ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年10月31日(日) ほえる犬は噛まない

監督:ポン・ジュノ
出演:ペ・ドゥナ
    イ・ソンジェ
    キム・ホジョン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ユンジュは出産間近の妻の収入に頼って生活する大学の非常勤講師。教授になるには多額の賄賂が必要だけどその捻出もままならない状態のユンジュは、ギャンギャン吠えまくる隣家の犬にイライラして犬を捕まえてマンションの地下室に閉じ込めてしまう。ところが「犬を探しています」の貼り紙を見て仰天!ユンジュが閉じ込めた犬は声帯手術をして吠えない犬だったのだ。勘違いに気付いたユンジュが慌てて地下室に戻ると・・・


【感想】
「殺人の追憶(2004.4.9鑑賞)」が大ヒットして次回作が期待されるポン・ジュノ監督のデビュー作品。
本作は名古屋では1年?か2年くらい前?に劇場公開されていたんだけど、その時はタイトルが何となく気になりながらもスルー。レンタル屋でたまたま見つけてようやく鑑賞。
ちなみに本作、原題は「フランダースの犬」というんだけど、ポン・ジュノ氏によると「タイトルに意味はない。映画中に主人公がカラオケでフランダースの犬の主題歌を歌うシーンがあるので何となく付けただけ」だそーです。邦題の「ほえる犬は噛まない」は英語タイトルの「A Higher Animal Barking Dogs Never Bite Barking Dog Never Bites」の直訳で、「口やかましい人ほど行動が伴わない」という意味の諺から取ったそーだ。

「子犬連続失踪事件」に絡む市井の人々の様子をコミカルに見せる風刺劇で、本国ではあまりウケなかったそうですがさもありなんの内容ですわ。
欧米でもこの作品の「風刺」がどれくらい理解されるか判らないですが、少なくとも韓国の内情を多少は知識として持っている隣国の日本人には「対岸の火事」を楽しむような(失礼かな?)気楽に笑えるネタだと思いますね。

まずからして「犬を食う」という行為自体、日本人のイメージとして韓国の人はみーんな犬食ってると思ってる方も多いかもしれませんが、実際のイマドキの韓国の若者は随分欧米ナイズされているそーで「犬を食べるなんて野蛮!」と言って忌み嫌う人も多いそうですよ。
そういう「イマドキ韓国事情」をわかってないと、この映画の面白さは半減しちゃうかもしれません。

他にも「道端だろうがドコだろーがツバを吐きまくる」という習慣(これも若者はやる人が少ないそーだ)、社会地位の高いものがとことん優遇されて下位の者はいつもワリを食う社会構造、当たり前のように横行する贈収賄など、本国の韓国の方々が見るとかなり耳の痛いネタをとことんディフォルメして見せていますが、相当辛らつなんだけど見ててイヤな気持ちにならない・・・むしろ気持ちいいくらいの爽快感が得られるというのは、ひとえにポン・ジュノ監督のセンスと見せ方の上手さの賜物でしょう。辛らつながらも監督の「愛すべき韓国人」という思いが仄見えて気持ちいいです。

しかしながらちょっとネタが散漫でまとまりがないのが惜しい。
主要キャラクターにもう一押しパンチが効いているともっと面白かったのになぁ〜と思う。女主人公のペ・ドゥナちゃん、どこにでもいるちょっとカワイイ隣のお姉ちゃん的魅力がふんだんでしたが(マンションの屋上で勇気を振り絞って突撃するシーンは最高に笑える!)、小ネタではかなり笑えるもののどうも締りがない感じがして非常に勿体無いですわ。

この作品は韓国よりも日本でウケるタイプですね。
もうちょっと劇場公開時に取り上げてくれれば、もっともっと日本で興行収入上がったと思うのになぁ〜・・・
警備員のおっちゃんが語る「ボイラー金氏」のネタなんて、相当日本人ウケすると思うしネ♪







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2004年10月30日(土) 藍色夏恋

監督:イー・ツーイェン
出演:チェン・ボーリン
    グイ・ルンメイ
    リャン・シューホイ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
17歳の女子高生モン・クーロウとリン・ユエチェンの2人は大の仲良し。ある日リンが水泳部のチャン・シーハオに恋しているとモンに語り、自分の代わりにチャンに気持ちを伝えて欲しいと頼まれた。モンがチャンにそれを伝えると逆にチャンはモンに興味を持ち、モンに付き合って欲しいと言うのだ。これを機に3人の関係は微妙に変化して言ったのだが、実はモンには人に言えない秘密があったのだ。


【感想】
2002年台湾映画。中国映画や香港映画は結構見るけど、台湾映画って実はほとんど見た事ないのかも?
てな訳で出演してる役者の名前も顔も全く記憶にないなぁ・・と思ってたら、ロン・クーロウ役のグイ・ルンメイちゃんもチャン・シーハオ役のチェン・ボーリン君も本作でスクリーンデビューの新人さんでした。
チェン・ボーリン君、甘いマスクとはにかんだ笑顔がちょっと妻夫木クン似で猛烈にカワイイです♪今後注目♪

タイトルからして甘く切ないラブストーリーだろーな、とアタリを付けてましたが、思った通り20〜30年前くらいの少女漫画にありそうな(もっとも最近の少女漫画を読んでないからどれくらい昔と違うのかわかんねーよ)カワイイ高校生の初恋物語を初々しく見せるという、恐ろしい程爽やかな青春恋愛モノでした。

深夜の学校のプール、教室、体育館の落書き、放課後の街路樹が影を落とす歩道、海辺のデート・・・何もかもが学生時代が遠い昔になってしまったおばちゃんのノスタルジックを刺激しまくり「あぁ、ぴよにもこんな時代があったのだなぁ」と懐かしいような切ないような、どこかくすぐったい気持ちでいっぱいになり・・・

ちょっと待て。
ぴよにはこんなカワイイ恋愛経験はありませんて(薄涙)

それにしても、台湾の高校生は今でもノートに好きな人の名前を延々書いておまじないしたりしてるんでしょうか?
今の日本の17歳女子高生の実態を知りませんが、少なくともイマドキの日本の高校生でここまでウブなのはあまりないんじゃないだろうかと思うんだけどな。ぴよが子供の頃にも「ボールペン一本、インクがなくなるまで好きな人の名前を書き続けると両思いになれる」という遊びがありましたが、それって小学校の頃の事ですぜ?
ぴよが小学生だったのって何十年前だと思ってるんだい!口のするのも憚られるくらい昔だぞよ(爆)

という訳で、この作品が今の高校生にどれくらい共感を持って迎えられるのかは疑問ですが、少なくとも遠い遠い昔に高校生をやっていたという御仁ならば「こんな時代がアタシにもあったのよねー」くらいは思うハズ。
実際はこんな経験皆無だったとしても、意味もなく自分の学生時代はこの映画の主人公のようにピュアで可愛かったと誰もが思いたいのさ(笑)

ただの3角関係になる男女のありきたりな話かと思ったら、意外な展開になるんですが、まあこの年齢の女の子にはこーいうのもアリかな?と思わせるよーなカワイイもんでした。
きっと後3年もすりゃーモン・クーロウちゃんも茶髪・巻き髪になってケツ振りながら男をアゴで使ってぶいぶい言わせてるでしょうし、チャン・シーハオ君は高校時代の切ないキスなんて頭の片隅にも残らず、その甘いルックスをフル活用して女食いまくってる事でしょう(コラ)

そんな世間ズレする前の、カワイイカワイイ初恋のお話。







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2004年10月29日(金) ソウ -SAW-

監督:ジェームズ・ワン
出演:ケアリー・エルウェズ
    リー・ワネル
    ダニー・グローヴァー、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
老朽化したバスルームで覚醒したアダムとゴードン。彼らは部屋の隅と隅で太い鎖に繋がれて身動きが取れない。そして2人の間、部屋のほぼ中央に横たわる頭を拳銃で撃ち抜かれた自殺死体。彼らのポケットに入っていたテープを再生してみると、そこには謎の犯人からのメッセージ「生き残りたければ6時までに相手を殺せ」
誰が何のために?そしてどうして自分達がこんな目に・・・?


【感想】
2004年サンダンス映画祭オープニングムービーとして上映され、世界中のバイヤー激しい争奪戦を繰り広げたというソリッド・シチュエーション(状況設定)スリラー。何と日米同時公開だそうですが、日本でも米国公開版と同じく猟奇的な映像シーンをカットしたモノを公開するらしいっすね(ちょっぴり残念)
劇場公開版ではカットしてあるという噂の「とあるシーン」がそのまま入っていたので(試写会で鑑賞)、たぶんぴよが見たのはオリジナル版だったんじゃなかろうか?と推察。

基本的にはバスルーム(場所の特定は映画初期段階では判らない)内で繰り広げられる密室劇だけど、そこに至るまでの過程だったりこの密室劇と並行して起こる出来事なども見せる事で、観客の視界を広げてある意味ミスリードさせたり、観客に犯人探しのヒントを提示したり、はたまた混乱させようとしたり・・・様々な意図で目線を変える事によってダレない映像作りを工夫しています。

今日も何を書いてもネタバレしそうだ・・・(^-^;
てな訳で、ここから先は未見の方はご注意下さい。(一応超ネタバレは文字白抜きにしておきますわ)



まずですネ、
ミステリー好き・サスペンス好きな人が犯人探しをする上でのセオリーとして、それがパターン化された連続性のある殺人事件の場合に一番注目する点は「今までの事件と違うシチュエーションや条件は何か?」という事なんですよ。
必ずそこにヒントが隠されているハズなんです。えぇ。これはもう鉄則中の鉄則。

で、ぴよが一番注目したのは【2人の間に横たわる死体】ですわ。これは今までのケースを考えると浮いている。
「前にも似たケースがあったじゃないか」とおっしゃる方がいらっしゃると思いますが、その過去の似たケースと絶対に違う部分がありますよね?そうなると逆にその「違う部分」がヒントになるのでは・・・

ここまで考えが至ると、ちょっと後の展開が見えそうです(笑)
と言いつつ、実言うとぴよは犯人が最後の最後まで判りませんでしたけど(^-^;

それにしても、この映画はとても良く出来てると思いますね。
まずダレないし飽きない。推理材料の見せ方もウマいしミスリードの仕方もスマート。
映画見終わってからよくよく考えると、設定が明らかに破綻してる部分もポロポロ出て来るのですが、少なくとも映画見てる間はそれを観客に考えさせないだけの勢いとパワーがありましたもの。

R指定になってるようですが、それ程エグい映像はなかったように思いますけどね。
ただ映像よりも心理的にゾーッとする作りなので、精神衛生的には充分R指定なのかも・・・そう考えると、低予算と18日間という短い期間で撮影された自主制作に毛の生えたような作品なのに、これだけ観客を楽しませる事が出来たという点で、益々高評価しちゃいたいトコロです。

ですがー!
先に書いた「犯人が判らなかった」事の言い訳じゃないけどさー(←と書いた時点でもう言い訳か?涙)
このオチ(つーか犯人)はちょっと卑怯じゃないか?と思うんだよね。
確かに「あっと驚く」んですがね、この驚きは「まさかこの人が犯人だなんて!」という驚きじゃなくて【「コイツがいつどーやってこんなに走り回って犯罪犯せるんだよー!フザけんなよー!」】という驚きな訳ですよ(^-^;
この設定だとミステリーとして絶対に破綻してると思うもんっ
「ミステリー好き」を自称するぴよが犯人判らなかったからって、恥ずかしい事じゃないんだもんっ

あ。
でもこの映画、公式HP見るとソリッド・シチュエーション「スリラー」とは書いてあるけどソリッド・シチューエション「ミステリー」とか「サスペンス」とは書いてないわネ。
そか。スリラーであってミステリーじゃないんだから、これだけ楽しませてもらったらもう映画として勝ちなのか(笑)







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2004年10月28日(木) オールド・ボーイ

監督:パク・チャヌク
出演:チェ・ミンシク
    ユ・ジテ
    カン・ヘジョン、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
オ・デスは妻と娘のいる普通のサラリーマン。ところがある日突然オ・デスは姿を消した。不仲だった妻が殺された事から殺人容疑をかけられたオ・デスだったが、実は彼は何者かに捕らえられてそのまま15年間も監禁されていたのだった。
15年後にようやく脱出したオ・デスは自分を監禁した犯人への復讐を誓う。すると犯人から彼に「15年間も監禁された理由と犯人を5日間で探し出せ。さもなくば殺す」と逆に脅迫されたのだ。


【感想】
土屋ガロンと嶺岸信明の共作で96〜98年に「漫画アクション」誌で連載された同名コミックの映画化。
原作は日本のコミックですが韓国で映画化され、更に2004年カンヌ映画祭で上映されるや10分間のスタンディング・オベーションが起こり、見事グランプリを受賞した事で話題になっていますよね。

男の鬼気迫る復讐劇と、平凡な男が何故15年間も監禁されるハメになったのか?そして犯人は?というサスペンスを見せる非常に手の込んだ作品です。

が、この作品・・・何を書いてもネタバレしそうでして。
という訳で、この映画未見の方はこの先を読むのはご注意下さい



なるべくネタバレにならないように頑張って感想書こうと思いますが・・・

この映画のキモは、15年振りに監禁から逃れたオ・デスが犯人と最初に携帯電話でコンタクトを取った時に犯人から言われる言葉「塵のような砂も、大きな岩も、等しく水底に沈む」←こんなよーな内容のセリフ
意味は「大きかろうが小さかろうが、罪の重さに変わりはない」といったトコロか。

「人は生まれながらにしてみな罪人だ」と書いていたのは聖書のどの章だったか・・・。
どんなに聖人君子だと言われる人でも、自分の意識外で他人を傷付ける事はあるハズ。自分の言った何気ない一言が、知らない間に誰かを傷付けていたという事は誰しも1度は経験しているでしょ?
それは罪なのか否か・・・やっぱり傷付けられた相手にとっては罪に決まってる。それによって運命すら変わってしまう人だって中にはいる。そんな些細な事を、と思うのは罪の意識もなく不用意な言葉を発してしまったコチラ側の言い訳で、傷付けられた側にとってその「何気ない一言」は償わせても償わせ切れない深いダメージを被っているのだ。

その一方で、復讐こそが生きるよすがになる事もある。
死んでも死に切れないという恨みの感情が、人を生かし続ける理由にもなり得るのだ。

作品の初期段階から非常に緻密に計算され尽くした伏線が張り巡らされ、何気ない小さなセリフ一つにも後に重要な意味を持たしてクライマックスではあっと驚かせ、観客を有無も言わさずこの映画の世界観に引きずり込むパーフェクトな脚本と演出になっていたと思います。
役者の鬼気迫る演技も完璧で、ダレる箇所など一つもない。正に「完全な映画」だと思います。

しかしながら、ぴよはこの作品が全く好きになれない。
鑑賞後いつまでも引きずる、筆舌に尽くしがたいこの猛烈な嫌悪感をどう表現すればいいのか・・・
それはこの映画で使われていたネタが、人として最もタブー視されている事だったからなのか?勿論それもあるだろうし、この作品が取り上げた「人の犯す罪」と「復讐」への追求振りが、余りに冷酷無比だったからのか?
そこに贖罪はあるのか?そこに救いはあるのか?

人間の根本の部分を掘り下げて直視し、完璧な脚本・演出・演技でそれを観客に体現させた非常に素晴らしい映画だと断言出来ます。出来ますが・・・

何度も言うが、ぴよはこの作品を好きになれない。








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2004年10月27日(水) クリスティーナの好きなコト

監督:ロジャー・カンブル
出演:キャメロン・ディアス
    クリスティーナ・アップルゲイト
    セルマ・ブレア、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
「本気のステディよりも気軽でカジュアルな恋愛」を信条にして来たクリスティーナ。男にフラれたと落ち込む親友ジェーンを元気付ける為に、同じく親友のコートニーと3人で出かけたクラブで運命の出会いをしてしまう。ピーターに本気になるのが怖くて踏み出せないクリスティーナに、後ろから背中を押したのはコートニーだった。ピーターの兄の結婚式に押しかけようと車を走らせた2人だったが・・・


【感想】
劇場公開を何となく見逃し、その後レンタル屋で探してもいつも誰かが借りてて見れず・・・意地でレンタル屋に通ってようやく鑑賞にこぎ着けた一本。キャメロン・ディアス主演のおバカ・ラブコメです♪

とにかく猛烈に下品で下ネタ満載!
お茶目でキュートな女の子(キャメロン)の、砂糖菓子のようにスウィートなラブコメだとばかり思ってたんだけど、とーんでもなかったっすわ。つーか、すっかりハリウッドセレブとして当たり前のように認知されてるキャメロンが、この歳とこの経歴を持ってして今まだコレをやるか!?という驚きを禁じ得ない、凄まじいお下劣映画です(^-^;
・・・実は、この手のネタがそんなに嫌いじゃないんだけどネ♪(笑)

この映画を楽しめるか・楽しめないかは、このやり過ぎなエロネタを笑って受け入れられるか否かにかかってます。
劇場公開時には余りのお下劣にカットになってしまったという「中華料理屋でのミュージカル@巨根万歳(をい)」からキャメロンお約束(?)の「頻尿@トイレで目をファック」、更衣室の「着せ替えごっこ」ではフラッシュダンスやプリティ・ウーマン、マドンナ等を皮肉っておちょくりまくり、ポーカーフェイスのセルマ・ブレアは更にやりたい放題の咥え放題(コラコラ)
・・・ホントにここまでやっちゃってイインデスカ?(^-^;

話の展開はごくごくフツーの「女の子頑張るムービー」
30近くになって、今までの「キャッチ&リリース」的お気軽恋愛がちょっぴり空しくなって来たイケてるおねーちゃんが、本当の恋を見つけて勇気を出して頑張ろう!という・・・こーいう書き方すると別にどーって事ない話なんですがネ。
要するに話の筋や展開自体を楽しむんじゃなくて、キャメロンがここまでバカやるか!?というのを楽しむ事、そして同性だったら「ある!ある!あるぅ〜!」と共感して笑い飛ばす事に力点が置かれた作品になってます。

更衣室で胸を持ち上げて「これが22歳(手をパッと離すと胸がドロンと下がる。苦笑)これが28歳」と言って溜息ついてみたり、二の腕揺さぶって「コレってどーよ!?」とぶちかます「自虐ギャグ」には同性として笑うに笑えない(薄涙)
男の人にはツボに来ないかもしれないけど、女だったらここが最も共感出来るツボのはず!

20代後半〜30代以上・独身女性の仲良しグループが週末誰かの家に集まってビール片手に鑑賞するのが望ましい。
今流行りの「負け犬」の為の映画ってヤツですか・・・でもキャメロンは負け犬からは程遠いキャラだけどネ♪







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2004年10月26日(火) 世界でいちばん不運で幸せな私

監督:ヤン・サミュエル
出演:ギョーム・カネ
    マリオン・コティヤール
    チボー・ヴェルアーゲ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ジュリアンとソフィーは幼いある日ゲームを思い付く。それは相手から仕掛けられた「お題」に必ず応え、応えられたらお宝のブリキ缶を相手に手渡して次のお題を相手に仕掛ける、というものだった。それから10年後、成長した2人は相変わらずゲームを続けていた。ただゲームに縛られる余り、お互い愛し合っている事を認め合うチャンスを逃していたのだ・・・


【感想】
イラストレーター、漫画家、絵本作家等として既にマルチな才能を開花させているヤン・サミュエル氏の長編映画監督デビュー作品。本作は03年にフランスで公開されるや140万人という驚異的観客動員数を記録し、ヨーロッパ各国で大絶賛されて映画の核になるセリフ「のる?のらない?(Cap ou pas cap?)」は流行語になったそーです。

フランス映画、しかも「ロマンティック・ラブコメ」と聞いて誰もが頭に思い描く作品と言えば「アメリ」でしょ。
本作も多分にアメリの影響を受けているなぁ、という印象があります。更に「イラストレーター・漫画家」という別の顔を持つ監督ならではのコケティッシュでコミックちっくなイラストと映像の融合等、独特の映像世界を作っていて、ぴよは結構こういう雰囲気好きなんだけどネ♪

そんな本作、しかしながら「アメリ」を期待している人にはちょっとギョッとする展開ではあります。
アメリは主人公のイタズラ心が周囲の人をちょっぴり幸せにする、というふんわりした優しい展開でしたが、この作品のジュリアンとソフィーの2人が続けるゲームは明らかに周囲に迷惑をかける悪辣なモノ。
「ちょっぴり迷惑」程度ならまだしも、この悪辣なイタズラはどんどん年齢を重ねる毎にエスカレートし、最終的には社会ルールを無視して家族や周囲を巻き込んだかなり感じ悪いレベルにまで到達。

一度は人生の軌道修正を試みたジュリアン達だけど、お互いが求める気持ちがそのチャンスをぶち壊しにして更に悪化の一途と辿る。この映画は「好きな気持ちを打ち明けられないで意固地になってる間に、お互いの気持ちを素直に表現出来なくなってしまったファンタジー」なのか、それとも「まずゲームありき。ゲームを続ける事こそがお互いの愛の確認作業になるという変態達の話」なのか?
きっとカテゴリ的には前者のファンタジーなんだろうけど、どう見ても変態話としか思えません(笑)

アメリの亜種と考えるとそーなんだけど、それにしても本作の根底に脈々と流れるどす黒い何か(謎)が、この作品を一筋縄ではいかない変態世界に誘って行くのですわ。いや結構笑わせてもらったんだけどサ。

でも笑わせてもらってもどす黒いよ(^-^;
ここまで散々だったんだから、最後くらい気持ちよく終わらせてくれてもよさそーなもんだけど、それでも最後の最後までどす黒いんだから(苦笑)
一応「本当だったらこーなったのにね?」みたいな映像出ますけど、でもどす黒いヨ(爆)

どす黒いんだけど、でもやっぱりファンタジー。
何とも不思議な作品ですわ・・・アナタはこの映画に「のる?のらない?(Cap ou pas cap?)」







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2004年10月25日(月) 2046

監督:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン
    木村拓哉
    コン・リー、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
1960年代香港。売文業のチャウはシンガポールで恋破れてこの地に戻って来た。一夜限りの束の間の愛で空虚な心を埋めるチャウは、投宿していたホテルオーナーの娘ジンウェンと親しくなる。ジンウェンは日本人青年との恋を父親に反対されて打ちひしがれていた。ジンウェンの悲恋に心動かされたチャウは、それまで自分を通り過ぎて行った女達をモデルに、自分の心の叫びを主人公に投影させながら「2046」という近未来小説を書き始めた。


【感想】
撮影は途中で中断され、ようやく完成したかと思ったらカンヌ映画祭ではフィルムが間に合わないと騒動になり、日本ではキムタクが海外スクリーンデビューと持てはやされ・・・何かと話題の多いウォン・カーウァイ監督最新作です。
って、実はウォン氏の作品をこれまで見た事がありませんでした(^-^;

「2046」という映画のタイトルが劇中主人公が書く小説のタイトル名だという事だとか、予告編に流れるキムタクが出演してるシーンはこの小説の内容部分を映像化したもの(ある意味劇中劇ってヤツですか)だとか、そーいう事は見る前に人に聞いていたんですがね、それでもあの予告編を見る限りではほとんどの人が「この映画は近未来SFなんだろう」と勘違いしても仕方ないと思うんですよね。
・・・よーするに、色々人から聞かされていてもまだ「近未来SF」だとぴよが勘違いしていたって事なんですが(笑)

そんな訳で、舞台は60年代香港です。近未来SFではありません。
そして内容もSFではなくてメロウな恋愛モノです。もっと言うとメロメロな恋愛モノです。
もっともっと言うと「かったるい恋愛モノ」です(コラ)

映画冒頭キムタクのナレーションで語られる「小説・2046」から入って、その後トニー・レオン演じるチャウがこの小説を書き出すまでのエピソードを挟み、そしてまた「小説・2046(2047か?)」に集約するという展開ですが、見始めてから結構話が進むまでさーっぱり意味が判らなくて「?」の嵐。
もちろん映画をそのまま見ていれば最終的に「そーいう事ネ」と理解は出来るんですが・・・

つまらん。 ←あー言っちゃった(^-^;

ウォン・カーウァイ作品ファンの方、すんません。
きっとぴよは彼の作品のカラーが好きじゃないんだと思うんすよ。

チャン・ツィイーちゃんの衣装は猛烈に可愛かった♪アクセサリーも色石多用のクラッシックなデザインでラブだし、ちょっとヤボったいヘアスタイルもあの衣装に似合っててステキ♪すんごいアイライン入れてるけど可愛いわヨ♪
・・・でも「ヤリ捨て女」なのかよ(ぼそ)
チャン・ツィイーちゃんのコスプレファンとしてはかなり満足出来ますが、意味なくトニー・レオンを呪いたくなります(爆)

まあ褒め言葉はこれくらいにして(え?褒めてたか?苦笑)
キムタクはどーなんだろー?ぴよは結構キムタク好きな方だと思うんすけどネ、でも映画冒頭のナレーション聞いた瞬間から猛烈に「ハウルの動く城」が不安になって来たんですけどぉ〜。
映画冒頭のキムタクのナレーションと、その後のトニー・レオンのナレーションを比べてみ?
つーか比べるまでもなくその力量・表現力の巧みさに如実に差が付いてて悲しい事この上ないですがな。
(演技について比べるのは敢えてやめておくのが懸命でしょう。苦笑)

劇中の小説に出てくる「2046」という場所に、チャウの捜し求める「永遠の愛はあるのか否か」という答えがるらしいのだけど、そこから唯一戻って来た男という設定の「タク」は小説の中で列車の中にいる。列車の中から何処にも行けず・・・いや、彼は何処に行こうとしているのだろうか?
結局何一つとしてその答えは明示される事はなく、映画中に延々流れていた様々なネタは何一つ収束していない。

「切ない恋愛の話」と言うよりも、「中途半端で雰囲気だけの話」という印象。
正直言って、ぴよがこの映画で評価出来たのはチャン・ツィイーちゃんの衣装と映像美だけ。がっくり(涙)







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2004年10月24日(日) NY式ハッピー・セラピー

監督:ピーター・シーガル
出演:ジャック・ニコルソン
    アダム・サンドラー
    マリサ・トメイ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
子供の頃から気が弱く本音の言えないデイブ。25年経った今もその優柔不断な性格は相変わらずで、恋人リンダとの関係もなかなか進展しない状態だった。ある日出張で乗った飛行機内で小さな誤解からとんでもないトラブルに発展、裁判所で「怒りを抑制するセラピー」を受ける事を命令されてしまった。果たしてセラピーを受けに行くと、そこにいた医師は何と機内で隣の席に座っていた迷惑男・バディだったのだ。


【感想】
名優ジャック・ニコルソンとアメリカでは超人気のコメディアン(でも日本では知名度イマイチ?)アダム・サンドラーが共演するコメディ。本作は色んな著名人がカメオ出演しているのも話題になりましたわね。NYヤンキースの現役選手や「コートの暴れん坊」の異名で名高いテニスプレイヤーのジョン・マッケンロー、ジュリアーニ元NY市長まで出演してます。

サンドラー演じるデイブは、普段は気弱で大人しいものの何かの拍子でぶちキレるというキャラ。
「パンチドランクラブ(2003.8.30鑑賞)」のキャラとまるまる被ってますが、「パンチ〜」よりも本作の方がずっとキレ方が大人しくて「これくらいの人だったら結構多いんじゃない?」程度のありきたりなキャラです。
で、相方のセラピー医師バディは「胡散臭い怪しい表情させたら右に出る者なし」のジャック・ニコルソン。
相変わらず磐石な演技、つーかすげー濃いキャラで完全にサンドラーを食ってますよ(^-^;

ジャック演じるバディが施す「セラピー」がとにかくハチャメチャで、バディに振り回されて散々な目に逢うデイブの気の毒な様子と、バディのすっとぼけたやり取りを見せて笑わせようって事なんですがー、

どーもね、ぴよはあんまり笑えなかったんだよね。
最初の内は「ぷぷっ」としてたんだけど、段々それがエスカレートして回も重なると「ちょっとそりゃあんまりなんじゃない?」とツッコミ入れたくなって来ちゃって。あんまりにもエゲつない展開が続くからデイブが気の毒になっちゃってさ、「これじゃーどんなヤツだって大抵キレるだろ」って胸糞悪くなって来るじゃんね。
まるで「他人の不幸を見て喜ぶ卑劣漢」になった気分になっちゃって、どーにも乗れなかったんだな。

コレがね、きっとわざと観客に「ちょっとそこまでは・・」と思わせるくらいに大げさにやってたんだろーなーと、後の展開を見て多少納得。つーか別にそーいう訳じゃなくて本気で「こりゃー面白いゾ」と思って製作者が作ってたんだったら、完全にぴよとは笑いのツボがズレてますよ(^-^;
ま、ツボがズレてたとしても結果的に後の展開が生きるようになってましたので、製作者の勝ちでしょう(笑)

たぶんほとんどの人が一番ツボに入っただろうシーンは(ぴよもこのシーンは結構スキ♪)、朝の大渋滞の橋の上で「ウエスト・サイド・ストーリー」の名曲「I feel pretty」を2人で熱唱するくだり。
このシーンも最初は「こんなのあり得ねーって」とイライラしながら見てたんだけど、段々デイブもノリノリになって来て最終的にバディとデュエットする段になって「コイツらバカだぁ〜♪」と、よーやくツボに来た次第(笑)
あかん・・・コメディをひねくれた心で見てはいけませんな。もっと素直に楽しまなくちゃ(^-^;

ラストの意外なオチには「まさかこーいう事とは!」と、更にあり得ない展開に驚きを禁じ得ませんでしたが、この意外なオチがあってくれたからこそ今まで心の中で叫び続けた「あり得ねーって!(怒)」というぴよの気持ちが氷解した訳で。

散々心の中で悪態付いてたクセに、見終わったら気分いいでやんの(爆)








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2004年10月23日(土) スパニッシュ・アパートメント

監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュリス
    オドレイ・トトゥ
    ジュディット・ゴドレーシュ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
パリに住むグザヴィエは、大学生活最後の1年をスペイン語習得の為にバルセロナ留学する事に決めた。恋人のマルティーヌを置いて行く事が心残りのグザヴィエだったが、バルセロナに着いて住む事に決めた場所は色んな国から留学に来ている学生がシェアするアパートメントだった。
この地にみるみる馴染んだグザヴィエは恋、挫折、不倫、友情、様々な体験をして充実した日々を送るのだった。


【感想】
ヨーロッパ各国で大絶賛を受け、フランス・セザール賞に5部門ノミネートされたという青春映画。
原題は「ローベルジュ・エスパニョール」、直訳すると「スペインの宿」という意味になるんだけど、他にもフランス語のスラングで「ごちゃまぜ」という意味があるそーだ。バルセロナに留学に来て、そこで様々な国の留学生とルームシェアをするという内容を考えると、なかなか気の利いたタイトルだと思いますネ♪

予告編見た時はオドレイ嬢が主役なのかと思ったら、「堕天使のパスポート(2004.10.11鑑賞)」の時と同様、彼女はあくまでも脇役でした。ま、他に日本で馴染みのある役者が出演してないから、相変わらず詐欺みたいな予告編の作りしてても仕方ないのかもしんないんだけどネ(^-^;

んな訳で内容ですが、とにかくどーでもいいよーなエピソードがただ延々と続くだけの楽しい青春映画(笑)
映像の見せ方が色々工夫してあってネ、フィルムの早回しをしてみたりスクリーンを分割して映像を見せたりと、観客を飽きさせないように手を替え品を替え頑張ってます。
とエラソーに書いてますが、実はビール片手に鑑賞してたので映画前半ウトウトしてました(^-^;

目がパッチリ覚めたのは、レズビアンのルームメイトから「男って女のコトが全然判ってないのよネ」と言われてグザヴィエが女の口説き方のイロハを教えてもらう辺りから(笑)
思ったトーリ美貌の人妻にちょっかい出してくれる辺り、嬉しくなっちゃうよなー♪

シェアしてるルームメイトはドイツ、ベルギー、イギリス、イタリア、スペイン、デンマーク、そしてグザヴィエのフランスと全員が違う国籍で、どいつもこいつも個性的。いかにも「ローベルジュ・エスパニョール(ごちゃまぜ)」を彷彿とさせる楽しいキャラクターを揃えています。
この映画見て「こんなに楽しいなら自分も留学(遊学か?)しようかな♪」くらいは思うヤツ絶対にいるね(きっぱり)

さて、そんな野望を抱くには余りにトウが立ち過ぎたぴよにとって(薄涙)、この映画の一番の収穫は何つってもバルセロナのステキな景色ですわ。
スペインって元々「行きたい国候補」のかなり上位なんだけど、この映画見たら「行きたい熱」がヒートアップ!
ガウディ建築の最高峰サグラダ・ファミリアの素晴らしさは言うに及ばず、グエル公園(ここはステキだー♪)とかちょっとした裏通り、ペインティングされた古い壁、何もかもが旅ゴコロを刺激してくれるぢゃないかー!きーっ!

いかにも青春映画!てな感じで、グザヴィエはバルセロナの陽気な空気にすっかりスポイルされてる?
・・・いやいや、一応シメとしては「若い時代には何事も経験する事が大切。きっとキミの人生のスパイスになるヨ♪」的爽やかなオチで大団円。まー文句の垂れようもない楽しい作品ですわね。

惜しむらくは、ぴよがあとン十年若い頃にこーいう映画が見たかったな、と(苦笑)







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2004年10月22日(金) 血と骨

監督:崔洋一
出演:ビートたけし
    鈴木京香
    新井浩文、他
オススメ度:☆☆☆


【感想】
1923年、一旗揚げようと故郷済州島から大阪にやって来た金俊平。腕のいい蒲鉾職人だった俊平は、持ち前の才気とバイタリティで戦後蒲鉾工場を興して成功した。しかし俊平という男は桁外れに凶暴な上に強欲にして吝嗇で、俊平の妻・英姫も抵抗も出来ず犯されるがまま、彼の子供花子や正雄もビクビクと怯える日々だった。
そんなある日、俊平の実息だと名乗る青年「武」が金家に転がり込んで来た。武は金家で傍若無人に振る舞い俊平の存在にも全く動じない。そんな武に羨望の眼差しを向ける正雄少年だったが・・


【感想】
第11回山本周五郎賞を受賞した梁石日氏の自叙伝的同名タイトル小説の映画化。
主人公・金俊平を演じるのは久し振りに俳優業に専念したビートたけし氏。そして俊平の妻・英姫を鈴木京香嬢が熱演、息子の正雄役(これが後の梁石日氏)を若手実力派俳優の新井浩文クンが演じてます。

映画は若かりし頃の俊平が日本にやって来る所から始まるけど、その後は一気にすっ飛ばして第二次世界大戦中の出来事をサラリと見せて、いよいよ話が始まるのは戦後から。
俊平の半生を息子・正雄の視点で見せる事が主軸になっていますが、俊平だけでなくこの時代を生き抜いた在日朝鮮人の混沌と苦悩、そして力強く異国の地で生き抜いた歴史を丁寧に見せていく大河ドラマになってます。

で、この俊平という男がとにかくスゴイ。
普通この手の大河ドラマ系って、主人公の生き様に共感したり羨望したりさせる事で観客を惹き込んで行くのが常套だと思うんだけど、よもやこの映画を見て俊平に共感出来る人は皆無と言っても過言じゃないでしょう。
つーか、「オレって俊平に似てるわー♪」ってヤツが周囲にいたら、直ぐに警察か病院に通報した方がいい(笑)

で、結局何が何だかよーわからん(^-^;
俊平は妻だろーが子だろーが自分の機嫌一つで殴り倒して全く情けというものがないのに、異常に「子供を作る」事にこだわって次々と愛人に子を産ませるし(しかも男の子が欲しかったらしい)、産ませる割に子供を可愛がってる様子もない。
更に彼の人生唯一の美談のつもりなのか?脳腫瘍に冒される愛人・清子の存在があるんだけど、何故あそこまで極悪非道な俊平が清子だけにはこだわったのかがぴよには理解が出来なかった。

俊平は全編通して「全く人を信じない。信じるのは己と現金のみ」という孤独な男として描かれているけど、その俊平が唯一金勘定抜きに愛情を注いだ女・清子というのは、俊平に何をもたらしたというのだろうか?

映画は時代を忠実に再現して、非常に木目細やかに当時の風俗や町並みを見せているけど、キャラクターの心情部分を掘り下げて見せるという描写がまるでないので、この時代を知らない世代の人が見るとただ「意味不明で感じ悪い男の話」だけが残ってしまう(^-^;
勉強不足のぴよにも問題アリアリですが、この作品の真意が理解出来る方はどれくらいいるんでしょう?

清子を演じた「中村優子」という女優さん、ぴよは全く知りませんでしたが迫真の演技です!素晴らしい!
ビートたけし氏も熱演されていますが、彼のかすれた高音の声音がちょっと違和感があった。狡猾で吝嗇という感じはよく出てたけど、凄んで暴行しまくるシーンなんかはちと迫力不足という感じか?
鈴木京香嬢、相変わらず凛とした美しい人ですが、彼女は今作で随分汚れ役を演じていて驚きです。映画冒頭からいきなり強姦されるシーンですから・・・これにはさすがにギョッとしましたわ。
彼女の女優魂を感じましたね。老け役も雰囲気良かったけど、歳食っても声に妙にハリがあるのはちょっとな(^-^;

戦後の在日朝鮮人の苦労や生活を色鮮やかに再現した「昭和朝鮮人史」として非常に丁寧な作りをしているけど、この映画から何を汲み取ればいいのか判らなかったぴよには難解な内容でした。

上映時間2時間24分。邦画の尺としてはかなり長いです。
長いし難解なのに全くダレずに見る事が出来ました。
何とも不思議な力のある作品。







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2004年10月21日(木) 笑の大学

監督:星 護
出演:役所公司
    稲垣吾郎、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
時は昭和15年。日本は戦争へ向かって規制強化が進み、大衆娯楽の演劇にも厳しい検閲が行われていた。浅草の劇団「笑の大学」の座付き作家・椿一は新作喜劇の検閲の為に警視庁の取調室にやって来た。そこで待っていたのは「生まれてこの方笑った事がない」と豪語する新任検閲官・向坂だった。向坂は何とか公演中止にしてやろうと次々と笑いを排除させる為の無理難題を吹っ掛けるが、その度に椿は手を加えて難題をクリアしながらも更に面白い脚本を書いて来るのだ。次第に向坂は椿と彼の書く脚本に興味を持ち、いつしか2人は共同作業で台本を作り上げて行くのだが・・・


【感想】
既に「売れっ子」という名前は似つかわしくない、日本脚本界の重鎮と呼んでも差し支えない三谷幸喜氏が94年にラジオドラマとして脚本を書き、更に96年に舞台化されるや大絶賛されて伝説ともなった名作「笑の大学」の映画化。
監督には三谷氏の代表作ともなったTVドラマ「古畑任三郎」等を手掛けて、その演出力を高く評価された星譲氏を三谷氏自らが指名。星氏は本作で映画監督デビューを果たしています。

確かにこれは舞台用の話なんだなぁ、という設定。
話はほとんどが検閲官と喜劇作家の2人が取調室で丁々発止する密室劇になっているし、登場する人物も少ない。三谷氏はこの映画用に新しく設定を加えてフィールドを広くし、取調室以外の劇場の様子や浅草の町の様子も見せてくれていますが、基本的には役所公司氏と稲垣吾郎ちゃんの2人芝居だと言っても過言ではないでしょう。

ぶっちゃけ言うと「腹がよじれるほど笑える」という話じゃないです。
もちろん笑えるシーンが沢山あるんだけど、「ぎゃははは!」じゃなくて「ぷぷっ!」程度のシニカルな笑い。
笑わせ方が巧みでね、喜劇台本を読み上げるシーンは普通だったらその台本の内容で笑わせようとするんじゃないかと思うんだけど、台本の内容自体は「ぷっ」程度の大したモノではなく、そのギャグを思い付く作家と検閲官のやりとり部分でクスクスと笑わせようという趣向。
変な言い方だけど「こーいうのが日本人の肌に合うコメディだよなぁ」としみじみ思っちゃいましたね。

昭和15年「古きよき時代」と「戦争へ向けて国が大きく動く」という微妙な時代を舞台にしているというこだわりを随所に感じさせてくれる、非常に丁寧な作りをしてましてね。
映画中のセット、浅草の様子、服装から風俗までレトロで懐かしい匂いをプンプンとさせているし、それだけではなく映画冒頭からラストのスタッフテロップに至るまで、徹底してあの時代のレトロ感を存分に楽しませようという遊び心が満載♪
展開もチャップリンのトーキー作品を彷彿させるような、1日毎に「幕間」を作っている辺り、舞台演出にも近いような?映画を見ながら舞台も楽しんでるような面白さと洒脱さがありました。

正直言って「稲垣吾郎ちゃんって・・・どーなのヨ?」と思ってたんだけど、彼の天然なのか作ってるのか判らない演技のクサさ(をい)が案外この役にハマってて良かったな。役所サンは相変わらずお上手だけど、彼もちょっとクセのある臭さがあるじゃない?(そー思ってるのはぴよだけか?苦笑)、それがゴロちゃんとなかなかうまく噛み合ってたネ♪

で、ゴロちゃん演じる喜劇作家は、名前くらいは誰でも聞いた事はあるだろう「喜劇王エノケン」こと榎本健一氏の座付作家だった「菊谷栄」氏がモデルになっているそうなんですよ。
菊谷氏は厳しい検閲の中にあってエノケンの全盛期を支えた名脚本家だったそーです。
彼の事を知らない方でこの映画を未見の方は、決して公式HPを見ないで映画館に足を運んで下さい。公式HPを見ると菊谷栄氏の事がもうちょっと詳しく書かれてて、これ読んじゃうと映画の面白味が半減しちゃうとぴよは思うので。

映画のクライマックス、涙腺詰まりまくりと評判のぴよがマジ泣きでした。
日本には確かにこんな時代があった。そしてそんな時代にも「笑い」を追い続けた人々がいた。
人の心を動かすのは「怒り」ではなくて、いつの時代も「笑い」であって欲しい。

素晴らしい脚本です。この作品の舞台劇も是非見たかったな。







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2004年10月20日(水) ピョンヤン・ダイアリー 1994-1997

監督:スールン・ホアス
出演:スールン・ホアス、他
オススメ度:☆+


【あらすじ】
ノルウェー人女流監督スールン・ホアスが、1994年と1997年のピョンヤン映画祭に自身の作品が招待上映された際に、彼女自身がインタビューと撮影をした「生・北朝鮮」のドキュメンタリー


【感想】
日本ではイラクと並んで注目してる国ですよね。
もっと言えば日本だけじゃなくて、常に国際社会の中で「北朝鮮」という国は注目され続けてるよね。
そんな北朝鮮の実際の町の様子は?国民の様子は?彼らの本音は?って部分に肉薄してればオイシイなー・・・と思ってレンタルして来た1本よ。

スールン・ホアス監督は、ノルウェー生まれだが幼少時代は神戸で過ごし、一旦本国に戻ったもののその後再来日して京都大学で演劇を学んだという才女らしいですわ。
その後はオーストラリアに拠点を移して、オーストラリア兵士と日本人妻の生活を追うドキュメンタリー映画「八重桜物語」を発表、更に同じ題材で女優の石田えりが主演を演じてドラマ化した「AYA・アヤ」が世界的に評価を受けたらしい。
ちなみにぴよはこれらの作品を全く知らなかったんすけどね(^-^;

で、「AYA・アヤ」と「八重桜物語」の2作品がそれぞれ1994年と1997年に開催されたピョンヤン映画祭で招待されて北朝鮮入りを果たし、なかなか行くチャンスがない国に堂々と招待客として入国出来るんだから、こんなオイシイチャンス逃してたまるものか!ドキュメンタリー1本作っちゃえ♪てな企画なんですわ。

意外と知られていないんだけど、北朝鮮には日本人も観光客としてちゃーんと入国出来るんですよ。
そういうツアーが探せばあるんです。大手の代理店では扱ってないかもしれないけど、色んなルートで北朝鮮入りして観光するツアーというのが存在してるんですよ。
そんな訳で、「実はそんなに北朝鮮に行く事自体は決して難しい事ではない」と知ってる人、もしくは既に北朝鮮に観光ツアーに行った事がある人が見ると「全然実際の北朝鮮なんて写ってないぢゃんか」という感想になります(苦笑)

彼女が写しているモノのほとんどは、「北朝鮮観光ツアー」に行った人なら誰でも目にする事が出来る。
北朝鮮という国は、かつての文化大革命時代の中国同様「外国人に見せていい場所」というのを決めていて、実際に貧しい生活をしているド田舎の一般市民生活居住区や国の恥部に触れるような場所への立ち入りを一切禁じているのですわ。
要するに「国として自慢出来る場所」にしか外国人は足を踏み入れる事が出来ないシステムなんです。

この作品を本当に「北朝鮮という国を題材にしたドキュメンタリー映画」にしようと思ったら、外国人観光客が決して足を踏み入れる事が出来ない地区に行って、「そこに実際に暮らしている北朝鮮人にインタビュー」していなければ意味がないように思うんですよ。
彼女がインタビューしている北朝鮮人というのは、自分の案内人と連れて行ってもらえた観光地にいるガイドさん、それから国外に商売に出れるような立場の人やピョンヤン市内居住の特権階級の人だけ。
それらしく町の様子や一般市民を撮影しているように作ってますが、アレはピョンヤン市内とそこに住んでいる裕福層の人ばかりですからねぇ。これではドキュメンタリーとはとても言えないシロモノですわ。

結局、今ニュース映像に流れる「北朝鮮」の様子以上のモノは何一つ見る事が出来なかったし、インタビューを受けてるかの国の方々のセリフも「ニュースで見飽きる程見聞きした」レベルを一歩も出ていませんでした。

この映画の製作年は1997年ですから、当時だったら多少は「へー!北朝鮮ってこんな様子なんだー」くらいは思ったのかもしれませんが、今ではもっと過酷な「本当の北朝鮮」の隠し撮り映像がチョロチョロ流出していますから、とにかく映像とインタビューの様子を見ながら「アホくさー」くらいにしか思えなかったというのが正直な感想ですわ(^-^;

これはドキュメンタリー映画と言うよりも、ただの「北朝鮮旅行記ビデオ」程度のモノですな。
外国人立ち入り禁止地域の映像&インタビューが撮れてれば評価出来るんだけどなー・・ま、そんな地域に入れる訳なきゃ撮影出来る訳ないし、何よりもしそんな映像があったら今頃彼女は間違いなく「消息不明」になってるだろうしネ(爆)







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2004年10月19日(火) 僕はラジオ

監督:マイク・トーリン
出演:キューバ・グッディングJr
    エド・ハリス
    デブラ・ウィンガー、他
オススメ度:☆☆☆☆☆


【あらすじ】
1976年アメリカ南部サウスカロライナ州アンダーソン。名門ハナ高校のフットボール部コーチをしているハロルドは、ある日いつもグランド近くを歩いている黒人青年を目に留めて声をかけた。彼は知的障害があり学校にも通わずロクに人と口もきかない。ハロルドは彼に「ラジオ」というあだ名を付けてフットボール部のマネージャーの仕事を与えた。天真爛漫で素直なラジオはたちまち部員達に慕われ、ハナ高校にも通うようになったのだが・・・


【感想】
1996年にアメリカ最大の発行部数を誇るスポーツ・イラストレイテッド誌が小さな記事で紹介するや、たちまち全米の話題をさらった感動の実話の映画化。

アメリカらしいっちゃーアメリカらしい、けれど日本ではなかなかこーいう話が起こらないという「美談」で、これを「偽善だ」と言う人もいるかもしれないけれど、その偽善すら出来ないおまへが何エラソーな事を言うか!と一喝してやりたい気分になりますよ。この映画見たら。
もっとも一喝してやりたいぴよ自身も「じゃあおまへは出来るのか?」と問われると?・・・(をい)

舞台が70年代のアメリカ南部、それでなくても特に黒人差別が激しく仲間意識が強い(逆に言えば排他的)な地域だというマイナス要素に加えて、知的障害というハンデを持ってる「差別のダブルパンチ状態」のラジオ青年。
元々親がこの知的障害児のラジオ君に心から愛情を注いで育てていた事で、ラジオ君も親の愛を受け止めて実に素直で心優しいお子に育ったという土壌があっての美談だと思いますが・・・

なんつっても素晴らしいのは、フットボール部のコーチだったハロルドでしょう!
「なんて気の毒な青年なんだろう」くらいは誰でも思う(それすら思わないヤツすらいる)けど、実際に声をかけて彼を受け入れるというのは特にこの地域の人としてはとても勇気がいる事だったと思うんだよね。
しかもハロルドは地元では誰もが知ってる有名人。スポーツが盛んなこの地で名門校の花形スポーツ部のコーチというのは相当の名誉職なんだろうと想像出来る。
町のおやじ達の溜まり場になってる床屋で、彼は尊敬を持って迎えられている様子が映画中でも見て取れる。
そんな彼が率先して知的障害のある素性も知れない黒人青年を連れ歩くのは相当の勇気がいっただろう。

映画中でもそれは示唆されていて、ラジオを連れて町を歩くようになった当初は、町の人達はみな一様に軽蔑とも好奇とも取れる怪訝な顔でハロルドとラジオを見ている。
もっと言うと、多少ラジオ君が町で認知されて来た後でも彼に対して偏見と差別を持って対峙する輩もいた。
要するにこれは「アメリカにはよくある話」じゃなくて「アメリカでも数奇な部類の話」なんだとぴよは思う訳ですわ。

ハロルドを演じたエド・ハリスが猛烈にカッコイイ♪
ハゲてもとてつもなくカッコイイ♪(をい)、加えてカミサン役のデブラ・ウィンガーの歳を食っても相変わらずの清冽な美しさと言ったら・・・もう出来過ぎなキャスティングですわ。

意外な事に、ちょっと話を聞いただけでも涙モノの感動美談なのに、映画の作りはかなり地味で押し付けがましい「愛と涙溢れるエピソードてんこ盛り」という演出はしていない。今作に関して言えば逆にそれがぴよには好感持てましたネ♪
実際の「結果的に美談になった話」というのは、みんなが期待している程感動に打ち震えるエピソードにまみれている訳ではなく、この映画のように地味な話の積み重ねで起こるんだろうなぁと思いますよ。

という訳で、涙腺が詰まっている(謎)ぴよは泣く程ではありませんでしたが、心から「ええ話やなぁ」と時間をかけて地味にひたひたと感動が染み込んでくる、そんな気持ちのいい映画でした。
でも映画ラストで実際のラジオ君(今はおっさんだけど)の映像が流れて来た時はさすがにウルッと来たゾ。

今思うと「映画が良かった」のか「この実際の話が良かった」のか訳わかんないんだけど(苦笑)、どんなにいい話だって作り方次第ではクソ映画になってしまうというのを「天国の青い蝶(2004.9.22の感想参照)」で痛感しているだけに、この映画は非常に良質の作品だとぴよは思いますだ。

どうしてこんなにステキな作品が単館ロードショーなんですか???
この映画が上映されない地域にお住まいの方が気の毒で仕方ありませんよ。せめてDVD化されたら見て下さい!







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2004年10月18日(月) TUBE(チューブ)

監督:ペク・ウナク
出演:キム・ソックン
    パク・サンミン
    ペ・ドゥナ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ラッシュ・アワーのソウル地下鉄が乗っ取られた!犯人は元・国家機密諜報機関の工作員ギテク。政府から追放されて家族も殺されたギテクは、復讐の鬼と化して政府に無謀な要求を突き付けて来た。
その地下鉄車両に密かに潜入した刑事チャン。彼もまた最愛の恋人をギテクによって殺された恨みを持ち、彼を追い続けていたのだ。更にはチャンに密かな思いを寄せる女スリ・インギョンも乗り込んで、巨大爆弾を積んだ車両は原子力発電所へ向けて暴走を続ける。人質はソウル市民1300万人、この絶望的状況を回避出来るのか!?


【感想】
「シュリ」の脚色と助監督を務めて注目されたペク・ウナク氏の初監督作品。脚本も手掛けてます。
本作、韓国で公開直前の2003年2月に韓国・テグで地下鉄大放火事件が発生し、200人近い人が犠牲なった事で公開が延期になり話題になりましたよね。

本作のネタ、「車両を乗客ごと乗っ取り爆弾を仕掛ける→ある条件下で爆弾が爆発する」という展開でまず直ぐに思い出すのは、'75に公開になった邦画パニックサスペンスの名作「新幹線大爆破」でしょう。
ちなみに「え?新幹線大爆破ってナニ?そんな古い映画知らなぁ〜い」とか言わないよーに。
ぴよがマジで傷付きます(^-^;

で、本作ですが「新幹線大爆破」に非常に酷似しています。爆弾が脅しではない証拠に別のモノを爆破させて見せるくだりも、問題をクリアしても次々に障害が出て来る所も「新幹線大爆破」と同じ。
ただしキャラクターの設定は本作の方が手が込んでいて、まず犯人は営利目的でないという事、それから犯人側の事情と追う刑事側の事情、更にそれを取り巻く人々の事情等が細かく設定されていて映画中で見せて行きます。

という訳で、少々ごちゃごちゃし過ぎです(笑)
もう少し人間関係をシンプルに作っても問題はなかったんじゃないかと思うのよね。登場する脇役にまでコッテリとエピソードを盛り込んでいるので、上映時間(116分)以上に長く感じる・・・要するに少々ダレる。
特にお涙頂戴系のエピソードが大好きな韓国映画、とにかく泣く!泣く!男も泣く女も泣く。これが韓国映画の醍醐味と面白さだと言われたらおっしゃるとーりですが、もう少しだけストイックに作っても充分面白いと思いますけどネ。

とは言え、なかなか面白い作品だと思うし、見せ場てんこ盛りで映像的にも邦画では到底太刀打ち出来ません。
本当にここ数年で韓国映画は飛躍的な進化を遂げていますなぁ。CGの使い方も映像の構成も、臨場感や迫力もハリウッドと充分肩を並べられるスケールだと思いますわ。

クライマックスはなかなか面白かったし(最初に何故車両を切り離さなかったのか?という疑問は置いといて。笑)、あのシーンの「泣かせ」は充分観客にアピール出来てると思うな♪ちなみにぴよは泣けなかったけど(をい)

後は脚本段階で「しつこ過ぎるエピソード」を大胆に端折る勇気が持てたら(苦笑)韓国映画は最強でしょう。







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2004年10月13日(水) トルク

監督:ジョセフ・カーン
出演:マーティン・ヘンダーソン
    アイス・キューブ
    モーネイ・マザー、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
麻薬密売の冤罪を被って海外逃亡していたフォードが街に戻って来た。街を去る前にバイカーギャングのヘンリーから預かったバイクには大量の麻薬が仕込まれていて、フォードはバイクをどこかに隠していたのだ。ヘンリーはフォードからバイクを取り戻そうと、敵対勢力のボスの弟を殺害してフォードに罪をなすりつけた。「逮捕されたくなければバイクを返せ」と脅迫するヘンリーが黒幕だったと悟ったフォードは、真っ向から立ち向かう事を決意するのだが・・・


【感想】
「マトリックス」「トリプルX」等を手掛けたプロデューサーチームが新たに送り出すバイクアクション。監督は今作が長編映画デビューとなるジョセフ・カーン氏。氏は元々音楽畑ではその名を知らない人はいないという有名監督さんだそーで、U2やエアロスミス、エミネム、ブリ、マライア等のミュージック・ビデオを手掛けて来た方なんだってさ。
映画界ではまだ新人監督さんだけど「これから来る!」という有望株なんだろーね。んでもって俳優陣も色んな映画でチョロチョロ出てるんだろーけど認知度はイマイチという「もしかしたらこれから来るかも?」という役者さんばっかり。

ま、よーするに「花は役者じゃなくてバイク」っていう作品ですわね(^-^;
今作の1番の目玉は何と言っても、世界に10台しかないというマリーン・タービン・テクノロジー社が作った「Y2K」。ヘリコプター用ターボジェットエンジンを搭載、最高速度400km/hで現在世界最速を誇るモンスター・マシンよ♪

てな訳で、話はクソです。←コラコラ
まずからして話の設定が古臭いっつーかあり得ないっつーか・・・麻薬密売の冤罪でFBIから追われる身の男が、たかだか半年やそこらでフツー戻って来るもんかね?
しかも戻って来た理由が「ラブな彼女とやり直したいから♪」って、そりゃあんまりでしょーが(^-^;

街には犯罪に平気で手を染める卑劣漢の白人チームと、荒くれ者でありながらも曲がった事が大嫌いな黒人チームの2大勢力があるんだけど、主人公キャラ以下この2チームの奴等も全て、まるで現実味の感じない「ゲームキャラクター」のよーな薄っぺらな人間描写に終始していて、まるで魅力を感じない。

肝心のバイクアクションもとりたてて驚くよーな絵はなく、最近流行のCG合わせ業ばっかりでダレダレ。
最もがっかりさせられたのはクライマックスの「Y2K」の疾走シーンでしょ。スピード感出したい気持ちは痛いほどわかるんだけどさー、アレでは「フィルム早回し+周囲の風景はCG処理」以外の何者にも見えん。痛い。痛過ぎ。
アレだけ映像加工しまくっちゃうなら、いっそスーパーカブがあのスピードで街を駆け抜けてるっていう絵にした方が、よっぽど笑えるし面白いと思うんだわよ(苦笑)

バイク好きさんだったら、本当の「Y2K」のスピード感をリアルにスクリーンで感じたいでしょ?
バイクに興味のない方だったら、話で楽しませてもらうかキャラに魅力を感じさせてもらうか、はたまた今まで興味のなかったモーターサイクルの世界の素晴らしさを見せて欲しいと期待するでしょ?

どちらもダメな場合はどうすりゃいいんでしょうかねぇ(溜息)

ちなみに一緒に見に行った友達が眼鏡を忘れた?のか「字幕が読みにくくて・・・」とボヤいていたが、一緒にいた他のみんなが一斉に「字幕なんてなくても内容わかるくらい単純なクソ話やんか」と総ツッコミ(爆)
ここまでボコスコ言われる映画だとも思わないけど、まあ「面白い」とは言い難いですわな(^-^;








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2004年10月12日(火) キャットウーマン

監督:ピトフ
出演:ハル・ベリー
    ベンジャミン・ブラット
    シャロン・ストーン、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
大手化粧品会社「ヘデロ社」で広告デザイナーの仕事をしているペイシェンスは、ヘデロ社が発売直前の新作クリームに重大な副作用がある事を立ち聞きしてしまい、それがバレて何者かに殺されてしまった。
ところがペイシェンスは猫の精霊によって新しい命を得たのだ。それによって猫のようにしなやかな体と超人的反射神経と飛躍力を持つ「キャットウーマン」として蘇った彼女は、自分を殺した犯人とヘデロ社の陰謀を追う事を決意したのだが…


【感想】
バットマンシリーズのスピンオフ企画。「バットマン・リターンズ」に登場するキャラ「キャットウーマン」が生まれるまでのエピソードから、彼女がキャットウーマンとして開花するまでの様子を見せて行きます。
「バットマン・リターンズ」ではミシェル・ファイファーがキャットウーマンを演じてましたが、本作ではオスカー女優ハル・ベリーが演じています。
・・って、エラソーな事書きましたが、実はぴよは「バットマンシリーズ」未見です。リターンズどころかこのシリーズを一作も見てないという恥知らずです。次作は渡辺謙サンも出演する事だし、いい加減見ないとネ(^-^;

という訳で、「バットマンのスピンオフ企画」という感覚はなく、単なる新作映画という感覚で見たのですが・・・

やー!この映画は面白かったよ!!
かなりB級な作り&展開だし、ネタも「自分を殺した犯人探しと、自分の勤めてた会社の悪事を暴く」程度の小さくまとまっちゃった話なんですけどネ、ダレないしハル・ベリーは無意味にエッチな衣装着てるし(笑)、猫がわんさか登場して猫好きココロを刺激してくれるしの大盤振る舞い♪
つーか、最初に友達からプレゼントされたレザースーツに身を包むまではまだ納得出来ても、その後ユニフォームにするあのエッチ過ぎる衣装ったら!一体いつのまにドコで購入したのか小一時間問い詰めたい!!(爆)

設定だとか展開だとかそーいうの度外視しちゃって全然OKなハリウッド王道バカ映画。脳みそカラッポにしてハル・ベリーのエッチで抜群スタイルの体を愛でて、めくるめく映像を楽しめばそれでよしですから♪

とは言うものの、女性にはなかなか含蓄深いテーマが潜んでいるように思うのです。
キャットウーマンは元々引っ込み思案で自分に自信の持てない女の子だったのに、驚異的なパワーと能力を得る事でどんどん前向きで能動的な女性に開花して行く訳です。
彼女はキャットウーマンという「生まれ変わった自分」を受け入れて真の自由を手に入れる為に、それまで手にしていたものの全てを失わなければならなくなる。
それは社会的地位だったり、平凡だけど穏やかな日々だったり、最愛の恋人だったり・・・

社会のしがらみから解き放たれて(どーやって飯食ってくのかすっごい疑問なんだけど。苦笑)思うままに飛び回るキャットウーマンの姿は、実に清々しくエッチで(うふ)ステキなんだけど、本当に女性観客から共感を得ようと思ったら「好きな事したい放題だけど、それを受け入れてくれるステキな彼♪」の存在が必要不可欠なんじゃないかと思うんだよねー(^-^;
自由であるが為に最愛の恋人まで手放さなければならないんだったら、大半の女性は「不自由でいいやー」って選択するんじゃないかと思うのよ・・・いや、ぴよは金さえ潤沢にあったら男なんていらないんすけどね(コラ)

ところで久し振りにシャロン・ストーン様のお姿を拝見したような気がするのですが・・・
この映画の彼女はめっちゃ好き♪髪型もステキだけど彼女って今何歳でしたっけ?少なくともぴよよりもかなり年上なハズなんだけど、めちゃめちゃキレイ過ぎて怖いくらいだったよー!カッコ良過ぎるぞー!

もしかして整形?それとも流行のCGで顔のシワやシミ消しちゃったの?(爆)






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2004年10月11日(月) 堕天使のパスポート

監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ウェテル・イジョフォー
    オドレイ・トトゥ
    セルジ・ロペス、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
各国の難民がひしめき合う街ロンドン。ホテルの夜勤をしているオクウェはナイジェリアからの不法移民だった。彼は同じホテルに勤めるトルコ移民女性のシェナイと同居していたが、夜勤のオクウェと昼勤のシェナイが顔を合わせるのは勤務交代のわずかな時間だけだった。ある日オクウェはホテルの一室で人間の心臓を発見した。どうやら秘密の取引がこのホテルでは行われていて、それに支配人のフアンが絡んでいると掴んだオクウェだったのだが・・・


【感想】
2003年度のアカデミー賞でオリジナル脚本賞にノミネートされた作品。製作は英国で2002年の作品です。
本作、予告編や映画チラシでも「アメリのオドレイ・トトゥ主演の新作!」というフレコミになってますが、あくまでも本作の主役はナイジェリアからの不法移民オクウェですよ。
つーか、もうそろそろオドレイ・トトゥ嬢を紹介する時に「アメリの」という形容詞を付けるのはやめてあげた方がいいとぴよは思うんだけどな。今のままじゃ彼女は「アメリ」から一歩も出られないし、「アメリ」以上の作品に恵まれないんじゃないか?と心配になっちゃいますが・・・

と、↑上に書いたのには訳がある。
予告編で「あのアメリのオドレイ・トトゥの新作!」という予告編の作りにすっかり踊らされたぴよは、てっきりこの作品もほんわかしたムードのラブストーリーに違いない、と思って見に行ったからですわ。

事実は全く違って、かなり真面目に移民問題に取り組んだストイックな内容だったんですわ。
コレがいけないと言ってる訳じゃないよ。むしろ甘ったるい恋愛モノ見るよりもよっぽど良かったと思うし。
だけどこの作品にはオドレイ・トトゥ嬢以外に日本人に耳慣れた名前の役者が使われていないが為に、映画配給会社の宣伝部は「いかにもオドレイ嬢が主役の恋愛モノ」という錯覚を起こさせるような予告編を作らなければ観客が呼べないだろうと判断して、このようなイカサマもどきの予告編を作ったんだろうな、と。
これが逆に客を遠ざける、もしくはオドレイ嬢のフワフワした恋愛モノを期待して見に行った人を裏切る結果になってしまったのではないかと危惧する訳です。

さてそんな本作ですが、主人公オクウェ(あくまでもオドレイ嬢は脇役です!)を演じたウェテル・イジョフォー氏が非常にいい感じでした♪彼は「ラブ・アクチュアリー」に出演していたそうですが、あんまり印象に残ってないんですよネ(^-^;
最初に映画を見始めた時、この段階ではあくまでも彼は主役ではなくてオドレイ嬢の恋愛ドラマの相手役という認識しかなかったので、正直言って「え?こんなイケてないおっさんみたいな人がオドレイ嬢の相手役なの?マジぃ〜(涙)」と思っていたんですが・・・

なんの!なんの!
映画が進むにつれてすっかりオクウェの虜になって、ラストでは彼がトム・クルーズよりカッコ良く見えた(ちょっとウソ)
いや、トムはウソだとしても(どっちだよ。苦笑)、マジで彼にシンクロして、ラストシーンではちょっぴり涙ぐんじゃったワ。
こんな誠実な人ならシェナイじゃなくても愛さずにはいられないよ・・って思えるくらいいい表情してた♪

話はかなりハードなサスペンス仕立てになってて、そこにオマケのよーに恋愛がチョロッと絡む感じ。
あくまでも話の筋としては「ロンドンの不法移民達の苦悩と生々しく悲しい現実」に焦点を当てて進んで行きます。
ぶっちゃけサスペンス部分はかなり読めるんだけど、それはあくまでも「不法移民の実情」を見せるための遊びだと考えていいと思う。地味なネタながらエンターテイメントに仕立てようと努力した苦労を感じさせる、好感の持てる丁寧な作り。

変な意味で先入観を植え付けたくないので(予告編みたいなサ)内容に触れたくありませんが、少なくともオドレイ嬢にアメリの時のようなキャラを望んでいる人にはオススメしません(かなりギョッとするシーンがありますし)
先の見えた陳腐なクライマックス&ラストだと言われると「そーだよね」と言いたくなりますが(苦笑)自分の命を顧みず、それでも自由を求める移民達の心と体の叫びを聞いて知らぬ顔でいられる人はいないハズ。

ただし、本当に地味な作品ですヨ。それだけは覚悟して見てね(笑)







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2004年10月06日(水) スクービー・ドゥー2 モンスターパニック

監督:ラジャ・ゴズネル
出演:フレディ・プリンズ.Jr
    サラ・ミシェル・ゲラー
    マシュー・リラード、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
怪事件を解決して一躍人気者になったミステリー社のメンバー。「犯罪学博物館」のセレモニー会場でチヤホヤされてすっかり上機嫌の所に突然事件が発生。展示してあるモンスターが暴れ出して会場は大混乱、更には謎の仮面男が現れて「責任は全てミステリー社にある」と糾弾され、マスコミの煽動もあって一気に評判はがた落ちになってしまった。
自分達のミスが原因だと落ち込んだシャギーとスクービーは、名誉挽回しようと他のメンバーに内緒で秘密調査を開始。残ったメンバーも仮面の男の正体を暴こうと必死の捜査を始めるのだが・・・


【感想】
2002年に公開されて大ヒットを飛ばした「スクービー・ドゥー(2002.8.5鑑賞)」の続編。
キャストも監督も前作から引継ぎ、更に今作では事件のキーマンとして登場する犯罪学博物館の学芸員役にセス・グリーン、そしてミステリー社と特にダフネに食いついて来るイケすかないTVリポーター役にアリシア・シルヴァーストーン等が出演してます。

前作鑑賞した時に「スクービー・ドゥー」についての説明は軽くしましたのでここでは割愛して、前作にはなかった今作の特徴は何と言っても「お子向け映画には比較的タブーな恋愛ネタ」が盛り込まれている所でしょう。
更に色恋沙汰を起こすのが「ミステリー社」メンバーの中では最も目立たない役回りのヴェルマというのも面白い。
その代わりと言っては何だけど、リーダーのフレッドとお色気担当のダフネが今作では割と地味な役回りを演じ、シャギーとスクービーコンビの活動と基本的にシーンが分かれるので、ちょっと存在感が薄い感じです。

前作からたった2年しか経ってないのにCG技術は格段に進歩を遂げ、今作では前作以上にCGを効果的に使用して実写とCGが全く違和感なく融合されていて、子供だけに見せるには余りに勿体無い素晴らしい映像になってます。
特にモンスターなんてCG見本市状態ですしね、元々スクービーのキャラは前作もだけど全てCG合成されてるんだよね・・・いやはやここまで贅沢にCG使ったお子向け映画も少ないんじゃないでしょうか(^-^;

絵もキレイで話も磐石で、子供から大人まで楽しめて大笑い出来るというのが本作の魅力ですが、やっぱり前作同様ぴよにはこの映画の「笑い」がどーもツボに入らなかったんだよね。
もちろん見ててとっても楽しいんですよ。楽しいんだけど「ここは大笑いするシーンなんだろーなー」と思いながら「ふっ」とほくそ笑む程度のモノでしたわ。何て言うのかなぁ?「笑いの感性が違う」とでも言えばしっくり来るのか・・・
やっぱり「根本的にアメリカさんの笑いのツボはぴよの肌に合わない」、というトコロなんだろうなぁ

まあ、子供から大人までどんな世代の人が見ても判り易くて楽しい作品に仕上がってるので、見て損したとか金返せ!という気持ちにはならないと思いますから問題ないでしょう(笑)
ただ、このメンバー演じてる役者さんも随分お歳がイッちゃってますからねぇ・・・今作でのミステリー社メンバーの年齢は何歳という設定になってるのかわかりませんが、3作目作る気があるなら早めに製作に取り掛かるか、それとも役者さんを一新しなくちゃー厳しいでしょうね(^-^;

その点、スクービーはCGだから100年経ってもそのまんま♪CGは続編作るのにホントに都合がいいなぁ(笑)






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2004年10月04日(月) ツイステッド

監督:フィリップ・カウフマン
出演:アシュレイ・ジャド
    サミュエル・L・ジャクソン
    アンディ・ガルシア、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
サンフランシスコ市警の殺人課捜査官に昇進したジェシカ。新しく相棒になったマイクと共に殺害現場に急行したジェシカは被害者の顔を見て戦慄した。被害者は数日前にバーでひっかけて一夜を共にした男だったのだ。
恐ろしい連続殺人事件は更に続く。その後発見される死体は全てジェシカがベッドを共にした男ばかりだったのだ。しかも彼女は酒を飲むと記憶を失ってしまうし、翌日起きた時には覚えのない傷が顔に出来ていたりする・・・果たして自分は記憶のなくなった間に殺人を犯しているのだろうか?


【感想】
久し振りに王道サスペンス「犯人探しモノ」の登場。
ぴよは犯人探し系って大好きなんだ〜♪元々推理小説大好きで読み漁ってるクチだし、「驚愕のラスト!」なんて言われた日にゃ〜期待度も高まる!高まる!
しかもキャストがめっちゃ豪華!主人公ジェシカ役のアシュレイ・ジャド嬢はそれほどメジャーでもないけど、彼女の相棒マイク役はその流し目だけで女を妊娠させると評判の(そんな評判ねーって。苦笑)フェロモン兄貴アンディ・ガルシア、ジェシカの後見人のような役回りの殺人課部長役はサミュエル・L・ジャクソンですぜ♪

で、結果から言いますと
映画序盤キャストが出揃った所で犯人が誰かわかっちゃいましたー(爆)
あんまりここで書くと、映画見る前に誰が犯人がわかっちゃう人も出てくるかもしれないんだけど、大体犯人探しモノというのはセオリーがあるんですよね。だからミステリー小説を読み慣れてる方、もしくは映画を見慣れてる方なら動機まではわからなくても犯人は直ぐにわかっちゃうでしょう(^-^;

さてそんな本作ですが、そこそこトリッキーに作られているので結構楽しめたかな?というトコロです。
評価したいのは、上映時間が1時間半ちょっとくらいの短い作品にまとめてあるという事。最近のサスペンス物はやたらにトラップをかけたいのか?無意味なエピソードやカットを多用して(でもぜんぜん惑わされない陳腐なヤツ)時間ばっかり引っ張って間延びしてる作品が多いですが、この作品にはほとんどそういう「無駄なトラップ」はありません。
だからサクサク話が進むし、人間関係も割りとすっきりしていてダレずにラストのオチまで楽しめます。

褒め言葉はこの程度にして(謎)
なんだかなぁ〜と思う点は、上映時間が短いという事です・・・って、「おいおいさっきの全く逆言ってんじゃないかよー!」というツッコミが入るのは百も承知(^-^;
要するに、時間短い分キャラクターの描き込みが薄いというトコロですかね。特にアンディ・ガルシアのキャラはただ怪しいだけで面白味が全くない。加えて言えばサミュエル演じる殺人課部長というのはジェシカの父親の元相棒という設定なのですが、ジェシカの父親との関係やジャシカファミリーとの繋がりの濃さをもう少し丁寧に見せてくれた方が観客が納得出来ると思うんですけどネ。

それより1番の問題はジェシカのキャラクター設定だったように思うんすよ。
ジェシカは幼い頃、当時殺人課の捜査官だった父親が母親を殺して自殺したという過去を持っていて、そのトラウマが原因なのかアルコール依存症になっている。更には女性特有のヒステリーなのか?カッとなると感情の抑制が効かず、直ぐに自慢の暴力に訴え出る。それを「自分にも父親の血が流れてるから?」と自問自答。
・・・言っちゃ〜何だけど、ここまで直ぐに暴力振るうオンナっていくらなんでもいないでしょ。

もっと問題なのが、本人意識的に努めて自己を律しようとしているような雰囲気をプンプン漂わせているクセに、何故か男の事となると夜な夜なバーに繰り出して男漁りをする超尻軽のヤリ魔だという事か(笑)
この部分が彼女のキャラから完全に浮いてるんだよねー。浮いてるんだけどこういう設定にしないと連続殺人の被害者を次々と用意出来ないから仕方ないって事なのかなぁ?うーん。この設定だけはもうちょっとウマイ手はなかったのだろうかと悔やまれますな。

まーツッコミ出したらキリがないんですが、サスペンス物というのはどうしても謎解きが中心になるので不可解だったり説明不足気味になりやすいと思うんすよ。そういう意味ではこの作品は最低限観客に謎解きさせるのに必要な材料はきちんと提示してありましたので、サスペンスの脚本としてはなかなかの秀作だったとぴよは評価しますけどネ。

ただ、どんなに高級な和牛でも「骨だけ」じゃー味わえない。
脚本は面白くても、肉付けが弱くキャラクターに魅力のない作品というのは映画としていかがなモノなのかと(^-^;






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2004年10月03日(日) アイ,ロボット

監督:アレックス・プロヤス
出演:ウィル・スミス
    ブリジット・モイナハン
    ブルース・グリーンウッド、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
2035年の近未来、既に家庭用ロボットが普及して人間の良きパートナーとなっていた。家庭用最新ロボットNS-5の発売を目前に控えたUSロボティック社で、ロボット開発者ランニング博士が謎の死を遂げた。状況から自殺と断定されたものの、捜査に当たったシカゴ市警のスプーナー刑事はこれがロボットの仕業ではないかと疑い周囲の失笑を買うハメになる。
そこへ一体のNS-5が動き出した・・・それは「ロボット3原則」をプログラミングされていない特別なロボットだったのだ。


【感想】
ウィル・スミス主演最新作・・・って、もう公開されてから随分経ちますわね(^-^;
本作は、SFファンならこの名を知らない人はいない!伝説のSF作家アイザック・アシモフ氏の著書「われはロボット」をモチーフにして製作された近未来ロボットアクション大作(って書かなくてもみんな知ってるよねぇ?苦笑)

一応映画の核になるアシモフ氏が提唱する「ロボット3原則」くらいは簡単に明記しておきましょうか・・
1. 人間に危害を加えない
2. 人間の命令に服従する(それが犯罪にならない限り)
3. 前2ヶ条に反しない限り、ロボットは自己を守る

要するにこの3原則をロボットが破ったらどーなるよ?というネタなんですわ。

ウィル・スミス演じるスプーナー刑事は、ロボットが大嫌いの昔気質という設定。
でも、ただ単に「アナログの方がカッコいいぢゃん♪」という事でなく、彼がロボットを嫌う理由がきちんと用意されてるし、その理由というのが自殺した?ランニング博士渾身の一作「特別なロボット・サニー」の設定と、その後の展開に上手に絡むように作られててなかなかソツがないです。

とは言うものの、そこはハリウッド映画(謎)
展開はミエミエだし、無意味にウィルはマッチョな上半身を自慢げに晒しまくるし(笑)、そもそもスプーナーがロボットを嫌うという設定はともかく、彼がロボットを嫌う理由は決してランニング博士がロボットに殺されたのでは?と疑う理由にはならないと思うのよね(ぼそ)

破綻しまくってるとは百も承知だけど、人工知能の開発・進化がめざましい昨今、誰もが1度は考えた事があるネタ「もしロボットが感情(自我)を持ったら」という問題を、この映画はなかなか上手に料理しているんじゃないかと思うんですわ。
(実際ロボットに感情・情緒・自我の発露というのが起こる可能性があるのかぴよは知りませんがね)
「特別なロボット・サニー」が困った顔したり悲しそうな顔したりするのが最初はめっちゃ違和感あったのに、映画終盤になると見慣れたのか?見せ方がうまいのか?人間じゃなくてサニーに感情移入してる自分(笑)
サニーとスプーナーが握手するシーンなんて、ちょっとうるっと来ちゃったぢゃん(^-^;

難を言えば、ロボットの感情・自我を示唆する重要なエピソード「ウインク」がもう少し判り易く効果的に使われていれば・・・というトコロか。
あの「ウインク」シーン、最初にウィルがサニーに説明してるくだりを見た時にぴよは「ターミネーター2」のラストシーンを思い出して、勝手に「あぁ、コレはきっとラストでサニーが自らの命を絶つ時にウインクするに違いない!」って決め付けてたぢゃんね・・・勝手に感動のラストを想像するのはやめましょう。肩透かし食らうと悲しい目に遭います(爆)

という訳で、今作は意外な程アッサリしたラストシーンで(ある意味誰もが想像した展開通り)、逆にぴよはちょっと驚いたんですけどね。
あそこまでサニーに頑張ってもらったんだから、もっと泥臭い感動モノにしちゃっても全然OKな気がしたんだけどナ。

やっぱ・・・主役はサニーじゃなくてウィル様だから、ウィル様1人頑張ってればOKって事なのか(涙)






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2004年10月02日(土) フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白

監督:エロール・モリス
出演:ロバート・S・マクナマラ
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ロバート・S・マクナマラ。1916年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ88歳。ハーバード大学院を卒業後第二次世界大戦を経験した後フォード自動車会社社長、更にはケネディ・ジョンソン両大統領下で国防長官を務めてキューバ危機やベトナム戦争に大きく関わった、アメリカ政財界の重鎮として君臨し続けた男。
彼は人生の晩年になりかつての日々を振り返り、そして人生の歩みから11の教訓を語る。


【感想】
第76回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞作。
マクナマラ国防長官と言えば「独裁者」「戦争屋」等の数々の批判を浴び、ベトナム戦争で失脚した重鎮。
彼はその後世界銀行総裁に就任して財界の甘い汁を吸い尽くし(←これはあくまでぴよの私感。苦笑)、現在はもっともらしい顔で貧困にあえぐ子供達の為に尽力している・・・というフレコミの、「アメリカで最も胡散臭いオヤジ」にインタビュー形式で独白させるドキュメンタリー作品。

それにしてもこのマクナマラという御仁、歳は食ってもまるで食えないオヤヂです(笑)
インタビュアーがベトナム戦争の核心に触れようとすると「あぁ、その話をする前に言っておきたい事があったんだ」等と巧みに(つーか、明らかに「その話には触れるな」と言わんばかりのパフォーマンス)ネタをはぐらかしてみたり、「私がこれ以上語るのはやめておきましょう」と勝手に話終わらせちゃって、結局自分の政策や助言・主張に間違いはなく責任は全て大統領(特にジョンソン大統領)にあったんだという事を主張しまくるという、とんでもない責任転嫁野郎でした(^-^;

とは言うものの、このオヤジはやはりとんでもなく頭のいい男です。
彼の主張する言葉の端々に過去の正確なデータとその分析が散りばめられているし、その分析から得た結論というのはかなり的を得ていて納得出来るモノが多いのです。
日本人のぴよにとっては、第二次世界大戦での東京大空襲〜日本全国の都市の壊滅状況、そして原爆投下に関する所見等の回想や分析の恐ろしい程の緻密さには「ほぉ〜」と声をあげてしまいました。

面白いのは、教訓1で語られる「敵の身になって考えよ」の引き合いに出されたキューバ危機の話と、その後の教訓7辺り以降から語られるベトナム戦争に関する話から引き出される話の矛盾。
キューバ危機ではキューバ側の気持ちに立ってうまく立ち回り、最終的に流血なしに事を収める事に成功したマクナマラ氏だったが、ベトナム戦争では「アメリカの大義」を全面に押し出して全く見当違いの派兵を繰り返す事になった。

キューバ危機が平和的解決に到ったのはケネディ大統領の英断ではく自分の尽力だと言わんばかりだし、ベトナム戦争に関してはマクナマラ氏の主張ではなく、あくまでもジョンソン大統領の独断で傷の深追いをしたと言い訳している辺り、このマクナマラという男の狡猾でありながら明晰な頭脳の持ち主である特徴が現れているじゃないか。

ウマイ事に、彼は表面的には自らの非を認める事で話をリードして行くのだ。
「キューバ危機の時にはキューバ側の立場で考えられたのに、ベトナムの時にはそれが出来なかった」と素直に認める事で、一見すると矛盾するかのような教訓の数々をさも辻褄が合うかのようにまとめてしまう。
教訓9の「人は善をなさんとして悪をなす」、そしてシメの教訓11「人の本質は変えられない」に到ってはお笑いでしかないけれど、彼の理屈で言うと教訓1から11までの全てがスッキリと1本の線で結ばれてしまうのだ。

この作品を見て誰もが思うのは、このA級戦犯(と言って差し支えないだろう)のマクナマラ氏が導き出した教訓を、今のアメリカはどう受け止めているだろうか?という事でしょう。
ブッシュはこの作品を見たのだろうか?そしてケリーはこの作品を見たのだろうか?
更には日本の官僚・閣僚にこの作品を見た人間は、果たして何人いるのだろうか?
彼らはイラクの立場に立って今戦っていると、胸を張って言えるのだろうか?

ぶっちゃけ「NHKスペシャル」程度のインタビュー番組で流せば充分な作りですが、そこから導き出される教訓にはなかなか考えさせられるものがあります。

ただ、マクナマラは最後の最後まで「本当のトコロ」を語ってはくれなかった。この狸オヤジめ(^-^;






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2004年10月01日(金) 16歳の合衆国

監督:マシュー・ライアン・ホーグ
出演:ライアン・ゴズリング
    ドン・チードル
    クリス・クライン、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
平凡な16歳の少年リーランドは、ある日知的障害のあるライアン少年をを殺してしまった。ライアンはリーランドの元彼女ベッキーの弟だったのだ。矯正施設の教師で作家志望のパールは、新しく施設に入所したこの凶悪犯罪を犯したリーランド少年に興味を持ち、彼にノートとエンピツを与えて心の内を書かせ、そして何度も彼と会話を交わす。どうして心優しかったリーランドはライアンを殺害してしまったのだろうか・・・?


【感想】
近年日本でも深刻化する少年犯罪を取り上げた作品。監督・脚本は自身がロスの矯正施設で2年間教師をした経験をもつマシュー・ライアン・ホーグ氏。氏の脚本に惚れ込んだケヴィン・スペイシーが製作を買って出て、ご本人も主人公リーランドの父親役として出演するという気合の入れようです。

まず少年犯罪が起こると誰もが思い、そして追求したくなる事。それは「どうしてこんな犯罪を犯したのか?」
この作品中に出てくる矯正施設の教師パールもやはりそう思い、しかもリーランドが自分が敬愛している作家の息子だったと知るや「コレは俺の作家デビューとしてのネタに使える!」と、せっせとリーランドにコンタクトを取って彼の心の内を知ろうと懸命になる。
それに加えて犯罪を犯した側の家族の迷走、家族を殺された家族の困惑等を見せながら、何故リーランドはライアンを殺すに到ったのか?という答えを探していくという話です。

ぶっちゃけ言いますが、その「答え」とやらは今作中に明確に提示される事はありません。
ですがそこに到るまでの環境や心理状態をコツコツと地味に見せてはくれますので、きっと製作者側の意図としては「この作品を通して少年犯罪の起こる土壌についてみんなで考えましょうよ」くらいの啓蒙はしたそうです。

という訳で、リーランド少年の周囲は病みまくっている(苦笑)
まずリーランドの家庭は高名な作家だが家庭を顧みずトンチキな父親(リーランドが幼い頃から別居)、その状況に甘んじていつも悲しそうな目をした母親と同居。そして父親は金や航空券は与えても子供に無関心でコミュニケーションを取る気がまるでないという状況。
そんなリーランドの彼女んちは、弟で知的障害児のライアンにかかり切りの両親に寂しさを覚えて、元彼の影響でドラッグ・ジャンキーになってる娘ベッキー、ベッキーの姉は彼氏を家に引っ張り込んでベッキーを疎ましく思ってるし、加えて言えば姉の彼氏というのも父親に疎んじられて家を飛び出して来て、愛情に飢えまくってるというちょっとヤバい男。

ベッキー程度のバカ娘なら(をい)お気軽に逃避出来るドラッグに走って勝手に自己破滅の道を辿るだけですが、小利巧で人よりちょっぴり感受性の強かったリーランド少年は、親とのコミュニケーション不足から来る満たされない寂しさの理由を、どんどん自分の内側に捜し求めに行ってしまう。
情緒の発達段階における親とのコミュニケーション不足を印象付けるかのように、リーランド少年というのは非常に表情が乏しく、更に情報過多時代を生きる今の少年を強調するかのように、矯正施設の教師パールと会話する時は実に理路整然と色々な事柄について分析して大人顔負けのコメントを発します。

結局リーランドは自分の満たされぬ寂しさ・孤独・愛を勝手にライアンに投影して、ライアンを殺す事こそがライアンにとって最良の道だと考えたようですが(これはあくまでもぴよの私感)、今まで散々自分の内ばかりを見続けたリーランドはどうして土壇場になって他人に投影してライアンを殺したのでしょうか?
「永遠に続く愛などない」と絶望したなら、オマエが勝手に自分で死ねば済む事だろ?と思わずにいられないぴよは、やっぱりどこにでもいるフツーのおばはんで(涙)、所詮少年犯罪者の心の内なんて知る由もないという事なんですかねぇ。

どーもリーランドを始め、出てくるキャラクターの描き方が上滑りで軽い感じがして仕方なかったです。
何もここまでてんこ盛りな設定を作らなくても、問題のある家庭はリーランドだけにして、もっとリーランド自身の問題部分だけにスポットを当てて掘り下げてくれた方が、観客を共感させ易かったんじゃないかと思うんだけどな。

だってさ・・・
世の中で少年犯罪を犯す子供達というのは、自分も周りも全て「完璧な不幸」に満たされてる訳じゃないでしょ?
もっとキツイ言い方をすれば、結局犯罪を犯すヤツは本人に問題があるとぴよは思うんですよ。
確かに環境も劣悪で家庭環境に問題のある子供も多いでしょう。でも全く本人に問題がないかと言ったらそれは絶対に違うとぴよは思うんだよね。何もかも他人や環境のせいにするのは絶対に間違ってる。

この映画に出てくる人間は誰も「自分が悪かった」と思っていない。
リーランド自身も「間違った事をしちゃったと思う」とは言うが、自分が悪い事をしたとは思っていないようだ。
この部分がぴよには引っかかる。

ハッピーエンドを望むのはお門違いの作品だけど、それにしても1人くらい自分に理由を求めてもいいじゃないか。
これでは余りに救いがないし、やはりこれからも少年犯罪は増え続けるしかないのか・・・と暗澹とさせられる。

どーにも気分の悪い作品でしたわ。






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