2003年09月30日(火) |
長崎男児殺害事件の審判の決定要旨が新聞に掲載 |
日経(H15.9.30付)社会面に、長崎男児殺害事件の少年審判の決定要旨が掲載されていた。
そこに掲載されていた家裁の決定要旨には、少年の資質として、小学校時代から友人がおらず、人とのつながりを求めようとしなかったこと、広汎性発達障害であることなどが書かれていた。
それだけでなく、少年の運動能力が劣ることを母親が気にして特訓したこと、そのような養育態度が同世代の子どもとの付き合いを減少させる原因となったこと、家庭での父母のいさかいが少年にとって相当精神的負担となっていたことなども掲載されていた。
このようなプライバシーに関わる内容をここまで詳細にマスコミに公表していいのだろうか。
もちろん、少年が殺人行った行為については、被害者の家族としても、どのような状況で殺害が行われ、それを裁判所がどのように認定したのかは知りたいと思う。
そのような内容については公表することはやむを得ないだろう。
しかし、家庭環境や少年の精神的資質などまで公表する必要性があるのだろうか。
確かに、これまでは「非行少年の保護」を錦の御旗にして、家庭裁判所の審判は被害者には知らないままに進められていたが、そのような運用は問題である。
したがって、決定要旨を公表することは前進であると評価できる。
しかし、私としては、今回のような少年の資質、家庭環境に亘って詳細に公表することは行き過ぎのように思う。
2003年09月29日(月) |
盗難通帳の預金引出し 銀行の過失認定は様々 |
昨日の日経(H15.9.28付)社会面に、盗難にあった通帳から預金を引き出された被害で、裁判所による銀行の過失の認定についてはさまざまであるとの記事が載っていた。
記事によれば「銀行側の過失が認められるケースはまだわずか」とのことであるが、それでも裁判所の考え方は少しずつ変わってきているようである。
数年前までは、裁判所は、銀行業務に対し極めて理解ある態度を示していた。
つまり、銀行窓口は多忙であるから、いちいち細かいチェックを求めることは不可能であり、厳格なチェックを求めると円滑な金融業務が滞ってしまうと心配していたのである。
しかし、これだけ盗難通帳による引出しが増えると、銀行も、より慎重な確認が要求されて当然であろう。
ただ、最近は犯行グループの手口はますます巧妙になってきている。
通帳を盗むと同時に通帳の名義人の生年月日も調べ(通帳と一緒に保険証などを保管しているケースは多い)、それと同じ年齢くらいの引出す役割の人を調達する。
印鑑と、預金引出し役の顔写真が貼付された通帳名義人の免許証を偽造する。
預金引出し役が銀行で預金を下ろす(このとき、引出し役が持ち逃げしないように仲間が見張っている)。
こんな手口だと、銀行も騙されても仕方ないようにも思う。
大金を普通預金に入れておかないことが一番の予防策かもしれない。
2003年09月26日(金) |
医師が手術ミスで逮捕される |
日経(H15.9.26付)社会面に、手術ミスで医師が逮捕された事件の続報が載っていた。
医師が手術ミスを理由に逮捕されるなんて、これまでは考えられなかったことであり、びっくりした。
ただ、逮捕したのは、医師を懲らしめるためではない。
例えば、酒気帯び運転程度でも逮捕されるケースがあるが、それはアルコール検知量から考えて相当飲んでいるはずなのに、飲んできた飲み屋さんに迷惑をかけてはいけないと思って、「自宅でチューハイ2、3杯飲みました」などとうそを言ったような場合である。
つまり、うその供述したり、捜査に協力しないと逮捕されることが多くなる。
医師が逮捕されたのも、おそらく、医師が客観的証拠に反する供述を行ったり、医師3人の供述が一致しなかったからであろう。
それにしても、かつては手術ミスがあっても相当部分がヤミに葬られていたのではないかという気がするが、もはやそんな時代ではなくなったのだなあと思った。
2003年09月25日(木) |
あまる公認会計士 足りぬ弁護士 |
日経でなく、朝日(H15.9.255付)3面に、「あまる公認会計士 足りぬ弁護士」という記事が載っていた。
公認会計士は就職難で余りそうらしい。
弁護士については、被疑者段階から公費で弁護人をつける制度の導入が検討されているが、全件について弁護人をつけようとすると、年間10件受任したとしても、弁護士が足りないのだそうである。
現在は、起訴されてからは国選弁護人が選任されるが、起訴前は公費では弁護人はつけられない。
そのため当番弁護士制度が導入されたが、これは弁護士などのボランティア的活動によって支えられている。
これを公費によって弁護人をつけようというのである。
現在、私は年間6件くらい当番弁護士して出動している。
年間6件というと大したことないように聞こえるかもしれないが、受任すると、起訴前という短期間のうちに、示談交渉、検察官に対する面会などやるべきことは多いから、結構大変である。
これが、年間10件になると相当つらいというのが本音である。
それなのに、年間10件受任する計算でもまだ弁護士が足りないというのだから、弁護士を増やすしかないのかもしれない。
2003年09月24日(水) |
弁護士保険は誰のため? |
日経(H15.9.24付)社会面で、弁護士保険の加入が徐々に増えてきているという記事が載っていた。
弁護士保険とは、トラブルに巻き込まれた際、弁護士の紹介や費用の肩代わりを受けられるという保険である。
年間数千円の掛け金だそうで、ニッセイ同和損保では、すでに6万5000件の加入があると書いていた。
とすると、掛け金が年間3000円とすると、年間約2億円の売上である。
他方、実際に支払われた例では、学校の廊下を歩いていて倒されケガをしたケースで示談を成立させた例、賃貸住宅の水漏れで家主とトラブルになった際の法律相談費用などがあるそうである。
でも、これらのケースの弁護士費用は10万円程度ではないだろうか。
とすると、保険会社は相当儲かっていることになる。
もともとこのような保険サービスは、弁護士の敷居が高いことに原因があるのだろう。
そうは言っても、何だか保険会社だけが儲かる仕組みのような気がするのだが・・。
2003年09月22日(月) |
東京地裁が退去強制処分を取り消す |
一昨日の日経(H15.9.20付)社会面で、在留特別許可が認められず退去強制処分を受けたイラン人一家4人が処分の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は4人の退去処分を取り消したと報じていた。
判決では、在留特別許可のあり方について、「将来にわたる生活の基盤が築かれており、素行に問題がなければ許可を与える方向で考えるべきだ」との判断を示したようである。
これは入国管理局の考え方とは相容れないであろう。
この判決は東京地裁の行政訴訟専門部であり、裁判長は藤山雅行裁判官である。
この裁判官は、これまで行政べったりと言われていた裁判所の傾向からいえば、少し変わっている。
行政訴訟するなら今がチャンスかもしれない。
もっとも、そろそろ転勤の時期であるが・・。
2003年09月19日(金) |
信託業法が改正される |
日経(H15.9.18付)1面で、信託業法が改正され、信託業への企業参入が容易になると報じていた。
信託業を信託銀行がほぼ独占していたこともあり、信託業法は、これまであまり馴染みのなかった法律である。
しかし法改正により、信託業への参入が容易になり、知的財産権を管理したり、財産を証券化するにあたり、信託業法を積極的に活用しようとする例が増えてくるのではないかと思う。
いままで一般的にはあまり使われず、忘れられていた法律が、このように蘇って活用されるのは不思議な気がする。
2003年09月18日(木) |
経由するだけのプロバイダーの開示義務 |
日経(H15.9.18付)社会面で、ネットで中傷した人の発信者情報について、接続業者に開示命令を認めたと報じていた。
中傷を受けたのは弁護士であるが、この弁護士はしばしばマスコミにも登場する比較的有名な人である。
2チャンネルにその弁護士を中傷することを書き込まれたのだが、それがDDIポケットを通じて書き込まれたことが判明したため、被害者がDDIポケットに発信者情報の開示を求めたものである。
(2チャンネル側は情報を開示し、その結果、DDIポケットから発信されたことが判明したようである。)
このような経由するだけのプロバイダーにまで開示義務があるかどうかが問題になった。
新聞記事によれば裁判所の判断は分かれているようであるが、経由したプロバイダーに開示義務がないとすると、被害者が名誉が侵害されているのに責任追及することができなくなり、被害者の救済の道は閉ざされてしまう。
その意味では妥当な判決と思う。
2003年09月17日(水) |
裁判で勝つことよりも、回収する方が難しい |
日経(H15.9.17付)3面に、国民年金の滞納について、社会保険庁が、滞納者に対し、銀行などに照会して口座残高を確認したうえで、それを差し押さえる方針を決めたと報じていた。
銀行に照会して財産の有無が確認できるのは、国の機関だからであり、われわれはこのようなことはできない。
裁判で勝って、しかも相手方に資力がある様子なのに、預金口座の存在が分からず、悔しい思いをすることはしばしばある。
その人の住んでいるところや、会社所在地の周辺にある銀行を適当に差し押さえることもあるが、口座がなかったり、あったとしても預金残高が数百円しかないということはよくある。
裁判で勝つことよりも、実際に回収する方がよっぽど難しいのである。
2003年09月16日(火) |
道頓堀ダイプは犯罪? |
今日の日経(H15.9.16付)は休刊日。夕刊は阪神タイガースのニュース満載であった。 道頓堀には5300人もの人が飛び込んだらしい。
5300人というと、次から次という感じだったのだろう。
フライングで優勝前日に飛び込んだ人もいたようだが、その人たちは警察で始末書を書かされたようである。
警察が始末書を書かせる根拠は何だろうか。
犯罪にならないのであれば始末書を書く義務はないだろうから、警察は道頓堀に飛び込むことは犯罪になると考えているのだろう。
どんな法律に違反するのかは正確には知らないが、このような行為は、大体は軽犯罪法や迷惑防止条例がカバーしている。
そこで、軽犯罪法を見てみると、1条7項で、水路の交通を妨げる行為をしてはならないと規定していた。
これに該当すると考えているのかも知れない。
道頓堀にダイブすることが「水路の交通を妨げる行為」といえるかどうかは微妙と思うが、いずれにせよ、服を着たまま飛び込むのは危険だから、やめた方がいいと思うのだが・・(かといって服を脱ぐと、それは犯罪になる)。
2003年09月11日(木) |
著作権ビジネスでは、トラブルを防止することも重要 |
日経(H15.9.11付)社会面に、キャンディ・キャンディの著作権トラブルによって、キャラクター商品を販売できなくなったとして、玩具メーカーが著作権管理会社を訴えた事件で、玩具メーカーの請求が認められたと報じていた。
確かキャンディ・キャンディ事件では漫画家と原作者とが著作権を巡って裁判になり、最高裁まで争われたはずである。
先の記事を読む限りでは、著作権についてトラブルが生じたのに、それを著作権管理会社が製造会社に通知しなかったことが問題にされたようである。
現在では、著作権の使用料を徴収してビジネスにすることが盛んである。
しかし、著作権管理者としては、使用許諾料をとるだけに一生懸命なるのではなく、トラブルを事前に防ぐ努力をしないと、思いもしない請求を受けるはめになることをこの記事は教えている。
2003年09月10日(水) |
地域通貨は、日銀の通貨発行権を侵害しないか |
日経(H15.9.10付)5面に、特定の地域だけで使うことができる地域通貨が急速に増えてきているという記事が載っていた。
地域通貨は地域のボランティア活動や地域の活性化と結びついている場合が多く、決して否定すべきものではない。
ただ、地域通貨が通貨の機能に限りなく近づいてくると、中央銀行が独占する通貨発行権に抵触しないかという問題が生じてくる。
この問題については、少し前に電子マネーが話題になったときも議論された。
また、かつて汎用プリペイドカードに関する法律制定の際にも検討されたことがある。
その際に大蔵省は、通貨の機能とは、どこでも、誰でも、何にでも、支払いないし決済の手段として利用できることであるという見解を示している。
かかる見地から地域通貨を検討すると、地域通貨は「どこでも」使えるわけではないし、使用できる範囲は限定されており、「何にでも」ともいえない。
したがって、地域通貨は通貨類似の機能を持つとはいえず、日銀の通貨発行権を侵害しているとはいえないということになろう。
先の記事の中で、日銀総裁は「地域通貨に大いに期待している」と述べたそうであるが、その背景には、このように理論問題がクリアーできているという自信があるのだろう。
日経(H15.9.9付)最終面に、弁護士の後藤昌次郎氏が「草笛が支え 法廷の闘争心」という見出しで、草笛の趣味について書いていた。
後藤弁護士は、松川事件、八海事件、日石・土田邸事件を手がけ、人権派弁護士といわれている人であるが、草笛が趣味とは知らなかった。
弁護士は意外と面白い趣味を持った人が多い。
俳句やスキューバダイビングなどは当たり前すぎる。
中にはお菓子のおまけを集めている人もいるし、とかげを飼っている人もいる。
趣味ではないが、農業をしている弁護士もいる。
皆さん忙しい仕事の中で多趣味である。
それに比べ、私はというと自慢できるというほどのものはなく、せいぜい、さぬきうどんを食べ歩くことぐらいである。
2003年09月08日(月) |
最近の裁判官は小粒になった? |
今日の日経(H15.9.8付)社会面に、東京地裁で、被害者に配慮して刑事裁判記録の開示を早めることになったという記事が載っていた。
それ自体は歓迎すべきことであるが、その記事の中で、刑事裁判記録の開示を早めたのは、刑事裁判官と民事裁判官との意見交換会で話し合われた結果であると報じていた。
そして、これは東京地裁での取り扱いに過ぎないが、東京地裁で決めた以上、全国の裁判所で同様の取り扱いになるだろう。
このように、裁判官が話し合って決めたり、東京地裁の扱いに他の裁判所が右にならえすることは、司法の独立に反するのではないかと思ったことがある。
しかし、裁判所によって取り扱いが違うのも困ったものであるから、意見交換をして取り扱いを均一化するのは利用者のためにもやむを得ないであろう。
そして、最終的には各裁判所が独立して決めることが可能である以上、司法の独立に反するとはいえないのだろう。
そうはいっても、最近の裁判官は他の裁判所(特に東京地裁)の取り扱いを気にする傾向が強いように思う。
年配の裁判官は、「最近の裁判官は小粒になった」とよくぼやくが、そんなところにも小粒さが現れているのかもしれない。
2003年09月05日(金) |
長野県が金融機関にヤミ金口座の凍結を要請 |
今日の日経(H15.9.5付)社会面に、長野県が田中康夫県知事名でヤミ金の口座凍結を要請し、金融機関がこれに応じたと報じていた。
ヤミ金撲滅には口座凍結が一番効果的である。
少し前までは、弁護士が金融機関にヤミ金の口座の凍結を申し入れても、担当者は面倒くさそうに対応していた。
しかし、違法口座を使わしていることはヤミ金の違法行為を幇助する行為にあたるのである。
金融機関は社会的責任を自覚して、ヤミ金口座の凍結に積極的に応じするべきであろう。
それにしても、田中康夫知事の顔つきは好きでないが、やるべきことはきちんとやっている。
評価したいと思う。
今日の日経(H15.9.4付)社会面に、「胎児に障害 事故で認定」という記事が載っていた。
記事によれば、交通事故で妊婦が傷害を負ったところ、事故の6時間後に出産し、生まれた子どもに傷害が残ったということである。
この事故で、判決は「女児の傷害は、母体への傷害に起因したものである」として、事故当時は胎児であった子どもを被害者として認定した。
胎児は「人」かという問題は、興味をそそりやすい問題のせいか、法律を勉強する最初のころによく出てくる問題である。
民法上は、損害賠償請求権、相続、遺贈については例外的に胎児がすでに生まれたものとみなす規定がある。
刑法上は人体の一部が露出したときに「人」となるという判例があるが、胎児は「人」とはされていない。
とすると、胎児を被害者と考えると、胎児は「人」ではないという考えと矛盾する。
しかし、判決は、胎児ではなく、生まれてきた子どもを被害者としているので矛盾はしない。
このような判例の考え方は、水俣訴訟で最高裁がとった考え方であり、理論上は議論のあるところであるが、結論としては最高裁の考え方は肯定されている。
司法修習生のころ、裁判官を交えて水俣訴訟の最高裁判決の勉強会をしたことがあったが、裁判官は最高裁判決の考え方を全面支持、修習生は結論は支持するが、理論構成には納得できないという議論がなされた。
実務家は結論重視、修習生は理論重視の傾向があるといったところだろうか。
私も、実務家となった今は、「結論が間違ってなければいいんじゃないの」という傾向になってきたようである。
2003年09月03日(水) |
テレビ電話は薬事法違反かもしれないが・・。 |
今日の日経(H15.9.3付)3面に、ドンキホーテが、医薬品を販売する際に、薬剤師を店舗に常駐させずテレビ電話で対応しようとしたところ、厚生労働省が、薬事法違反の恐れがあるとして中止させたという記事が載っていた。
ドンキホーテは、厚生労働省の指導に反発し、「緊急時に限って薬を無料提供する」というサービスを開始したそうである。
しかし、無料かどうかが問題ではないから、その反発の仕方はあまり意味がない。
厚生労働大臣は「薬剤師は人の話を聞くだけでなく、その人の顔色を見ながら決めるのではないか」と言って、テレビ電話による対応を批判したそうである。
しかし、薬局で顔色まで見られたことはない。
症状を話すると、その症状に対処する薬を出してくれるだけである。
しかも、テレビ電話であっても顔色は分かるのではないだろうか。
薬事法は「その薬局を実地に管理しなければならない」と規定しているから、条文上は厚生労働省の言い分は間違ってはいないが、本音は、薬剤師の権益保護のためとしか思えない。
もっとも、ドンキホーテも、薬剤師を全店24時間常置させることは人件費が大変であり、その削減策としてテレビ電話を使ったのだろうから、利用者不在の争いといえるかもしれない。
2003年09月02日(火) |
株主代表訴訟が和解をしない言い訳材料になっている |
今日の日経(H15.9.2付)7面に、東京都の銀行に対する外形標準課税訴訟において、和解に応じるかどうかについて、銀行側の意見が分かれていると報じていた。
1審、2審が同じ結論(東京都敗訴)であれば、最高裁でひっくり返ることはほとんどあり得ない。
したがって、東京都としてはどうしても和解して欲しいだろう。
他方、銀行側はどうか。
本音は和解したいのではないかと思う。
和解すれば、全額ではないが相当の金額が返還されるし、今後の取引を考えると、東京都に恩を売っておきたいはずだからである。
ただ、最高裁でも銀行側が勝つ可能性は100%に近いから、安易に妥協すると、株主代表訴訟を起こされる可能性はある。
それが怖いのだろう。
もっとも、そんなことを言い始めたら、和解なんか一切できないことになる。
株主代表訴訟が定着してから、「株主代表訴訟の恐れ」が、和解をしないことの言い訳に使われることがよくある。
しかし、和解には早期の解決というメリットがあり、また、2審の判決理由によると、税金が高すぎたのが問題というのだから、税率を下げた和解をしたとしても株主代表訴訟で敗訴することはないだろう。
2003年09月01日(月) |
交通事故でも保険は適用される |
今日ではなく、昨日の日経(H15.8.31付)3面に、「健保の財政悪化」という解説記事があった。
損害保険会社が、被害者に健康保険を使うように勧めることがあり、それが健保の財政悪化の伏兵になっているという内容であった。
その記事は、交通事故の治療に健康保険が使えることが当然の前提になっている。
世間では、交通事故には健康保険が使えないという誤解がある。
病院でも、交通事故には健康保険は使えないとはっきり言うところが多い。
それは、保険適用でなく自由診療となると高額の医療費が請求できるからである(と勘ぐりたくなるときがある。)。
もっとも、この記事の最後には、交通事故という原因の特定されたリスクまで健康保険がカバーする必要があるのかという疑問を呈していた。
確かに正論であるが、当面の治療費のない被害者が保険で治療を受けざるを得ない場合もあり、一概にはいえないのではないかと思う。
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