ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年06月30日(土) 300<スリーハンドレッド>

監督:ザック・スナイダー
出演:ジェラルド・バトラー
    レナ・ヘディー
    デイビッド・ウェナム、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
紀元前480年。スパルタ王レオニダスの元へペルシア帝国の使者がやって来た。「服従か死か」と選択を迫るペルシアを真っ向から敵に回したレオニダス。ところが神々に開戦の許しを請う為に司祭の元を訪れオラクル(託宣者)に信託を問うた所「戦ってはならぬ」というお告げを受けてしまう。レオニダスは己の心を信じ、精鋭の戦士300名だけを連れてペルシア100万の巨大軍隊を迎え撃つ為に出発するのだった。


【感想】
ペルシア戦争の中でもスパルタの英雄伝説として今も語り継がれる「テルモピュライの戦い」を元に、「シン・シティ」のフランク・ミュラー氏が創作したグラフィック・ノベルを映画化。
スパルタ王国もレオニダス王伝説もペルシア戦争もテルモピュライの戦いも全て史実。でも本作はこれらの「史実」を元にした訳ではなく、あくまでも「史実を元に創作された話を映画化」している、というのがミソです。

・・・ってね、実は映画を見終わって家に帰って公式サイトを見るまで知らなかったんですよ。予告編を見ただけだとただテルモピュライの戦いの「史実を映画化」しているんだ、としか思えないじゃないですか。

だーかーらー、映画見ながらツッコミまくる!ツッコミまくる!!(^-^;

まずあの腹筋6分割軍団がパンツ一丁+カブト&マントという「軽装」で現れた時には腰が砕けましたよ。
スパルタと言えば「重装歩兵部隊」として名を馳せていたハズ。それがいきなり「筋肉自慢大会」ですもの。確かにビジュアル的に萌えるっちゃー萌えるんだけど、それにしてもいくらなんでもコレはー・・・(苦笑)

更にあのアホみたいなペルシアの王様。ナンデスカ?ありゃー(^-^;
いくらスパルタ側が主人公チームでペルシアが悪玉だからといって、ここまでディフォルメするのは気の毒過ぎる。誰が見ても頭の弱い虚勢だけ一人前のバカ王にしか見えないんだもん。ヤバいって!コレはヤバ過ぎるって!!
サイとか象とか、果ては人間なのか別の星の生き物なのかよく判らないよーなキャラまで飛び出して、いくら映画として絵的に面白くなるように演出すると言っても、ここまでやったらイランの皆さんババ怒りでしょー・・・と思ってたら、どうやら本当にイランの皆さんクレーム付けてるそうですね。そりゃー当たり前ですよ(苦笑)

予告編を見て映像はかなり期待していたんだけど、コチラは期待通りでしたね♪
わざと(だよね?)色を抜いて、更にちょっとざらついた感じの映像を作る事で、古代の物語だというのをよりアピールしているというニクイ映像演出。
アクションシーンではスローモーションを多用し(マトリックス風)、バッサバッサとなぎ倒す場面をスローで流して血しぶきがゆっくりと画面を染めると同時に通常スピードに戻して次の敵に挑む、と緩急をつける事でエグイはずの殺戮シーンをスタイリッシュにカッコ良く見せるという工夫が成されていました。

でもね、最初の頃はこのスタイリッシュな戦闘シーンはご満悦だったんだけど、映画の大半を占める戦闘シーンの全てが同じ趣向で撮影されちゃってるので、段々見てる内に飽きちゃうんですよ。
矢が天を真っ黒に染めるが如く空から降ってくるシーンのアングルなんて、「HERO-英雄-」と全く同じですしね。
もっともこのシーンのアングルはコレしか見せようがなかったのかも?無数の矢が空から降り注ぐというシーンを絵的に一番カッコ良く見せようと思ったら、確かにこのアングルしかないかもしれない。

それにしても、もう少し人間ドラマ部分は掘り下げられなかっただろうか?
映画冒頭からずーっと「NHK特集」みたいなナレーションが入ってるんですが、これが緊迫した戦闘シーンに入っても延々とバックでナレーション垂れ流しなんですよね。
見ていて「なぁ〜んか、テルモピュライの戦いの教材ビデオ見てるみたいだなー」って感じなんです。今も尚伝説の英雄と詠われるレオニダス王の英雄たる所以を、つまんないナレーションじゃなくてレオニダス王自身のセリフや所作でもっと表現して欲しかったですよ。

そんな訳で、ぴよはスパルタとテルモピュライの戦いについては多少の知識があったのでツッコミまくりでしたが、本作が必ずしも史実を元にした映画ではないのだ、と判れば「ドラマ部分が弱いけど映像はよく出来てるな」とは思えます。
くれぐれも本作を見て「スパルタはこうだったんだ」「テルモピュライの戦いはこうだったんだ」等と勘違いしないようにして下さいね〜。特にペルシア帝国の映像は全くの創作ですから!ココだけは誤解しないであげて下さいっ!(^-^;








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2007年06月29日(金) アドレナリン

監督:マーク・ネヴェルダイン、ブライアン・テイラー
出演:ジェイソン・ステイサム
    エイミー・スマート
    ホセ・パブロ・カンティージョ、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
フリーの殺し屋シェブが目覚めると、どうも様子がおかしい・・・どうやら宿敵リッキーに特殊な毒を注射されたらしく、放っておけばあと1時間で死んでしまうという。怒り狂ってリッキーをぶちのめそうと探すシェブだが、馴染みの医師に聞くとどうやらこの毒は「アドレナリンを出し続けると毒が体内に回るのを阻害出来る」という事が判った。常に興奮モードを維持し続けながらリッキーを追わなければいけない!


【感想】
「トランスポーター」で一躍TOPスターの仲間入りを果たしたジェイソン・ステイサム主演最新作。
監督さんはダブルネームだがどちらも知らない。ってか多分本作で長編映画初メガホンかな?更に出演している役者さんもジェイソン・ステイサム以外全然判らない・・・と思ってたら、シェブの彼女を演じたのは「バタフライ・エフェクト」の彼女役を演じたエイミー・スマート嬢でしたか。
バタフライ・エフェクトでも変幻自在のキャラでしたが、エイミー・スマート嬢はナチュラル・メイクだとすっごく可愛いわネ♪本当にこの人変幻自在だわ。

予告編を見れば大抵の人が予想付くだろうと思いますが、予告編通りのただのバカ映画です(笑)
特殊な毒を盛られて、その毒がアドレナリンを出し続けていると体内に回るのを阻害出来ると判ったので、とにかく興奮し続けなければいけない!という訳でカーチェイスしてみたり、ドラッグやってみたり、刺激の強いお菓子食ってみたり、病院を襲撃して人工アドレナリンを注射してみたり、衆人環視の中でエッチしてみたり・・・ってだけの話。

まあ一応話の筋らしきものもありまして。←「らしきもの」という書き方もヒドイなぁ(^-^;
シェブはフリーの殺し屋ではあるものの、ある組織のボスに特に可愛がられてて、その組織から仕事を請け負う事が多かった模様。で、今回そのボスから受けた仕事を実は放棄してターゲットを密かに逃がしてやり、自分はこれっきりで殺し屋家業から足を洗おうとしていたんだけど、実はこの殺しの一件でボスに裏切られていた・・・みたいな話。

まあ、話の筋なんてどうでもいいですよ。
映画の作り自体も「筋なんてどーでもいいさ♪主人公がバカみたいに大暴れしてればそれで面白いぢゃん♪」という作りに終始していましたから(苦笑)

でも肝心の延々と続く「バカみたいに大暴れ」シーンが大して面白味がないってのはどうなんだかなぁ?
ハードなアクションとおバカコメディを組み合わせて観客を飽きさせないようにしようという意図は判るんですが、ぴよがすごく楽しみにしていた「ハードなアクション」シーンが平凡でありきたりな作りだったのは悲し過ぎる。
コメディシーンでジェイソン・ステイサム様の清らかなお尻が拝めたのは高得点ですが♪(←バカですいません)、アクションの質が高くなければジェイソン・ステイサム様ファンは納得行きませんよ。

コメディとして大笑い出来るレベルでもなく、アクションでうならせてくれる訳でもない。
そこそこ笑って楽しめるけど、鑑賞後30分でどんな映画だったか忘れちゃうような凡庸な脚本。バカ映画なんだから話なんてどうでもいいじゃんか!とも一瞬思ったものの、だったらバカ映画としての演出をもっと練って欲しかったかな。

本作の救いは上映時間が短い事(イマドキの映画にしては珍しく、上映時間は1時間半程度)
それからジェイソン・ステイサム様の清らかなお尻が・・・って、もういいですね。はい。すいませんでした(^-^;







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2007年06月28日(木) ボルベール<帰郷>

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス
    カルメン・マウラ
    ロラ・ドゥエニャス、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
失業中の夫に代わり働き続ける気丈な女ライムンダに、突然2つの死が降りかかる。15歳の娘パウラが父(ライムンダの夫)を刺し殺してしまったのだ。更に事件の隠蔽に必死になっているライムンダに、最愛の叔母が亡くなったと連絡が入る。姉に代理で叔母の葬儀に行ってもらうが、姉が戻って来ると「火事で死んだ自分達の母親の幽霊が叔母の世話をしていた」という奇妙な噂が村に立っていると知らせてきた。


【感想】
「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」に続くアルモドバル監督の女性讃歌3部作の最終章。
トーク・トゥ・ハーは見たけどオール・アバウト・マイ・マザーは未見なんですよね。前々から見なくちゃと思っているのになかなか見れない。ダメだ。こんなヘタレじゃーダメだ!(薄涙)
主演はペネロペちゃん。更に死んだハズの母親役はカルメン・マウラ。最終章だけに豪華なキャスト〜♪

えー・・・すいません。
映画の内容云々じゃなくて、映画を見ながらずーっと「ある1点」に意識が集中しちゃいまして。
正直言うと内容よりもその事だけが頭の中を渦巻いている状態なんです。
とりあえず、それが何か書いておきますわ。それはペネロペちゃんの・・・
(以下、ネタバレでも何でもないけど、余りにお恥ずかしい内容なので文字隠します。気になる方は【】内をドラッグ)

乳がスゴイ!スゴ過ぎる!!


本当にすいません・・・もう上記の1点に意識も視線も集中しちゃいまして、内容が頭に全然入って来ないんです(コラ)
だって本当にエライ事になってるんですもの!包丁を扱う手元を上から覗き込む視点の映像があるんですがね、コレがまたむっちゃくちゃヤバイんですよ。スゴ過ぎるって、マジでコレはーっ!(^-^;

はぁ。はぁ。はぁ・・・落ち着こう、な?<自分

えー肝心の内容なんですが、自分の中で鑑賞前には「アンニュイなまったりした話なんだろーなー」と当たりを付けていたのですが、蓋を開けてみるとその期待?は良い方向に裏切られました。
意外な事に結構コミカル。そしてよく脚本の練られたサスペンスになっていました。

人間関係が少し見え難い部分があり、しかもある「事件」と「事件」の関連性に関しても、時系列が見ていて少し判り難い作りになっていると思うのですが、この難解なパズルが後のいい伏線として生きていると思いましたね。
映画の冒頭で語られている何気ない会話が、後の種明かしのヒントになっているというのもセオリー通りで気持ちがいい。

母親に関するミステリーは誰が見ても直ぐにオチの判る単純な作りなのですが、この映画の最大のミステリーは何故主人公のライムンダが母親を疎ましく思っていたのか、という部分でしょう。
これが母と娘、更に孫という3世代の女性を繋ぐ「血の結束」と、その3世代に脈々と流れる血が成せる女性の逞しさと美しさを巧みに表現していたと思います。

しかし・・・ペネロペちゃんだ。←まーたこのネタに戻ったか(^-^;
だって本当にスゴイんですよ。彼女の出演している作品って結構見ているつもりなんだけど、本作ほど目が釘付けになった事はありませんでしたね。圧倒的な存在感なんですって!ペネロペちゃんじゃなくて彼女のアレが!(笑)

そんな訳で、本当に本当にすいません。
真面目にこの映画の内容を楽しんで、本作の表現する女性の美しさ・逞しさ・しなやかさを共感したいと思って感想を読みにいらっしゃった方は「なんぢゃ、こりゃ」ってお怒りになるだろうと思います。
でも本作が「女性讃歌」というコピーが付くのは凄くよく判ります。ペネロペちゃんの○○がー!とかアホみたいな事ばかり書いていますが、彼女を本作ほど美しく逞しく艶っぽく撮った監督さんはいないんじゃないか?
これがアルモドバル監督の女性に対する惜しみない賛美が成せる技だとすれば、ぴよがしつこいくらいにペネロペちゃん!と言うのもあながち間違った見方ではなかったんじゃないだろうか?と思う訳です。

何だか言い訳に終始してしまいましたが・・・本当にペネロペちゃんのー(以下、自粛)








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2007年06月27日(水) 河童のクゥと夏休み

監督:原恵一
声の出演:冨澤風斗(クゥ)
      横山貴大(上原康一)
      田中直樹(康一の父・保雄)、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
夏休み直前のある日、小学校の帰りに大きな化石を見つけた上原康一は自宅に持ち帰り石を水で洗ってみた。すると石から河童が現れたのだ。「クゥ」と名付けた河童の子供は、何百年も土中に閉じ込められていて人間の言葉も話せるという。最初は驚いた両親もクゥを世話する事を許してくれて、弱っていたクゥは康一家族の庇護の下で元気を取り戻していった。ところがクゥがある日「仲間の所に帰りたい」と言い出し・・・


【感想】
小暮正夫氏著の児童文学「かっぱ大さわぎ」「かっぱびっくり旅」からインスパイアされて製作したアニメーション。
本作の企画・脚本・監督全てを「クレヨンしんちゃん」シリーズの監督として知られる原恵一氏が手掛け、構想20年・製作5年という途方もない時間を掛けて製作したという渾身の一作。

まあ要するに自然を大切にする事、家族の絆、友情、仲間の大切さ、勇気、優しさ、思いやり等々のお子様推奨ネタてんこ盛りな内容ではあると思うのですが・・・正直子供が見るにはちょっと難しくないか?と思わないでもない。
本作のターゲット層がよく判らないのですが、少なくとも幼稚園児では難し過ぎるだろうし、「いじめ」が横行するような小学校中高学年辺りになって来ると、本作の表現の余りにリアルな様子にどう反応を示すのか?子供のいないぴよにはちょっと想像が付きません。

それというのも、本作の劇中にかなり胸糞の悪い「いじめシーン」が多々登場するからです。
他にも人間のエゴイスティックな感情や行動が、かなりリアルに赤裸々に描かれている。それを「こういう事をするのは心の貧しい事なんですよ。やっちゃいけない事なんですよ」とはっきり啓発・啓蒙表現をしないで、人間というのはどうしてこんなに卑しく心貧しく汚い生き物なのか・・・というのをこれでもか!と見せ付けるだけに終始した作りになっている。

河童と出会って心通わせるというファンタジーいっぱい♪な一方で、現実問題として本当に河童が実在していたら世間はどういう反応を示すか・河童を保護している家族は世間の反応にどういう対応をするか、という超リアルな部分を組み合わせた作りになっていて、その「超リアル」な反応がもうとにかくヘドが出る程感じが悪い。

最初はクゥの気持ちを慮って「世間には秘密にしよう」という、情に厚いファンタジーファミリーだったのに、それがいざマスコミにバレて「河童を飼ってる家族」として散々メディアに取り上げられると、TV写りを気にしたりワイドショーに出演出来ると有頂天になったりして痛い事この上ない。
クゥがおっさん(上原家の飼い犬)と「人間ってどうしてこうも変わってしまうのか」と嘆き合うシーンがありますが、本当に見ているコチラがクゥに申し訳なくなって「すいません。すいません(涙)」と頭を下げたくなってしまう。

コレは大人の反応だと思うんだけど・・・子供はこういう展開を見てやっぱり同じように思ってくれるんだろうか?
もしそうだったらこの映画は大成功だと思うんだけど、少なくともぴよがこの映画を鑑賞している時に周囲はお子様てんこ盛りだったのですが・・・クゥと康一とのユーモラスなやりとり等にはキャーキャーはしゃいで大喜びだったお子様達、いじめやマスコミ反応等のシリアスな場面になると(しかもそのシーンが結構長くて多い)すっかり映画に興味をなくしたのか会場内をバタバタと走り回って邪魔で仕方なかったんですが。←こらこら(^-^;

要するに映画の主張する部分がかなり大人向けに演出された脚本だったと思うんですよね。
映像も子供に見せるには勿体無いくらい丁寧に作られていますし(最近のアニメは軒並みクオリティ高いけど)、大人が見るには反省させられたり日本の原風景のような美しい遠野の様子を堪能したりと、ファンタジーとシリアスと映像美をバランス良く楽しませてくれる秀作だと思うのですが、子供が見たらコレってどうなんだろう?

それから本作は上映時間が2時間18分、子供が見るにはちと長過ぎる。
大人のぴよでも「アニメは2時間が限界だなー」と思ってる位なのに、よっぽど気を惹き続けられなければ、子供にこれだけ長尺のアニメが大人しく見ていられるのか?少なくともぴよが鑑賞した時に会場は・・・もういいか(苦笑)

そんな訳で大人にはオススメしますが、子供には何歳以上からが鑑賞に向いてるのかちょっとワカリマセン。
「子供」「子供」と連呼してしまいましたが、予告編の作りやキャラクターデザイン等を見ると、本作はあくまでも子供を対象に作っているとしか思えなかったので、こういう感想になってしまいました。
アニメーション作品としてはよく出来ていると思いますので、是非大人の方だけでもご覧になって下さいよ。








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2007年06月26日(火) 夕凪の街 桜の国

監督:佐々部清
出演:田中麗奈
    麻生久美子
    吉沢悠、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
原爆投下から13年後の広島。OLの平野皆実は会社の同僚・打越から求愛されるものの、原爆で父と妹を亡くしたにも関わらず自分が生き残ってしまった事がトラウマになり、打越の愛を受け入れる事に躊躇していた。そんな矢先に皆実の体に原爆症の症状が現れる。時代は変わって現代、東京に暮らす皆実の弟・旭は家族に内緒で度々家を開ける。心配した娘の七波は友人・東子とコッソリ父の後を追うのだが・・・


【感想】
平成16年度文化庁メディア芸術マンガ部門大賞・第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した、こうの史代女史の同名タイトルコミックを映画化。監督は「半落ち」「出口のない海」の佐々部清氏。
原作コミック未読に加え、正直言うと佐々部氏の作風って肌に合わない。かなり微妙〜な気持ちで鑑賞ですが。

映画は原爆投下13年後の広島を舞台にした「夕凪の街」が第一部、それから半世紀後の現代を舞台にした「桜の国」が第二部という二部構成の作りになっています。

「夕凪の街」は原爆によって家族や友人知人を亡くし、自らも被爆してあの惨劇を目の当たりにしたものの、死ぬはずだった自分が生き残ってしまったという罪悪感に苛まれ「私は生きているべき人間ではない」と自分を責めている・・・原爆によるトラウマに悩む女性の生き様を見せている。
「桜の国」は現代の話で、夕凪の街の主人公の弟家族が中心。既に老境に入った弟が誰にも告げずに故郷・広島に向かうのを密かに尾行していた娘が、父の足跡を追う事によって自分の家族が背負ってきたもの・自分自身のルーツを探り思いを馳せる・・・という構成になっています。

この手のネタに日本人は弱い。
更に映画冒頭には「広島のある 日本のある この世界を 愛するすべての人へ」なんてテロップが入る。
これは来ましたねー!泣かせますよー!先の大戦絡みでも、特に原爆関連のネタには日本人は滅法弱いですね?

確かに泣かせ映画なんですが・・・映画としては正直イマイチ、と思った。←また結論言っちゃったヨ(^-^;

まず「桜の国」の展開って、ちょっと雑過ぎやしませんか?
「ボケたか?それとも老いらくの恋でもしたか?」と父親を疑って尾行したのがきっかけの七波が、ただ父親の足跡を辿っただけでは自分のルーツに思いを馳せるに到るまでのヒントは得られないだろうと思う訳です。
墓参りのシーンがあるので自分の身内にどうやら原爆で若くして亡くなった叔母がいた事は確認出来ているものの、それ以外の場面では「父親が誰か古い知人と話をしている」のを視認しているだけで、どんな会話がされているのかは七波には確認出来ていないハズ。

突然過去の回想シーンに七波が現れて、過去の様子を七波がそっと眺めているというショットが入る。
「ここはファンタジーだと思って脳内補完よろしくー♪」というお約束を提示しているんだろうと推察しますが、せめてもう少しだけでも七波自身が「ああ、こういう事だったのか!」と思い至れる程度の直接的なエピソードを入れなければ、余りにも適当過ぎやしないか?と思えてしまう。

それから「夕凪の街」編なんですが・・・
「原爆投下後の様子」の表現方法がちょっと手ぬるいような気が。もしかしたら映画の予算的にCGや実写を撮るだけの余裕がなくて仕方なくこういう方法を取ったのか?とも思うのですが、それにしてももう少し映像的に観客に訴えかける方法はなかったのだろうか?と思うと、アピール度に欠け過ぎて勿体無い。

それより何より、映画中の皆実の心の叫び?のセリフには正直不快感を持ちました。
彼女はいよいよ自分の命のともし火が消える時に心の中で語りかける。そのセリフを全部ココに書くのは控えるけど、簡単に内容を要約すると「原爆を落とした奴ら、私が死んで喜んでるのかなー?」みたいな感じ。
それ以前にも似たような主旨の独白セリフがあって、もうこれはぴよ的に全く理解出来なかった。

実際に被爆された方は皆こんな風に思ってるんでしょうか?
ぴよには被爆二世の知人はいますが、直接被爆した人から話を聞いた事がないのでここの所は判りません。でも事が起こったのは戦争という非常時での出来事で、原爆投下した敵国の兵士だって物凄いトラウマを抱えているハズです。
この皆実の独白セリフは余りにも配慮を欠いてると思わざるを得ない。そしてもし本当に被爆された方々がこんな風に自分の事を思っているとしたら・・・こんなに悲しく空しい事はない。

「原爆の悲劇」を見せるには、この表現方法もまた効果的だったのかもしれないけど、個人的には好きではないです。
ただ、これもまた事実のヒトツなのかもしれない。被爆者達の心の叫びなのかもしれない。そう思うと「不快感」だけで済ませてはいけない、そこからもう一歩踏み出して考えなければいけない問題なのだ、という事は強く感じます。

でも映画作品として考えると・・・正直もう1つ入り込めない作りでした。
やっぱりぴよは佐々部監督とは相性が良くないらしい、という事だけは本作で確信出来ましたね(苦笑)







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2007年06月24日(日) 舞妓Haaaan!!!

監督:水田伸生
出演:阿部サダヲ
    堤真一
    柴咲コウ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
カップ麺が主力商品の食品会社に勤める鬼塚公彦は、高校の修学旅行で訪れた京都で出会ってから舞妓に夢中。舞妓の写真を撮っては自身のサイトに画像UPする「舞妓おたく」だった。ところがサイトが荒らしに遭い「本当はお茶屋遊びもした事がないんだろう」と図星を指されてしまう。そんな中、京都支社に転勤辞令が出て有頂天になった鬼塚は、憧れのお茶屋に行くのだが「一見さんお断り」で門前払いを食ってしまう・・・


【感想】
既にメディアの露出(予告編等)がスゴイので、説明するまでもなさそーな、クドカン脚本最新作。
普通は監督の名前をまず出すべきだと思うんだけど、この映画に限っては脚本家の名前で観客を呼んでるでしょう。
正直ぴよも「おぉ!クドカン最新作かぁ〜♪これは絶対に見なくちゃな」と思って鑑賞したクチですから。

まあ、とにかくおバカ(笑)
この映画をわざわざ金払って見に行こうと思う位なんだから、クドカンワールドを堪能して笑って笑って楽しんでやろう、という意図で見に行くのは当たり前ですが、それにしても笑った!笑った!!

とにかくキャストが豪華ですよね。それにキャスティングが絶妙です。
主人公の「舞妓しか愛せない男・鬼塚公彦」を阿部サダヲさんにキャスティングした時点で、もうこの映画の面白さは決定付けられたと言っても過言ではないでしょう。鬼塚と張り合う年棒8億のプロ野球選手・内藤喜一郎を演じた堤さんもいい。それにちょい役でバンバンと人気役者が起用されてて唖然とする程豪華な顔ぶれ。

個人的には「駒子」を演じた小出早織ちゃんの愛らしさは白眉だったと思う。
それからちょい役で一番ツボだったのが医師役を演じた北村一輝さん・・・彼のキャラはいいなぁ〜!ハマったわー

途中で割りと時間を割いて「いきなりミュージカルモード」の入ったのには面食らいましたが、この結構時間を割いた割りに余り意義を感じさせなかったミュージカルシーンが、後にすっごい小さなオチのネタ振りだったのには感心するのを通り越して呆れる程でした・・・「もしかしてこのシーンで笑い取る為だけにあの前振り!?」
いやはや、ここまで徹底されると脱帽です。まあ、笑っちゃったからぴよの負けです。←勝ち負けじゃないし(苦笑)

そんな感じで延々「アホかーっ!」という小ネタの連続技を繋げながら、ちゃんと話は進行して行きます。
途中までは相当笑いまくって「これぞバカ映画の真骨頂!」とご満悦だったのですが・・・話が進んで貴一郎の転職に合わせて鬼塚も後追いで転職を重ねる辺りからテンポが失速してしまう感じなのが勿体無い。

特に「市長選」からラストまでが、ぴよは個人的に「うーん」という感じ。
クドカンって「バカ映画なのに実はちょっぴりホロリと来るヨ」という作りがお好きなんでしょうね。そのバランスが絶妙で自分のツボに来た場合は最強なんですが、本作に限って言えば正直この展開は「ちょっと微妙だなぁ」というトコロ。
ぴよには正直ダレましたね。この作りなら最後の最後まで「バカ映画」で貫いて欲しかったかなぁ・・・

鬼塚と富士子の関係も判り難かったかも。鬼塚はそれ程(と言うか全く)富士子思い入れがないように見えたのに、久し振りに会った富士子が妙にキレイなおねえちゃんになっていたのを見て急に惜しくなっちゃった、程度にしか見えなかったのは痛いと思うんだけどな。
舞妓になってからの富士子と鬼塚が、もう少し直接絡むようなエピソードが挿入されていた方がラストシーンがもっと生きるような気がするんですが・・・ちょっと小ネタの詰め込み過ぎで流れが止まっちゃった感じしますね。

まあ、そうは言っても散々笑わせてもらったし、楽しませてもらったので満足ですよ。
本当に「お軽いバカ映画」の王道です。小難しい事考えないでパァーッと笑いたい人にはオススメです。
でも正直言って・・・別にDVDレンタルになってから見ても全然問題ないですよね、この系統の映画って(^-^;









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2007年06月21日(木) ラッキー・ユー

監督:カーティス・ハンソン
出演:エリック・バナ
    ドリュー・バリモア
    ロバート・デゥバル、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
ラスベガスでプロのポーカー・プレイヤーとして生きるハック・チーバーは、大胆不敵な勝負師として知られていた。女性には特に慎重で特定の相手と長く付き合う事のなかったハックだが、若手歌手のビリーと知り合って彼女に「特別なもの」を感じるようになる。そんな中開催された「ポーカー世界選手権」で彼の前に立ちふさがる強敵・・・それはかつて自分と母親を捨てた父親であり、伝説のポーカー・プレイヤーと呼ばれる男、「L・C・チーバー」だった。


【感想】
「L.A.コンフィデンシャル」のカーティス・ハンソン監督の最新作。
「ハック」をエリック・バナ、ハックの運命の女性「ビリー」をラブコメの新女王?ドリュー・バリモアが演じています。

エリック・バナ、初めてその名前を覚えたのが「ハルク」なんですが、正直言ってハルクのエリック・バナは全然カッコイイと思わなかったんです。それが「トロイ」で兄王ヘクトルを演じている彼を見て、「この人、イケメンじゃーん♪」と一気にお気に入り俳優さんに格上げしちゃった♪←ゲンキンなヤツ(苦笑)
そんな訳で、今作はエリック・バナ様ご鑑賞が最大の目的ですわー。むふふふふー♪

予告編の作り等を見ると、映画配給会社は「ロマンティック・ラブストーリー」というカテゴリに誘導したいという意図をプンプンに感じるのですが、確かに本作はハックとビリーの恋愛も重要なファクターではあるものの、あくまでも作りは「ヒューマン」に分類されるんじゃないだろうか?と思います。
ハックの今までの恋愛観、ビリーとの出会い、更に父親との確執等を絡めて「今までの自分の生き方」を振り返り、父親やビリーに影響されて一皮剥けて人間として大きくなる・・・とまで書くと言い過ぎかな?(^-^;

個人的にはかなり好きなネタなんですが、根本的にポーカーのルールを知らないとちょっと厳しい部分は無きにしも非ずという感じがしますね。一応映画中に、ポーカーのルールを知らないビリーにルールを説明しながらプレイするシーンが出ては来ますが、本当に全くポーカーを1度もやった事がない・役の種類やどの役がどの役より強い等の基本を知っていないと、この映画の1番の見せ場のシーンでさっぱり意味が判らなくなってしまうという可能性があります。

ポーカーのルールを全く知らない人の為に・・・最低でも知っておかなければいけないのは、一番弱い数字が2、それから数が大きくなる毎に強くなっていって、最も強いのはK(キング)ではなくてA(エース)だという事。
例えばワンペア(同じ数字のカードが2枚揃った役)の勝負になった場合、2のワンペアより4のワンペアが強く、KのワンペアよりもAのワンペアの方が強い、という事です。
他にもツーペア(2枚揃ったカード2組)よりもスリーカード(同じ数字のカードが3枚揃う)の方が強い等、本作を鑑賞する予定でいて尚且つポーカーのルールを全く知らないという人は、事前に最低限の基本的なポーカーの役とルールを頭に叩き込んでおいた方が懸命です。

要するに本作、映画のかなりの部分をポーカーのゲームシーンに費やしていて、尚且つそのポーカーでの心理戦部分がキモになっているので、ポーカーのルールを知らないと・・・あの固唾を呑んでディーラーのめくるカードを見守る主人公や登場人物の気持ちを一緒に体感出来なくなってしまうのです。
ぴよはポーカーは子供の頃からやっていたのでよくルールを知っていたから、ゲームシーンがめっちゃくちゃツボにハマって正直肝心の恋愛やらヒューマンネタなんてどーでもよくなる位楽しんじゃったんですが(をい)、カードゲームで遊んだ事のない人には・・・多分相当退屈な映画になってしまう予感(薄涙)

そんな訳で、ゲームシーンにハマりまくっちゃったので「どうしてビリーにだけ主人公はあんなに執着すんの?」という風にしか思えず、父子の関係も「ママが許してくれたって話聞いただけで?ハァ?」程度にしか思えず、質草にした指輪のエピソードも正直それ程魅力的だとも思えず・・・なんだよ、ダメダメじゃんかよ(^-^;

いやぁ〜・・・でもポーカーのゲームシーンの心理戦の見せ方は秀逸ですよ。
「007・カジノロワイヤル」のポーカーシーンも相当緊迫したけど、本作の方が断然ギャンブル好きには萌える!
少なくともポーカーのルールを知ってる人、ベガスのカジノで遊んだ事のある人なら本作の緊迫感に絶対にハマる!
その両方に該当しない方・・・ぴよが全く評価しなかったヒューマンや恋愛部分についての感想が聞きたいです(苦笑)







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2007年06月20日(水) ダイ・ハード4.0

監督:レン・ワイズマン
出演:ブルース・ウィリス
    ジャスティン・ロング
    ティモシー・オリファント、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
独立記念日の前夜、FBIサイバー犯罪部に何者かがハッキングを仕掛けてきた。サイバー部署の指揮官ボウマンは事態を重く受け止め、FBIのブラックリストに載っているハッカーの一斉捜査を命じた。離婚後なかなか連絡のとれない娘のルーシーに会う為にニュージャージーに来ていたジョン・マクレーン刑事は、上司からの無線連絡で同州内に住むハッカー「マット」の身柄拘束を命じられ、毒づきながらマットの家に向かったのだが、これが不運の始まりだった・・・


【感想】
不死鳥のごとく蘇った「ダイ・ハード」シリーズ最新作!
監督は「アンダーワールド」で高い評価を受け、自身も「ジョン・マクレーンのセリフは全て覚えてるさ!」と豪語するほどこのシリーズに心酔しているというレン・ワイズマン氏。

いつも「ブルース・ウィリスは何をやってもブルース・ウィリス」なんて意地悪な事を書いていますが、散々吹いてもやっぱりダイ・ハードシリーズというのは面白い。アクション映画ファンだったら誰もがこのシリーズには何がしかの思い入れはあるんじゃないだろうかと思います。何だかんだ言ってもぴよもこのシリーズは結構好き♪

で、本作。
前3作は一応「前の事件から○年後」みたいに話が続いていた感がありますが、Part.3から本作公開まで12年という月日が経ってしまったので、流石に続きにする訳にはいかないでしょう。
今作では妻とは既に離婚が成立していて娘は美しい女子大生になっている。映画冒頭でジョン・マクレーンと娘の遣り取りがありますが、強面なのに娘に散々なあしらわれ方をされて、ちょっぴりしょげてる感じのマクレーンが妙に可愛い(笑)

時代を反映して、今回はサイバーテロ集団が相手。あくまでも黒幕は頭脳プレイ派だけど、派手なドンパチ野郎を手下に従えているので絵的にも見どころは充分♪
イマドキの小難しいサイバーテロ物と旧態依然のイケイケドンドンなアクションシーンを上手く組み合わせて観客の目を飽きさせないように工夫がされているなぁ〜と思いましたね。

この「サイバー×アナログ」の組み合わせが効果的だと思ったのは、展開だけじゃなくてキャストにも言える。
本作、ブルース・ウィリス以外の脇を固めるキャストが「多少は名を知られているが、超メジャークラスではない」という微妙な立ち位置の役者さんばかりが起用されていますが、「マット」という若者電脳ニートがアナログおやじマクレーンの相棒になった事で、よりマクレーンのカッコ良さを引き立てて話を面白くしてくれたんじゃないかと思います。

前作、相棒がサミュエル・L・ジャクソンという余りにも際立った役者を起用してしまったが為に、肝心のマクレーンが完全に食われちゃって正直「なんだかなぁ」という気分でしたが、本作では年代もキャラもまるで噛み合わない、しかもほぼ無名の役者を起用した事で、バディムービーとしての機能がきちんと果たされながらもキャラが立っていたのは好感触です♪
いい歳のおっさんになったブルースをどうやってカッコ良く見せるか・・・それがこのシリーズの一番の問題になるだろうと危惧していましたが、本作の設定はその大問題を上手くクリア出来ていました。いや勿論ブルースご本人があの年齢にしてあの体を作って来た事は驚愕に値しますがネ。

まあ、あの・・・敵はいとも簡単に逝ってしまうのに、サイボーグだって生き残れない状況でも血まみれになりながら絶対に生き残ってしまうマクレーン様にツッコミは厳禁です(苦笑)
本シリーズはそれがお約束なんですから「在り得ないだろ」なんて言っちゃーダメ。これはハリウッドの水戸黄門シリーズなんですから、そこんとこわきまえてイケイケドンドン☆を楽しめる方だけが鑑賞するべきです。
あ、でもね、本作のアクションシーンはなかなか見応えのある絵作りをしていますよ。アングルも凝ってるし流石このシリーズに心酔しているとおっしゃる監督さんだけあって、アクション映画好きには満足出来る作りだと思いますね。

そんな訳でアクション好きさん&マクレーンファンなら十二分に楽しめる。
でもダイ・ハードシリーズを全く見た事がない人でも、本作見て訳が判らないなんて事はないですよ。むしろ本作を鑑賞した事がきっかけで「ダイ・ハード」というシリーズを知って好きになってもいいんじゃないでしょうか?







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2007年06月18日(月) 怪談

監督:中田秀夫
出演:尾上菊之助
    黒木瞳
    瀬戸朝香、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
美貌で身持ちの硬い富本の女師匠「豊志賀」は、煙草売りの「新吉」と出会い2人は恋仲になった。ところが実は新吉の父が豊志賀の父を殺害したという因縁があったのだ。事情を互いに知らぬ2人は夫婦同然の生活を始めるが、新吉に惚れ込む余りに嫉妬に狂った豊志賀は、評判を落として弟子が次々去って行く。そんなある日、豊志賀の顔に醜い腫れ物が出来、新吉が懸命に看病するもののどんどん悪化し、それにつれて豊志賀の嫉妬は益々激しくなるのだった。


【感想】
ハリウッド進出も果たした「世界に認められたジャパニーズ・ホラーの旗手」中田秀夫監督の最新作。
原作?は三遊亭圓朝(初代・1839〜1900年)創作の「真景累ヶ淵」、今も語り継がれるこの名作落語ネタを、中田流にアレンジして(元ネタは全て語ると8時間位かかるそーだ)映画として復活させた・・・という感じかな?

それこそ昔から「古典怪談」「古典落語」「古典小噺」ネタはいくつも何度も映画化されていると思いますが、そういう意味では話自体に新鮮味というのは正直ありません。
でもそこは流石の中田氏、とにかく映像がキレイ。ホラー独特の不安感を煽る映像演出もさる事ながら、光線の入り具合や雨や雪の降る景色の見せ方、上からの視点・下からの視点、更に映像と音(劇中音楽)のコラボレーションも絶妙だったと思います。「怖い」と言うよりも「幻想的」な時代物、という感じか。

「中田氏の新作ホラー」だと期待して見ると肩透かしを食らう可能性は高いですが、「古典落語(噺)の映画化」だと心して見れば、本作はなかなか見応えのある作りになっているな・・・という感じですね。

ですから「四谷怪談」等の古典怪談の展開やネタを知っている日本人が本作を見ると「どうして今このネタをわざわざ中田氏は映画化しようと思った訳ぇ?」と首をひねりたくなるんですが(苦笑)、もしかしたら本作はあくまでも日本人向けに作った訳ではなくて、初めから「海外輸出」を念頭に企画されたのかもしれません。
・・・そう考えれば、あの季節違いな「見栄えだけする」着物と小物の合せ方や着こなしも納得が行く(こらこら)

本作はとにかく黒木瞳さんの鬼気迫る演技が目を奪いましたね。
年増になっても尚色香の薫る美しい婦人が、若い色男に入れ揚げて恋に狂い、若い恋人の心変わりを恐れて自分を見失ってしまう、愛するが故に恋人に近付く妙齢の女性に誰彼なく嫉妬の炎を燃やす、更には唯一自分が若い恋人を繋ぎ止めていられる(と信じていた)美貌を失った女の絶望感、そんな自分を見捨てようとする男に対する「可愛さ余って憎さ百倍」の恨みつらみ、死んでも尚も若い恋人の愛を独り占めしたいという狂おしいまでの女心・・・

正直、ぴよが男だったらいくら美しい人でもこんな女はごめんですが(をい)、女性としての立場で考えてみると誰もが一度は考えるのは「この人の最後の女でいたい」「自分がこの人の人生最愛の人でありたい」という事だと思う。
その究極の形が本作なのだ・・・そう思うと、何とも切なく苦しい話でしたし、本作の黒木さんの演技は女性心理を巧みに表現しつつ、しかもホラーとしての心理的恐怖感を煽るのに長けていたと思いましたね。

そんな訳で、映画前半〜黒木さん演じる「豊志賀」が亡くなるまでのくだりは相当見応えがあったのですが、豊志賀が死んでからの展開がもうグダグダ(苦笑)
決して演出や映像が悪いという訳ではないけど、黒木さんの演技に圧倒された後だけに、その後を引き継ぐ女優さんの演技が余りにも華を感じさせなかった・・・という感じですか。

基本的に古典噺を映画化しているので内容についてアレコレ言う程の新鮮味はありませんが、最近ちょっと日本で復活傾向にある「時代物」のジャンルとして考えると、本作はなかなか良く出来ている部類だと思いましたよ。
・・・でも本作は正直言って「年配向け」な内容だからなぁ。若者には余りウケない可能性が高い気がしますよ(苦笑)






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2007年06月12日(火) ゾディアック

監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジェイク・ギレンホール
    マーク・ラファロ
    ロバート・ダウニー・Jr、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1969年、ドライブ中のカップルが何者かに殺害された。事件から1ヶ月後、新聞社に犯人とおぼしき人物から犯行声明と暗号文が送られてくる。犯人は自らを「ゾディアック」と名乗り、殺人を犯してはマスコミに犯行声明を送りつけるようになる。ゾディアックの真実に触れたい新聞記者のエイブリーや風刺漫画家のグレイスミスは、必死にゾディアックを追うのだが・・・


【感想】
アメリカで実際に起こった未解決連続殺人事件「ゾディアック事件」を題材に映画化。
既にこの事件を元ネタに作られた映画もありますよね。「ダーティーハリー」なんて有名です。
監督は「セブン」「ファイトクラブ」等のメガホンを取ったデビット・フィンチャー氏。でも個人的にはジェイク君の情けない垂れ目が結構お気に入りなので、ジェイク君目当てで鑑賞だーい♪

映画は事件自体のサスペンスに迫るという一面もあるものの、その事件を紐解いて行く新聞記者、風刺漫画化、事件担当の刑事達がゾディアックにある意味「魅了」され、そして事件とゾディアックの真実に触れたくてどんどんのめり込んで行き、そして人生を狂わされてしまう・・・という人間ドラマ部分にスポットを当てています。

一応主人公はジェイク君演じる風刺漫画化のグレイスミス。
でも彼の一人称視点ではなく、彼の様子を第三者視点で見せる事を中心に、この事件を時系列順に追っていくという見せ方になっています。まあよくある作りと言えばそうかな?

個人的に、こういうネタって大好き!
昔「FBI心理分析官」って本が流行ったでしょ?あのシリーズとか大好きだったんですよぅ〜。今でも本持ってるヨ♪
不可解な謎が多い実在する連続殺人事件、しかも結局今も未解決とくりゃー「ミステリー・サスペンス好き」にはたまらないご馳走じゃーありませんか!(笑)

ところで本作、上映時間が2時間半超。
長い。長過ぎる・・・事件を時系列に、ものすごーく事細かに実際に遭った出来事を淡々と見せていくのですが、似たり寄ったりの犯行声明文が届けられたり、特に捜査が進展していないんだけどちょっと事件と関係があるかな?程度のエピソードが起こる度に、ご丁寧にちょこちょこと細か〜く見せてくれるんですよ。
・・・コレね、誰かが上手く編集すればあと30分くらいは上映時間短縮出来るかも?(^-^;

まあ好意的に受け取れば(個人的にはすっげー好きなネタですし)どんな些細な情報も漏らさず観客に提示する事で、よりこの事件に関わった人達がどれだけのめり込んで行ったのか・・・をよりリアルに感じさせてくれるという効果は充分に得られるとは思うものの、結局未解決の事件なだけにどのネタもインパクトに多少欠けるきらいはある。

映画では主人公のグレイスミスが「ある容疑者」を犯人ではないか?と断定していますが、それも周囲の状況証拠から条件立てて「コレが出来る可能性がある人はこの人しかいない」という消去法で犯人を特定しているに過ぎず、もし真犯人が膨大な人数の容疑者リストに鼻から漏れていればお話にならない、という訳で。
所詮未解決事件を映画化しているので、どんなにグレイスミスが熱弁を奮って犯人を断定しても、見ていて空しい〜

でも映画中では色々と面白い考察が飛び出して来て、当時の関係者達の迷走振りが偲ばれて興味深いです。
例えば「犯人は水に関係した場所を選ぶ?」「犯人はゲイ?」「もしかして複数犯?」等々・・・それからクライマックスである人物の家に訪問するくだりなんて、なかなかスリリングで見ていてドキドキしましたヨ♪

個人的にはかーなーりー楽しめたのですが、基本的にタラタラと時系列に事件の背景を流してるだけって感じなので、この手のジャンルが余りお好きでない方には退屈で苦痛な2時間半をご提供〜♪という所でしょうか?(苦笑)

少なくともデートムービーには全く不向きですので、この手のジャンルがお好きな方同士・または1人で見に行ってネ!








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2007年06月11日(月) アポカリプト

監督:メル・ギブソン
出演:ルディ・ヤングブラッド
    ダリア・ヘルナンデス
    ジョナサン・ブリューワー、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
マヤ文明後期の中央アメリカ。森の奥の集落に暮らすジャガー・バウは妻子と共に穏やかに暮らしていた。ところが突然マヤ帝国の傭兵が現れ、村は焼き討ちに遭い壊滅、そして村人達の多くが惨殺もしくは捕虜として都会に連行されたのだ。連行されたジャガー達は干ばつを鎮める為の生贄にされそうになるものの、危機一髪で回避する。しかし次に待っていたのは人間狩りの標的という過酷な運命だった。妻子の無事を祈りつつ逃げるジャガーだったが・・・。


【感想】
メル・ギブソン監督最新作。
今年のアカデミー賞に3部門ノミネートされた事でも話題になりましたね。結局1つも取れませんでしたが。
メキシコのピラミッド(神殿か)は絶対にいつか見に行きたいと思っているので、かなり興味深いジャンルです♪

出演者の殆どが本作で映画初出演というのも異色ですし、映画は全編マヤ語で語られるというのも異色。ハリウッド映画を見ると舞台がフランスだろうがイタリアだろうがとりあえず英語を話すのがお約束になってますが、メル・ギブソンは言語にも凄くこだわりますよね。前作の「パッション」も全編アラム語とラテン語で語られていたので、英語字幕の上に日本語字幕が表示され、スクリーンの1/3が字幕で隠れちゃって見難いったらありゃーしませんでした(^-^;
・・・まさか本作も字幕の二段技か!?と思ったら、今回はちゃんと日本語字幕だけでした。

で、主人公「ジャガー」を演じるのはロナウジーニョ。←コラ
いや一瞬マジでロナウジーニョ!?と思ったけど、彼より全然イケメンでした。ネイティブアメリカンで伝統舞踏ダンサーでありアスリートというステキ肉体の持ち主。勿論映画初出演。
本当に本作の出演者は素人に毛の生えた程度の人達なの?と疑いたくなる程ナチュラルな演技ですよ。

映像も凄かった。
有名俳優使ってないから、ギャラで制作費を取られない分セットや美術に金が掛けられるのは判るけど、それにしても本作は凄く緻密でリアルな映像のオンパレードですよ。

更に本作はR-15指定のようですが、これは納得ですね。かなりエグいシーンが多い。最近のホラーは笑っちゃうような滑稽な惨殺シーンが多くて、ホラーが苦手なぴよでも結構お気軽に楽しめますが、本作の惨殺シーンは情け容赦がない。
映画冒頭の野ブタ狩りのシーンから結構「おげぇ〜」っと来る。その後も「うげぇ〜!」の連続。
マヤ帝国民ってのはこんなに残酷で野蛮なんですか?ここらの歴史に疎いのでよく知りませんが、かなりキツい。

まあそれもこれもメル・ギブソンのリアル映像を追求した結果なのだ、と言えばそうなんでしょうけど・・・
映像は確かに評価しますが、内容はどうなんですか?コレ。別に話の筋が見え見えだって全然問題はありませんが、それにしても特に何か啓蒙している風でもなし、特に訴えたいものがあるようにも思えないし、ただ単に「追いかけっこ」を見せてるだけにしか思えないんですが(^-^;

一応主人公は「妻子の安否が心配で生き延びようとする」という大義名分があるんですが、映画を見ている限り彼の意思で生き延びようと逃げているのではなく、事の成り行きで逃げられる状況が出来たので、とりあえず逃げまくってるだけにしか見えなかったんですがね(苦笑)

更に、映画の前半で父親から言われる「恐れるな」という言葉がキーワード?らしいんですが、これもインパクトが薄くて主人公が何かに啓発されて「恐れ」の感情を克服したという風には見えない。
散々逃げまくった挙句、自分の熟知しているテリトリーに入ると突然「俺は恐れないぞー!」と反撃に出始めたようにしか見えなかったってのは、ぴよの目が腐ってるのか演出が悪いのか、一体どちらなんでしょうか?(薄涙)

きっと、ぴよはメル・ギブソンの感性と相性が悪いんだろうと思います。
映像の素晴らしさは認めるので、確かに本作は「劇場の大スクリーンで見るべき作品」だとは思いますが、前作のパッションといい本作といい、映画を見ながら思った事は「で?結局それで何なのよ?」でしたもの。







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2007年06月10日(日) プレステージ

監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン
    クリスチャン・ベール
    マイケル・ケイン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
19世紀末ロンドン、若き奇術師アンジャーとボーデンは互いに尊敬しつつ同じ師の元でアシスタントをしていた。ある日水槽脱出の奇術中、助手でアンジャーの妻ジュリアが脱出失敗して溺死してしまう。縄を結んだのはボーデンだったが、彼は禁じられた結び方をしたのではないかと疑うアンジャーに「どう結んだか覚えていない」とシラを切る。アンジャーはボーデンへの復讐を誓い、またボーデンもアンジャーを敵対視するようになる。


【感想】
「メメント」のクリストファー・ノーラン監督最新作。
英国作家クリストファー・プリースト氏著の小説「奇術師(邦題)」を映画化したものだそーです。
世間では大変評価の高い「メメント」ですが、以前見た時あんまり好みの作品ではなかったものの、予告編を見ているとどうやらX-MENとバットマンの対決が見られると判ったので期待値は非常〜に高いです♪

奇術対決なんだと思ったら、全然違った。←いきなり出鼻をくじかれる(苦笑)
映画冒頭でいきなりぴよ大好き♪ヒュー・ジャックマン@サル顔が殺されちゃって愕然・・・どうやらヒュー演じるアンジャーと敵対していた奇術師ボーデンが殺したらしい?という事で裁判が始まり、そこから2人の過去に遡ってどうしてこういう状況になったかを見せるという手法なんですが。

この映画、冒頭に例の如く「結末は絶対に他人に話すな」という注意書きがあったので感想書き難い(^-^;

まあでもね、結末のオチ自体は誰でも簡単に想像が付くんですよ。で、想像したトーリの展開だった。
それにしても判り難いって言うのか、もう少しネタをシンプルにしてもいいんじゃないかと思うんですがね。どうせ誰でも簡単に想像付くオチなんだから、こんなに沢山伏線を用意しなくったっていいだろうと思うんですよ。

勿論映画の見ドコロは話の本筋のどんでんネタなんですが、本作はそこに到るプロセスや登場人物の背景等、もう本当に溜息が出る程沢山の秘密が散りばめられていて、しかもその散りばめられた秘密のほとんどが何の種明かしもしない。
でも実は映画の冒頭から中盤までのシーンでどんな些細なセリフも聞き逃さず・見逃さず、きちんと記憶していた人だけが、映画を見終わった後によくよく思い起こしてみると「ああ、そーいう事か!」と気付くという作り。
だからポップコーンとビール片手に漫然と映画見てた人なんて、映画が終わってから「アソコの辻褄が合わない」「ここの説明は杜撰すぎて判らない」のオンパレードになってしまうという・・・

よっぽど映画が好きで超気合い入れて見ている人、もしくは原作既読の方なら判るんでしょうが、ここまで手が込み過ぎていると映画見ていて疲れちゃって仕方がない(苦笑)
と言うか、正直言うと映画見ていて「この人が実はこうだったってのは想像付いたけど、何の説明もなくいきなりこうなんですよーと明かされても興ざめなんですがねぇ(溜息)」と思ってたんですよね。
んで映画のネタばらしサイトを読んでようやく「あ、そっか!そんなシーンあったわー」って納得したという次第で(^-^;

小説なら気になった時にいつでも前のページに戻って読み直しが利くけど、映画はそういう訳にはいかない。
なのに、ここまで些細過ぎる伏線をチラリと見せただけで何もかも理解しろというのはちょっと不親切過ぎませんか?

きっと物凄い映画通な方や、本作の小ネタがよく理解出来なかったから判るまで何度も劇場に見に行くぞ!なんて考えてくれるコアファンなら本作は珠玉の一作になるんでしょうが、ちょっと映画が好き♪程度の普通の方には余りにも判り難い作りですよ。監督のこだわりを感じるというよりも「意地悪過ぎるわ、アンタ」と言いたくなる(苦笑)

でも、確かにネタばらしサイトを見ないで自力で「あ、コレは映画中盤のあのシーンが伏線か!」と気付くと、なるほどムフフな優越感に浸れるので楽しいっちゃー楽しいし、それにやっぱり・・・キャスティングがいいですよ。
演技派の役者揃えてますし映像も非常に手が込んでいて、正に「映画館で鑑賞するに相応しい」とは思います。

それにしても・・・これだけキャストにBIG NAME揃えてるのに、観客の質を選び過ぎですよ、コレは!
ぴよは決して「つまらん」とは思わなかったけど「手ぇ込み過ぎだってば(涙)」とは思いましたね。







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2007年06月09日(土) あるスキャンダルの覚え書き

監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ
    ケイト・ブランシェット
    ビル・ナイ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
ロンドン郊外の労働者階級の子供達が通う中学校に、場違いな程美しい美術教師シーバが赴任して来た。長年この中学で教鞭を取る老女教師バーバラは、シーバを見て「彼女こそ自分が求めていた人だ」と、シーバの事を日記に綴るようになる。ある日シーバの授業で起こったトラブルを収めてやった事がきっかけで急接近したバーバラとシーバ。友情を育んでいたつもりのバーバラだったが、シーバが15歳の生徒と不倫関係である事を知ってしまう。


【感想】
英国作家ゾーイ・ヘラー氏著のベストセラー同名タイトル小説の映画化。
主人公のバーバラをジュディ・デンチ、15歳の生徒と不倫関係になるシーバをケイト・ブランシェットという豪華な組み合わせでキャスティングしています。監督は「アイリス」のメガホンを取ったリチャード・エアー氏。

職場や知人に、中年・・・または定年間近の年齢になっても結婚もせず、浮いた噂も聞かず、プライベートでどんな生活振りなのかも杳として知れず、特に親しげな友達もいなさそうな(会話の中に友人の話が出てこない)、そしてやたら物言いが嫌味ったらしくて周囲に異常に厳しく、実はみんな彼女を疎んでいるのだが何故か本人は周囲から尊敬されまくっていると勘違いMAXな・・・正しく絵に描いたような「お局様」「ハイミス」と呼ばれる女性が1人や2人必ずいるでしょう?
そういうハイミス女性が日記を綴るという形で、自分の生き様を独白して行くというお話です。

よくもまあ、こんなにピタリとハマるキャスティングが出来たもんだ、と溜息が出ますよ。
ジュディ・デンチって本当に恐ろしい女優ですね。映画を見ていてバーバラを演じているんではなく、これはジュディ・デンチ自身の話なんじゃないだろうか?と疑いたくなる程、余りにもバーバラという女性にリアル感を出している。
迎え撃つケイト・ブランシェットも、大人の女性の色香に不思議な透明感を備え、更に周囲に流されがちでちょっと危うげな脆さを垣間見せる美しい女教師のイメージにピッタリとハマっていました。

世の孤独な女性達が全てこの映画のバーバラと同じ思考展開をしているとは思ってはいないけど、でもこれは映画としてかなり極端にディフォルメしてあるんだと考えれば・・・正直言ってバーバラの思考展開や考え方って大なり小なり孤独なハイミス達の取っている行動に何がしか被るものがあるだろう、というのがぴよのまず思った事です。

ぴよが知る、何人かの孤独な女性達に当てはまるものに「異常な独占欲」と「支配欲」「名誉欲」がある。
本作のバーバラが正にソレ。誰かと人間関係を構築するのに、常に自分が上から物を見て考えている。自分は尊敬を得られて当たり前の存在だと信じて疑っていないし、自分を疎んじる人間には「天罰」が下るに違いない、いや私が天罰を与えてあげよう位に考えているフシがある。自分の考え方が間違ってるなんて露程も思わない。
自分を守る為なら平気で他人を傷付ける、平気で嘘を言う。これらは孤独な女性に共通する事象だと思う。

作品は孤独なハイミスの人間ドラマを、彼女の独りよがりな独白形式でサスペンス仕立てに演出しています。
バーバラに振り回される周囲の人間の思惑については深く描写はせず、と言うよりもバーバラの独白を観客視線で冷静に突き放して事象を見せるという手法を取って、よりバーバラの独りよがりな様と孤独感を煽るという作りになっていました。

物凄くよく出来た作品だと思うんですが・・・正直余り好きになれないですね。
結局バーバラは過去に人間関係で失敗をし、そして今回も同じ轍を踏み、更にやっぱり自分の間違いに気付く事もなくまた同じ過ちを繰り返そうとする。全く一片の救いもないお話でした。
これが事実でしょう。正直言っていい歳まで同じ事を繰り返して生きて来た人間ですよ、今更誰かが彼女に「それは間違っている」と指摘した所で、逆ギレされて指摘した人は言われもない報復を受けるのが関の山でしょう。

それにしても・・・所詮映画なんだからサ、せめて「何歳になっても人生やり直しが利く」くらいのファンタジー感出してくれたってバチは当たらないでしょうが(苦笑)

そんな訳で、「ミス」ではないが「ハイ」が付く年齢に差し掛かったぴよには微妙に痛い作品でして・・・
自分が同じ事をしてはいないか?チェックしなければいかんな、と自省させられる作品でしたね。自分は決して孤独だとは思わないけど、もしかしたらぴよもバーバラみたいに自分の都合のいいように勘違いしまくってるんじゃないか?と思い始めたら心穏やかでなんかいられない(薄涙)

少なくとも本作を見て「自省しなければ・・・」と思えるだけマシなんだと自分を慰めましょうよ。えぇ。
そして本作のバーバラに「アナタの気持ち、よく判るわぁ〜」と思った人、相当ヤバいんじゃないっすか?(^-^;







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2007年06月03日(日) 大日本人

監督:松本人志
出演:松本人志
    竹内力
    UA、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
ひっそりと暮らす「大佐藤」は、実は「6代目・大日本人」として防衛庁から依頼された特殊任務で生計を立てていた。かつて祖父の時代は世間で持てはやされて随分と裕福な生活を送っていたようだが、今では大日本人に対する世間の目は厳しく生活も決して楽ではない。そんな大佐藤に密着取材をしながらその生活振りを追っていく。


【感想】
ダウンタウンの「松ちゃん」こと、松本人志氏の初監督作品。
・・・というだけだったら多分見に行かなかったと思うけど、今年のカンヌ映画祭の監督週間部門に正式招待されて上映された事で随分話題になりましたね。何だかんだのカンヌですから〜これは見ておいて損はない?

実は本作の予告編も見た事がなければ、どんな内容の話なのかも全く予備知識を入れずに鑑賞しました。
だから映画冒頭の長い長いインタビューシーンにあくびが出る事数回。「大日本人」とは何を指しているのか?どういうジャンルの作品なのかもさっぱり判らず、ただ漫然と時間だけが流れるのが退屈で退屈で・・・

まあ、結果から言えばかなり笑わせてもらったんですが。
それにしても、コレが本当にカンヌで上映されたんですか?何故数ある邦画作品の中から本作が取り上げられたのか、見終わった今もカンヌの選定基準がよく判らないですよ(苦笑)
コレ・・・はっきり言って「内輪ウケ」「TVのお笑い番組コント」の延長でしかないよね?(^-^;

まさか映画冒頭に語っていた「折畳み傘は必要な時に大きくなる所が好きなんですよ」ネタが、大日本人の本質に迫る伏線だったとは思わなかったので、ココは「なるほど。よく考えてるじゃん」なぁんて思ってたんですがね、それにしても正直言って「金取って人に見せるレベル」とは到底言い難い・・・映画としてはB級とも言えない作りだったと思う。
まあ、この手のバカ映画にしては微妙に「(怪)獣との丁々発止シーン」に金が掛かっているので、確かに通常のTV番組で放送するには予算的にムリはあったんでしょうけど、それにしてもコレが松ちゃんが映画化したかった内容なのかと思うと何とも情け無い感じがしますよ。

こういう作りなら単に馬鹿笑い出来るだけにしちゃってもよかったんじゃないか?と思うんだけど、敢えて深読みすると北朝鮮と日本の関係やらアメリカとの力関係等を匂わせてネタにする辺りはあざとい。
深読みさせて「単なるバカ映画」にしないゾ、という空気は出してるものの、だからと言ってそこに松ちゃんの思想や主義主張が大いに表現・反映しているのかと思いきや、そういう訳でもなく「単なるネタ」に終始している感じがまたズルいなぁ〜と思うんですが。ここらの作りが映画として半端に感じる一因なのかも?

個人的に大笑いしたのは板尾との対戦かな。
でもコレは映画の作りとして笑った訳じゃなくて、普段TVで充分笑わせてもらってるネタの延長でしかないから、特に評価するべきポイントだとは個人的に思わないですよ。
それより、映画にするにはちとお下品過ぎる表現も所々・・・子供時代のエピソードのくだり、ぴよはあの表現にはかなり不快感がありましたね。それからクライマックスの赤ちゃんを蹴ったり投げて武器にするというのも「タブーネタで笑わせる」つもりかもしれないけど、やっぱり不快でしたよ。

小ネタではチョコチョコと笑わせてもらったけど、映画としてはちょっとね・・・
本来なら映画ではなく「Vシネ」程度のレベルでしょ。出演者のインタビュー特典映像付DVDとして販売するなら、クチコミでジワジワと人気が出ちゃうような手合いなんじゃないか?映画としては酷評されても仕方ないでしょ、って感じですよ。

結構笑わせてもらったクセに酷評してるぴよもどうよ?と思うんだけどー・・・少なくとも万人に「オススメ」はしませんね。
確かに「B級バカ映画なのだ」と割り切って見ればこれはこれで充分楽しめるんですが、「あの松ちゃんが映画を撮った」というフレコミに過剰に期待して見ると、何とも言えないダメダメ感が漂ってしまうという・・・
ヘタにカンヌなんかで取り上げられるから酷評されちゃうんですよ。カンヌの冠も良し悪しですね。








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