2004年02月29日(日) |
ヘブン・アンド・アース |
監督:フー・ピン 出演:チアン・ウェン 中井貴一 ヴィッキー・チャオ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 紀元700年代、中国唐の時代。遣唐使としてこの地にやって来た来栖旅人は、朝廷直属の刺客としてお尋ね者を討伐する要職に着いていた。日本に帰国する前の最後の仕事は、捕虜を殺せという命令に背いて逃亡した李隊長の殺害。探し当てた李は、皇帝に献上する経典等を積んだキャラバン隊の護衛をしており、李からの申し出で来栖は長安に着くまで共にキャラバンの護衛をする事になった。
【感想】 中井貴一が中国語をド喋りまくるというのが話題の中国大作映画。 何でも公式HPを見ると、構想15年・生のシルクロードと砂漠地帯で撮影した壮大な一大抒情詩らしいぞ!っとな♪
確かに相当ロケに力入ってます。中国の過酷な自然、雄大な自然、荘厳な自然、厳しく美しい風景がこれでもか!とスクリーンに映し出される様は壮観です。旅好き、アジア好きにはたまらない映像の数々♪ 加えてカメラワークも非常に手が込んでいて圧倒されます。特にクライマックスの寂れた古城での決戦シーンはスゴい! 堀に放たれた炎に囲まれた古城を、人の視線からグルリとカメラを回しながら一気に絵を引いて上空から俯瞰させるシーンなんて、思わず映画見ながら「おぉぉぉぉ〜っ!」と声が出ちゃいましたネ。
話もかなり骨太でストイック。日本では中井貴一氏の事ばかりが取り上げられてますが、あくまでも主役は李隊長。 この「李」という男がとてつもなく感じのいいヤツだ。正義感が強く、いくら上の命令だからといっても卑劣な殺害はしないという一徹な男。それを討伐する中井貴一氏演じる来栖という男が最初はかなり感じ悪いヤツなんだけど、話が進んで来ると段々いいヤツに見えてくる。つーか、明らかに「いいヤツ化」する。 李と来栖が徐々に会話を交えつつお互いを認め合う辺り、表情で見せる心理描写もソツがなく、役者の演技力の確かさには満足度が一気に急上昇する事間違いなしでございますわ♪
・・・等と褒めちぎってますが、何かピンと来ない作りなので困ってしまいます。(^_^;) 映画前半、人間関係が非常に判り難いというのと、登場キャラの描き込みが薄いというのと、エピソードが冗長でぬるいというのを差し引いても(いや、別に差し引く必要はないんだけどさ) 何か観客が話の波に乗れない・・・そんな「ゆるゆる感」を感じてしまったのですがね。
更にクライマックスからラストになだれ込む感じも、ちょっと後味が悪く追っ付け仕事的に見える。 簡単に言うと「何だか納得出来ない」、そんな印象があります。 映画全編通して決して悪くない作りなんだけどなぁ〜・・・何がそんなにぴよのお気に召さなかったんだか(苦笑)
少なくとも、1つだけ確実に言える事がありますわ。 それは「CG使ったのは大間違いだった」という事。
あの「宝物」から「ぶぅ〜ん」「びよぉ〜ん」って出る青い光の波、何なんでしょ?寒いっすよ。(^_^;) 寒いの通り越して腰が砕けそうになっちゃったぢゃん。こんなトコロでおちゃらけなくても全然構わないのよ? それに砂漠で真っ黒な砂嵐が襲うシーン・・・イマドキ低予算TV番組でもこんなお粗末な絵はないでしょ(笑)
きっとすんごい苦労して撮影したであろう中国の大自然も、大金使ってかなり骨太な大作映画の作りしても、あのショボいCGが全てを台無しにしちゃってるってのが、監督には判らんのかねぇ? お陰で「ステキな大作映画」のハズが、妙に安っぽいB級映画ちっくになっちゃった。あーあ。
|