2008年11月26日(水) |
WALL・E/ウォーリー |
監督:アンドリュー・スタントン 声の出演:シガニー・ウィーバー ジョン・ラッツェンバーガー、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 29世紀、人類はゴミだらけになって汚染された地球を捨てて宇宙に飛び立って700年が過ぎていた。その地球でたった1人取り残されたゴミ処理ロボットの「ウォーリー」は、毎日コツコツと仕事を続けながら「いつか誰か出会う事」を夢見て孤独に耐えていた。彼のたった1つの願いは「誰かと手を繋ぐ事」・・・そんなある日、宇宙船が舞い降りてピカピカのロボット「イヴ」が現れた!大喜びでイヴの気を引こうと自分の宝物を次々差し出すウォーリーだったが。
【感想】 ピクサースタジオの中でもバカ売れだった「ファインディング・ニモ」を監督したアンドリュー・スタントンの最新作。 カクレクマノミでオスカーを見事ゲットしたスタントン氏は、今度はロボットでオスカー像を狙うという訳ですね?
もう書くのも恥ずかしいですが・・・本当にピクサースタジオってのは「進化」以外の動きはないんでしょうか? ジブリがどんどんズブズブになって行く中(今年のポニョはちょっと持ち直しましたが)、新作を出す度にどんどん映像が進化して行くというのは、驚くのを通り越して呆れるのも更に通り越して、もう「口ポカーン」とするしかないです。 「いくら映像技術はどんどん進んでいるとは言っても、もうこれ以上の絵は流石に作れないだろう」と毎回毎回思わされているにも関わらず、きっちり新作は前作以上の映像クオリティ。何なんだ、この会社は!?
映画冒頭から宇宙船に乗り込むまでの映像、どう見ても「実写」としか思えない。 「アニメーションです」と言われて見てるけど実写にしか見えない。この映像を手塚治虫氏に見せたかったなぁ。氏ならきっとこの映像クオリティを見て大喜びしたに違いないですよ。もう本当に掛け値なしに素晴らしかった!
映像の最先端を行くピクサーが今回選んだ題材は、時代の最先端を行く「地球環境問題」 これは親子で見に行ってお子様にも是非見せて頂きたいネタですね・・・と言いたいトコロですが、本作ピクサーにしては本当に珍しい(もしかして初めて?)「恋愛ネタ」を柱に持って来ています。 最近の親御さんは神経質な方が多いので、「恋愛ネタ」に顔をしかめる方もいらっしゃるかもしれない。でも個人的には思いっきり子供だけに対象を絞られるよりも、本作くらいの設定の方が馴染み易かったです。
本作は面白い試みがしてあって、今までのピクサー作品ではオモチャも魚も車もとりあえず擬人化してド喋りまくるのがデフォルトだった訳ですが、本作では「ロボットは喋らんだろ。ゴキブリだって喋らねーよ。常考」という事で、主人公のウォーリーも相方のイヴもほとんど喋らない。口にするのはせいぜいがお互いの名前(合成機械音で)のみ。 最先端技術映像なのに、レトロな無声映画的仕上がり。コレはハマれば最強ですが「会話がないからかったるい」と思われたら最悪な作りな訳で・・・ぴよはこういう作りはかなり好きですよ。面白いと思いましたね。
無声映画はパフォーマンスと表情で、心情を観客に伝えなければいけない。 人間なら表情豊かだけどロボットとなると・・・ココがピクサーのスゴイ所で、ウォーリーの心情をレンズの絞りや僅かな動きで実に巧みに表現しています。時々ウォーリー視点のレンズ越し映像を差し挟む等、演出も上手い。
宇宙船に舞台が移った以降は話はスピーディーに進みますが、「肥満大国・アメリカ」を、更に上から快適を提供されて飼い慣らされた愚かな人間達の様子を皮肉りながら、本当に必要な事・美しい物に目覚めて動き出すマイノリティのエピソードを見せて「成長物語」を提示しながら、主人公達の心の絆も同時進行で進めるという合わせ技を駆使。 「先の見える浅薄な展開」という言い方も出来ますが(をい)、個人的にはかなり好印象でしたね。
ツッコミ所も満載ですし(細かい設定等)、演出も既存のピクサー作品に比べてかなり「大人寄り」な作りなので、肌に合わない方も多かろうかと思いますが・・・ぴよはこの作品はかなり好きですね。 今までの「思いっきり子供向け」なピクサー作品に物足らない感があった方には是非オススメします!
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