落ち葉に染み付いた冬の香りをかいでみた。 落ち葉に刻まれた文字は、過ぎた冬。 南風にふかれて、やがて春の大地が芽をだすと信じていた。
あの時、 摘んだはずの蕾だった。 いつの間にか花を咲かせていた。 チューリップの花だった。 それでも、僕はちゃんと信じていたよ。。。 今だって同じ。 でも信頼と寂しさは違う次元の生き物。 君だってわかっているはず。
家路に続く緩やかな坂道 早咲きのサクラが花びらを散らしていた。 森の泉では、今日は雨上がりの 春の戯れ。
心に散り続けた花びらは、いつもどれも冷たかった。 そして、 最後の花びらが、君への硝子の破片に変わった。 長く散り続けた桜の思い出。
霧に漂い ずっとずっと朝もやの中から光が差すのを待っていた。 いつしか追った航跡も途絶え やがて水面も静まり、静寂の中独りになった。 この海にはもう誰もいない。
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