-殻-

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2003年07月28日(月) 世界が違う

君の言葉がわからないんだ。

僕にはもう、聞こえないんだ。


一度別れたその道が、交わることはあるだろうか。

望んだ訳でもなく、選んだ訳でもなく、

ただ行方の知れないその道の先を、

僕等は夢見ていいのだろうか。


今の僕には、踏み外す勇気はない。

道端の草叢を分け入って、君のいる道を探すことはできない。


遠ざかる君の声は、異国に吹く風のように乾いている。

そのひとつひとつの音が、音以上の意味を持つことはない。



2003年07月21日(月) わかっている

あなたの言いたいことはよくわかる。
でも、あなたの勝手な孤独に共感はできない。

僕にもそんなことを言っていた時期があった。
孤独は僕らを醜くするし、不思議と他人を遠ざけてしまう。
そんなオーラを、あなたは振り撒いているみたいだ。

幸せだ、なんて言えばあなたは卑屈に羨むだろう。
不幸を嘆けば、あなたは殊勝に蔑むだろう。

そんなあなたの想いを汲んだわけではないけど、
僕は愛情とは違う関係性をあなたにわかって欲しかった。
あなたの憧れる、映画のような恋など存在しない。
ここには、素敵に淋しく、果てしなく切ない現実がある。

ありきたりな幸せを安値で買うほどには、僕は落魄れてはいない。
醜悪な事実を抱え込んで、泥の中で咀嚼し続けるだけだ。
その足掻きや苦しさや、底なしの否定と寂寥を伝えたかった。

届かないままあなたは席を立ったけど、
あなただってわかっているはずなんだ。
あなたのその孤独は、あなた自身が勝手に作っているってこと。



2003年07月16日(水) 社会的動物の憂鬱な日々

ほんとはどこだ。
何をしたい。
夢はあるか。

大切なものはそこにあるのか。
なくしたものを数える勇気はあるか。

なぜなくしたか。
捨てたのか。
奪われたのか。
運命のいたずらと笑えるか。

怒りはあるか。
誇りはあるか。
道はそこにあるのか。

忘れてきたことはないか。
落としてきたものはないか。

夢も現も過ぎる幻か。
この手につかめるものはどれくらいなのか。

指の隙間から零れ落ちるのは砂のような時間。
失ったものとは全て、時間なのだ。









2003年07月11日(金) 独心

ひとりの気持ち、
ふたりの居心地。

近くにいて、触れ合っていても、
僕と君とはそれぞれにひとりで、
融け合うことはなく、

汗を交えてもそれは幻で、
君に分け入ってもそれも幻で、

僕等のこころはいつでもひとり。



2003年07月02日(水) 続々・あのことふたり

久しぶりに会ったと思ったら、
まるでマシンガンのように仕事の愚痴。

まあ、今に始まったことじゃないけどね。

本当に疲れ切っている時の君はやけに素直で、
いつもの気の強いワガママ娘とは別人のよう。
言うだけ愚痴を言った後は、神妙に反省している。

どうにもならないことはあるもので、
気にしていたらきりがない。
残念ながらそういう風に世の中は回っているみたいだ。

そう思い切るには君はまだ幼くて、
なんとかなると信じるからこそ絶望もしてしまう。

オトナになって欲しいような、
このままでいて欲しいような、

複雑な気分のままで君を部屋の前まで送った。

ほんの1時間ほどのドライブだけど、
君は少し落ち着いたみたいで、
ちょっとだけ穏やかな目をしてた。

そんなものなんだ。
気の持ちようだよ。

疲れたら、僕を呼べばいい。



2003年07月01日(火) 進言

先週末、出張で大阪に行った。
帰りの私鉄の中、僕はちょっと居眠りをしていた。

ぼんやりと聞こえてきたアナウンス。

「・・・奈良方面は、降りられた方が。」

降りられたほうが???

なんだ、その婉曲かつ殊勝な言い回しは。
寝ぼけた僕は一人でうけていたのだが、

何のことはない、乗り換え案内の
「・・・降りられたホーム(でお待ちください)」を
聞き違えただけだった。




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