2003年10月21日(火) |
愛されない存在(昔書いた一遍の詩付き) |
叩きつけるような言い方が何を意味するのか。 その言葉が何を意味していたのか。
期待するからいけないのだ。
アテにするからいけないのだ。
信じたのがそもそもの間違いなのだ。
「愛したら愛した分だけ愛されるのだから、愛は惜しみなく与えなさい。」
それは。
アタシには当てはまらないのだ。
愛されることなど許されてはいないのだ。
けれど与えるばかりで与えられず、 アウトプットばかりでインプットが無かったら 疲れるに決まっているじゃぁないか。
が。 それ以前に。
何を今更涙することがあるのだ。 アタシの存在自体が間違っているのだから。 嘘なのだから。 端から本物の愛など似合いはしないのだ。 贋物の愛が似合っているのだ。 分不相応なものを望むからいけないのだ。
そのまま。 何も言わないまま。 どうせ偽りだらけのアタシなのだから、 適当にあしらい、騙し続けてくれていればよかったのだ。
何度も。 もう何度も言ってるじゃぁないか。
信じさせないで。 愛させないで。 どうせ手に入らないんだったら。
「アイ ナンカ イラナイ。」
〜恋 人〜
不意に来て傷つけてゆく 私の心は幾つあっても足りない
いきなり桜木町あたりまで入札手続に行ったり。 とって返して昼食も摂らないままデータ入力に夜遅くまで残業したり。
そんなこんなで駆けずり回るように仕事をしていたら 案の定、流行の風邪にやられた。 朝一番、第一声「喉が痛い。」 こじらせるのは嫌だったので一日休むことにする。
おそらく今日の職場は静かだったことであろう。 アタシは台風か?、などとふと思ってもみたり。
急に頑張った疲れも出たのか、グイグイと眠る。 幾つか夢を見た。
誰かと手を繋いで歩いた夢か。 どこかでお酒を頂きながら語らっている夢か。 見たことのある公園か、どこかのビルの屋上からの眺めが 目の前を出たり入ったりもする。
雪の中に立つ綺麗なBD姿の女性のポートレイトを覚えている。
目覚めたのは夕刻。 とりあえず薬を飲む。 立ち上げたPC、チャットのお部屋には誰もいなかった。
メッセンジャーで少しお話する。 結構マメに面倒を見てくれている彼の、 けれどアタシはお荷物になっているのではないかと またどこかが重たくなった。
またしても。
違っている。 それは「どこか」ではなく、明らかな場所であることは分かっているのに。
どこに居たらよいのだろう。 どこになら居てもよいのだろう。
自分を大事に出来ないアタシにはアタシの居心地のいい場所を、 あるいは自分がいてもいい場所を自分で作ることなど出来ず、 どことも知れない場所で立ち止まったまま 敢えて考えることもせず途方に。
暮れる。
先週から新しい職場へ通っている。 都電が下を通っている橋を渡ってゆく。 少しだけ駅から遠い。 が、通い慣れてみるとまぁ、こんなもんだ。
仕事の仕方が今までの職場と違うので少し戸惑ってみたり。 面接の時に聞いた「活気はあまり無いかも・・・」という話は 妙な雰囲気で当たっているような気がしてみたり。 なのであちこち話しかけ、 プロジェクトを超えてスキルの提供をし合うようにしてみたり、 出社時・退社時はフロアに響き渡るような声で挨拶してみたり。
仕事は楽しくやりましょうよ。 どうせなら、ね。
それとは関係なく。
一部で糸が「ぷつり」と。
どうやら切れてしまったようで。 切られてしまったようで。
ふらりふらりふらり。
音を聴いても楽しくなく。 ネットの向こうにも何もなく。
しようがないので。
元の場所へ戻ろうか。
我が家には「杏仁」という名の子供が居る。 おそらく去年からウチに棲みついているそいつは殆ど口を開くことをしない。 寡黙であり、自己主張をしないそいつが。 時折話しかけてくる私に。 夜半。
杏仁は「竹」である。 特別に愛情を与えているわけでもないのに、すくすくと育っている。 真っ直ぐに。 まぁ、伸びているのはその殆どが葉の部分であるが。 まるで手を伸ばしているように。 天に向かって手を伸ばしているように。 飽き足らず真っ直ぐに伸ばしている彼は(あるいは彼女は)他の何物にも 捉われることなく、何にも侵されることなく、そしておそらく無垢であろう。
ある夜半、普段は当たり前のように視界に入っていた杏仁を、 意識もせずに存在させていた杏仁を、何故か見つめていた。 考えていた。 少し疲れていたのかもしれない。 少しくたびれていたのかもしれない。
幾晩前のことだったのだろうか。 数えることはできないけれど、その時確かに杏仁について考えた。 何について考えていた時だったのだろう。 思い出すことはできないのだけれど、その時確かに杏仁について考えた。
「コイツは水と空気と太陽があれば生きていけるのだなぁ」とか。 「何かを考えているのだとしたら何を考えているのだろう」とか。 「迷ったりすることなんてないのだろうか」とか。 人間の分からないどこかの次元で 実は何かを考えながら、色々悩みながら生きているのかもしれない。 けれど杏仁はそこから動くことができず。
ふと。 植物も自殺したがるのだろうか、と考えていた。
本能というものに忠実であるのなら。 そして他の何物にも捉われないのであれば、彼らは生きることしか知らずに その生命の続く限り生き続けるのであろう。
ふと。 植物が自殺したがることがあったとしたら どのような方法を取るのだろうか、と考えていた。
根を伸ばすことを止めるだろうか。 空気を取り入れることを止めるだろうか。 光合成を止めることはできるのだろうか。
生きることしか彼らには許されないのだろうか。
切り倒され殺されることはあっても。 他の植物の為に犠牲になることはあっても。 生きるという行為しか彼らには許されていないのだろうか。 考えることさえ許されていないのだろうか。
死ぬか生きるか選べる人間という生き物は恵まれているのかなぁ、と。 植物って何だか可哀相なのかもなぁ、などと思いながら、 杏仁の為に、手に持っていた煙草を揉み消した。
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