今日の日経を題材に法律問題をコメント

2008年03月31日(月) 企業買収防衛策はだれのためか

 日経(H20.3.31)19面で、企業の買収防衛策が導入されて3年になるが、防衛策を解除する企業が出てきたという記事が載っていた。


 買収防衛策を定めていても、実際の発動には株主の意見を聞かざるを得ない。


 そうすると、買収が問題になってから、現経営陣の経営方針、買収側の経営方針をそれぞれ株主に提示して意見を聞けばいいのであって、わざわざ防衛策を定めておいてもあまり意味はないということになる。


 それでも買収防衛策を導入するのは、「経営陣の保身のため」といわれても仕方ないのではないだろうか。


 株主の利益という側面から見ると、買収防衛策はコストがかかる割には、その効果はないように思う。



2008年03月28日(金) 刑法39条の改正

 日経(H20.3.28)社会面に、東京地検が、裁判員制度になると精神鑑定の重要性が増すことから、精神鑑定専門の担当検事を配置するという記事が載っていた。


 同じ社会面では、渋谷の夫殺害事件で、被告人は心神喪失であったとする鑑定に対し、検察官が再鑑定を請求していたが、東京地裁は再鑑定を認めなかったと報じていた。


 同じく社会面には、茨城の8人殺傷事件で、容疑者は最初の殺人について「反省していない。悪いとも思っていない。」と供述しているという記事が載っており、いずれは精神鑑定が問題になるだろう。


 何だか精神鑑定に関わる記事が増えている気がする。


 このように精神鑑定が問題になるのは、刑法39条に「心神喪失者の行為は罰しない。」「心神耗弱者の行為は刑を減軽する。」と規定があるからだが、その背景には近代刑法理論がある。


 つまり、人は自由な意思決定が可能であり、それにもかかわらず違法行為を犯したことに責任の根拠があるから、自由な意思決定が可能でない者(責任無能力者)には責任を問うことができないという考え方が基礎にある(通説)。


 しかし、現実の法律において刑法理論を一貫させる必要性はないはずである。


 違法な行為をしたのにまったく刑事責任が問われないということは、健全な市民感情に反するのではないだろうか。


 もちろん、感情だけを重視することは問題であるが、生じた結果をも考慮して責任を定めることは可能であろう。


 すなわち、「心神喪失者の行為は、(無罪ではなく)刑を減軽する」「心神耗弱者の行為は、(必要的減軽ではなく)刑を減軽することができる」と法改正してはどうかと思うのだが・・。



2008年03月27日(木) 宗教法人に業務停止命令

 日経(H20.3.27)社会面に、「地獄に落ちる」などとうそを言って祈願の提供や石塔購入などの契約を結ばせていた宗教法人「幸運乃光」に対し、特定商取引法違反で新規の勧誘や契約などの業務停止を命じたという記事が載っていた。


 宗教法人に対して業務停止を命じたのは初めてのようである。


 宗教法人に対し業務停止を命じることは信教の自由に対する侵害になると反論される恐れがある。


 そのため、行政側は業務停止には躊躇するのが通常であろう。


 それでも業務停止命令を出したのであるから、よほど悪質だったのだろう。



2008年03月26日(水) スルガコーポ事件と弁護士法違反

 日経(H20.3.26)社会面で、不動産会社スルガコーポレーションのビルを巡る弁護士法違反事件に絡み、同社が、早い段階で、光誉実業の社長に地上げで逮捕歴があることを知っていたという記事が載っていた。


 この事件は、スルガコーポ側は誰も起訴されないまま、事件は終了したようである。


 スルガコーポ側が起訴されていないのは、弁護士法違反に関する次のような最高裁判例があるからであろう。


「ある犯罪が成立するについて当然予想され、むしろそのために欠くことができない関与行為について、これを処罰する規定がない以上、これを、関与を受けた側の可罰的な行為の教唆もしくは幇助として処罰することは、原則として、法の意図しないところと解すべきである。」


 しかし、スルガコーポは、虚偽の売買契約書を作成するなど、関与の度合いは高く、その行為は悪質である。


 最高裁判例がネックとなっているのであれば、弁護士法を改正して、依頼する側も共犯として処罰できる規定を設ける必要があるのではないだろうか。



2008年03月25日(火) 時効完成を阻止するために21回起訴

 日経(H20.3.25)社会面に、法人税脱税容疑で逃亡中の役員を逮捕したが、時効を阻止するために21回の起訴を繰り返していたという記事が載っていた。


 そういえば、推理小説で、起訴を繰り返して時効の完成を阻止し、時効が完成したと思って捜査機関の前に現れた犯人が逮捕される話があった。


 これは、起訴すれば時効が停止するという規定を利用したものである。


 すなわち、起訴すれば時効の進行は停止する、しかし、起訴状が被告人に2か月以内に送達されなければ起訴は遡って失効するが、時効が停止したことまでは失効しない。


 そこで、起訴を繰り返せば時効の進行を食い止められることになる。


 常にこの手法を使えないのは、起訴する以上有罪判決を得られるだけの十分な証拠がなければならないが、被疑者の取調べができていない以上、十分な証拠がないことが多いからである。


 しかし、起訴を繰り返して時効の完成を阻止するという手法は、時効制度の潜脱であり、好ましいやり方とは思えないのだが。



2008年03月24日(月) 株主名簿の閲覧請求

 日経(H20.3.24)19面に、株主総会シーズンを前に、株主名簿を閲覧できず、事業会社を攻める株主にとって大きな足かせになるケースが増加という記事が載っていた。


 株主はいつでも株主名簿の閲覧・謄写請求ができる。


 但し、株主と会社とが競争関係にある場合などには、会社は閲覧を拒むことができるとされている。


 ただ、これは例外規定に過ぎない。


 ところが、判例は、会社が閲覧を拒否することを広く認める傾向にあるように思われる。


 しかし、株主が、自らの提案を他の株主に検討してもらい、賛成を得るためには株主名簿を閲覧することは必要不可欠である。


 しかも、株主名簿を閲覧されても、それによって会社の利益が害される事態はあまり想定されないように思う。


 そうであれば、原則どおり、株主による株主名簿の閲覧請求は広く認められるべきではないだろうか。



2008年03月21日(金) 憲法59条2項の解釈

 日経(H20.3.21)2面で、租税特別措置法改正案を巡る与野党の攻防を解説していた。


 その記事の中で、自民党から、参議院で民主党案を可決した場合、それは政府案の否決とみなし、直ちに衆議院において3分の2以上で可決すれば法律になるという認識が示されていると書いていた。


 本来であれば、衆議院で可決し参議院で否決した場合、その後、衆議院で3分の2以上の多数で再可決すれば法律になる。


 ところが時間的余裕がないため、衆議院での可決の手順を飛ばし、少しでも早く法律になるようにするための解釈である。


 しかし、憲法59条2項は、「衆議院で『再び』可決したときは法律となる」と、2回決議することを明記しているから、最初の衆議院の可決の手順を飛ばす解釈は無理であろう。


追記(H20.3.24)

 記事では、自民党の案を上記のように書いていたが、実際はそのような単純な考えではないようである。

 ただ、憲法の文言からは相当無理な解釈であることは間違いない。 



2008年03月19日(水) 最高裁が、DNA鑑定から親子関係を認めなかった二審を破棄

 日経(H20.3.19)社会面で、最高裁が、DNA鑑定の結果から親子関係を認めなかった二審を破棄し、差し戻したという記事が載っていた。


 戸籍上は実子として育てられたが、真実は親子でなかったところ、父親の死後、兄弟間で遺産相続の争いになり、他の兄弟が、「親子関係は存在しない」との訴えをしていた。


 1、2審は、「親子関係はない」というDNA鑑定の結果を採用し、「親子関係は存在しない」という他の兄弟の訴えを認めていた。


 ところが、最高裁は、30年以上親子として生活をしてきたことを重視して、「親子関係は存在しない」という他の兄弟の主張は権利の濫用にあたるとした。


 わが国の法制度においては、親子関係は生物学的に決まるというのが、これまでの一般的考え方ではないかと思う。


 そして、法律上の親子と生物学上の親子とが一致しない場合には、嫡出否認の訴えの規定を置いたり、親子関係存否の訴えを認めたりして、生物学上の親子に合わせる形で、法律上の親子関係を修正しようとしていると解することができる。


 その考え方からすると、上記の最高裁の判例は、生物学的には親子でないのに、法律上の親子関係であると認めるのと同じ結果になるのであるから、これまでの流れとは異なることになる。


 最高裁は、結論の妥当性を重視したのであろうが、親子関係の法理論に与える影響は大きいのではないだろうか。



2008年03月18日(火) ソフトバンクの機種は「らくらくホン」に似ているか

 日経(H20.3.18)13面に、NTTドコモと富士通が、ソフトバンクの機種が「らくらくホン」の外観や操作性が似ているとして、製造・販売差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てたという記事が載っていた。


 携帯電話のような小さな機器で、しかも、お年寄りなど誰でも使いやすいようとすると、外観はある程度似てくるかもしれない。


 ソフトバンク側もそのような主張をすると思われる。


 かつて、ソーテックの販売したパソコンが、iMacのパソコンと似ているとして、Mac側が販売差し止めの仮処分を申し立てた事件があった。


 その事件で、ソーテックは「パソコンでは同じようなデザインにならざるを得ない。」などと主張したが、認められず、東京地裁は販売差し止めを命じた。


 パソコンと携帯電話とではデザインの自由度が違うし、同視することは出来ないが、意外とNTTドコモの主張が認められるかもしれない。



2008年03月17日(月) 死刑判決が増えている

 日経(H20.3.17)夕刊で、親族2人を殺害して金を奪い取った事件で、京都地裁は、被告人を求刑通り死刑を言い渡したと報じていた。


 最近は、毎週のように死刑判決があるような気がする。


 かつて裁判官は死刑判決をできるだけ回避しようとしていたが、いまでは死刑判決を躊躇しなくなったように思う。


 裁判官の死刑判決を躊躇しなくなったのは、悪質な犯罪が増えたからなのか、世間の考え方が厳罰主義に傾き、それに裁判官が影響を受けたからなのかはよく分からない。



2008年03月14日(金) 最高裁が、被害者を「甲・乙・丙」で呼ぶ

 日経でなく、朝日ネットニュース(H20.3.14)で、最高裁が、被害者保護のために、被害者を「甲・乙・丙」で呼ぶことができる制度をはじめて適用したと報じていた。


 被害者を匿名で呼ぶことには反対でない。


 ただ、「甲、乙、丙」というのはいかがなものかと思う。


 確かに、裁判所や警察など司法関係では「甲、乙、丙」というのはよく使う。


 しかし、あまり一般的ではないだろう。


 「甲」「乙」「丙」「丁」までは言えても、そのあとは何だっけという人は多いのではないだろうか。


 「A」「B」「C」など、他の呼び方でもいいのではないかと思うのだが。



2008年03月13日(木) DVの相談等の件数が増える

 日経(H20.3.13)夕刊で、配偶者からの暴力(DV)の相談や被害届の件数が2万件を越したと報じていた。


 昨年から15%増えたそうである。


 しかし、事件が急に15%も増えるはずがないから、それまで訴えることができなかった人が、被害届を出したり、相談したりするようになったということであろう。


 ただ、実感しては、年間2万件というのは少ない気がする。


 世間から見たら通常の離婚事件と思われるようなケースでも、配偶者からの暴力はしばしばみられるからである。


 実際は、その何十倍のDVがあるのではないだろうか。



2008年03月12日(水) 児童ポルノの単純所持でも処罰の対象に

 日経(H20.3.12)社会面で、自民党は、児童ポルノの提供や販売目的の所持だけではなく、「単純所持」についても禁止し、罰則を科す方向で検討に入ったと報じていた。


 児童ポルノの提供や、販売目的での所持を規制しただけでは児童ポルノの氾濫を防げていないことから、それ以上に規制する必要性は理解できる。


 しかし、単純所持が禁止されるとなると、処罰範囲がきわめて広くなるのではないかという懸念がある。


 例えば、うちの子どもが小さいときに、保育園で1泊旅行に行き、その際ビデオカメラマンも同行したのだが、そのときに撮った映像の中で、子どもたちが上半身裸で水遊びをするシーンが映っていた。


 単純所持が禁止されると、このようなビデオを持っているだけで処罰の対象になると思われる。


 規制する必要性は高いにせよ、このような危険性にも配慮して、犯罪の成立要件(構成要件)を定めるべきであると思う。



2008年03月11日(火) 渋谷の夫殺害事件で、被告人が心神喪失との鑑定

 日経でなく朝日(H20.3.11)社会面で、渋谷のマンションで夫を殺害して遺体をバラバラにした事件で、被告人が心神喪失だったとする鑑定結果に対し、検察官が再鑑定を要求することを検討と報じていた。


 異常な事件の場合、弁護側は被告人の精神鑑定を要求する。


 しかし、裁判所の見方は厳しく、なかなか心神喪失を認めない。


 鑑定で心神喪失としていても、心神喪失ではなく心神耗弱であると認定することもある。


 心神喪失にあたるかどうかは法律判断であるから、その認定は裁判所に委ねられているというのがその理由である。


 そのため、渋谷の夫殺害事件でも、心神喪失ではなく、心神耗弱と認定して、刑を減軽するだけに留める可能性はある。



2008年03月10日(月) スルガコーポの担当者が逮捕されない理由

 昨日の日経(H20.3.9)社会面に、スルガコーポビルを巡る弁護士法違反事件の続報を書いていた。


 ここの欄で、先日(H20.3.6)、スルガコーポは仮装の売買契約書まで作成しているのに、なぜスルガコーポの担当者が逮捕されないのかと書いた。


 ところが、昨日(H20.3.9)の社会面で、「判例によれば、非弁行為では依頼者は逮捕できない」と書いていた。


 そこで調べてみると、最高裁は、「弁護士でない者に、自己の法律事件のを依頼した者を、弁護士法七二条、七七条違反の罪の教唆犯として処罰することはできない」としていた。


 その理由は、非弁行為違反の規定は、依頼者がいることが予想されるのに、それについて処罰する規定が置いていないからというものである。


 この判例があるために、スルガコーポの担当者を逮捕できないようである。


 しかし、この判例は昭和43年と古いものである。


 しかも、スルガコーポは仮装の売買契約まで作成しており、極めて悪質である。


 検察庁が、スルガコーポの担当者を起訴するどうか分からないが、万が一裁判になれば、判例が変更されて有罪になる可能性はあると思う。



2008年03月07日(金) 住基ネットについて、最高裁が合憲の判断

 日経(H20.3.7)1面で、最高裁が、住基ネットはプライバシー権を侵害せず、合憲であるとの初判断をしたと報じていた。


 結論としては是認できる。


 ただ、気になるのは、違憲と判断した大阪高裁がデータマッチングの危険性を指摘した点である。


 すなわち、大阪高裁は、「住民が住基カードを使って行政サービスを受けた場合,その記録が行政機関のコンピュータに残り,それらを住民票コードで名寄せすることが可能である」として、その危険性を指摘している。


 これに対し、最高裁は、「システム上,本人確認情報が行政機関のコンピュータに残る仕組みになっているというような事情はうかがわれない。」と簡単に切り捨てている。


 しかし、データを残すことは容易であり、本当にデータマッチングの危険性がないのかは疑問である。



2008年03月06日(木) 入居者との立ち退き交渉について、弁護士法違反で逮捕

 日経(H20.3.6)社会面で、スルガコーポレーションの商業ビルを巡る弁護士法違反事件で、同社が不動産仲介会社側に支払った地上げ費用は5物件で計150億円前後に上ると報じていた。


 この事件では、ビルの入居者との立ち退き交渉を委託された光誉の社長らが弁護士法違反の容疑で逮捕されている。


 スルガコーポは、立ち退き交渉を光誉に委託する際、ビルの所有権が光誉に譲渡されたように装うために、仮装の売買契約書まで作成していたようである。


 そうすると、スルガコーポと光誉は共犯ということになる。


 それなのに、なぜスルガコーポの担当者は逮捕されていないのだろうか。不思議である。


追記(H20.3.10)

 逮捕しない理由は、最高裁が、「弁護士でない者に、自己の法律事件のを依頼した者を、弁護士法七二条、七七条違反の罪の教唆犯として処罰することはできない」としているためのようである。

 しかし、この判例は昭和43年と古いものであるし、スルガコーポは仮装の売買契約まで作成しており、極めて悪質である。

 それゆえ、万が一裁判になれば、判例が変更される可能性はあると思う。



2008年03月05日(水) 鑑定価格は一義的には決まらない

 日経(H20.3.5)16面で、旧カネボウの少数株主が、会社に対して買取請求をした争いで、東京地裁が、公正価格を近く決定という記事が載っていた。


 会社側は、買い取り価格をTOB価格と同額の1株162円とした。


 これに不満を持った少数株主は、1株1000円以上であるとして、東京地裁に公正価格の決定を申し立てた。


 そして、東京地裁が選任した鑑定人は360円と算定した。


 つまり、株式の評価額が、162円、1000円以上、360円と3通りあることになる。


 記事では、裁判所が1株360円と算定した決定をした場合、TOB価格の162円が妥当だったのかという疑問が生じ、TOBに賛同した旧経営陣や、お墨付きを与えた証券会社の責任まで問題になりかねないと書いていた。


 しかし、鑑定評価方法にはいろいろあり、どの方法を採用するかが一義的に決まっていない以上、鑑定価格が変わっても仕方ない。


 そのため、TOBに賛同した旧経営陣や、お墨付きを与えた証券会社が責任を問われることにはならないだろう。


 ただ、鑑定の際に考慮すべき資料の取捨選択を変えると鑑定価格は変わる。


 鑑定の基礎となる数値にも幅があるから、その幅のうちどれを取るかによっても鑑定価格は変わる。


 そのため、結論が先にありきの鑑定だなあと思うことはしばしばある。



2008年03月04日(火) 裁判員制度は延期?

 日経(H20.3.4)社会面で、新潟県弁護士会が、裁判員制度を数年間延期するよう決議したと報じていた。


 比較的大きなスペースを取っており、マスコミの関心の高さをうかがわせる。


 世間では8割が「裁判員になりたくない」と答えている。


 法曹関係者の間でも、本当にうまくいくのだろうかと不安に思っている人は多い。


 そのような現状を踏まえると、裁判員制度の延期ということはあり得るかもしれない。



2008年03月03日(月) 公認会計士がインサイダー取引

 日経(H20.3.3)1面で、「公認会計士がインサイダー取引の疑い」と報じていた。

 
 公認会計士は、業務として内部の重要事実を知りえる立場にあるだけに悪質である。


 ただ、課徴金が100万円の見込みとのことであるから、それほど儲からなかったのであろう。


 派手に取引すると目立つから、少量の取引にならざるを得ず、インサイダー取引ではあまり儲からないようである。


 その反面、発覚した場合に失うものは大きい。


 それでもインサイダー取引が後を絶たないのは、絶対に儲かるという情報を前にした場合の、人間の弱さなのだろうか。


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