ふうこの英国留学日記-その後

2003年12月25日(木) 強がり

この1年で一番変わったこと。
それは家族以外の前で涙を見せなくなったことかもしれない。

私はかつてよく泣く女だった。好きな男の前でよく泣いていた。
でも、今は一人の時にしか泣けなくなった。

心身ともに疲れきった私はクリスマスの夜も一人になりたくて家に帰る。
人といると気を使ってしまうので、ほっとしたくて一人になりたかったのに、一人になればなったで淋しさが募る。
夜道を一人荷物を抱えて歩いていると。。。涙が出てくる。
なんて心細いことだろう。
会いたい人に会えなくて、風は冷たくて、部屋は冷えていて、私の足先は凍えるようだった。

家族に何かあったとき、誰かの胸で泣きたいと思ってしまう。
何も言わないでただ肩を抱いて欲しいと思う。
強くなりたいと思っていた。でも今の私はただ強がることを覚えてしまっただけな気がする。
いや、強さというのは強がっているうちにそれが身についてしまうことを言うのかもしれない。

人前で泣かないというのは大人の女としてやはり必要な礼儀なのだろうか? そうだろう。
でも、まったく泣かない女というのもどうなのだろう。

誰かに泣いて甘えるということができなくなった今、ただ、この心細い落ち着かない気持ちを抱えたまま私の一人の夜は更けていく。



2003年12月23日(火) 17歳の祖母

祖母の容態が変化した。またひとつ生命としてのエネルギーレベルが下がったようだった。。うめき声も少なくなって、おっとりと静かな表情で眠るような感じの状態が増えた。容態が悪化したというのに、祖母の顔が苦しみからうっとりとした表情に美しく変わった気がした。不思議だ。
母に言それを、「そう、綺麗になったよの。。」とうなづいていた。

祖母のそばに座っていたら、母がちょっとこっちにいらっしゃいと言うので
居間に行ってみると、祖母が大阪から持ってきたアルバムや写真が広げられていた。そこで祖母の17歳のときの写真を見た。
写真の中の祖母は女子高のセーラー服を着て、目の力が強く、眉もきりっとして若い頃の私の母にそっくりだった。その後、祖母の60歳のころの写真を見ると、今年還暦を迎えた母とはまったく違った人相になっている。

同じような素地を持っていても、違ったタイプの人生を歩むことで女の顔は恐ろしいほど変わる。祖父が死ぬまで和服を着て、祖父に尽くしていた祖母の顔はその柔和さとともに、消極的・受身な雰囲気を身につけていった。

私は30年後、まだ生きていたらどんな顔になっているのだろう。
顔はその人の生き方の履歴書だと思う。
昔は男は、自分の顔に責任を持たなくてはいけないといわれたが、今は女もそうだと思う。



2003年12月20日(土) 父の入院

木曜日の夜、10時過ぎに帰ってきて留守電をチェックすると姉から電話が何本も入っていた。電話してみると、父が脳梗塞の発作を起こして入院したという。
最初は症状とかも良くわからないし、すごく不安になった。命には別状はないし、まだ意識もはっきりしてるらしいと聞いてほっとしたが、早く自分の目で父の様子を確かめたかった。
仕事は休もうと思えば休めるが、金曜日中締め切りの原稿があったのでとても休む気にはなれなかった。寝不足で体も心も重苦しい気持ちのままどうにか仕事を終え、帰りにそのまま父の病院に行こうかどうか悩んだが、面会時間が8時までで、私の職場から病院までは1時間以上あって行ってもすぐに帰らなければいけないので、諦めた。
土曜日、母とランチを食べた後、家に戻って着替えて父の病院に向かった。
母は祖母の介護があるので、私が今日父の所に行くことにしたのでほっとしていた。
病院に向かう電車の中で父のことを考えていた。
イギリスからやっと帰ってきて、このお正月はいろいろ話したりできると思っていたのに。。。父は当分退院できそうもない。
斜め前の座席に座っていた小学生の男の子が、父親らしき男性に話しかけているのが聞こえてきた。
「お父さん、**カード買ってくれてほんとありがとう。**が入ってたよ。僕これ欲しかったんだ。今日これ買ってくれてほんとうにありがとう。」
とその少年はカードを手に、上目遣いで嬉しそうに彼の父に言っていた。

この言葉を聴いた瞬間父への思いがあふれてきて涙がほろりとこぼれた。
ああ、私は父にいろいろなものを買ってもらったけど、こんなふうに素直に喜びを表すことをしたことがあったろうか。父との思い出が急にいろいろ甦ってきて、父に対する感謝とか、喧嘩したことと情景が甦った。
いっぱい喧嘩もしてきたけど、私にとっては本当にかけがえのない父で、怒られながらも、自分がいつもいかに父に励まされてきたかということに気がついた。
どんなに怒鳴られても、叱られても、私を決定的に傷つけることを言わず、一度も手を上げられたこともなかった。
私が着古した服ばかり着てると、もう少し、ましな格好をしろと叱りながら洋服を買ってくれた。親以外にだれが私がヨレヨレの格好をしている私のことを心配してくれるだろう。

父と4時間ほど病院で過ごした。
父の目は穏やかで、少し諦めと悲しみが混じっていた。
病院のベッドで横たわる父と見つめあっていたら、自分が父をこんなにも愛しているのだとまざまざと実感した。
去り際に、かすれた声で父はとても素直に「ありがとう」と言った。
気の強い父は普段私にいつも偉そうな態度で、ありがとうなんて滅多に言わなかった。
私は一人になって病院から駅までの徒歩30分位の道のりを木枯らしに吹かれ、ボロボロ泣きながら歩いた。
単に悲しかったのでもない、状況を悲観したのでもない、ただ自分と父の間にある愛情を確認し、でもその愛する父と一緒楽しむことができないことがこの先増えていくのだろういう、その変化の事実が泣けた。

私が日本に帰国してすぐ、就職活動中ランチタイムに父の事務所を訪れ、二人で父のいきつけの寿司屋に行った。父は「これ、うちの下の娘なんだけど、最近イギリスから帰ってきてね。。」とカウンターの向こうの親方に嬉しそうに私を紹介した。つい、一ヶ月前は母と私と父の三人で箱根の温泉に行き、川の字になって寝た。ああ、幸せだったなあと思う。

私も両親も、姉も友達もみんな年をとる。。。そして、少しずつ不自由がでてきたり、疲れやすくなったりしていく。その中で、愛する人も自分も変化していく。何かが失われていき、そのかわり老成しいく。
老いることを恐れたくはない。それは自然な変化だから。
でも時に、失われていくものを思って泣いてしまうことがあっても仕方ないんじゃないかと思う。



2003年12月16日(火) 意外と家庭的

今日は早く帰って、いろいろスーパーで食材を買ってきた。
突然こんにゃくが食べたくなったので、晩御飯は卵焼きと、こんにゃくとちくわのぴりから炒め、小松菜の胡麻和え、明日のお弁当にも持っていけるようにといっぱい作ったら。。。作りすぎ。↑こんなローカロリーなメニューもどんぶりいっぱい食べたら苦しくなるって。。。

ご飯食べ終わってお弁当用にこれらの残りをタッパーにつめていると、Fが帰ってきて、日本語で「ランチボックス!!ふうこはなんていい子なの!」と言ってくれた。照れて何も言い返せなかった。
彼女はそのあと、英語で言った。「ふうこは意外と家庭的だよねー。私の友達の中でもこんなにいい奥さんになりそうな子はぜんぜんいないよ。あー、私にいい男友達がいたら絶対推薦するのに。。。」

そう、中学生の頃からいい奥さんになりそう。。って言われたたのに、そう言っていた友達の大半はもうすでに結婚してて、私はまったくその予定も無い。それ以前に、料理とか家のことをきちんとしようとするのはいい奥さん?って発想はどうなの?

でも、私も結婚するなら料理の上手い人がいいなあと思う。。。一生家でおいしいものが食べられるかどうかはデカイ。。。
まず、最初に作ってくれる男の人もいないのにこんなこと言ってちゃね。



2003年12月13日(土) 一人の週末

週末に一人なんて久しぶり♪〜と歌っていたのは今井美樹。
昔、この歌を聴いたときはなんて傲慢なんだろう、それはいつもデートで忙しかったってことかい? と思ったが、気がついてみれば社会人になると週末しかゆっくり時間がとれないことが多く、週末に何にも予定がないというのは珍しいという状態が当たり前になった。

金曜の夜は、同居人Fと近所の焼き鳥やに飲みに行ったが昨日の土曜日は午前中の体操教室の後、本屋と図書館に寄って本を手にいれ、駅前のカフェでチョコレートケーキと紅茶を味わいつつ本を読み、あとは家に帰ってFが借りてきたビデオ「アイリス」を見て、一人で晩御飯を作って食べ、あとはまた眠たくなるまで本を読んで11時!?には寝てしまった。

日曜日の朝、この週末は久しぶりに晴れて、気持ちがいいので洗濯ものをとりこんだら、さあ、どこへ出かけようか。映画か美術展に足を運ぼうかとわくわくする。平日は毎朝6時半に起きているので、週末でも朝8時には目がさめてしまうので一日のはじまりが早い。

ふと気がつくと、週末をこんなふうにずっと一人で過ごすのは久しぶり、でもなんだかほっとしている。でも、こんな生活してたらどんどん一人でいることに慣れてしまう。慣れてしまっていいものか。。。
こんなゆったりとした気分の週末を一緒にすごせる相手がいないのはやはり淋しいかもしれない。週末、東京で私と映画や美術展に行ってくれる人募集中です。



2003年12月11日(木) 木蓮の涙


今日夜道を一人で歩いていたら歌いたくなってふとこの曲を口ずさんだ。

昔TVで聞いて、知らないバンドだったのだがあまりに曲が良かったので覚えようとしてなんとなく覚えてしまった歌だ。

今、ネットで歌詞を検索したらスターダストレビューの「木蓮の涙」という曲だということがわかった。もう何年も忘れていたのに、自分で歌っているうちにこの曲を初めて聞いたときの胸がしめつけられるようなせつなさが甦ってきた。

私は木蓮の花がとても好きだ。だからこの曲の「木連の花」を見ると死んでしまった愛する人を思い出し、あなたが来たがっていた丘に一人で登るというのがなんだか他人事に思えない。
人と別れるたび、悲しい思い出は増えていく。
行きたかった場所にもう一緒には行けない。

「いつまでもいつまでそばにいると言ってた。あなたは嘘つきだね。私を置き去りに。」

誰も私にいつまでもそばにいるとは言ってくれなかった。嘘つきはいなかった。嘘つきは嫌い。守れそうもない約束なんてしないほうがいい。
でも、一緒にまた来ようねと言った場所があった。木蓮の花を一緒に見た。
季節がめぐって、私の時間もめぐってこうして今も私は一人だ。

朝の通勤列車にもまれながらイヤホンで聞いているのはバグダッドカフェのテーマ曲、「Calling you」。10代の時につきあっていた男の子からもらたCD。
“OH, I'm calling you. Can you hear me? Oh, I'm calling you."
と美しく落ち着いた声が耳に残る。

私もこの歌のようにあなたを呼んでいる。強く、強く。きっと声にはならないけど、その思いは確実にある。私はあなたを呼んでいる。届きますように。きっと無意識のどこかであなたは気づいている。呼ばれていること。求められていること。でも、気づかないふりをしつづけるかもしれない。
気づきたくなければ、それは無いも等しくなってしまう。
でも、私は信じてる。私が呼んでいるあなたに会える日がくることを。






2003年12月10日(水) 風邪っぴき


えらそうなことを書いておいて風邪をひいてしまいました。
やはり睡眠不足がたたったようです。土曜日徹夜のあとは3-4時間しか寝なかったから。。。
月曜日は帰りの電車で吐き気がして、晩御飯も食べられなかった。
火曜日栄養ドリンクとコーヒーを流し込み頭痛に耐えながらも
どうにか一日仕事を終える。昨日よりはましな気分。
夜、楽しみにしてたドラマハコイリムスメ!の最終回を観る。
努力して英語ができるようになってアメリカ人と結婚という落ちにびっくり。国際結婚について考えるが、私はやはり日本で年をとっていきたいなと思う。
昨日作って食べられなかった水菜のサラダとおでんを食べる。
水曜日。。。まだ体調はイマイチ。
昼休みNYで大学を卒業した職場の同僚に国際結婚の話題になったら、
どんなにハンサムな人にプロポーズされても東京より寒いところには
住みたくない!と寒がりな彼女は言っていて笑えた。
夜はお風呂にゆっくり入って体を温める。
今週はどうにか無事に乗り切るだけで精一杯な感じ。



2003年12月06日(土) ルームメイト(女)の誕生日パーティー


この土曜の夜、我が家でルームメイトFの誕生日会を開きました。
22歳から33歳までのイギリス人3人、NZ人3人、日本人8人の計14人の人が遊びに来て、もう大変な騒ぎに。

楽しかったんだけど、すごーく疲れたよ。
やはりパーティーは主催するより参加するほうが楽ね。
でも、みんな楽しかったと言ってくれたし、F本人も
ありがとう!!と喜んでくれていたので良かった。

しかしいろいろとこのパーティの余波で問題が生じたり。。。
大人になるということは、難しいことです。
自分の時間と他人の時間。独身30代女の資源(時間・お金・体力)
は限られているので、シビアにならざる得ないところが。
大人であるっていうのはいろいろな問題から逃げられなくなる
ってことなのかも知れない。

もう、しばらく飲み会はお休み。。。
といってもそんなに飲んでいるわけではない。
このパーテーまで私はうちにワインオープナーがないことにも
気がつかなかったので、一ヶ月間自宅で一切のアルコールを飲んでいないのよね。
体調を整えて勉強と仕事に専念するためにはタバコ・アルコール摂取はは私には効率悪い。一週間の間の一番の楽しみは土曜日の体操教室だし。。。
アフター5はデータベースソフトと翻訳の勉強。。
仕事や健康のことばかり考えてる人間ってつまらないかな?
データベースソフトの勉強は私を疲れさせるけど、
人間って体って本当に面白くって、食べ物や体操でコントロールできる方法をしっておくと、目からウロコだよ。






2003年12月04日(木) マンハッタン・ラブストーリーと壬生菜と揚げの煮付け

うーん、そんなに仕事はきつくはないんだけど1日7時間以上画面に向かって
いるということで目が疲れてしまう。
それに翻訳してると頭も使うので頭皮が凝る凝る!

今日は野菜を食べなくてはということで寄り道せずにまっすぐ帰って
家のそばのスーパーで壬生菜と手揚げの揚げを買って和食の晩御飯を作る。

毎日外食ばかりだと野菜不足になるわーね。

ということでいただきまーす。とあつあつのふわふわに煮た揚げとしっとりした壬生菜を食べておまちかね、マンハッタン・ラブストーリーを見る。

しのぶ君のキャラ最高。キョンキョンに共感。
スラムダンク読んでたおじさんがお母さんというのネタに一人で爆笑。クドカンあなたはすごいです。おじさんがお母さんという不条理を思いつきだけじゃなくて本当にやってしまうところにホレボレ!

最終回まであと少し、どうなるのかまだまだ目が離せないこのドラマ、なんで視聴率が上がらないのかしら?

ドラマでいい気分になったところで、それではおやすみなさい。


 < 過去  INDEX  未来 >


ふうこ [MAIL]

My追加