2005年08月31日(水) |
堀江社長、ブログの更新を停止 |
日経(H17.8.31)11面に、公職選挙法でインターネットの利用が禁じられていることについての記事が載っていた。
その記事の中で、ライブドアの堀江社長が、衆議院選挙に立候補したことに伴い、「ブログの更新はしません」と表明していると書いていた。
残念なことである。
できれば、「選挙におけるインターネットの利用は公職選挙法違反ではない」と主張して、公示後もブログの更新をして欲しかった。
せめて、「誰よりもインターネット通」を標榜しているのであれば、公示前まではブログの更新をすべきではなかったと思う。
2005年08月30日(火) |
選挙の『公示』と『告示』 |
日経(H17.8.30)3面に、今日、衆議院選挙の公示がされることから、「きょうのことば」欄で「公示」について解説していた。
選挙で、「公示」ということばは衆議院の総選挙と参議院の通常選挙の場合にだけ使われる。
それ以外の国会議員の補欠選挙や、知事選、地方議会議員選挙などは「告示」とされている。
両方とも「公示」でいいではないかと思うかもしれない。
しかし、憲法は、天皇の国事行為の一つとして、「国会議員の総選挙の施行を公示すること」と定めている。
そのため、国会議員の総選挙以外の選挙は「告示」という言葉を使っている。
細かいようであるが、法律は、用語をかなり厳密に使い分けているのである。
2005年08月29日(月) |
経歴詐称と懲戒解雇処分 |
日経(H17.8.29)16面の「リーガル3分ゼミ」というコラムで、「転職時の経歴査証が会社に知られたら」という記事が載っていた。
経歴詐称は懲戒解雇事由と定めている会社が多いが、記事に書いているように、判例は安易に解雇を認めず、正直に事実を伝えていたら採用されたかどうかがポンイトとなる。
ところで、積極的なうそではなくても、転職歴を正直に書かないというケースまで含めると、「経歴詐称」は比較的多いのではないかと思う。
そのような経歴詐称が問題になるパターンとして、勤務態度が悪いことから、その社員を辞めさせたくて、経歴詐称をことさら取り上げて懲戒解雇理由とすることがある。
しかし、勤務態度を理由に懲戒解雇したいのであれば、正々堂々と本来の理由を主として主張すべきである。
勤務態度不良の証拠が不十分だからといって、ことさら経歴詐称を理由に懲戒解雇することはかえって問題をこじらせる原因となる。
2005年08月26日(金) |
ネット競売の決済仲介「エスクロー」 |
日経(H17.8.26)35面に、ネット競売で決済を仲介する「エスクロー」についての記事が載っていた。
エスクローとは、仲介業者が、買主からいったん商品代金を預かり、買主が商品に問題がないことを確認してから、売主に代金が支払われるサービススである。
エスクローを利用すると、お金を払ったのに競売で落とした商品が届かないといったトラブルは解消される。
ところが、新聞記事によれば、手続きが煩雑なためエスクローの利用が敬遠されているとのことである。
韓国では、ネット競売で大規模詐欺事件があり、それをきっかけにエスクローの利用が義務化されるそうである。
なんでも義務化するのは抵抗があるが、ネット競売の安全性を高めるためには、エスクロー利用の義務化も考えざるを得ないかもしれない。
2005年08月25日(木) |
賃金未払いは刑事処罰の対象となる |
日経(H17.8.25)社会面で、人材派遣会社「スタッフサービス」のサービス残業賃金未払い問題で、大阪地検は会社と役員を不起訴処分にしたと報じていた。
この件では不起訴となったが、賃金の未払いは刑罰の対象である。
しかも、会社だけでなく、役員も処罰される。
会社経営者は注意すべきであろう。
2005年08月24日(水) |
アルバイトのブログでの発言で、会社が謝罪 |
日経でなく、ヤフーニュース(H17.8.24)で、コミックマーケットに出店していたホットドックチェーンのアルバイトが、自分のブログでコミックマーケットの様子を「きもい」などと表現したことについて、ホットドック会社がホームページで「きわめて遺憾である」と謝罪したと報じていた。
そのプログでは、写真付きで、「大量オタ。これほんの一部ですからね。これがぶぁぁぁぁあっているの。恐い!きもい!」と書いていたそうである。
アルバイトを雇っていたのは、ホットドック会社のチェーン店であり、直接の雇用関係はないようである。
しかも、そのアルバイトの個人的なブログでの発言である。
したがって、この場合、ホットドック会社に使用者責任(民法715条)は生じないであろう。
むしろ、その発言をしたアルバイトは、雇われていた会社から懲戒処分を受ける可能性がある(就業規則の規定の仕方にもよるが)。
ブログは非常に気軽に発言することできるが、それを読んでいるのは友人たちだけではない。
発言内容いかんでは、思わぬ責任を負うことがあるから、発言には注意すべきであろう。
2005年08月23日(火) |
青木氏、野中氏、橋本氏の証人尋問が延期 |
日経(H17.8.23)社会面に、1億円ヤミ献金事件で政治資金規正法違反に問われた村岡元官房長官の公判で、証人尋問を予定されていた青木自民党参議院議員会長、野中元自民党幹事長、橋本元首相の証人尋問が延期されたという記事が載っていた。
今年9月11日にある衆議院総選挙のため多忙というのが理由らしい。
しかし、青木氏は参議院議員である。
野中氏はすでに政治家を引退している。
橋本氏も引退表明をしており、また、橋本氏の証人尋問は9月16日であったから、選挙による多忙は理由にならない。
もちろん、各人、選挙の応援のためいそがしいのは間違いないだろうが、証人尋問はたかだか1時間程度である。
したがって、総選挙のため多忙というのはあまり理由にならないように思う。
青木氏、野中氏の証人尋問は総選挙直前に行われる予定であったことから、裁判所は、選挙への影響を考慮して延期したのかもしれない。
日経(H17.8.22)5面の「領空侵犯」というコラムで、「業者任せの葬儀に幕を」「『故人の意思』を家族に残そう」という見出しの記事が載っていた。
「心に残る葬儀をするために、人生の幕引きの大切な儀式を自分で考え、言い残しておくべきである」という内容であった。
もっとも、法律上、遺言できる事項は定められており、「葬儀の方法」は、遺言できる事項として法律は認めていないから、相続人はその遺言に従う義務まではない。
そうはいっても、遺言は、故人の意思を明確にすることによって、相続人間の争いを未然に防止するだけでなく、葬儀や故人の身辺整理をスムーズに行わせるという役割もある。
その点からすると、遺言では、法律で遺言できるとされている事項に限らず、感謝の気持ちを述べたり、葬儀の方法を指定するなど、広く自らの意思を明らかにしておくことは悪いことではない。
2005年08月19日(金) |
「営業秘密」を特定することは難しい |
日経(H17.8.19)5面に、会社が従業員と交わす守秘義務契約について、経済産業省は、指針を設けることになったという記事が載っていた。
その指針によれば、対象となる営業秘密を具体的に特定し、守秘期間も限定するよう求めていくとのことである。
例えば、営業秘密の内容として、「画面の色を鮮やかにするためのフィルターの製造方法」などと具体的に特定するよう求めている。
確かに、あまりに営業秘密の内容が漠然としている場合には、広範囲すぎて、その契約が無効になる恐れがあるし、従業員が転職しにくくなるという弊害もある。
しかし、従業員と営業秘密保持契約を締結している会社でも、「営業秘密」について特定している会社は少ないのではないだろうか。
というのは、その従業員の担当部署が変わることもあれば、新しい開発が始まり営業秘密の内容が増えることもあり得るため、営業秘密の内容を事前に特定することが難しいからである。
そこで、具体的に特定することが困難な場合には、営業秘密契約の中で、「その後の事情の変更により会社が営業秘密として管理することになった情報で、営業秘密であることを従業員に告知したものも含む」とするとか、 「『営業秘密』とは、不正競争防止法上に定める『営業秘密』をいう。」と定義規定を置くなどの工夫をしておく必要があるだろう。
2005年08月18日(木) |
ブログによる選挙運動は認められない? |
日経(H17.8.18付)3面に、「ITは選挙にどこまで活用できるか」という記事が載っていた。
総務省は、公示後はHPの更新はできないという見解であり、いま流行のブログも、総務省の考え方によれば、公示後は選挙運動として活用できないことになるだろう。
ところで、総務省は「IT時代の選挙運動に関する研究会」をつくり、その研究会では、平成14年8月、「ホームページによる選挙運動は認めるが、メールは不可」という報告をしている
また、その報告書では、「選挙運動を行うホームページでは、掲示板を設けなければならない」としている。
では、「ブログ」だけのページは認められないのだろうか。
研究会の報告書からは不明である。
そのころ「ブログ」はなかったから、検討の対象になっていないからである。
しかし、今後のインターネットによる選挙運動において、ブログは重要な役割を担うと思われる。
しかるに、ブログについて検討がなされていない報告書は、時代の流れに取り残されてしまっているといわざるを得ない。
2005年08月17日(水) |
外国為替証拠金取引はハイリスク過ぎる |
日経(H17.8.17付)1面で、外国為替証拠金取引について、「未登録業者も処分へ」という見出しの記事が載っていた。
今年7月の法改正で、外国為替証拠金取引は、資本金5000万円以上の事業者しか取り扱えないことになった。
しかし、経過措置として、今年12月末までは資本金が5000万円未満でも業務を続けることができることになったのだが、そのような未登録業者でも処分できるようにするという内容である。
その背景には、外国為替証拠金取引のトラブルが増えていることにある。
私もいくつか相談を受けているが、もはや会社が営業をしておらず、取り返しようのないケースが多い。
そもそも、外国為替証拠金取引は、証拠金の20倍もの取引ができ、あまりにハイリスクである。
金融取引の経験の少ない人は、外国為替証拠金取引は止めたほうがよいと思う。
11日から17日まで、パソコンを操作できない環境になるので、お休みします。
2005年08月10日(水) |
政党公認候補が、無所属候補より有利なのは不当か? |
日経(H17.8.10付)2面で、衆議院選挙に関連し、政党公認候補と、無所属候補との違いをまとめた記事が載っていた。
例えば、政党公認候補は比例代表への重複立候補ができるのに対し、無所属候補はできないという違いがある。
これに対しては、立候補の自由を奪うものであり、平等原則等に反するのではないかという批判があり、裁判で争われたことがある。
しかし、最高裁は、政党の果たしている国政上の重要な役割に鑑みれば、選挙制度を政策本位、政党本位のものとすることは、国会の裁量の範囲に属するとして、このような政党公認候補にのみ重複立候補を認めることは合憲としている。
2005年08月09日(火) |
内閣の閣議は全員一致とされている |
日経(H17.8.9付)1面で、政府は閣議で衆院解散を決めたが、これに先立ち、小泉首相は衆院解散に反対した島村農相を罷免し、自らが兼任することを決めたと報じていた。
反対する閣僚を罷免したのは、内閣の閣議は全員一致とされているからである。
もっとも、全員一致というのは慣例に過ぎず、明文の規定はない。
それにもかかわらず全員一致としているのは、一つには、明治憲法以来の慣例だからという理由である。
ただ、実質的理由としては、「内閣は、国会に対し連帯して負う」とされており、「連帯して」責任を負う以上、閣議を全員一致として、内閣が一丸となってことにあたることが適切だからであるといわれている。
2005年08月05日(金) |
著作権の使用に30秒ルールというのはない |
日経(H17.8.5)11面に、アップルがインターネットによる音楽配信を日本で開始したことについて、今後はJホップの配信充実が課題であるという記事が載っていた。
それでも、記事によると「井上陽水、宇多田ヒカル、スピッツ、B’z、浜崎あゆみ」などが聞けるようだから、そこそこ充実している。
私も早速アクセスしてみたが、試聴までできて、なかなか便利である。
試聴タイムは30秒であった。
試聴について、アップルは著作権者と契約しているだろうから問題は生じないだろう。
ただ、世間では、「30秒以内であれば、著作権者の了解なく利用できる」という誤解がある。
しかし、これは誤りである。
著作権法にはそのような規定はない。
たとえ10秒でも著作権侵害になるのでご注意を。
2005年08月04日(木) |
森昌子が7億円の財産分与を請求 |
日経ではなく、ネットニュース(H17.8.4付)で、森昌子が、森進一に7億円の財産分与を請求していると報じていた。
記事のニュアンスとしては、巨額の財産分与を請求する森昌子を批判する感じを受けた。
しかし、財産分与は夫婦の財産を分けるものである。
しかも、現在では、夫婦の分与の割合は50パーセントずつというのが原則である。
したがって、夫婦の財産が14億円あるとするならば、そのうち7億円を分与せよと請求しても何らおかしくない。
日経(H17.8.3付)社会面に、「韓国に500億円不正送金、国内最大級の地下銀行」という見出しで、容疑者が逮捕されたことを報じていた。
記事によれば、この地下銀行では、数10分から数時間後には指定の口座に入金されるうえ、手数料が格安でメリットがあったということである。
こんなサービスをなぜ銀行はできないのだろうか。
2005年08月02日(火) |
不正経理に対し、公認会計士に通報義務を課す |
日経(H17.8.2付)1面に、粉飾決算につながるなどの不正を発見した場合、公認会計士に通報義務を果たすことを検討していると報じていた。
対象となる会社は上場会社と資本金5億円以上の株式会社であるから、やむを得ない措置と思う。
ただ、通報する法的義務を課せられる公認会計士の人たちの精神的負担は大変なものだと思う。
2005年08月01日(月) |
見舞金を払ったからといって、それだけで責任を認めたことにはならない |
日経(H17.8.1)1面の「アスベスト禍」というコラムで、アスベストを発表する前のクボタの役員会議の様子を描いていた。
役員会議では、「見舞金を払ったら、石綿と疾病との因果関係を認めたことになる」という意見が出たそうである。
このような意見はときどき出る。
しかし、見舞金を払ったからといって、当然に責任を認めたことにならない。
名目を「見舞金」とすることはもちろんであるが、それだけでなく、法的責任がある場合の損害賠償額に比べて、見舞金の金額が相当少ないときには、見舞金を払ったからといって、それだけで因果関係を認めたことにはならないだろう。
もっとも、アスベスト禍については、裁判になれば、アスベストと疾病の因果関係は認められると思うが。
|