奇跡を信じて〜あれから〜
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 あの日の事

春なのに寒かったあの日の事
霧雨に誘われて病院へ向ったあの日の事

心がザワザワし病院へ向った最後の日の事

いつの間にか また冬

時の流れはとても早くて
心が置いていかれそうな そんな時があります

最後の日は

病院の数十メートル前で
弟から「血圧が低くなって来ているから
すぐに来て」と弟から電話が入った
もし私に胸騒ぎが起こらなかったら
死に目には会えなかっただろう

何度思い出しても出てくる言葉は
「間に合って良かった」
今までに何度も心からそう思ったよ

亡くなる数日前に
最後の時の処置を問われ
弟は「自然のまま」を望んだ
私は「一人ぼっちで逝かせる事のない様に
せめて私が到着するまでは
苦しまない方法で応急処置をして下さい」
そうお願いしてあった

私が病室に到着し手を握りながら
「ごめんね ごめんね 遅くなってごめんね
本当はもっと早く私を呼んでいたんだよね」
心の中で何度も叫んだ

医師が「これより御自分の力で呼吸をして頂きます」
そう言い酸素マスクを外し
ほんの僅か数秒、自分で呼吸をし
最後の一息の後、小さく首が垂れた

私は冷静でいなければならない
私は泣き崩れてはいけない
頭の中は自分を抑制する事ばかりを考えていた

病室に到着した時に私は手を握る前に
CDのスイッチを押したのだろうか?
そんなはずはない
亡くなった後で気付いたよ
高嶋ちさ子の「ANGEL’S DREAM」が流れていた事
シューベルトのアヴェ・マリアを聞きながら
Hは逝きました

1曲目はフォーレのレクイエム
4曲目はバッハの主よ人の望みの喜びよ
6曲目はシューベルトのアヴェ・マリア

やっぱり誰かがスイッチ押していたのね

昨年の8月
「高嶋ちさ子が好き」
昨年の9月
「一緒にヨーロッパへ行かない?」
そんな事を言い始め
「何しに行くの?」そう聞けば
「音楽家の墓巡り(笑)」と答えた

「桜の咲く頃までは無理でしょう」
その言葉を医師から聞いてから
桜の咲く季節がやって来ない事を願った

古くからの知人は
昔から桜の咲く季節を私が苦手としている事を
知っている
その季節を恐れている事も知っている
不思議ですね
生まれる前の遠い昔に
桜の咲く季節に何かがあったのかもしれませんね

今夜は
あの日の事を考えながら想い出に慕っていました

シューベルトのアヴェ・マリアを聞きながら
あの日に帰ってみました

私はいつまでも時々、あの日に戻ってみます
振り向いてみます
そして少しづつ前を進んでみます

2002年11月29日(金)



 砂時計を見ながら

今は、時に流されながら生きているけれど
好きな仕事が出来る事
それを当たり前だと思いたくない
それは幸せな事なのだから

流れを変えながら生きて来たから
今の私があるのかもしれない
そう私が望んだから

流れを変えたいと思えば変えられる
自分の心に従うだけ
そう
私は自分自身に語りかけてきたつもり
自分を愛して 
自分を認める
それが流れを変える事の始まりだったのかもしれない

その変化はとても穏やかで
最初は気付かなかった

望まない
求めない
私は「在るだけ」
そう感じた事が始まり

生きてる事も当然ではないはず
私が存在している事
息をしている事
とても大切な事なのだと
1秒づつ時は過ぎて行ってしまうけれど

そんな事を
子供の頃、大切にしていた砂時計
それを見ながら感じました

2002年11月26日(火)



 夢でしか会えないのね

Hが亡くなって7ヶ月が過ぎました

Hの夢を見た朝は
現実と夢のギャップから脱出するまでは
少しの時間が必要になります

感情よりも先に涙が出てくる事さえあります

私の誕生日にHが書いてくれた絵を見ながら
ゆっくりと夢から現実へ戻ってきます

Hが色鉛筆で描いた魔法の絵本です

Hは
逆子で生まれてきました
逆子で生まれて来た人は生まれる瞬間まで
この世に出てくる事を拒否しているのだと
聞いた事があります

Hは
何かを試す為に
この世に生まれてきた人だったのかも

Hに話したい事が沢山ある時は
夢の中で話せますようにと
「アブラカタブラ」などとつぶやいてみる
これって何の呪文でしたっけ(^^;
意味不明ながらも
意識を集中させ結構本気で唱えてみるんです
夢の中で会えるのは良いのですが
目覚めの時の混乱は少し辛いものがある

それでも会いたい夜は
「アブラカタブラ」唱えてみる

2002年11月15日(金)
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