諦めるとか忘れるとか
そんなことの為には大変なエネルギーが要るのだと。

そんなことに気付かずにいたのは私くらいのものなのだろうか。


たくさんの妙なものと、たくさんの怖いものと、
そしてたくさんの笑顔に囲まれた後、
下北へ降り立って、いつもの沖縄バーに立ち寄る。

いつものお酒といつもの肴。

お気に入りの映画を眺めながら呑んでいると
すぐ隣で彼女が泣いている。



美香ちゃんか。


その昔、泣いている彼女に車で拉致られ、
挙句の果てに美香ちゃんの彼氏の家の前で放り出されたことを思い出した。


彼女の泣き声を自分の中に溜め込みながら泡盛を呑み、
「アン・タッチャブル」を眺めている。


私はここで何をしているのだろう。


深夜にも係わらず、氏にメールを打つ。
少し酔いが回ってしまったのだろうか。

直後、止めておけば良かったと思う。

言葉というものは、一度自分の中から表に出ると
相手の記憶から消し去ることは出来ない。

怖い。


美香ちゃんの泣き声で満たされていく。
涙だけで満ちていく。
涙の意味は知らない。

そこに言葉はない。



時間は少しずつ過ぎ、マスターと映画の話をする。
あるいは、真夜中の邦楽の話をする。

上手くならないピンボールを、自分で決めた回数だけ楽しみ、
ふと見ると、泣き声だけがそこから湧いてきていて
美香ちゃんはもういなかった。



出会った分だけ別れがあるのだとしたら。

二度と来ない誕生日もあるのかもしれない。

彼は安らかに眠れているだろうか。





*mixi同掲

自分ではそんなに拘っているワケでもないと思うのだけれど、
他から見ると、どうやら私は「自分は自分、他人は他人」な感の
強い人間らしい。


相手を思いやることはしていると思うのだけれど、
偏っているのだろうか。
あるいはそれも自己満足の中だけで完結しているのだろうか。



某日、某氏に愛を問う。

山ほどの言葉を積み重ねて教えようとしてくれるのだけれど
未だ、愛が分からない。


どうして分からないのだろう。
何が分からないのだろう。


昔言われた
「お前は愛されたことがないから、愛が分からないんだ」
を思い出す。



私はどこを見ているのだろう。


果たして。


愛の正体を知る必要などあっただろうか。