今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年12月30日(月) ショベルカーによるATMの窃盗が増加

 日経ネット(H14.12.30付)・社会面に、30日午前5時ごろ、船橋市にある現金自動預払機(ATM)コーナーの建物をショベルカーで壊していたが、
途中で窃盗犯は逃げたようで、現金は無事だったと報じていた。


 この種の犯罪は、中国人犯罪グループに日本人が加わって行われることが多い。

 現在、中国人グループによる犯罪は非常に多い。


 先日は、銀座の真ん中で密入国者の集団が捕まっていた。

 かりに、この集団密航が成功していたら、そのほとんどが犯罪者となった可能性がある。

 そんなことをいうと非難されそうであるが、その密航者たちは正規に働くことはできないのである。

 いまは規制が厳しく、不法滞在者を雇うと、雇った者までが処罰されるからである。

 そうすると、収入を得るには犯罪によるしかない。

 こうして、中国人グループの犯罪者が増えていくのである。


 思うに、不法滞在者とはいえ、まじめに働いている者については、たまた不法滞在が発覚すれば、強制退去処分にすれば十分であり、その者を裁判にかけて処罰したり、雇っている者を罰する必要はないのではないだろうか。


 そうすれば、もう少し犯罪も減るのではないかと思う。


 なお、31日から1月2日まではお休みします。



2002年12月27日(金) 産廃不法投棄量が4割減というのは本当か

 日経(H14.12.27付)・社会面に、産廃不法投棄量が4割減と報じていた。


 記事では、「廃棄物処理法の改正の効果が表れた」とのことであった。


 しかし、減った4割はどこに行ったのだろうか。


 不法投棄が増えた以上、正規の投棄量が増えるはずであるが、そんな話は聞かない。



 そもそも、産廃の不法投棄の正確な量を、行政は把握し切れていない。


 記事には、昨年の不法投棄の量は約40万トンだったのが、24万トンに減少したと報じていた。

 しかし、実際の不法投棄量は、行政のいう数字の100倍である4000万トンとの試算もある。


 すなわち、もともとの数字が不正確だから、「4割減」といってもその数字はあまりあてにならない。



 産廃は、巨大ビジネスである。


 そのため、警察がいくらも摘発しても、不法投棄はなくならない。


 産廃を不法投棄した方が儲かるのだから、規制の強化だけでは解決はできないのではないだろうか。
 



2002年12月26日(木) 整理回収機構には、相当数の弁護士が働いている

 日経(H14.12.26付)・社会面に、旧拓銀元頭取らに対し、札幌地裁が50億円の賠償を命じたと報じていた。


 この訴訟の原告は、整理回収機構であり、その常務らが記者会見している写真も掲載されていたが、2人ともひまわりバッチをつけていた。

 つまり、弁護士なのである。


 
 このことからも分かるように、整理回収機構には、相当数の弁護士が働いている。


 「反権力の立場だった弁護士が、行政機構に取り込まれた」と揶揄するむきもあるぐらいである。

(「弁護士が反権力の立場だった」といえるかは疑問であるが)


 若い弁護士のように、売り上げが3000万円以下の場合は、自分で事務所を持たずに、整理回収機構で働いた方が割がいいと聞いたことがあるから、そこそこの収入になるようである。


 今後も、弁護士がいろんなところで活躍する機会が増えるのではないだろうか。



2002年12月25日(水) 米デジタル著作権法に違反した被告が無罪に

 日経(H14.12.25付)・11面に、米デジタル著作権法に違反した被告に、無罪の評決がなされたと報じていた。


 デジタル著作権法とは、音楽CDなどの複製防止システムを無力化する技術を流布した場合に刑事罰が科せられるという法律である。


 問題になった事件の被告は、電子ブックの暗号解読ソフトをネット上に公開したことが、デジタル著作権法に違反するとされたようである。


 ところが、陪審は、暗号解読ソフトが、著作権法に違反することを認めながら、開発・公開時に法を犯す意思がなかったとして無罪の評決をしたのである。



 しかし、法を犯す意思がなかったという主張が認められることになると、たいていの犯罪が無罪になってしまう。


 包丁で心臓を突き刺して死亡させた場合に、「傷つけるつもりはあったが、殺すつもりはなかった。」といっても通らない。


 心臓を突き刺せば人は死ぬ。それゆえ、心臓を突き刺す行為をすれば、殺意はあったと認定される。

 つまり、客観的事実から、殺意という主観的要素を推定するのである。


 本件についても、暗号解読ソフトがデジタル著作権法に違反することは明らかなのであるから、「法を犯すつもりはなかった」というのは通らない。


 その意味で、私としては、無罪評決というのは理解できない。



 ただ、根本的な問題として、著作権を保護するために、規制を強めることが果たしていいのかという疑問はある。


 著作権の保護を強めることによって、かえってその規制にあぐらをかき、文化や技術の発展の妨げになることがあり得るからである。


 そのような疑問から、本件の被告を無罪にしたのであれば、それは一つの見識であると思う。



2002年12月24日(火) ネット決済で年齢限定ができるサービスを始める

 日経(H14.12.24付)に、イーバンク銀行が、ネット決済で年齢限定ができるサービスを始めたと報じていた。

 利用方法としては、未成年者が酒やタバコを買うことを防ぐことなどを想定しているようである。



 酒やタバコだけでなく、現在では、多くの未成年者が、ネットを利用した取引をしていると思われる。


 しかし、未成年者の法律行為は取り消すことができる。


 そのため、ネット取引で商品を購入したとしても、取り消して、返品することができるのである。

 そのわりには、未成年者取引によるトラブルは少ないように思われるが、次のような以下の理由による。


 まず、成年と偽って取り引きした場合は、取り消すことはできない。

 そのため、ネット取引では、「20歳以上ですか」と聞く画面があるはずである。

 そこで、「はい」をクリックした場合は、たとえ未成年者であっても取消はできない。



 また、親が自由に使っていいといったお金で購入した場合は、取消はできない。

 通常、例に挙げられるのは、「こずかい」である。

 だから、子どもがお菓子を買っても、未成年者取消はできないのである。



 しかも、かりに未成年者取消が可能な場合であっても、取り消すということは、元に戻すということであるから、買った商品を返さないといけない。


 これは、取り消す方としても面倒であるし、購入者もその商品を欲しくて買ったのだから、取り消すことはあまり考えられない。


 このような様々な理由から、未成年者取消が問題になることは少ないのである。



2002年12月20日(金) 歌舞伎町ビル火災の事故で、遺族がビル会社らを提訴へ

 日経ではなく、朝日(H14.12.20付)・社会面に、歌舞伎町ビル火災の事故で、遺族がビル会社らを提訴へと報じていた。

 訴える相手には、グループ企業の実質的経営者も含まれているそうである。



 しかし、かりに実質的な経営者であったとしても、登記上、そのビルの所有会社の代表取締役でないとすると、通常はその人の責任を問うことは極めて難しい。

 裁判では、登記上の名義がどうなっているのかがとても重視されのである。
(このあたりの感覚が、世間の常識と、法曹界との常識とにズレがあるのかもしれない。)


 ただ、この事件は刑事事件にもなっており、警察による捜査が進められている。

 その捜査資料の中で、その人が実質的な経営者であるという証拠があれば、話はまったく別であり、民事裁判でも、その人の民事責任が認められる可能性は高い。


 その意味で、警察による捜査資料は重要である。



 一般の方は、弁護士による捜査能力を過大に評価しているが、弁護士の捜査能力・調査能力は大したことはない。

 それは、捜査権限がないからである。


 それに比べて、警察の捜査能力はすごい。非常に強大である。

 侮らない方がいいと思う。



2002年12月19日(木) マンションの上半分を削れという判決

 日経(H14.12.19付)・社説に、東京地裁が、地権者の景観利益を認め、マンション業者に対し、国立市のマンションの上半分を削れという判決を出したことについて論じていた。

 社説は、判決を比較的好意的にみている。


 それにしても、マンションの上半分を削れといっても、既に住んでいる人もいるのだし、どうやって工事をするんだろうと思ってしまう。


 そして、これまで裁判所も、そういった実際上の問題点を先回りして考えてしまう傾向があった。

 そのため、マンションの上半分を削れという判決なんて、従来では考えられなかった。



 アメリカの裁判所の私なりのイメージは、「裁判所は法律に従って判決を出すだけである。その判決によって生じる不都合は自分たちで解決しなさい。」という考え方のように思う。


 今回の東京地裁の判決は、(私がイメージとして持っている)アメリカの裁判所の判決のような気がした。



2002年12月18日(水) 簡易裁判所の扱う事件が増えることなるそうである

 日経(H14.12.18付)・2面に、政府は簡易裁判所が取り扱える事件の金額を現在の「90万円以下」から引き上げる方針を決めているが、その幅を巡って対立していると報じていた。

 自民党は、「150万円」を主張しており、公明党・保守党は、「100万円前後」や「120万円前後」を主張している。

 金額が多くなると、それだけ簡易裁判所の取扱事件が増える。

 そうすると、簡易裁判所での訴訟行為が認められた司法書士が扱える事件も増えることになる。


 そのため、上記の政党の争いは、簡易裁判所での職域拡大を目指して、金額の大幅引き上げを目指す司法書士と、阻止しようとする弁護士との代理戦争といわれているそうである。



 私は、司法書士の職域拡大を阻止するという理由ではないが、簡易裁判所での事件が増えることは望まないので、簡裁での取扱金額は100万円にして欲しいと考えている。


 というのは、簡易裁判所の裁判官は、質のばらつきが激しいからである。
(こんなこというと怒られそうだが)



 地方裁判所の裁判官は、司法試験に合格して、1年半の修習期間を経て、裁判官になる。

 裁判官になった後も、いきなり単独で裁判することはできず、5年間は合議体(3人で構成するのが普通)の中で、先輩裁判官のやり方、考え方を学ぶのである。


 したがって、裁判官の質のばらつきが比較的少ない(あくまでも、「比較的少ない」のであって、ばらつきは当然ある。)。


 それに比べて、簡易裁判所の裁判官は、裁判所の書記官(法廷で、裁判官の前に座っている人)を永年勤めた人が試験を受けて資格を得るケースが多い。


 書記官としては、十分優秀なのだが、裁判官としての研修を積んできたわけではない。


 それなのに、簡易裁判所の裁判官になったらいきなり単独で裁判するから、先輩裁判官からいろいろと学ぶ機会もない。


 そのため、質が平準化されていないのである。


 簡易裁判所は、訴訟当事者に対する扱いが丁寧で、地方裁判所は扱いが粗雑ということはないのだから、簡易裁判所の取扱事件を増やす必要はないように思うのだが・・。



2002年12月17日(火) 女性差別訴訟で、住友生命が9000万円を支払う和解が成立

 日経(H14.12.17付)・社会面に、女性差別訴訟で、住友生命が9000万円を支払う和解が成立したと報じていた。


 この訴訟は、既婚者であることを理由に昇給や昇進で差別するのは不当として、差額賃金の支払いを求めたものである。

 つまり、既婚者と未婚者という女性間の差別を問題にした点に特徴がある。



 一審では会社の差別を認め、9000万円の支払を認めた。


 その後、控訴審で和解が成立したものであるが、今回の和解について、会社の広報部は、「差別はない」「紛争の長期化は好ましくないとの判断から和解に応じた」とコメントしている。


 これでは反発されるだけである。


 そもそも、和解条項では、「差別は違法とした一審の判断を尊重し、9000万円支払う」となっているようだから、住友生命側としては差別があったことを認めたのも同然なのである>


 それゆえ、「差別はない」と言いきること自体、問題であろう。



 今日では、広報部の役割は非常に重要になってきている。


 何らかのトラブルが生じたとき、情報を公開し、会社の基本方針を伝えることはもちろん大切であるが、同時に、世論にも敏感でなければならない。

 会社の論理だけで物事を決めてはいけないのである。


 そういう意味からは、「差別はない」と言いきることは、会社広報部のコメントとしては失格と思う。


 「差別があった」とは言えない事情があるにしても、「和解内容を尊重して、履行することに努力する」ぐらいのコメントはすべきであったと思う。



2002年12月16日(月) 弁護士を法人化する事務所は、当分は増えないと思う

日経(H14.12.16付)・31面に、弁護士法人化が地方にも広がっているという記事が載っていた。


 これまで、弁護士事務所は法人になることができなかった。

 弁護士はお金儲けしちゃいかんというのが理由であろう。


 しかし、法人化できないと、顧問契約は個人名での契約となる。

 事務所の賃貸借契約も個人の名義で借りることになる。


 しかし、何十人にも弁護士がいる共同事務所も増えてきているのに、すべてについて個人名義で契約するというのは、実態と合わない。

 また、個人名で契約している弁護士が亡くなった場合、契約はすべてやり直しとなり、非常に面倒である。


 そのような理由で、最近、弁護士事務所を法人化することが認められた。



 記事によると、東京で17、大阪で12、それを含めて全国57の事務所が法人化されているとのことであり、「地方に広がる」と評価していた。

 しかし、そんなに「広がっている」のだろうか。


 弁護士事務所が全国にいくつあるか正確には知らないが、おそらく1万以上はあるだろう。

 その中で、わずか57事務所である。

 圧倒的に少ないというべきでないだろうか。


 実は、弁護士事務所を法人化してもメリットは少ないといわれている。

 たとえば、現在、多くの法律事務所の事務員は国民健康保険であるが、法人化すると、社会保険にしないといけない。

 そうすると、事務所が半分負担しなければならない。

 これが結構な額になる。

 社会保険にしないといけないので法人化を見送るというのでは、なんだかせこい話に聞こえるが、お金がかかる以上、せこいというだけでは済まない。


 これだけではないが、このようなデメリットがいくつかあるので、多くの事務所が様子見してる状態である。

 税制上のメリットでもない限り、当分は法人化する法律事務所はあまり増えないように思う。 



2002年12月13日(金) アコムが、示談で虚偽の取引経過を提出

 日経(H14.12.13付)・社会面に、消費者金融会社のアコムが、示談の際に、虚偽の取引経過を提出していたと報じていた。


 債務が過多になり支払いが困難になると、弁護士に債務整理を依頼せざるを得ない。 

 そして、弁護士が介入すると、消費者金融業者は、それまでの取引経過を開示する。

(弁護士に依頼せずに、借主本人が直接取引経過を出してくれといっても、業者はほとんど開示しない。)


 取引経過の開示をうけると、それを利息制限法所定の利率で再計算する。

 約定でので利率は25%前後の業者が多いが、利息制限法では18%までしか認めていない(10万円以上、100万円未満の借入の場合)。

 その利率の差の分だけ利息を払いすぎになっているから、利率18%で計算し直すと、元金は減るし、場合よっては過払いになっていることもある。

 そのため、取引経過の開示を頑強に抵抗する会社もある。

 しかし、開示した取引経過はウソではないだろうと思っているし、そういった信頼を前提にしている。

 その信頼関係を裏切って、ウソの取引経過を出したのであるから、問題は重大である。


 もっとも、弁護士にもメーリングリストというのがあり、その中で、あの業者はウソの取引経過を出すので注意した方がいいという情報は流れてくる。

 しかし、アコムは業界最大手の一つである。

 そのような会社が、虚偽の取引経過を出したのであるから、問題は大きい。


 新聞では、私文書偽造に当たると書いていたが、騙して、本来払うべき金額よりも多く取得したのだから、詐欺罪にも該当するであろう。
 



2002年12月12日(木) 毒入りカレー事件で、林真須美被告に死刑判決

 日経(H14.12.12付)社会面に、和歌山の毒入りカレー事件で、裁判所は林真須美被告に対し死刑判決を言い渡したと報じていた。


 私は無罪になると予想したから、予想は大ハズレである。


 なぜ無罪になると思ったかというと、数日前に朝日新聞で、林真須美被告の近況についてかなり同情的なタッチで書いていたからである。

 マスコミはずるいから、早々に逃げ道を作ったのかなあと思ったのだが。


 それにしても、判決要旨を読むと、「被告の周辺にあったヒ素がカレーに混入した蓋然性が極めて高い」「カレーを作っていたガレージに1人でいた蓋然性が高い」などと、蓋然性を積み重ねており、無理があるなあと思うところがある。

 しかも、犯行の動機も明らかになっていない。


 したがって、無罪となってもおかしくない事件だと思う。

 今後も、控訴審、最高裁と、まだまだ争われるだろう。



2002年12月11日(水) 外国証券会社では、企業内弁護士のコスト増大が収益を圧迫

 日経(H14.12.11付)3面に、外国証券会社が、日本株業務を縮小していると報じていた。

 その解説記事で、外資系はコンプライアンス(法令遵守)のために弁護士などを大量に採用しており、そのコスト増大が収益を圧迫していると書いていた。


 外国証券会社は、一時、弁護士を大量に採用した。

 しかし、外資系は、業績が上がらないとすぐに撤退したり、業務を縮小するするから、採用された弁護士もリストラされる可能性は高く、大変だと思う



 外国証券会社だけでなく、司法試験の合格者が増えるに従って、若い弁護士で、企業に雇用されてその企業だけの仕事をする企業内弁護士は増えてきている。


 かつての弁護士はお山の大将みたいな人が多く、弁護士1人の事務所という形が一般的であり、弁護士数人で共同で経営していても、そのうち分裂して1人になるというケースもよくみられた。


 しかし、最近の若い弁護士は安定志向が強いように思う。

 企業内でそれなりに高給をもらうことができれば、給料は安定しているし、自分で事務所経営するのと違って、経費もかからない。

 したがって、今後も、企業内弁護士は増えていくだろう。



2002年12月10日(火) 和歌山の毒物カレー事件が明日判決

 日経(H14.12.10付)社会面に、和歌山の毒物カレー事件が明日判決と報じていた。


 先日も朝日新聞で、最近の林真須美被告の近況について書いていたが、やけに同情的であった。

 この様子では、明日は無罪判決が出るのではないかと思う。


 この事件は、殺人の動機がなさすぎる。

 裁判所が殺人事件で無罪判決を書くときは、動機の有無を問題にすることが多い。

 おそらく、判決では、動機がないことを最大の理由として、無罪判決となるではないかと予想する。



2002年12月06日(金) 日本信販事件で、担当者が恨み節の落首を書く

 日経(H14.12.6付)社会面に、日本信販の総会屋に対する利益供与事件で、警察が押収したパソコンに、担当者が「奴らさえ なくなりゃ 会社も楽になる」などと書いた落首が残されていたそうである。

 他にも、「今日もまた 皆が稼ぎしその金を 奴に届ける この身悲しき」などという落首もあったそうである。


 担当者がどんな気持ちで仕事をしていたのかがよく分かる。

 そのような業務を強いた役員たちは、強く反省すべきである。



 ところで、このパソコンは社員共用のものであったので、誰が書いたか分からず、「詠み人知らず」ということらしい。


 しかし、書かれた落首は、実質的には会社を非難しているものである。

 そのような内容を、共用のパソコンに書き込むだろうか。


 なんだか、報道された記事は、話が出来過ぎのように思うのだが。



2002年12月05日(木) 顧問弁護士が詐欺罪で逮捕

 日経(H14.12.5付)・社会面に、債権回収会社に対し、資産が過少であるとウソを言い、46億円の返済を免れた疑いで、会社社長と顧問弁護士が逮捕されたと報じていた。


 手口は単純で、資産を過少に記載した決算報告書を債権回収会社に見せ、資産がないと思わせて、債務を免除させたものである。


 こんな単純な手口を、なぜ弁護士が手助けしたのだろうか。

 二つのことが考えられる。

 一つは、その弁護士は借金まみれで、どうにもならなくなって、報酬ほしさに詐欺を手伝った可能性である。

 もう一つは、会社社長が、自分の罪を軽くするために、弁護士のアドバイスであるとウソを言って弁護士を巻き込んだ可能性である。


 別の新聞には、その弁護士は、報酬として一億円以上もらったと報じていたから、借金まみれで犯罪に手を染めた可能性の方が高いと思う。



 単純な手口といえば、以前、税務署に虚偽の還付請求することによって、大金をだまし取った事件を扱ったことがある。


 その事件で、被告人は、所得のうち3000万円を源泉徴収されたが、その年の収支は赤字であったと虚偽の申告をした。

 すると、源泉徴収された3000万円は、それだけの税金を払いすぎたことになるから、税務署は、取りあえず申告に従い、3000万円を還付するのである。

 このようにして、簡単に3000万円が手に入り、申告した本人も「びっくりした」と言っていた。

 もちろん、そんなウソはすぐばれる。

 すぐに税務署の調査が入り、申告が虚偽であることが分かり、詐欺罪で告訴された。

 そして、2年の実刑になった。



 先の弁護士の手口も、その程度の単純な手口である。

 どうしてそんなことをしたのかと思うが、46億円もの返済を免れたとすると、実刑は間違いないだろう。



2002年12月04日(水) 破産しても、生活レベルを下げない人が多くなってきている

 日経(H14.12.3付)・社会面に、個人の自己破産が年間20万件を突破し、過去最悪になる見込みであると報じていた。


 一年に20万の人が破産しているのだから大変な数字である。


 ところで、破産すると、正規の金融機関からは借入れはできない。

 そのため、生活も、それまでのレベルを落とさないといけないはずである。

 ところが、破産した人たちをみていて思うのは、破産しても生活水準を落とさない人があまりに多いことである。

 必要だからという理由で、例えば携帯電話代だけで月に1万、2万円とかけているのである。


 たとえ破産したとしても、節約とか倹約しなければならないという意識が薄れ、生活水準を意識的に下げるということをしなくなった。

 これはバブル以降の特徴であり、それ以降、日本人の意識が急激に変化したように思う。



2002年12月03日(火) 滋賀県、青森県は、弁護士が不足?

日経(H14.12.3付)・社会面に、滋賀県、青森県は、弁護士が不足しており、潜在的需要があると報じていた。


 これは、各県の総生産額を弁護士の数で割ることによって、弁護士一人あたりの生産額を算出した結果である。

 弁護士一人あたりの生産額が大きいところは、今後も弁護士を受け入れる余地があると推定され、他方、一人あたりの生産額が小さいところは過当競争になっていると推定されることになるそうである。


 ちなみに、弁護士一人あたりの生産額が最低だったのは東京であった。


 おもしろい算出方法であるが、実態にあっているとはいえないだろう。

 東京には、あらゆる情報が集積しており、総生産額以上の経済実態があると思われるからである。


 したがって、東京で弁護士をやっていても、それなりに収入を得ることは可能である(世間で思っているほど高収入ではないが)。


 たまにではあるが、記録もよく読まず、判例もよく研究しないまま裁判に臨む弁護士もいる。
 こんな弁護士に依頼している依頼者は可哀想だなと思うことが、そんな弁護士でも十分仕事があるみたいである。

 だから、まだまだ弁護士過剰というわけではないのだろう。


 ただ、今後は、真面目に勉強していない弁護士は淘汰されていくと思う。

 私も、淘汰されないよう、勉強を怠らないようにしなければならない。



2002年12月02日(月) 証券取引監視委に規則制定権を付与

 日経(H14.12.2付)・1面で、証券取引監視委に規則制定権を付与することを検討中と報じていた。

 
 しかし、いくら規則制定権を付与しても、金融監督庁から独立した機関でない限り、あまり意味はない。


 証券取引監視委は、アメリカのSEC並に、強い権限を持つ、独立性ある機関とすることが必要と思う。


 また、人員の強化も重要だろう。

 摘発が一部だけとなると、かえって不公平となるからである。


 先日も、会員にうその情報をメールで送って株を売買させたとして、男性が風説の流布などの疑いで広島地検に告発されたと報道されていた。

 しかし、ネットの掲示板などをみると、なんだか無法地帯になっている感のある掲示板も多く、こういった摘発は氷山の一角であることがわかる。


 もっとも、このような情報に振り回される方も問題があると思うが・・。


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