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アイ ナンカ イラナイ。
夏野 空の日記

2005年07月22日(金) 夏の空

梅雨が明けたのは ついこの間だっただろうか



7月の初旬、また今年も浅草寺のほうづき市に行ってきた。
梅雨の最中で連日雨が続いていたのだが、
年に一度のお祭だから、と惜しんで行ってしまった。

深川の蕎麦屋でしばらく呑んでから行くのもいつも通り。
しばらく行かないうちに、品書きに新しいのが一つ二つ増えた他は
森下の町は昔と同じ顔をしていた。

焼き味噌を突きながら
蕎麦苗のおひたしを摘みながら
ゆっくり少しずつのお酒を頂いた後、蕎麦で〆る。

浅草についた頃、まだ小降りだった雨が
おみくじを引く頃には本降りになっていた。


ほうづきの朱が雨にかすんでいたので
風鈴の音が雨の音にかき消されていたので

眺めるばかりで買うのを忘れた。




明智伝鬼氏の訃報を聞く。

先日
とあるフェティッシュイベントにて
「本日出演予定の明智伝鬼氏、体調不良により・・・・・・」の貼紙を見た。

体調不良などではなく
師はその日の朝、既に亡くなっていたのである。

私はその夜、何も知らずステージの上の代役をただ漫然と見ていたのだ。

知り合いであったわけでもない私に、
この喪失感はどこから来るのだろう。

久しぶりにあげたメッセでママンと話をした。

時代が一つ終わったんだね。
みんなどこかへ流れていくんだね。
流れていくから出会えるんだよ。



そんなの嫌だ。

嫌だ嫌だ
どこへも行ってなんか欲しくない
ずっとずっと一緒にいたい

時間なんか大嫌いだ


と駄々をこねる私がいる。
どうしようもないと分かっているのに
「イヤだ」と言って地団太を踏む私がいる。



昔、カウンセリングを受けている時
「時間は優しいお友達なんですよ」と言われたことを思い出した。

その日、私は遮断機の降りかけた線路の真ん中に、立っていた。


陽炎の向こう側、揺れながら、ゆっくりと近づいてくる電車を憶えている

カンカンカン、というくぐもった大きな音は耳の外で鳴っていた気がする


私は逃げるでもなく、ただぼんやりと、近づいてくる電車を眺めていた。


どうやって出てきたのか

線路端にいた誰かが引っ張り出してくれたのか

憶えてはいない。



夏の空の下、心地よく吹く風を感じながら
あの日生きていた私と
今生きている彼の人のこととを思った。



〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜〜*〜
愛してくれる?

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麗香@夏野空 [MAIL] [MILK PITCHER]
 
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