* 世界一ついてない日常
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2004年03月08日(月) いきなり新撰組!8

かくして池田屋事件に突入。
私は「誠」の旗印を掲げ、近藤勇について行くことになった。

バーン。木戸が蹴破られ、

「御用改めだ!刃向かう者は斬り捨てる!」

近藤さんかっこいー

「ばか田上!外で待ってろっつっただろ?!」

言いながら近藤、階段駆け上り浪士の一人を斬り捨てる。

田造です!いい加減憶えてください!

「いいから近藤さん、田丸くん、早く座敷へ!」

永倉さんまで…。

えーい、こうなりゃヤケだ!そこの浪士!勝負っ!

「貴様ァ!」

闇の中で白刃が光る。
こちらも刀を抜こうとして、ダイコンを抜いてしまう。

「…な、なぜ…?!」

な、なぜ…?! そ、そうかさっき間違えて…

「なんでそこを間違う!!」

うるさい!
それより君、銃刀法違反および公務執行妨害で逮捕する!

「わけのわからんことを!死ねっ!」

その発言は殺意があったものと見做し殺人未遂罪も加える!
公安職公務員をなめんじゃねえ!!

ぐさっ。

「ほがっ!!」

一瞬の間であった。
あわや刺し違えるかといったところ――
私のダイコンが一秒早く、浪士の口にはまった。

「ほがほが、ふぎー!!」

その隙に制圧、おとこ結びで収容者一名捕獲。

「近藤さんっ!」

そうこうしてる間に、土方隊が到着。
浪士のほとんどがさっさと斬られてしまった。

あーつかれたー

「旗!しっかり揚げろ!見えねえじゃねえか!」

そんなわけで新撰組オープニング、
開始早々怒鳴られてる平隊士は私です。

え?どうやって戻ってきたかって?
いやだなあ、あのロケ、京都でやってんですよ。京阪電車に決まってるでしょ〜

            〈完〉


2004年03月07日(日) いきなり新撰組!7

屯所に帰ると、辺りがなにやら騒がしい。

「どうしたんです」
「沖田さん。古高俊太郎が捕まりました。今詮議にかけてます」

古高?!
…というと…あれだ。ろうそく。土方副部長のSMプレイ。

「君!」

は、はい?

「時間だ。中の隊士と交代してくれ」

げえ!!すぷらったの予感!!

蔵に入ると、まさしく史実どおりに逆さづりの古高俊太郎。
それに吐け吐けと言って水ぶっかけてる隊士。

そして――白皙の副部長。

…おー。映画のとおりじゃん。

どうも。交代しまーす。はい。休憩行ってくださーい。

「あ、すまんな田辺」

田造ですけど…ま、いいや。あ、副部長もどうぞお茶でも

「いや。これはおれの仕事だ」

私、何すればいいですか。

「見てわからんか、水責めだ」

はい。あ、どうも古高さん。
私はこれからあなたに水かけます田造です。よろしく。

「なんど聞かれても同じこと。早く殺せ!」

これからろうそく台にされるとも知らずに、君もなんだかなあ。
ねえ早く吐いたほうがいいよ。ほら、例の火事大作戦だよ。

「?! 貴様、知って…?!」

火事にすると文化財とか燃えちゃうし、
京都が観光都市になれなかったら君の責任だぞ。
そりゃ坊さんに会いたかったのはわかるけどさー

「ぼ…坊さん?」

有名だよ――
火事場で会った坊主に恋をしてまた会いたい一心で振り袖に火を。

「ち、ちがう。それは」

俗に言う振り袖火事だね。究極の愛の形。

「ちがうそれは俺じゃない!それは話が混ざっている!」

はー。あんた坊主フェチ?

「ちがう!だから俺が計画したのは京都を焼いてその隙に天皇を!」

「…その話本当か」

「!!」

え? あ、やばい。ちょっと古高吐くの早かった?
あのー、副部長、私、せっかく釘とろうそく持ってきたんですが…

…。ハッピバースディトゥーユー♪

            〈続〉


2004年03月06日(土) いきなり新撰組!6

「死ねっ!」
もはや逃げられぬと浪士は刀を抜き、沖田に斬りかかる。

「しょうがないなあ…」
身を低めたこちらも刀に手をかけ…

しかしそのとき私の脳裏に駆け巡る、刑務官必携「矯正護身術」!!
〜前突き〜
 1 短刀持つ腕引き相手の体を崩し、
 2 手の甲で目潰し、
 3 左後ろに後退しながら脇固めで制する

ほい!えい!とりゃっ!!

「いてててて」

脇固めで制した。

「田中君!何してんですか!」

すすすすいません!職業病なんで!

「この野郎!」

もう一人の浪士が私目がけて突いてくる。
ひぇえええ!!

逃げようとしたが足がもつれてすっ転ぶ。
私にけつまづいて相手も転ぶ。
その拍子に、刀がもう一人の浪士の袴に刺さり…

「待て!」
振り上げた瞬間、

ビリリリリ。ふんどしまで見事に真っ二つ。一同、沈黙。

「桂!おれをひんむいてどうする!」
「私もできれば見たくはなかった!」

仲間割れする浪士たち。

なんかもう手を出すに出せなくなった新撰組。

「…帰りますか」
「帰ろうか」

見なかったことにした。

            〈続〉


2004年03月05日(金) いきなり新撰組!5

京都の街を闊歩する一番隊6人。

…なんか前にもあったぞこのシチュエーション。

わかった。修学旅行だ!
班別行動ってあったなあ。懐かしい。

班長!そこらで抹茶でも飲みませんか!

「…班長じゃなくて組長です。
 どうしてわざわざ抹茶飲むんですか。帰ってからにしなさい」

班長!京都タワーが見たいんですが、どこですか!

「だからあ」

言いかけたとき、先に歩いていた隊員の一人が路地を指差した。

「沖田さん!浪士2名こちらを見て逃げました!」
「追え!」

走る。

しかし数十メートル行った所で浪士は行き止まりにぶち当たり、
くるり振り向き刀を抜いた。

「くそっ幕府の犬め!」
「返り討ちにしてくれるわ!」

お。チャンバラが始まる。この場合誰が印籠出すんだ?

「当方は新撰組。
 長州藩の方とお見受け致す。詮議のため同行されたい」

落ち着いた声音で班長は言って、
班員たちはその間に切っ先揃えて2名を取り囲む。

出たっ!新撰組流ふくろだたきの陣!!(ふくろ斬り?)

「くそ…死ねっ!」

逃げ場を失った浪士、いきなり班長に斬りかかった。

            〈続〉


2004年03月04日(木) いきなり新撰組!4

「えーと、田島くん。これが制服と刀」

隊長の沖田総司から渡されるだんだら水色。けっこう派手だなあ。

「忠臣蔵知ってる?あのだんだらを真似したんだ」

…コスプレ?

「ほら刀!なんで背中に差すかなあ」

あ、こうか。うーん。重い。ずり落ちそう。
これ肩から提げちゃいけませんか?

「そのくらい持ちなさいっ。股にもはさまない!」

いまいちしっくりこない…

「巡察というのは、京の街の不逞浪士を見つけて斬る仕事です」

太い浪士斬ってたらやせたやつばかりになりますね。

「不逞だってば。えーと、無職でぶらぶらしてるわるいやつ」

プータローのことか。
はい質問、パラサイトシングルは含まれますか。

「なんていったらいいかな…倒幕派を斬るんです。薩摩と長州」

どうやって見分けるんですか?

「ん――と…。ほら、なまりがあるでしょう」

喋ってくれなかったら?

「顔で判断しなさい!」

かくして一番隊、巡察に出た。

            〈続〉


2004年03月03日(水) いきなり新撰組!3

そんなわけでいきなり新撰組に入隊した私です。

「田造与作?変な名だな…」

目の前に座っているのは副部長の土方歳三です。

「…“副長”だ。で、剣の流派は?」

国民保険です。

「何流かって聞いてんだよ。俺は天然理心流だが」

じゃあ私もそれ。

「そうじゃないだろ」

人は私のことを“天然ボケ”と言います。

「天然戊慶流…聞いたことないな。で、何藩だ?」

マツタケごはんが好みです。

「てめえ、バカにしてんのか」

すみません。納豆ごはんで十分です。

「もういい。水戸藩って書いとく。
 ところでお前、局中法度は知ってるか」

春はあけぼの。

「違う。」

和をもって尊しとなし。

「まったく違う。というか耳の痛いことを言うな。これを見ろ」

  一、局を脱するを許さず
  一、私事の闘争許さず
  一、金策すべからず
  一、士道に背くべからず
        ――違反したら切腹

えーと。
つまり『やめるな逃げるなケンカすな』ってことですね?

「厳しいと思うならやめろ」

うちの職場のモットーは、
『やめるな休むな笑うな泣くな逃がすな燃やすな殺すな死ぬな』ですから。

「…厳しいな」

サラリーマンとはそういうものです。

「それでは田中君。明日から一番隊の巡察に同行して貰う」

田造です…
そして、完璧に逃げるタイミングを逸してしまった私…

            〈続〉


2004年03月02日(火) いきなり新撰組!2

そして連れて行かれた道場。

あ、あれ真ん中の人、写真で見たことある!
そうだ新撰組の近藤勇だっ!
「呼び捨てるな!失礼だろ!」
げんこつ口に入れるんでしょ?やってやって
「声がでかい!」

近藤が振り向いた。

「なんだね君は。いきなり人を口がでかいみたいに。」

おおっしゃべった!すげえ!
だって虎鉄の次に有名ですよ。トリビアの泉でもやってたし。

「参ったな。歳、有名だとよ」
「いいから入隊試験だ。沖田君、立ち会いたまえ」

竹刀を持たされる。剣道なんて中学のとき以来だ。
え?
ちょ、ちょっと待て、沖田総司に勝てるわけないだろ!

天然理心流、平青眼の構え。

もうこうなったらやけくそだ。こっちも構え…ようとして。
脳裏に駆け巡る、刑務官必携「矯正護身術」。
〜振り上げ〜
 1 棒持つ手を左で抑え、
 2 右で取り、
 3 右後ろに後退しながら脇固めで制する

「え?」

ほい!ほい!えいっ!
気がつくと私は竹刀を捨て、相手の右腕を脇固めで制していた。

「なんじゃそりゃー!!」

その場にいた全員につっこまれる。
しまった、体が勝手に…

「ちょっと!まだ開始って言ってないでしょう!
 だいたいこの状態からどう攻撃するんです!」

えーと、携帯で同僚を呼び、保護房へ連れて行く。

「連れてくなんて悠長な。早く竹刀を拾いなさい!」

「いや、総司、お前の負けだよ」

「近藤さん!」

「今は毎日が戦だ。もし市中でこの男が仲間を連れ
 相打ち覚悟で挑んできたら、お前は斬られていた。

 よろしい。君、一番隊隊士として採用しよう。」

かくして私は判定勝ちで勝利!!
本当に新撰組隊士になる羽目になったのです。

公務員、恐るべし!!!

         〈続〉


2004年03月01日(月) いきなり新撰組!1

朝起きたら、幕末だった。

「貴様、何者だ?!」
「屯所の庭に寝ているとはいい度胸だ!」

しかもどうやら「新撰組」屯所であるらしい。
えーと…
寝ぼけまなこをこすりつつ布団を畳み、
とりあえず外でパジャマはまずいと思い当たる。

「おい何脱いでんだっ!!」

あれ? タンスどこ? えー…こっちが押し入れで

「布団!井戸の上に置くなっ!」

あのータンス知りませんか?

「怪しいやつめ!斬り捨てる!!」

ぎゃあ!銃刀法違反!!
きらり閃く日本刀、一気に私は目が冴える。

ちがうちがうちがうんです!!

「じゃあここで何をしていたッ!」

え、えー…そう、あの、新撰組に入隊したいと思いまして!
昨日からここで待ってたんです!

「なんだ入隊希望者か。」

刀を納める。やれやれ助かった。

「今道場で入隊試験してるし。つれてってやる」

え。そ、その…

これが私の戦いの日々の序章となろうとは、
読者の誰も、思いは…したような気がする。


        〈続〉


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