A Will
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そんな簡単に死にはしないのだと、目が覚めて思った。
死ぬかもしれない。 それは怖かったけれど、どこか途方のないことすぎて、いまいち悲しみきれなかった。 だから、せめて残るだろう傷跡を見て、泣いた。
誰の祈りが、届いたのだろうと。
届かなかった彼への祈りと、祈ることさえできなかった彼への想いと、 会える当てもないのに、そこへは行けないよ、と笑ったわたしは、 きっと。本当にどうしようもなく願っていたんだ。会えることを。
誰かにさよならを告げて、もしも会えるなら、どうしたのかな。
悲しむ人がいるのを十分に承知しながらいなくなろうとしたわたしを、 咎める声はあるのだろうか、そんな下らないことを考えた。
誰も望まない。 そんなことを、誰も、わたしすら望んでなかった。
会いたかった。会えるなら、と納得しようとした。 もう一度。もう一度。もう一度、また会えるなら、と思い込んで飲み込んで目を閉じた。
傷跡を見て、泣いた。 会えなくて、泣いた。 また今度と、泣いた。
どうしようもなく願ってた。また会えることを。本当にうそじゃない。 けど目が覚めて思った。
良かったって。 死ななくて良かったって。
本当に、誰よりも願ってた。
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