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■ ネパールのホテル、青い服、トルソー
嬉しいような、なつかしいような、儚い夢をみた。 季節はクリスマスで、ネパールにあるオランダ風の背の高いホテルにいた。
ネパールにそんな立派なホテルがあるかなんて知らないけれど、ともかくそこは ネパールで、バルコニーに出ると、眼下の広い石畳の広場で、クリスマスの催しが 開かれていた。部屋の真下では舞踏会が開かれ、丸いワイヤー入りのドレスを着た 女たちが音楽に合わせてくるくる回っていた。右下では黒い衣装をきたオーケストラ がワルツを演奏していた。舞踏と音楽がちぐはぐで、燕尾服の指揮者はおたおた しながら白い指揮棒でリズムを刻んでいた。
そして、目の前には、この部屋と同じ高さくらいの(7階ぐらいだった)人間 クリスマスツリーができあがっていた。人が何人も積み重なって、ツリーになる のだ。なんだか危なかしくて、でも愉快で、私はきっと笑いながらそれを見ていた。
東南アジア特有のなまあたたかい風が吹き、カーテンが揺れていた。 「お待たせしました。アナタへの贈り物です」 と、メイドがトルソーを部屋に運び入れた。 胸元にドレープがある白い袖無しのブラウスと、青いスカート。 「まずは、このお手紙をお読みください」 メイドは私に、巻きたばこのような小さな紙筒を手渡した。
私はそれを受け取り、茶色の麻紐をほどき、くるくると広げる。 トレーシングペーパーのような薄い水色の紙に、見覚えのある癖のある文字。
「この服は私がつくりました。遅くなったけれど、誕生日プレゼントです。 アナタとこうして一緒に旅に出られて、とても嬉しく思います」
手紙を読み終えて顔をあげると、そこにはユキコがいた。 もうずっと昔に、私の前から消えてしまったユキコが、にっこりわらっていた。 「いきましょう」と彼女は私の手を取り、絨毯が敷かれた廊下に出た。 私はユキコが創ってくれた白いブラウスと青いスカートを着ていた。
そこで眼が覚めた。 雨の音がして、低気圧通過に伴う偏頭痛が私の前頭葉を襲ったけれど、それでも、 なんだか久しぶりに幸福な夢をみたようで、私はいつまでもベッドで微睡んでいた。
2003年01月27日(月)
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