もう一年にもなる。
今の自分が彼女と同じような状況になって、 彼女の気持ちが、ようやくわかった。 彼女がどうして頑なだったのか、どうしていつもイライラしていたのか。
私が叩かれたように、以前彼女も叩かれていた。 何で彼女って性格がきついんだろうね、と話題にした事もあったけれど、 そういう状況が、そういう陰口が彼女をそうさせた部分もあると、 今になってわかった。 今の私が、性格がきつくなっていくのがわかるから。 自分に何の余裕もなく、周りを気遣ってみるほどの余力がなくて、 結局はきつい人というように言われてしまう。 きつい人と叩かれて、また心を閉ざす。
彼女は強くて、今の私の歳から十年は我慢した計算になるけれど、 でも、私にはそこまでの我慢はできそうにない。 この先これが続くなら、辛くて生きていけないと思った。
悪夢から逃れられそう、と思った次の瞬間、また次の悪夢が現れた。 私はどうしたらいいのか、本当にわからない。
仕事を少し軽減させてもらえている。
私がやり残した仕事を引き継ぐ人がいるのだから、 できるだけ仕事を進めておきたい、迷惑をかけたくない、 と思って、全力を振り絞る。時間までは最善を尽くすようにしている。 それでもミスは出るし、効率よく動けなくてイライラするけれど。 時間が限られてしまっているからこそ、良く考えて効率よく動ける、 そう言っていたのは彼女だ。 なるほど、ただダラダラと働いているのでは駄目だ、と私も感じる。
だからこそ、彼女のしていた行動には疑問が沢山付きまとう。 「働ける時間が決まっているのだから、効率よく動かないと」 と言った彼女は勤務中に私に愚痴を吐きまくり、私の手を止めた。 愚痴を吐いている最中は彼女の手も止まる。 最善を尽くさなきゃいけないときに、なぜ愚痴を吐く暇がある? 残業ができない、仕事を途中で投げなければいけないのが辛いというのは、 実感として私もわかったことだ。 でも、やり残した仕事を全て片付けるまで帰れない立場の人間もいる。 残された仕事を片付ける人間の辛さを、理解してもらえただろうか? 「次の子供は時短の期間内に作り、そのまま産休に入りたい」 彼女をフォローする立場の人間として、私はどうしてもその言葉を、 そうね、それはいいかもね、と聞き流す事ができなかった。 口先ではかろうじてそう言えたが、心はとんでもなく暗くなった。
会社でこんなこと言えるはずもなく、一人で抱える羽目になった。 私がこれを言えば「権利を脅かす事を言うなんて」 そうでなければ「結婚して子供がいるのが羨ましいんでしょ?」 と思われてしまい、問題がいつの間にかすり替わってしまう。 私が問題にしたいのは、働く母親と独身女性一般の立場の違いではなく、 彼女の言動なのだけど、今の私の立場では、それが上手に伝わらない。 母にも「それ以上言うと自分の立場が危うくなる」と止められた。 だから、黙っていると決めた。
歯を食いしばり、悪夢と戦おう、と決めた。 愚痴や辛かった事は、職場の人でなくお金を払ってカウンセラーに聞いてもらおう。 人をあてにしてはいけないね。
実家でこれまでのいきさつを話した。
母なら、駄目だと思ったことは手厳しく指摘してくれるだろうし、 どう思われても仕方がないけど、迷惑をかけたので説明ぐらいはしておこうと思った。
母は私の話を聞いて、 「何も言わないから良く我慢してると思ったけれど…。 よくわかった。でももう忘れなさい、あんたのためにならない。」 と言った。 父は「いいから愚痴は聞き流せ」と言った。 周りには理解してもらえないかもしれないが、両親には理解してもらえた。 理解してくれた人が一人でもいれば、もういい。 頑張って、忘れてみようと思った。 しばらくは思い出しては怒りがこみ上げると思うけれど、 前彼のこともいつのまにかいい思い出になったから、 長い悪夢だったと思って、両親が言ったその言葉を素直に聞こうと思う。 これからは他人のために自分を犠牲にはしない。自分があってこそだから。
両親とはうまくいかない時期が長かったけれど、 ここまで両親の存在がありがたかったことがあっただろうか。 母の健康状態は不安なはずなのに、そんなときに助けてくれた。 何をしたら、恩を返せるだろうか。
書いている途中で気がついたが、前回の日記と全く内容が一緒でびっくりだ。 えーと、大丈夫なんだろうか、私。 やっぱり、カウンセリングには行ってみた方がいいのだろうか。 実際、辛い事をなかなか人に話せない。 愚痴を吐けば、人の愚痴が私を苦しめたように、私が人を苦しめてしまう。 それなら、仕事として他人の愚痴を聞く人がいたなら、 お金を払ってでも聞いてもらいたい。 それなら気分が少しは晴れるかも。 以下、気がつくまでに書いた日記。
ミス連発、頭の中が怒りで一杯になり仕事が手がつかない。
単純に忙しすぎるからこうなってしまったけれど、 でも自分の中ではまだ過去の事にならないから、 ちょっと何かがあると、こうして表に出てきてしまう。 本当はもうちょっと仕事をこなさないといけないけれど、 それではノイローゼ状態が解消されないので、 見兼ねた上司から「これ以上は残業してはいけません」ルールをもらった。 残業する分の仕事は周囲に振られることになった。
周囲も忙しいし、そういう中で仕事をお願いするのはストレスだけれど、 今の仕事の成果は「おいおい本当に大丈夫かよ」級のダメさなので、 その状態で仕事をされても困るだろう、と思ったので、 しばらくは周囲の厚意に甘える事にした。
あと、私を苦しめる原因となった他人からの愚痴は、 一人についてはもう接触を断つことにしたし、 もう一人については、将来その人の愚痴の原因が落ち着く状況があるので、 あとちょっと、一対一での接触を何とか交わせばいけると思う。
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