先生妄想日記 |
2007年03月29日(木) ありがとうございました 今年卒業していった高校3年生の話を、私は何度かこの日記に登場させました。 彼らが初めて、集団で教室に遊びに来たときのことを、私はよく覚えています。 まるで豆粒のように小さな中学生で、しかも豆粒は喧しくて、五月蝿くて、しつこくて、そのうえアホで、その豆粒たちがワラワラと「先生見て!先生見て!騎乗位!正常位!バック!ギャハハハハ!」などと男同士で床で遊んでるのを見て、あーなんだこれ、なにこの明るい世界!と目から鱗が落ちた気がしたのでした。 そして、彼らの成長が見たい、と思いました。 前の会社を辞めたばかりで、自分のことを、だめな社会人だぜウッフフフ…、と思っていた私の、小さな目標は、彼らの卒業を見送ることになったのでした。 本当にささやかな、小さな目標ではありますが、この春、私は、彼らが卒業していく姿を、見ることができました。 彼らが、どんなふうに、身長が伸び、肩幅が増え、ヒゲが生え、ニキビを作り、たくましくなり、声が低くなり、笑い、泣き、怒り、困り、照れ、悲しみ、おおきくなっていくのかを、私はずっと見ていました。 おおきくなった彼らは、それぞれのバスに乗って、この学校から去っていってしまいました。 できればずっと見ていたかった気がしなくもないけども、まぁ仕方ない。 そうして、もうすぐ、バスに乗った数多の、新しい彼ら、彼女らが、この学校にやってきます。 私も、小さな停留所に着くことはできたけど、次のバスに乗っていかなくてはな。 でも、まるで見えなかった停留所にたどり着くことが出来たのも、彼らのおかげであろう。 こんなふうに、文字にしてしまうとアホみたいなんだけど、でも、私は、彼らに会えてよかったと、心から思います。 先生妄想日記は、今日で終わりにしたいと思っています。 最後に。 学生のみなさん。 学校という場所は、世間で言われているほど、捨てたもんじゃないと思います。 たくさん悩み、笑い、どうか、あなたなりの学生生活を送ってください。 それでは! |
2007年03月26日(月) 社会人 残業をしていたら、数年前に卒業していった生徒くんたちが遊びに来た。 時々メールをくれるものの、会うのは2年振りくらいかな。 そのときはまだ大学生だった彼ら。 おー、スーツじゃねーか! 凛々しいなぁ。見違えちゃった。 「先生、どうも、ご無沙汰してます。お元気そうっすね!」 なんだぁ、挨拶までちゃんとしてる! やーだ、2年前まで、入ってくるなり「あっれー先生、まーだこんなトコいるのかよ!」なんつってたのに。 偉いぞー。 「あ、これ、たいしたモンじゃないっすけど」 「わーこれ大好き!美味しそう!ありがとう。時間あるならお茶飲んでいきな。みんなで頂こ」 「ありがとうございます。でも、先生、仕事良いんすか?なんならまた改めて来ますけど」 わー生徒に気ぃ遣われるようになっちゃったよ。 まぁ生徒じゃないけど。 「良いよ良いよ。社会人だし、また来るっつっても、大変でしょう」 「まぁ、そうっすね。一人なら別にいつでも来れるんすけど、皆で来ようと思うと、なかなか」 「そうだよね。今日は皆で。どうしたの?」 「いや、実は」 「あら、なんか改まった話?」 「いやいや、改まったっていうか……、うーん」 「なになに」 「いや、まだ社会人なりたてなんですけど、実は、あの、俺、父親になっちゃって…。相手は前から言ってた彼女なんですけど」 ま じ で !! 「ちゃんと式とかはしないんすけど、とりあえず籍は入れたんで。報告というか」 「うわー、すごい、おめでとう!」 「いや、おめでとうなのか…」 いやいやいや、おおめでとうでしょう。 うわーうわーすごい! 生徒がおとうさん!おとうさん!! マンコ見れたら死んでもいいとかポケモン全種類言えるぜとか叫んでたあの子がおとうさん! ひえー。 まだ俺もアイツも若いし、不安もあるんすけど、なんて言いながらも、ホントだよ、デキちゃったとか恥ずいヤツめ、などと皆に茶化されながらも、彼は本当に幸せそうで、ちょっと泣きそうになってしまいました。 本当に。 こんなおめでたい報告をしてもらえるなんて、学校で働いててよかったなぁ。 まぁ、不安があるのも本当であろうけども、幸せなのも本当でしょう。 どうか、学生時代の君たちのような、明るい家庭を築いてね。 報告、ありがとう! |
2007年03月23日(金) 自殺 アレな話題が続いて申し訳ないです。 重いのは書きにくいので、いつか書こうと思いつつも書かないまま。 でも、勢いで書くぜ。 まとまんなかったらすみません。 若者の自殺のニュースが絶えない今日この頃。 若者ばっかりクローズアップされますけども、若い者でなくとも、自殺はしてはいかんよ。 というのは、まぁ本音ではありますけども、本当は、自殺は選択の一つであるとも、個人的に思ってまする。 今のところ、誰にも言ったことがないんですけど、私は自死遺族です。 極めて近しい親族を、自殺で亡くしています。 もう20年くらい前、私は小学生の低学年だったから、その人のことも、ほとんど覚えてないんだけど。 そんなわけで、20年間、覚えてないような私はともかく、私の両親は、本当に苦しかったと思うから、というか今も苦しんでいると思うので、自殺は、その人の最後の選択だったんだから、尊重してあげたい、と、思うしかない。 20年間におこった、我が家の話を書こうとは思わないけど、何度も、両親を心療内科に連れて行こうかと思ったし、そういう両親を負担に感じて、私自身も一瞬おかしくなりかけたときもあったよ。 10年くらいは、学校から帰ると、母親が泣いたり喚いたり包丁振り回したりしてない日が少ないくらいだったから、高校のときは、本当に家に帰りたくなかった。 自殺というのは、苦しさから解放される代わりに、その苦しさを、遺した誰かに、肩代わりさせる行為なんだと思います。 死んだらおしまい、てわけじゃない。 自殺を選ぶなんて、本当に、究極の選択だと思う。 それくらい、苦しくて、それを選ぶんであろう。 でも。 もし、世の中に、今、自分が感じてる苦しさを肩代わりさせられない、と思える人が一人でもいるなら、自殺はしてはいけないと思う。 それで、死ぬ前に、その人に、一度で良いから、手を伸ばしてみて欲しいです。 最後の選択は、それからでも、良いじゃろ。 |
2007年03月20日(火) 3 酔っ払って日記を書くとだめですなー。長く長く長くなるぜ。酔っ払いは語りたがりだぜ。今日もよっぱらっているわけですけども! 不定休な弟その2が帰省しているので、毎晩飲み歩いています。お迎えがあるっていいなー。 続きです。 過小な自己評価は、客観性を喪失することなんじゃないかな。 もちろん過大な自己評価も。 客観性がないってことは、集団の中での自分の存在の位置がわかんないわけだから、そうすると、人間関係を築くのが、ちょっと難しくなるよね。 一度、女の子集団が帰ったあと、ずっと黙ってたカオリが「女は嫌い」って言ったことがあったけど、そうじゃなくて、カオリは、女の子の集団と、どう接するのかが、わかんないんじゃないかな。 だって、まぁ、トシも大分違うし、立場も違うし、一対一でいるから、「女の子集団」とは違うかもしれないけど、私だって一応「女」じゃん。 腕に触れ、首に触れ、腹に触れ、肩に触れ、おっぱいに触れたがり。やめろっつってんのに、触ったろ、オマエ。小さいけどあっただろ、おっぱい。 「先生は、普通のオンナと違うから、いいの」って。どうなのそれ。 私も一緒だよ。 カオリはこれから、この学校のことを、思い出すことがあるかもしんない。 カオリの口調じゃ、なかなか良い思い出とはいかないみたいだけど。 でも、良い思い出じゃないなら特に。どうか、なるべく、客観的に考えて欲しい。どんなことも。 「私が悪い」「私は悪くない」とか、そういうふうじゃなくて。 だって「トモダチなんて学校の外にいっぱいいるし、彼氏は格好いいし、男の子たちにはモテるし、だから私は良い」なんて、わざわざ口にしなきゃいけない心境ってのは、ちょっと切ないよね。 トモダチがいようがいまいが、彼氏がいてもいなくても、男の子たちに人気があってもなくても、そんなんは関係ないよね。 私はカオリが好きだよ。 だって、カオリはカオリじゃろ。 私は友達だって少ないし、彼氏もいないし(あ、またフラれました)、男の子にはモテない、って言ったら、カオリは私のこと「まじで?先生、だっせー」って言ったけど、アンタ、トモダチも少なくて彼氏もいなくて男の子にはモテないわたしのことが「好き」だって言ったじゃん。 人間関係って、そういうことだろ。違うか? カオリが学校を辞める日、カオリは小さいヌイグルミをくれました。 「私は今日で学校を辞めるから、代わりに、この子を置いといて。先生、寂しいオンナだから、一人に耐えられなくなったら、この子に話しかけなよ!」 わはは、ありがとう。 そうだね。 誰かと話したいっていう欲求があるうちは、きっと大丈夫。 私も、あんたも。 いつかまた、会いましょう。 |
2007年03月15日(木) 2 いじめで自殺を選んでしまうほど傷つくのは、純粋な被害者ではあり得ないからだと思います。 いじめなんてくだらない、そんな手段しか選べないなんて幼稚なやつらだよな。 そんなふうに思いながらも、でも、やっぱり、そんなふうに扱われる自分は、そんなふうに扱われるだけの人間なんだと、心のどこかで、思ってしまうと思う。 例えばその場所から逃げても、私はそれだけの人間だという気持ちは、なかなか拭えない。 純粋な被害者なんだって思えたら、もっと物事は簡単なのにね。 いじめだかセクハラだかなんだかよーわからんものを受けていた、前の会社時代、1年過ぎるまで、自分がいじめられてる自覚はなかったもん。 1年経って、私に後輩が出来て、部長のターゲットが後輩の一人に移ったとき、私ってあれと同じことをされてたのか!めっちゃいじめじゃん!と、初めて客観的に見た事実に、すごくびっくりした。 そんでその後輩が1ヶ月で行方不明になって、再び私がターゲットになったら、もう駄目、耐えられない。気付かなきゃ、1年も耐えられたのになぁ。 でも、その後輩(未だ行方不明らしいよ)のことは、いじめの被害者だって思うのに、同じことされても、自分は被害者だって思えないの。 だって、私にも部長が苛立つ要素はあったんだって思うもん。 仕事は遅いし、とろくさいし、テンパるしな。 しかも、あんなことされても、1年も気付かないでヘラヘラしてたくらい、アホなんだぜ。 そりゃいじめられて当然。辞めろって思われて当然。仕事できないんだから飲み会の後とかにいろいろ触られたりして当然。みたいな。 そんで、そういうことを、数年経った今でも思う。 真剣に人間関係を築こうとすれば、意見が衝突したり、うまくいかなかったりすることが、あるじゃろ。そういうとき、私は思う。 「あの会社であんな扱いを受けてたような人間だからなぁ。他人とうまくいかなくて当然だよな。だって私はだめな大人だからなぁ」 て。 「いじめを受けるほうにも問題がある」っていうのは、ある意味的を得ていると思う。少なくとも、私は自分のことは、そう思ってます。 わはは、心底根暗だ。 カオリ、私は、あんたに、そんなふうに思って、大事な10代を過ごして欲しくない。 |
2007年03月09日(金) 1 私と関わりのある子たちが沢山辞めていった、今年度。 てか、まじ教室の雰囲気最悪だったよ。誰も口きいてくんねーしさ。でもイジメとかたいしたことねーよ。イジメなんて、するほうがダッセーし、それに男の子たちは味方しててくれるんだよね。私のこと好きな男子、けっこういるらしいし。まぁ、女子はそれもまたムカつくみたいだけど。 変わったことを言う子だな、というのが、最初のころの印象でした。 教室や保健室に入ろうとすると、腹痛と頭痛がひどくなって、結局指導室に登校していた、カオリ。 夏休み明けから、一日中一人でいることに耐えられなくなった、と、担任の先生に訴え、なぜか私と昼休みを過ごすようになりました。 ちなみに私はそれまで、カオリとの接触は一切ナシ。担任の先生からの説明も一切ナシ。 カオリは突然弁当を持って「担任の先生に、麦先生とお昼食べるように言われたんですけど…」と教室に登場し、私の度肝を抜いてくれたのでした。担任の先生、頼むから事前に打ち合わせをしてくれー。 よほど信用がないのか、私が担任の先生に説明を求めても「いやぁ、いろいろあって指導室に登校してるんですが、昼飯一緒に食ってやってください」 と言うだけ。 その「いろいろ」の主な原因がイジメであったと知ったのは、閉じた貝のようであったカオリの口が、一度熱して開いてしまえば、閉じなくなる貝のようになってから、しばらくして。 好きな芸能人、好きな色、好きな食べ物、好きなキャラクター、家庭環境、父親の職業、母親の職業、彼氏、トモダチ、同級生、教室の様子。 とりとめなくとめどない話を、ウンウンと聞いていたんですが、そのうち気付いたこと。 私と話しにくる男の子たちには、カオリは物怖じせず、というか、年上であっても全然タメ語で会話に加わってくるのよ。 でも、女の子たちとは、絶対に話さない。今となっては、女の子のほうが多いうちの教室だけど、でも、どれだけ盛り上がっても、会話も聞こえてないフリをする。 女の子たちがカオリに話しかけても、笑い返すけど、会話には加わりません。 女の子の来客が続き、私がカオリとなかなか話す時間がとれないと、プイと教室を出ていってしまいます。 当然、うちの教室に来る女の子たちからの評判は良くないのでありました。 続きまする。 |
2007年03月07日(水) むいてあげよう 男クラ諸君が昼休みにお菓子を持って遊びに来ました。 「俺、彼女に太りすぎって言われたんすよー」 「そうなんだ。太ったの?」 「太ったっす。夏から4キロくらい」 「そっかぁ。…あ、チョットあんた、それ触っちゃダメ」 「さわ…っ、って、なんかエロいっす!」 なんでだよ! 「だから、いまチョコとか我慢してるんすよ」 「なんだよオマエ、別にチョコ一個くらいで太るかぁ?」 「太るって!先生、チョコって太るんすよね?」 「どうだろ?」 「コイツ昼飯も食ってないんすよ、なんとか言ってやってください」 「えー、お昼は食べなさいよ。体に悪いんじゃないの?」 「そうっすよね。ほら、おまえ昼飯抜いたんだからチョコ食っとけよ」 「そうだねぇ、抜いちゃだめだよ」 「抜…っ!先生、エロいっす!」 だからなんで! 「コレ食べな。カロリーメイトだけど(わたしの非常食じゃ)」 「いらないっすよ。太るもん」 「でも、ちゃんと食べないともっと太るんだよ」 「えっ、そうなの?」 「そうだよ。適度に食べて適度に運動」 「適度な運動…!先生、エロ(略)」 「ほら、剥いてあげたから。食べな」 「剥いて食べるーーーー!?エロすぎっす!」 会話になんねぇ…。 |
2007年03月04日(日) 少女漫画 隣接する中学校の、2年女子の集団が遊びに来た。 こないだ来たとき、「中学生の間でめちゃくちゃ流行ってる」という少女漫画を教えてもらったんですが、それがもー、なんつーか、これもーエロ本じゃねーのと聞きたくなるようなエロさでなぁ。 オススメしてもろた後に漫画喫茶で読んだんですが、返しに行くとき、無駄に挙動不審になったよ…。 「先生、アレ読みました?」 「あぁ、漫画?読んだ読んだ」 「どうでしたー?」 「うーん、エロかった!」 「あはは、確かにエロいかも…。でもめちゃくちゃ良くなかったですか?」 「は?なにが?エロが?」 「ちがうよー、先生エローい!」 いやいやいや、だって、なぁ? 1巻の半分くらいエロシーンじゃねーか。 「なんかー、愛し合ってる感が良くないですか?」 えええええええ!? それはどーかな…。 だってあんなカップル、現実にいたら、めちゃくちゃドン引くと思うんだけども、どうなの。 結局両思いでハッピーエンドだったけどさぁ「やだ、やめてよぉ!ひどいよぉ!」「ごめん、ごめん、でも、おまえが好きなんだ…!ウッ」みたいな。 あれを愛と呼ぶのは危険だぜ。 しかし、少女漫画っつーのを5年振りくらいに読んだわけですが、最近の少女漫画(?)は、男子校シモネタと同じくらいファンタジーだの。 |
2007年03月02日(金) 卒業おめでとう 昨日は卒業式でした。 私が学校に来て、一番長い付き合いになる学年でした。 去年の卒業式が終わった時点で「来年はヤツらが出ていくのかー。来年の卒業式なんて、来ないといいなー」などと思っていたのでした。 一年なんてあっという間だね。 卒業式前日、遊びに来た彼らに、彼らの学生生活を象徴する、大事なものをもらってしまいました。 「こんな大事なもの、もらえない」 「え、なんで?やるよ」 「だめだよ」 「いいって。やるって。もらって」 ぼろぼろやし、血が滲んでるやん…。 もらえへん。 「なんで?先生、変なところで遠慮しぃっすね」 「だって…」 「先生、俺らのこと、好きっすよね?」 「うん」 「ホラね。だったら、もらってください。先生は、学校での、俺らの先生で、カーチャンで、ネーチャンなんだから」 「つーかバーチャン?」 「おばあちゃん!」 だーもう、やめてよ。 またフライングで泣いちゃうじゃねーかバカ!おばあちゃんにはまだ早いわ! もう、この廊下を、制服を着て歩いてくることはないんだねぇ。 「うっす」と、笑って教室の扉を開くことは、もうないのね。 長い時間、一緒に過ごしてくれたから、明日からもう二度と会えないとか、なんだか信じられません。 大好きで大好きで大好きで、あんたたちが大好きで、あんたたちに会えて、本当に良かった! まるで片思いをしてるみたいな気持ちで、この数年、あんたたちを見てたよ。 側にいれたら幸せでした。 あんたたちを見送るまでは、どんなことがあっても学校にい続けたいと思っていました。 あんたたちは、本当に格好良かったよ。 いつかまた、会える日を楽しみにしています。 卒業おめでとう。 それから、ありがとう。 |