-殻-
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今日、一つの終わりがあった。
僕は、自ら終わらせるということが、 こんなに辛いことだとは知らずにいた。 何か、大きな喪失感。 でも、失ったものの大きさは、 哀しいことに、 失ってみなければわからないのだ。 そして僕は、きっとこれから、 その重さに悶え苦しみ、のた打ち回るだろう。 それでいい。 台風が来ているというのに、 今、雨が上がっている。 鳥が一声、囀った。
言葉を綴らない間にも、僕の中にはどうしようもなく思考だけが流れ続けた。
それはまるでラジオからこぼれる聞きなれた流行りの音楽のようでもあり、 都会の街角の喧騒のようでもあり、 六月の止まない雨音のようでもあった。 夏は終わりを迎えようとしている。 何かを選ぶ代わりに、僕は失わなければならない。 それは当然のことなのだ。 季節が移るように、 君も僕も、変わってゆく。 それは、当然のこと、なのだ。 INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |