そのものに対して起こったのだ。

公式ページのBBSに集まる批判の数々。
その全てが、目に痛い。
オフィシャルを攻撃する書き込みを見る事が、ファンにとって気持ちのいいことであるわけはないのだ。
何故なら、それはあってはならないことだから。
作品は、オフィシャルのみに生み出される。オフィシャルを否定することは、意思ならずも、作品そのものを否定することになりかねないのだ。
ただでさえ、ルパンという作品の成り立ちは複雑である。
最近の作品には、賛成意見は殆どないといっても過言ではなく、昔を懐かしむ声や、改善を求める声、様々な批判。それらが痛烈につきまとっている。

何故そこまで言われながらも、もしくは言いながらも、ルパンという作品を好きでい続けることができるのだろう?
その問いに答えることは、自分でもできないのだ。
いつ見限ってもおかしくない状況まできているのだ。ルパンという作品は。
それでも、どうしても、嫌いになれない。
好きだから、だから、今、涙が出るのだ。

有名になればなるほど、透明な水の中で泳ぐのは難しくなる。
がんじがらめになって、それでも底の見えない濁った水中に沈んでいる、自分の愛する「作品」を・・・・・・もう、見たくないのだ。

実際に盗作があったかどうかはともかくとしても、今はとりあえず、オフィシャルの返答を待ちたい。オフィシャルの対応が、私のこの吐き気を、吹き飛ばしてくれるようなものであることを、期待したい。
ファンと作品=オフィシャルが、通じ合えることを祈りたい。

事件そのものについても考えてみたいとは思うのだが、私は盗作について、意見をいうことができるほどの知識がないのだ。
ファンサイトが著作権を違反しているかと言えば、「言えないことはない」と、それくらいしかわからない。悪意がなければ訴訟の相手にならないのかと問われても、「そう信じたい」と、そう言うしかない。
オフィシャルがあってこそファンがある。
その当たり前の関係が、本来、尊重し合うべき関係が、お互いを縛っているのが、哀しい事実である。



もうひとつは、口で言うだけならいたってシンプルなものである。
ルパンのゲーム関係の公式ページにおける掲示板で、見るに耐えない「荒し」が発生している。
私は、ツリー掲示板の見方がいまいちよくわかっていないのだが、管理側が記事を削除した場合、「削除記事」というタイトルの、内容のカラッポな記事が形として残るらしい。
その「削除記事」というタイトルを使って、ファンによって書き込みされる正規の記事ひとつひとつに、悪意のあふれる返信を行っているユーザーがいる。
つまり、「削除記事」というタイトルを本物だと思ってクリックすると、実際はただの悪口ばかりの書き込みが現れる、という仕組みである。
目にあまる、とはこのことだ。
悪口というのは、言う時も、言われる時も、言葉を見るだけですら、きまって気分の悪くなるものである。公式ページでのそういった行為。目にする人はたくさんいる。
こちらは一言で感情を表せる。「許せない」。怒りを感じる。
更に、(恐らく「いい意味で」、というべき)血の気の多い利用者は「荒し」に対して反論や口論をけしかける。
確かにそれは、無視するにはあまりに、無視するこちらのストレスが一方的にたまるタイプの書き込みなのだ。
しかし、荒しというのは、反応があれば増長するものと相場は決まっている。
しかもその反応によって、次第にどちらが荒しなのかもわからなくなってくる場合が多い。

そのやりとりを、オフィシャルが見てどう思う?

ファンがオフィシャルを見限る前に、
オフィシャルに見限られることになりえないだろうか。

もちろん、現実的に言ってファンというのは「金ヅル」であるので、制作側から突き放すということはまずありえないが、マナーのないファンの存在は、結果として作品の質を落とすことに繋がる。

もうこれ以上、悪影響を及ぼしあうのはやめようと。

一体誰に言えばいいのか。


2002年09月02日(月) Where will you take me to?

私は重ねた両手の人差し指で引き金をひいた。
一瞬間、耳に入る全ての情報がその音だけに支配される。相変わらずの爆音だ。

あの朝、突然私の元にやって来ることになった黒い銃身は、だいぶ私の手に馴染んできていた。
射撃の反動にも、簡単には飛ばされなくなった。
最初の頃、近所の空き地で練習のために銃声を響かせていた時は、引き金を引く度に体が弾かれて、しつこい程に後方へ尻餅をついていた。
今、練習場所は郊外の廃墟ビルの地下に移った。空き地での妙音に人々が騒ぐことはなかったが、いつ銃を構えた自分の姿を目撃されてもおかしくなかったからだ。
あの朝から、確かに人生は想像し得なかった方向に動いていた。それまで過ごしていた毎日が、全て捨て去られたといっても過言ではない転換だった。
予期せぬ男の襲来はあれから幾度となくあったし、それらは全て、あの時と同じように銃弾に沈むと一瞬で霧散した。
本当にこちらの身が危うくなったこともあったし、もう少しで一緒にいた友人まで巻き込まれそうになったことすらあった。

しかしそうはいっても、自分の全てまでが一緒に変わったとは思いたくなかった。
住民は射撃練習をする私の姿を目撃しても、手元の銃が本物だとはまさか思わないだろうが、妙な噂を立てられるのは我慢ならなかったのだ。

そんな時に、偶然に見つけたのがこのビルだった。
周囲に人はほとんど来ないようで、以前だったら私でも好き好んで近づかないような荒れ果てた建物だったが、今はそれが幸いだった。
照明もろくにつかない、暗く薄汚れた部屋で、私は一人銃声を響かせる。
怖くもなかった。
もしここで何者かに襲撃を受けたとしても、手には心強い味方がある。
しかし――そう感じている自分に気づいた時、別の恐怖が心を覆った。

拳銃という武器を使うことを当たり前としている自分がいる。

謎の男は銃弾を受けて空気に掻き消える。
しかし、「普通の人間」だったらどうなる?

身の危険を楯にする時、私はこの銃で人間を撃つのだろうか?

いつか私はこの銃で、人間を撃つのだろうか?



私は人を殺せるのだろうか。


ゆり |MAIL

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