監督:ポン・ジュノ 出演:ペ・ドゥナ イ・ソンジェ キム・ホジョン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 ユンジュは出産間近の妻の収入に頼って生活する大学の非常勤講師。教授になるには多額の賄賂が必要だけどその捻出もままならない状態のユンジュは、ギャンギャン吠えまくる隣家の犬にイライラして犬を捕まえてマンションの地下室に閉じ込めてしまう。ところが「犬を探しています」の貼り紙を見て仰天!ユンジュが閉じ込めた犬は声帯手術をして吠えない犬だったのだ。勘違いに気付いたユンジュが慌てて地下室に戻ると・・・
【感想】 「殺人の追憶(2004.4.9鑑賞)」が大ヒットして次回作が期待されるポン・ジュノ監督のデビュー作品。 本作は名古屋では1年?か2年くらい前?に劇場公開されていたんだけど、その時はタイトルが何となく気になりながらもスルー。レンタル屋でたまたま見つけてようやく鑑賞。 ちなみに本作、原題は「フランダースの犬」というんだけど、ポン・ジュノ氏によると「タイトルに意味はない。映画中に主人公がカラオケでフランダースの犬の主題歌を歌うシーンがあるので何となく付けただけ」だそーです。邦題の「ほえる犬は噛まない」は英語タイトルの「A Higher Animal Barking Dogs Never Bite Barking Dog Never Bites」の直訳で、「口やかましい人ほど行動が伴わない」という意味の諺から取ったそーだ。
「子犬連続失踪事件」に絡む市井の人々の様子をコミカルに見せる風刺劇で、本国ではあまりウケなかったそうですがさもありなんの内容ですわ。 欧米でもこの作品の「風刺」がどれくらい理解されるか判らないですが、少なくとも韓国の内情を多少は知識として持っている隣国の日本人には「対岸の火事」を楽しむような(失礼かな?)気楽に笑えるネタだと思いますね。
まずからして「犬を食う」という行為自体、日本人のイメージとして韓国の人はみーんな犬食ってると思ってる方も多いかもしれませんが、実際のイマドキの韓国の若者は随分欧米ナイズされているそーで「犬を食べるなんて野蛮!」と言って忌み嫌う人も多いそうですよ。 そういう「イマドキ韓国事情」をわかってないと、この映画の面白さは半減しちゃうかもしれません。
他にも「道端だろうがドコだろーがツバを吐きまくる」という習慣(これも若者はやる人が少ないそーだ)、社会地位の高いものがとことん優遇されて下位の者はいつもワリを食う社会構造、当たり前のように横行する贈収賄など、本国の韓国の方々が見るとかなり耳の痛いネタをとことんディフォルメして見せていますが、相当辛らつなんだけど見ててイヤな気持ちにならない・・・むしろ気持ちいいくらいの爽快感が得られるというのは、ひとえにポン・ジュノ監督のセンスと見せ方の上手さの賜物でしょう。辛らつながらも監督の「愛すべき韓国人」という思いが仄見えて気持ちいいです。
しかしながらちょっとネタが散漫でまとまりがないのが惜しい。 主要キャラクターにもう一押しパンチが効いているともっと面白かったのになぁ〜と思う。女主人公のペ・ドゥナちゃん、どこにでもいるちょっとカワイイ隣のお姉ちゃん的魅力がふんだんでしたが(マンションの屋上で勇気を振り絞って突撃するシーンは最高に笑える!)、小ネタではかなり笑えるもののどうも締りがない感じがして非常に勿体無いですわ。
この作品は韓国よりも日本でウケるタイプですね。 もうちょっと劇場公開時に取り上げてくれれば、もっともっと日本で興行収入上がったと思うのになぁ〜・・・ 警備員のおっちゃんが語る「ボイラー金氏」のネタなんて、相当日本人ウケすると思うしネ♪
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