ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年02月29日(日) ヘブン・アンド・アース

監督:フー・ピン
出演:チアン・ウェン
    中井貴一
    ヴィッキー・チャオ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
紀元700年代、中国唐の時代。遣唐使としてこの地にやって来た来栖旅人は、朝廷直属の刺客としてお尋ね者を討伐する要職に着いていた。日本に帰国する前の最後の仕事は、捕虜を殺せという命令に背いて逃亡した李隊長の殺害。探し当てた李は、皇帝に献上する経典等を積んだキャラバン隊の護衛をしており、李からの申し出で来栖は長安に着くまで共にキャラバンの護衛をする事になった。


【感想】
中井貴一が中国語をド喋りまくるというのが話題の中国大作映画。
何でも公式HPを見ると、構想15年・生のシルクロードと砂漠地帯で撮影した壮大な一大抒情詩らしいぞ!っとな♪

確かに相当ロケに力入ってます。中国の過酷な自然、雄大な自然、荘厳な自然、厳しく美しい風景がこれでもか!とスクリーンに映し出される様は壮観です。旅好き、アジア好きにはたまらない映像の数々♪
加えてカメラワークも非常に手が込んでいて圧倒されます。特にクライマックスの寂れた古城での決戦シーンはスゴい!
堀に放たれた炎に囲まれた古城を、人の視線からグルリとカメラを回しながら一気に絵を引いて上空から俯瞰させるシーンなんて、思わず映画見ながら「おぉぉぉぉ〜っ!」と声が出ちゃいましたネ。

話もかなり骨太でストイック。日本では中井貴一氏の事ばかりが取り上げられてますが、あくまでも主役は李隊長。
この「李」という男がとてつもなく感じのいいヤツだ。正義感が強く、いくら上の命令だからといっても卑劣な殺害はしないという一徹な男。それを討伐する中井貴一氏演じる来栖という男が最初はかなり感じ悪いヤツなんだけど、話が進んで来ると段々いいヤツに見えてくる。つーか、明らかに「いいヤツ化」する。
李と来栖が徐々に会話を交えつつお互いを認め合う辺り、表情で見せる心理描写もソツがなく、役者の演技力の確かさには満足度が一気に急上昇する事間違いなしでございますわ♪

・・・等と褒めちぎってますが、何かピンと来ない作りなので困ってしまいます。(^_^;)
映画前半、人間関係が非常に判り難いというのと、登場キャラの描き込みが薄いというのと、エピソードが冗長でぬるいというのを差し引いても(いや、別に差し引く必要はないんだけどさ)
何か観客が話の波に乗れない・・・そんな「ゆるゆる感」を感じてしまったのですがね。

更にクライマックスからラストになだれ込む感じも、ちょっと後味が悪く追っ付け仕事的に見える。
簡単に言うと「何だか納得出来ない」、そんな印象があります。
映画全編通して決して悪くない作りなんだけどなぁ〜・・・何がそんなにぴよのお気に召さなかったんだか(苦笑)

少なくとも、1つだけ確実に言える事がありますわ。
それは「CG使ったのは大間違いだった」という事。

あの「宝物」から「ぶぅ〜ん」「びよぉ〜ん」って出る青い光の波、何なんでしょ?寒いっすよ。(^_^;)
寒いの通り越して腰が砕けそうになっちゃったぢゃん。こんなトコロでおちゃらけなくても全然構わないのよ?
それに砂漠で真っ黒な砂嵐が襲うシーン・・・イマドキ低予算TV番組でもこんなお粗末な絵はないでしょ(笑)

きっとすんごい苦労して撮影したであろう中国の大自然も、大金使ってかなり骨太な大作映画の作りしても、あのショボいCGが全てを台無しにしちゃってるってのが、監督には判らんのかねぇ?
お陰で「ステキな大作映画」のハズが、妙に安っぽいB級映画ちっくになっちゃった。あーあ。







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2004年02月28日(土) グッバイ、レーニン!

監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール
    カトリーン・ザース
    チュルパン・ハマートヴァ、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
ベルリン崩壊前の東ドイツ、ある日、反社会主義デモに参加して捕まったアレックスを偶然見かけた母は、心臓発作を起こして昏睡状態になってしまった。8ヵ月後に母は奇跡的に目覚めたが、彼女が昏睡している間にベルリンの壁は崩壊、ドイツは劇的に変貌を遂げていたのだ。
医師から「もう1度強いショックを与えたら、命取りになるだろう」と告げられて戸惑うアレックス・・・10年前に父が家族を捨て西ドイツに亡命した反動から、必要以上に社会主義に傾倒するようになった母。アレックスは母の為に自宅を壁崩壊前の状態に直し、東ドイツ体制が今も続いているかのように装うのだが・・・


【感想】
第16回(平成15年)東京国際映画祭・特別招待作品。
実はこの作品は水曜日(25日)に鑑賞したんですが、急遽「ロドリゲス祭り」を勝手に開催してしまったので(苦笑)、映画感想UPが先送りになっちゃいました。なので、ちょっと印象が薄れて来ちゃってる。(^_^;)

話は、ベルリンの壁崩壊による東ドイツの昏迷を見せる・・・んじゃなくて(タイトルだけ見るとそんな印象だけど)、あくまでも親子の愛を見せるヒューマン・ドラマ仕立て。
東ドイツ体制に身も心もどっぷり浸かった母親にショックを与えないよーに、壁崩壊の事実をひたすら隠してアタフタするアレックス君と周囲の人間模様、更に母親側からの「子への愛」部分もさりげなく見せる手の込んだ作りです。

「ヒューマンドラマ=お涙頂戴」という図式は誰もが考えがちですが、この作品は決して押し付けがましい「親子愛」や泣かせな作りをしていないのが、ぴよにはとても好感が持てました。
「泣かせ」どころか、アレックス君が母親の為に東ドイツ状態を演出するくだりはかなりユーモラスです。
特に衛星放送セールス会社の同僚と一緒にニュース番組を作る辺りは、母親の為という大義名分で自分達が楽しんでるんじゃねーのか?と思う程、実に嬉々として「東ドイツ演出」を頑張っちゃってて思わず笑っちゃいました。

全体的にエピソードが増長で、同じようなイベントの繰り返しになってしまうので多少展開がダレる感じもありますが、このちょっとおっとりしたペースの方が逆にこの作品の雰囲気には似合っていたような気もしますね。
木目細やかに当時の東ドイツ市民の様子も描いているので、アレックス君の奮闘振りがより微笑ましく見れますし♪

母親側からの告白はちょっと意外な展開でしたが、子供からだけでなく親からも双方向で深い愛情を通わせていたというエピソードとして上手に話をまとめていたと思うし、映画冒頭で使われている無意味に思えた宇宙飛行士のエピソードも、後の展開にきちんと絡ませて(しかも結構笑っちゃう)、なかなかソツのない作りです。

肝心の「母親は実際の所、東西ドイツが統一された事を認識していたのか?」という部分が、最後の最後まではっきりさせないで終わっていますが(看護婦のララが母親に話すくだりがありますが、母親自身がそれを理解してるかまでは謎)
この微妙な終わり方だったからこそ余韻が残るんじゃないかと思う。
アレックスは死ぬまで母親を騙し通して、母に幸せな一生を送ってもらったと信じているだろうし、母親は自分の為にここまで我が子が骨を折ってくれたという事が嬉しかったに違いない、と。

「泣かせ」な映画が好きな方には少々物足らないかもしれませんが、実際の親子の愛ってこの作品の色みたいな・・・
ぼんやりしてて、ゆるやかで、不確かなようでいて、でも根はしっかり繋がってる。

そんなものだとぴよは思うんですよね。





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2004年02月27日(金) レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

監督:ロバート・ロドリゲス
出演:アントニオ・バンデラス
    ジョニー・デップ
    サルマ・ハエック、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
メキシコで2つの町を始末した伝説の男、エル・マリアッチ。この男の噂を聞きつけたCIA捜査官サンズは、大統領暗殺計画を企む悪名高い将軍マルケスの殺害を依頼した。実はサンズは暗殺に絡み、この土地で一攫千金を狙っていたのだ。
マリアッチも最愛の恋人カロリーナをマルケスに殺された復讐の為、再びギターケースを手にしたのだった。


【感想】
ロドリゲス祭りの最終回は、「エル・マリアッチ」シリーズ最新作。
前作に登場のバンデラス&サルマ・ハエックに加え、今作では客寄せパンダとしてぴよ大・大・大好き♪ジョニー・デップ様をゲスト出演させる事で、盛り上がりは最高潮に達しました!(ぴよだけが。笑)

さて。
映画冒頭からいきなりジョニデ様ご登場でシビレまくりのぴよです♪バンデラスには全く目が行きません(爆)
こんなCIA捜査官が実際にいたらアメリカ崩壊間違いなしの、セクシー・ジョニデにクラクラしまくり!!

・・・褒め言葉はこれくらいにしておきましょう。

今回、「レジェンド・オブ・メキシコ」鑑賞の為にわざわざ「エル・マリアッチ」そして「デスペラード」を立て続けに見て来たぴよですが、3作続けて見る事でロバート・ロドリゲスという人がどんな人か少し判ったような気がします。

コイツ、 ホンモノのバカです(笑)

今回も脚本・監督を1人でこなしてさぞご満悦であろうロドリゲス君の顔が目に浮かぶようです。
どーかすると、演出・編集・音楽、その他諸々までまたしても首突っ込んじゃってる可能性も大です。
相変わらずのお下品なセリフも、相変わらず有り得ない大立ち回りも、相変わらずオモチャみたいな武器も、相変わらずどーでもいいエピソードも、何もかもデビュー作の「エル・マリアッチ」から一歩も進んでいない徹底振り!
もっと言うと、予算がふんだんにあるだけタチが悪くなっているような気がしなくもありません(爆)

とにかく、ロドリゲス君には学習能力が皆無です。(^_^;)
だから脚本の大筋「殺された恋人の復讐に立ち上がる」という設定も、「デスペラード」と全く同じです。全く同じ設定なのに、ロドリゲス君は今回「メヒコ顔じゃないジョニデ」を使いたいという野望がムクムクと湧き上がった為、ムリヤリ全く必要のないCIAを登場させちゃうという暴挙に及んでいます♪

ロドリゲス君のお好みアクションは、銃弾が四方八方から飛び交うど真ん中にバンデラスに両手広げて立ち上がらせ、両手拳銃でビシバシとクズ敵をやっつけてもらう・・・というモノだというのも、今作を見て確信しました。
何故人形の的のよーに棒立ちのバンデラスに一発も弾が当たらないのか?という疑問は持たないで下さい(笑)

兎にも角にも「ロバート・ロドリゲス」です!
この一連のシリーズは、ロドリゲス君のバカっぷりにしてやられちゃった「おバカ映画ファン」の為の祭典だと思ってもらえれば、存分に笑って笑って楽しめちゃう事請け合いです♪

真面目な映画ファンの方、どうか見逃してやって下さい。
少なくともジョニデ様は今回も妙な役で頑張ってますので、それで不問に付して頂ければ、と♪






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2004年02月26日(木) デスペラード

監督:ローバト・ロドリゲス
出演:アントニオ・バンデラス
    サルマ・ハエック
    ジョアキム・デ・アルメイダ、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
メキシコ国境の町サンタ・セシリアに黒いギターケースを抱えたマリアッチ(スペイン語でミュージシャンの意)がやって来た。彼は恋人を殺され、自分の右手を撃ち抜かれた復讐の為、ギャングのボスで麻薬王ブチョを探していたのだ。
手下を殺されたブチョはマリアッチを殺すべく手下を次々と送り込む。町で銃撃戦になり手傷を負った所を、たまたま通り掛かった美貌の書店女主人に助けられたマリアッチだったが・・・


【感想】
ロドリゲス祭り・第2弾は、前作「エル・マリアッチ」で手にした大金を元に、エル・マリアッチの制作費の1000倍、700万ドルの巨額を投じてスケールアップしてご登場!の「デスペラード」です。

今作品、噂では「エル・マリアッチのリメイク」という話でしたが、ぴよが見る限りではリメイクというよりも、この作品は明らかにエル・マリアッチの続編的な作りになっていると思う。
恋人が殺されて自分の右手を撃ち抜かれる、というのは前作のクライマックスシーンを踏襲していますし(しかもその回想シーンはマリアッチこそバンデラスが演じていますが、ギャングは前作の役者がそのまま演じていたと思う)、前作ではしがない歌手でしかなかったハズの主人公が、今回は右手を撃ち抜かれた事でギターが弾けなくなっていて、ただの復讐に燃える殺し屋になっちゃってますから。

相変わらず珍妙なBGM、下らない笑い話に有り得ないアクション、そして「お金いっぱいあったら、爆薬ガンガン使いまくりたかったんだー♪」というロドリゲス君の願望を存分に満たしてくれる爆破シーン等、とにかく話の筋とか展開とかを余り考えずに「やりたい事を詰め込んで行ったらこういう脚本になった」という見本のよーな作りになっちゃってます(苦笑)
・・・ギターからロケット弾飛び出してもなぁ〜(笑)、しかもオチも「をいをい」状態だしぃ〜!(^_^;)

子供にすんごい大金握らせて「好きな事やっていい」って言われると、こんな使い方するんだろーなー、と映画を見ながらずーっと思ってましたわ。映画作るに当たって1番お金注ぎ込まなきゃいけない部分は全部端折っちゃって、誰も見向きもしないよーなどーでもいい事にばっかりやたらこだわって金遣ってる、みたいな(笑)

映画の内容的には「エル・マリアッチ」の方がぴよは断然評価出来ますね。
・・・つーか最初の作品の方が出来が良くて、そして「レジェンド・オブ・メキシコ」は「デスペラード」の続編なのよね?

むむむむむ。明日はジョニー・デップ見るためだけのお祭りになってしまうのか?果たしてどうなる!?






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2004年02月25日(水) エル・マリアッチ

監督:ロバート・ロドリゲス
出演:カルロス・ガラルド
    コンスエロ・ゴメス
    ピーター・マルカルド、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
メキシコの小さな田舎町に現れたマリアッチ(歌手)の男。酒場で歌を唄わせてもらおうと交渉して回るがどこでも門前払いを食っていた。一方刑務所を脱獄したアズールは、盗んだ金を独り占めした仕事仲間だったモーリシモの手下を次々と殺して回っていた。たまたまアズールと同じ格好をしていたマリアッチはアズールと人違いされて襲われ、前に仕事の売り込みに行った酒場の女主人の所に逃げ込んだのだが・・・


【感想】
ロバート・ロドリゲス監督のデビュー作品。
1992年に弱冠24歳の時、予算77万円、撮影期間14日間で撮り上げ、製作・監督・脚本・音楽等、ほとんどを自分1人で作り上げたという正に伝説の作品です。つーか、簡単に言っちゃうと自主制作映画ってヤツです。

何故この映画をわざわざレンタルビデオ屋で検索までしてもらって借りて来て見たかと言うと・・・
今週金曜にある「レジェンド・オブ・メキシコ」の試写会が当たったからでーす♪(←バカ)
今作品で大儲けしたロドリゲスは、その金で今作品のリメイク版「デスペラード」を制作、そしてこの春公開の話題作「レジェンド・オブ・メキシコ」はデスペラードの続編という事ですので、どーせなら「レジェンド〜」の元ネタを押さえておくのは映画好きとしてマナーかな?なんつってな♪

ホント言うと、単にジョニデが好きなだけなのよ!
ジョニデが出てる映画見るのに訳判んなかったら悲しいから、予習しておこうと思っただけなのよ!!(←やっぱりバカ)

さて。本作についてですが。
一言で言うと、本当にめっちゃ安い作りなんですわ!予算が少ないからってのも勿論あるんだろーけど、それだけじゃない何か内側からフツフツと湧き上がるような安っぽさ・・・と言うか、B級感が映画を支配しているんですわ。

全く意味不明なマリアッチの夢のシーンが無意味に挿入されていたり、どーでもいい人形や置物のアップがあったり、笑わせたいんだかマジなんだかよく判らないよーな効果音に妙にこだわってみたり・・・
映画中に使われてるBGMなんて、ちょっと安めのアダルトビデオみたいなんだもん!(爆)

今では超進化系として「マトリックス」シリーズ等で多用されている、「アクションシーンをスローモーションで流す」という手法にトライしています。
低予算ながら、いかに迫力あるアクションシーンを撮ろうか・・・という工夫なんだ思いますが、劇場公開時にこの作品を見ていたらきっと新鮮な感動が得られたんではないだろうか?とは思いますね。

主人公のマリアッチを演じているカルロス・ガラルドという俳優さん(ぴよは全く知らない)が、結構役柄にハマってる感じがしますわ。頼りなさげで目付きが妙に色っぽくて、ちょっとベビーフェイス系。母性本能くすぐられるタイプかも♪
彼の歌とギターがまたどーしよーもなくヘタクソなんだけど(笑)、映画中では拍手喝采だぜ!

映画のラストシーンを見ると、いかにも続編が作れそうな終わり方をしているんですよね。
これってロドリゲス君(当時弱冠24歳)は、デビュー作にして既にこの作品の続編を作る事を視野に入れて製作していたという事なんでしょうか!?
全く持って野心家で妄想癖の激しいロドリゲス君。予算をふんだんに貰ったロドリゲス君の野心と妄想を存分に満足させてくれる作品であろう「レジェンド・オブ・メキシコ」が、益々楽しみになって来ました!(笑)

でも、この作品に限って言えばロドリゲス・ファンが見ればそれでいいという作品だと思う。(^_^;)







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2004年02月24日(火) イノセンス

監督:押井 守
声の出演:大塚明夫(バトー)
      田中敦子(素子)
      山寺宏一(トグサ)、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
人とサイボーグ(機械化人間)とロボット(人形)が共存する2032年日本。ある日愛玩用の少女型ロボットが暴走、所有者を殺害後自らを初期化(自殺)するという事件が立て続けに起こった。殺害された所有者の中に政府要人等も含まれていた為、テロ犯罪を取り締まる公安9課のバトー刑事と相棒のトグサが担当に当たり、事件の真相に迫って行くのだが・・・


【感想】
士郎正宗氏の人気コミック「攻殻機動隊」の映画化。既に押井守氏によって1995年に「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」のタイトルでアニメーション映画化されており、本作はその続編らしいです。

・・・という情報を、映画見る前に知っておかなければいけませんでした。(^_^;)
実は押井氏の作品を見るの初めてなんですよ。そして士郎正宗氏のコミックを1冊も読んだ事がない。
(弟が士郎氏の大ファンだったので実家にコミックは沢山あったんだけどなぁ。読んでおけばよかった。涙)

正直言って、この作品は「元々攻殻機動隊が好きで、前作の映画も見ている人」が楽しむ仕様になっていると思うのよ。
だからどうして主人公のバトーの体がほとんどサイボーク化してるのかとか、「少佐」って呼ばれてる人がどういう関係の人なのかとか、諸々の世界観とか設定とかがまるで判らないまま、ただただ話が進むのを見て行くしかない訳で。

面白い訳がありませんや。(笑)
人間関係も判らなきゃ世界観も判らない。設定も何もかも判らない状態で、ただただ漢詩だの聖書の一節だのを引用したコ難しい言葉が乱発されても全く持って意味不明で、引用された言葉が映画の展開的にどういう意図で使われているのか、何を意味しているのか理解する間もなく話は流れ・・・
はっきり言っちゃうと「スゴイ手の込んだ自慰行為をムリヤリ見させられてる」よーな不快感が。(をい〜)

映像的には非常に評価出来ます。
評価は出来るものの、アニメーションと3DCG処理の融合には完全に失敗していると思う。メインキャラは完全な2Dで、周りだけ3Dになっちゃってるから違和感バリバリなんだよね。

これが押井氏の(士郎氏の?)こだわりなんですぅー!というトコロなのか?意味もなく豪奢な室内内装や、クラッシックなんだか最先端なんだか訳わかんない街並みに目がチカチカしながら・・・もうウトウトしっぱなし(苦笑)

きっと士郎氏のファンや押井氏のファンにはすっごく楽しめる作品なんだろーなーってのは判るんだけど、万人向けとは決して言えない仕様の作品だと断言出来ますね。
特に子供には難しいでしょう。ここまで一部ファンだけの為に頑張っちゃってる作品って珍しいと思うわ。
そーいう意味では、ここまで徹底してファンを大切にする姿勢はスゴイなぁ、と思える作りだったんですけど・・・

ぴよには自慰行為を見せ付けられたよーな感じしかしなかったし。(しつこいってか?苦笑)






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2004年02月23日(月) ブラザー・ベア

監督:アーロン・ブレイズ、ボブ・ウォーカー
声の出演:ホアキン・フェニックス(キナイ)
      ジェレミー・スレアズ(コーダ)
      リック・モラニス(ラット)、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
昔々、まだ人間が自然と共存し動物達の精霊に守られていた時代、子熊のコーダは母熊とはぐれて1人「サーモン・ラン」を目指して旅をしている途中、不思議な熊「キナイ」に出会った。実はキナイは自然の掟を破ったために熊に姿を変えられた人間だったのだ。人間の姿に戻る為に「大地と光が交わる場所」を目指して旅をしているキナイに、「そこならサーモン・ランの近くだ」と案内役を買って出たコーダ。かくしてコーダとキナイの珍道中が始まるのだが・・・


【感想】
ディズニー映画の最新作。自然界の動物を主人公に据えた作品は、ディズニー・スタジオ製作の作品としてはライオン・キング以来10年振りなんだそーです。一々注釈垂れなくても映画ファンなら区別付いてると思うけど、この冬アホみたいに売れた「ファインディング・ニモ」はディズニー映画ではあるけど製作はピクサー・スタジオですからね。

この作品、ちょっと変わった試みがされています。
映画冒頭からあるシーンまでは、スクリーンサイズがいわゆる一般家庭用TVのサイズになっていて、途中で通常の映画スクリーンサイズに切り替わるという趣向を凝らしています。
どの部分でスクリーンサイズが切り替わるか、というのがミソなのはよーく判りますが、正直言ってこの演出は余り意味をなしていないような気がしたんですけどね。(いきなり吠え。笑)

どう転がってもディズニー・アニメーションなんだから、内容について今更アレコレうんちく垂れても仕方ないと思っているひねくれもののぴよにとって、やっぱり評価すべきは映像部分になってくる訳ですが、「ファインディング・ニモ」見た後ではどうしても見劣りしてしまいますよ。
ファインディング・ニモを見ていなければ、充分及第点の付けられる映像になっているとは思いますが、この世の中でニモを見ないでブラザー・ベアだけを見るというディズニーファンが一体どれくらいいるんだか(笑)
逆に言えば、ブラザー・ベアは見なくてもニモは見るという人なら沢山いるでしょうがね。

内容的には、超お子様推奨作品に間違いないです。お子のいるご家庭には景気よくオススメ出来る1本です!
人間と動物の共存、自然を愛し動物を愛し、動物のむやみな殺生はいけません。相手を慈しみ友情を育み、窮地に立たされた仲間を命懸けで助ける麗しい愛・・・何から何までステキな情操教育間違いなしの大感動スペクタクル!!

・・・って、今更人生の辛酸舐め尽くしたひねくれ者の大人が見てどーするよ?(^_^;)
見て気分が悪くなるよーな話じゃないから「損した!」とは言いませんがね、映画中ずーっと冷めた目でスクリーン見ながら「子供達よ、心行くまで楽しむがいい・・・」と思っていたぴよは、何か精神に問題があるのでしょうか?(涙)

一応クライマックスにちょっとしたヒネリがあるのですが、これはぴよに言わせると「シュレック」の使い回しだね。
1度楽しませてもらった「落とし」の亜種では2度目は驚かないし・・・正直言ってこの展開はちょっと見えた。

子供には間違いなくオススメ出来るんだけどなぁ・・・純粋な心を持った大人の方の感想をお聞きしたいです(苦笑)







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2004年02月21日(土) 飛ぶ教室

監督:トミー・ヴィガンド
出演:ウルリヒ・ノエテン
    セバスチャン・コッホ
    ハウケ・ディーカンフ、他
おすすめ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
ライプチヒにある少年合唱団が有名な寄宿学校へ入ることになったヨナタン。新しい学校に馴染めるか不安だったが、ベク先生はとても優しいし、寄宿舎の同室の仲間4人はみんないいヤツばかり、ヨナタンはすっかり学校に馴染んだ。
クリスマスが近付き、恒例のクリスマス劇の演目を何にするか迷っていたヨナタン達5人は、自分達の秘密の隠れ家でたまたま見つけた「飛ぶ教室」という台本に心奪われ、早速これを上演しようと練習を始めた。
ところが、練習風景を見ていたベク先生が突然怒り出し、「飛ぶ教室だけはダメだ」と言うのだ・・・


【感想】
ドイツの国民的作家エーリヒ・ケストナー著の児童小説の映画化。
製作プロデューサーは『点子ちゃんとアントン』、『エーミールと探偵たち』で既に成功を収めているウッシー・ライヒとペーター・ツェンクのコンビ。これらの2作品もケストナー氏の小説の映画化だそうです。
本作「飛ぶ教室」の原作は第二次世界大戦前の1932年に書かれていますが、今回映画化に当たり設定を現代に変えて、より観客に馴染み易いように工夫がされています。

時代が昔だろうが今だろうが、思春期の子供の苦悩や葛藤、友情や勇気・正義の物差しというのは、洋の東西を問わず変わらないだろう(変わっていては欲しくない)と思う。
この作品の中に出て来る大人達は、ぴよが子供時代に「こんな大人がいてくれたら」と思っていたそのままの人達。
子供の失敗を頭ごなしに叱らず、まず子供達の言葉に耳を傾け、何が正義なのかを見誤らないで諭しながらも、きちんと子供達を正しい方向に導いてくれる。もしこの映画に出て来るような先生ばかりが学校にいてくれたら、今頃ぴよはうんと高潔で誇り高く慈悲深い人間に成長していた事でしょう・・・(をい)

子供達のキャラクターも、彼らのエピソード実にほのぼのしていて好感が持てる。
タイトルの「飛ぶ教室」の台本でミュージカル劇をやる、というネタは映画中盤に入ってようやく出て来るんだけど、それまでに通いの生徒と寄宿生の対立だったり、隠れ家で出会った大人との交流だったり、様々なエピソードを繋ぎながらクライマックスへの伏線を上手に見せている。

映画全体の展開が割と淡々とゆる〜い感じで流れているんだけど、どのエピソードも自分の子供時代に照らし合わせて、スクリーンを見ながら一緒に胸を痛めたり共感したり懐かしんだりしながら、いつの間にか少年達の生き生きした表情の虜になっちゃってました。

「飛ぶ教室」の台本にまつわるベク先生のエピソードは、1932年原作発表時にはベルリンの壁がなかったので、今回映画化に当たり差し入れたオリジナルのネタなんだと思うけど、これはかなり効果的に使われていたなぁと思う。
逆に言うと、原作ではこの辺りのシーンはどういう設定になってたのか気になりますネ。

正直言って、少年達の日常をただ淡々とエピソードを繋いで見せているだけで、本当だったらそんなに面白い映画になりそうにもない話なんだけど(無茶苦茶言ってるぅ〜)、とにかく見てて気持ちのいい映画なんですよ。

心が温かくなって、優しい気持ちになれる・・・本当にステキな映画です。






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2004年02月20日(金) ゴシカ

監督:マシュー・カソビッツ
出演:ハル・ベリー
    ペネロペ・クルス
    ロバート・ダウニーJr.、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
ウッドワード女子刑務所精神科病棟で精神分析医として働く美しく聡明なミランダ博士。超現実主義で全ての事を論理的かつ科学的に考える彼女は、霊や超常現象などの類は一切信じていなかった。
ところがある雨の夜、車に乗って帰宅途中に少女を轢きそうになりハンドルを大きく切って・・・その後意識が途絶えたミランダが次に目覚めたのは、事故から3日後で場所は自分の勤める刑務所の精神科病棟だったのだ。
何とミランダは記憶のない3日間に夫を殺害した事でここに収監されたらしい。一体ミランダに何が起きたのか!?


【感想】
「クリムゾン・リバー」の監督、または「アメリ」の彼氏役と言った方が聞き覚えのある人が多いのかもしれない、マシュー・カソビッツ監督の最新映画は、ハル・ベリーとペネロペちゃんの共演で話題のゴシック・ホラー
ペネロペちゃんはかなりヤバい役やってますが、なかなかお上手です。あくまでも脇役なんですけどね。

まず最初に、これはホラーとして面白いのか?という事なんですが。
ホラーの何を持ってして「面白い」と評価すればいいのか?ホラー嫌いのぴよにはいささか困ってしまうのですが、少なくともぴよは見てて全然怖くなかったので「ホラー」としては失敗しているんだろうな、と。(笑)
でも怖いの嫌いなぴよには、これくらいで充分です。怖くないから最後までちゃんと見れたしさ♪(をい)

次に、映画中のキモになるのが「ミランダの失われた3日間」にまつわるミステリー
話の核はココですので、これが面白ければ全然怖くないホラーでも評価はOKになっちゃうと思うんですが・・・これがまた非常に中途半端な作りで、察しのいい御仁ならオチは途中で見えちゃいますね。(^_^;)

オチがミエミエでも、展開や見せ方が良ければ評価はOKだと思うんですが。
・・・もうこの先ぴよが言いたい事、わかっちゃったよね?じゃあ書くのやめておこーっと♪(爆)
何か終始中途半端感の漂う展開で、面白くない訳では決してありませんが、逆に面白いのか?と聞かれると「うーん」と首を傾げてしまいたくなるよーな、そんな中途半端感なんですよ。この気持ち、判ってもらえるかなぁ〜?(苦笑)

ミランダのキャラクターの描き込みが非常に曖昧と言ったらいいのか・・・
彼女は超現実主義者で心霊や超常現象の類を一切信用しないという設定だったハズ。ところが、自分が科学で説明のつかない現象に巻き込まれると「これは夢だ。夢だ」と口にしながらも、あっさりその現象を受け入れてしまっている訳です。

普通、超現実主義でしかも精神分析医という立場だったら、自分の身に起こった事を「これは夫殺害の容疑をかけられ、自分の精神が病んでしまった事による妄想や幻覚だ」もしくは「事故によるショック、もしくは何かのトラウマで自分は多重人格障害になってしまったのかも?」くらいに思っても不思議はないと思うんですわ。
実際映画中に「お前は精神分析医なんだから、犯人像をプロファイルしてみろ」と言われて、実に的確に犯人像をプロファイルするくらいの能力を持った博士なのに、どうして事が自分になるとあっさりと超常現象を認めてしまうのか?
これでは「精神分析医で超現実主義者」というミランダのキャラクターがまるで宙に浮いちゃってます。

絵で見せるホラー部分も、取り立てて驚くよーなモノはありませんし、グロい表現もなく実にあっさりしていて、ホラー嫌いだけどハル・ベリーやペネロペファンという皆さんも安心して見ていられる作りになっていると思います(笑)

超B級ホラー@女優は客寄せパンダ、っていう作品でしょうかね。






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2004年02月19日(木) マスター・アンド・コマンダー

監督:ピーター・ウィアー
出演:ラッセル・クロウ
    ポール・ベタニー
    マックス・バーキス、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1805年、ナポレオンのヨーロッパ征服を阻止しようと、イギリス軍は伝説の名艦長ジャック・オーブリー率いるサプライズ号に、ナポレオン率いるフランス軍の武装船アケロン号を拿捕せよという指令を下した。
多くの兵士を失ったイギリス軍は、まだ幼い少年までも戦場に送らざるを得なかったのだ。サプライズ号に乗った少年達は荒れ狂う大海原の中で、ジャックをひたすら信じ、そして愛する家族の元へ再び帰る日を夢見て戦うより他はなかった。


【感想】
パトリック・オブライアン著の全20巻にもなる海洋冒険小説「オーブリー&マチュリン」シリーズの映画化。
この作品は全20巻の中の第10巻「ザ・ファー・サイド・オブ・ザ・ワールド」を題材にしているそーです。小説の方はアメリカでは非常に人気の高いシリーズだそーですが、ぴよはぜーんぜん知りませんでしたね(こんなんばっか)

主役はラッセル・クロウ、そして親友の医師役をポール・ベタニーという「ビューティフル・マインド」コンビが復活。
映画の予告編を見た限りでは、お子達とジャックの心の交流みたいなものが主軸の話のように想像してましたが、蓋を開けてみるともっと骨太で「男のロマン」ちっくな冒険活劇になってました。あくまでもガキネタはエピソードの1つ。

船の規模も兵士の数や質でもまるで勝ち目のないサプライズ号が、アケロン号に出会っては逃げ、逃げられれば追うといういたちごっこをしながら、何とかしてアケロン号をとっちめてやれ!というのが話の主軸なのですが、正直言うとぴよはあんまり話自体には面白味を感じなかったんだよなぁ。(^_^;)

好きなエピソードは本筋じゃなくて、医師と少年仕官候補生ブレイクニーが絡む部分と、ガラパゴス諸島で医師がワクドキ♪体験する辺り。
ベタニーが元々好きだからってのもあるけど、映画全編かなり緊張感漂うシーンが連続するので、こういうちょっとホッと出来るシーンの方が、後になってみると印象に残ってしまったのかもしんないな、等と。

映像や時代考証には物凄〜くこだわってて、当時の船員達の生活ぶりや様子は超リアルだし、船の様子や嵐のシーン等もとことんこだわりまくってて「コレ、どーやって撮影したんだろ?」と感心しちゃうすんばらしい出来栄え。

いかにも「アカデミー賞」を意識した脚本と作りになってますし、役者もウマいし見せ場も多いし、市井の評価は非常に高くなりそうな作品なのですが・・・どーもラストのオチが安っぽい感じがして気になったんだよね。
先のエピソードを踏襲している気の利いたシャレだと言えばそーなんですが、延々賞レースを意識した大作の作りなのに、どうしてこんなホームドラマちっくなオチを付けちゃったんだろうなぁ?と。

それまでずーっと至極真面目〜にやって来て、最後の最後でこういうオチを付けちゃうと、それまで自分の中で盛り上がりまくってた「大作映画をご鑑賞」気分が、一気に脱力しちゃうっつーか。(笑)

根本的に、たぶんこの映画の内容がぴよの好みじゃなかったと思うんだ。
だってすっごくいい作りしてるなぁ〜・・・とは思ったけど、見終わってから「いい映画だったー!」とか「面白かったー!」って気にならなかったし。(^_^;)







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2004年02月18日(水) 幸福の鐘

監督:SABU
出演:寺島 進
    篠原涼子
    塩見三省、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
ある工場が閉鎖された。職を失った工員のひとり、五十嵐悟は作業着のままあてどもなく彷徨い歩き始めた。
川原の土手で腹を刺されたヤクザに遭遇し、通りかかった警官に誤認逮捕される。その後釈放された彼は火事現場で子供を助けて表彰され、警察署を出た所で車に轢かれて入院し・・・たったの2日間に五十嵐を様々な出来事が襲う。


【感想】
ベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞し、各メディアに大絶賛されたSABU監督最新作。
・・・って公式HPに書いてあった。つーか、ぴよはSABUをよく知らないんだけど、こーいうヤツは映画見る資格ない?(^_^;)

この作品で特筆すべき点は、何と言っても「主人公にラストまで一言もセリフを喋らせない」という事でしょう。
とにかく主人公「五十嵐」は歩く。歩いていると色んな人が彼の目の前に現れて、そして彼に能弁に語る。
それに対して五十嵐は一言も言葉を発せず、ただきょとんとしたり、唖然とした表情を浮かべるだけで、自分の身に降りかかった様々な出来事について、言葉での表現を一切しないでいるのだ。

正直言って、ぴよはこの「主人公にセリフを喋らせない」意図がわからなかった。
もっと言うと喋らせない事で、主人公のキャラクターが全く判らなかった。これは相当痛いとぴよは思うんだけど、この映画を評価する人はきっと「喋らない事」に対して評価しているんだろうなぁ・・・とは思うのよね。
でもぴよには「喋らない事」が、逆に主人公の心の移ろいや葛藤や悩み、そういう人間らしい感情を観客に対して伝えにくくしているようにしか思えなかったんだ。(要するに、ぴよにはキャラに感情移入が出来なかったって事なんだけどさ)

独特のアングル回しで、1つのシーンが長回しでゆっくり引いたり寄せたり動かしたりする撮影方法を多用しているんだけど、BGMもなく(自然な音だけ)どうかすると無音状態の長回し、しかも絵がほとんど動かないとなると・・・
どーしても眠たくなっちゃうんだな、コレが。(苦笑)

結局主人公は2日間の間に色んなイベント?をこなし、そして天啓を受けたかのよーに「シアワセ」の場所を求めて、今まで自分が辿った道をそっくりそのままサクサクと軽快な足取りで戻って行くんだけど、このオチはほとんどの人が判ってるだろうし、このオチが1番しっくり来るし、このオチ以外は考えられないし(笑)
この映画はオチが何なのかが問題じゃなくて、そのオチへ持って行く見せ方が勝負の作品なんだろーね。

で、
ぴよには、かったるくて仕方なかったと。(爆)
作品の言いたい事は判るんだけど、見せ方に工夫してるのも判るんだけど・・・ツボじゃなかったと。(^_^;)





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2004年02月17日(火) キリクと魔女(吹替版)

監督:ミッシェル・オスロ
声の出演:浅野温子(魔女)
      神木隆之介(キリク)、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
アフリカにある小さな村で、母親のお腹から自力で生まれて自分でへその緒を切った小さな小さなキリク。村は魔女カラバの呪いをかけられて泉は枯れ、村の男達はほとんど食べられてしまった。
何度も村を魔女から救ったキリクは思った・・・“どうして魔女は意地悪なの?”ところが誰もその質問に答えられない。キリクはその答えを探す為に、たった1人でお山の賢者に会いに出かける事にしたのだ。


【感想】
アフリカが舞台のフランス・アニメ。本国フランスではアニメーション作品におけるフランスでの歴代興行収入第1位の記録を樹立し、今も伝説的に語り継がれる作品なんだそーだ。
日本公開ではジブリの高畑勲氏が日本語版・翻訳を手掛け、自ら演出も担当。力入ってますなぁ〜!

さて。
生まれたばかりで・・・つーか、腹の中でいきなりママに話し掛けて自力で腹からはいずり出て来た挙句、いきなり歩き出して自分で体を洗う赤ん坊のキリク。しかもそこらの大人よりよっぽど利口。しかも髪型はモヒカン(笑)
このとてつもないガキが村人を魔女の手から何度も助け、そして最終的には魔女の呪いを解くという至極簡単な内容なんだけど、色々含蓄深いおとぎ話になっているなぁ、と思ったわ。

キリクに何度助けられてもまるで学習能力のない村人達。ガキ共もとことん超ド級のバカ揃いで、キリクに助けられた直後にもうケロッとしてキリクを小バカにする「喉元過ぎれば熱さ忘れる」見本帳のようなマヌケども。

魔女の怒りに触れ、最後のチャンスに「全ての金塊を差し出せ」と言われたのに、バレやしないと隠して、それがお約束通り見つかって家を燃やされてしまう欲深い女の業。

散々助けられたクセに、キリクが死んでしまったらしい?と悟るまで、誰1人としてキリクに礼を言わなかった事に気付かず、常に唄って踊って誤魔化し続けるという恥知らずで礼儀知らずな村人。

人間の汚れて乱れて腐りきった性根を赤裸々に綴って行くのだった(をいこら。笑)

・・・んーと。何かこの映画のメッセージと違う部分ばかりに目が行っていたよーな気がします。(^_^;)
でも映像はとってもキレイ。この監督さんは大変な親日家だそうで、特に葛飾北斎の絵の心酔者でもあるそうです。
言われてみると、何か独特でいて馴染みのいい色使い、ハッとするほど艶かしい赤の使い方等、ちょっと浮世絵を彷彿とさせる感じがしなくはないです。

最後の最後までバカでマヌケでお調子者揃いの村人達の、この映画のラストシーンのその後が非常に気になります。
きっと魔女から金塊を取り戻して「これはアタシのよぅ!」「何言ってんのよ!これはアタシのよ!」と強欲丸出しのバトルが繰り広げられ、そしてキリクに受けた恩等すっかり忘れて、魔女を影でチクチクいじめたりするんだろーなー(笑)

つーか、生まれて数週間(数ヶ月?)の赤ん坊がいきなり婦女子にプロポーズだもんなぁ!
結局この映画って「人間の欲には際限がない」という話なのかも?(爆)






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2004年02月16日(月) アップタウン・ガールズ

監督:ボアズ・イェーキン
出演:ブリタニー・マーフィ
    ダコタ・ファニング
    ジェシー・スペンサー、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
モリーは飛行機事故でこの世を去った伝説的ロックスター、トミー・ガンの娘。ニューヨークの高級アパートに住み、親の遺産で毎日放蕩三昧の日々を送っていた。
ところが遺産管財人がモリーの遺産をそっくり持ち逃げして、彼女は一文無しになってしまった。仕方なく友達の家に間借りして、ようやく見つけた仕事は、女性レコードプロデューサー・ローマの娘、レイのベビー・シッターだった。


【感想】
ブリvsダコタ、美女と美少女の共演で話題の1本。決してビリー・ジョエルの名曲ではありません。(つーか、最初検索した時ビリー・ジョエルばっかり出て来やがったぜ。タイトルちょっと違ってたさ。苦笑)
監督は「タイタンズを忘れない」のメガホンを取ったボアズ・イェーキン。
・・・って、んな事どーでもいいや。ブリちゃんファッションが見れれば万事OKな映画でしょ。あぁ、そーだよ。(爆)

ブリちゃん演じるモリーは、親の遺産で遊んで暮らす22歳にして脳味噌カラッポ系@永遠のお子ちゃま美女。
そして相方のダコタちゃん演じるレイは、8歳にして人生を達観したババアのよーに老成した可愛げのないガキ。
この作品はそれぞれの役者のイメージにあったキャラクターを、そのまま使って映画に出来ないか?と脚本を後から無理矢理作ったんじゃないかと思う程、それぞれのキャラクターがピタリとハマっている。
つーか、ハマり過ぎて怖い。(笑)

イメージそのままだから、ブリちゃんもダコタちゃんも甲乙付け難くウマい。
ダコタちゃんのこしゃまっくれてて、でも本当はすっごく淋しがり屋さんなんだよーん♪てな見せ方なんて、きっと演技指導は全く必要なかった事でしょう。もうパーフェクトと言っていいです。
ヘタクソで見てられないのはクライマックスのバレエ踊るシーンくらいなもんです。(爆)

この映画でチェックしなくちゃいけないのは、以下の3点。

1. ブリ・ファッション
とにかくすげー可愛い!めちゃめちゃ可愛い!ベリベリキュート!!
無一文だろーが、とにかくめっちゃ可愛い衣装の目白押し。髪型もルーズアップからダウンスタイルまで何でもござれ&メイクも日本人がやったら脳天回し蹴りくらいそーなアイライン入ってますが、ブリがやったらそりゃーステキ♪
ブリちゃんの最初に住んでるアパートの部屋もステキ過ぎる!あぁ・・・溜息しか出ません!!

2. NY観光ガイド
メットやセントラルパーク等のお約束観光地は勿論、今NY最先端のナイトスポットから5番街のお嬢様ご用達高級デパート、ヘンリー・ベンデルまで網羅して、NYに憧れて止まないアータ、NYにこれから行こうとするアータを完全サポート!
ちなみにロケは全編NYでしたそーで、ホンモノの活き活きしたNYをガッツリ堪能出来る一本になってます♪

3. 誰だよ!?このイケメンわっ
ブリちゃんが一目惚れする中途半端にストイックな男(でもブリちゃんの魅力には勝てないのさ。ふふふ・・・)
この中途半端なイケメンを演じているのはジェシー・スペンサー君と言うそーですが、ぴよは全く知りません。つーか、たぶん今作品がハリウッド進出第一弾なんじゃないかと思う。元々はオーストラリアの人気俳優さんらしい?
彼がぁ〜・・・かなりぴよのツボ入ってます!いかにも母性本能をくすぐるタイプ♪今後は要・チェックです!!

えーと。肝心な内容について触れてませんでしたね。(^_^;)

話については特筆するモノはありません。(って、いきなり何書いてんだか。苦笑)
いや、可もなく不可もなく。どこかで1度は見た事のあるよーなエピソードが続いて、どこかで1度は見た事のあるよーな展開があって、そして100回は見たであろうお約束の磐石オチに向かって突き進みます。

んな事ぁ〜どーでもいいです。(をい)
たとえ映画館を後にして3歩歩いたら忘れちゃうよーな「ちょいホロリ系」のありふれた内容だったとしても、これだけブリちゃんのファッションを堪能してステキなインテリアやNYの街並みを堪能させてもらって、何の不満があろうか!

・・・この満足度は、男性にも当てはまるのかまでは判りませんが。(苦笑)








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2004年02月14日(土) ルビー&カンタン

監督:フランシス・ヴェベール
出演:ジャン・レノ
    ジェラール・ドパルデュー
    アンドレ・デュソリエ、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
ケチな強盗事件で逮捕されたカンタン。彼は目が覚めている間中マシンガントークを続けるオシャベリ男で、同室になった囚人と次々とトラブルを起こす問題児。一方恋人を殺された復讐に燃えるルビーは、現金強奪事件の容疑者として刑務所に入っても一言も口を利かず脱獄の策略を練っていた。
ルビーと同室になったカンタンは、ルビーが一言も口を利かないのは自分の話を聞いてくれているのだと勝手に勘違いして、ルビーを親友だと決め付けて終始ベッタリ。いよいよ脱獄の機を狙ったルビーだったが・・・


【感想】
ジャン・レノ×ジェラール・ドパルデューという、日本でもお馴染みフランス2大俳優が共演するフレンチおバカ映画。
監督はぴよお気に入り映画「メルシィ!人生」のメガホンを取ったフランシス・ヴェベール氏という事で、結構期待も大きい一作です。つーか、この豪華なキャスティングでどーして単館ロードショーかなぁ???

フレンチ・コメディというと、ぴよ的に「ツボに入れば大当たりだけど、ダメだと思ったら徹底的にダメ」っていうイメージがあるのですが、本作は映画冒頭から思いっきりツボ入りまくって大笑いの連続です♪

ドパルデューがとにかく喋り倒すただのアホの怪力男、そしてジャン・レノは寡黙なハードボイルド男という、それぞれがいかにもなキャスティングなんですけど、この組み合わせは大成功♪
ジャン・レノのキャラでバカ映画に出演ってどーなの?と思ってたんだけど、こういう役回りと組み合わせだったらジャン・レノでも充分コメディに使ってハマる、という好例になったんじゃないかと思う。

ちょっと気になったのがドパルデューの体。
先に鑑賞した「ミッション・クレオパトラ(2003.12.2の感想参照)」では腹にアンコ詰めてたとはいえ、かなりの大デブぶりを披露してくれたんだけど、今作では「クレオパトラ」時に見せてくれた巨漢ぶりは何処へ行ったのやら?顔も体も驚くほどスリムになってて、映画中でドパルデューを「デブの怪力男に云々・・・」と表現するくだりがあるのですが、全くデブというイメージがありません。ちょっぴり心配になっちゃう程痩せちゃってました。

ハードボイルドを絡めたコメディは多々あるけど、この手のコメディでぴよが1番嫌いなのは「絶対に失敗が許されない場面で、ボケ役がお約束通りドジを踏む」という展開なんだけど(これが圧倒的に多い)、この作品の好感を持てる部分は、押さえなきゃ行けない場面ではボケ役もカッコ良く(?)キメてくれる、という事。
常にマヌケでアホでどーしようもないカンタンだけど、ルビーが本当にピンチな時はきちんと助けてくれる。
ハードボイルド君がピンチな時に大失敗をやらかすよーなヤツにはまるで好感が持てないけど、このカンタン君のよーなアホだったらジャン・レノじゃなくても誰もがうっかり好きになっちゃいそうです(笑)

とってもステキに話が進むのに、何故かクライマックス辺りに差し掛かって来ると、突然この映画は追っ付け仕事のようにバタバタと話をまとめにかかってしまっている。それが本当に勿体無いと思った。

逃亡中に出会った女との絡みも途中で放置されているし、散々「人殺しはよくない」とカンタンに語らせていたのに、結局はルビーは自分の方針を最後まで貫き通してしまう。先に何度もカンタンがルビーに人殺しを止めさせようと説得していたくだりが全く生かされていない。
もう30分上映時間を長くしてもいいから、ここのラストのくだりを先の展開を踏襲した納得出来る形に持って行った方がずっと良くなったんじゃないかと思うんだよね。女とのその後もどうなったのか判らないし、カルタンとルビーがその後どうなるかも投げやりに終わってしまうのは、余りに勿体無いと思ったのよ。

でもネ、このキャラと設定だったら続編が作れそうな予感はあります。
シリーズ物にしてもらっても全然Okだなぁ〜♪もし続編出来たら絶対に見に行っちゃうヨ♪






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2004年02月13日(金) 幸せになるためのイタリア語講座

監督:ロネ・シェルフィグ
出演:アンダース・W・ベアテルセン
    ラース・コールンド
    アン・エレオノーラ・ヨーゲンセン、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
デンマーク、コペンハーゲン近郊のとある町。ここに家族、恋愛、仕事、様々な悩みを抱える6人の男女が、ちょっぴりうつむき加減に生きていた。その6人がひょんなきっかけで週に1度のイタリア語講座に集って来た。
講座に通いながら触れ合って行く内に、彼らは何かが少しずつ変わって行くのだった。


【感想】
デンマーク映画。デンマーク映画ってあんまり見た事ないかも?だから出演してる役者さんも見覚えがないわ。
本作は第51回ベルリン国際映画祭銀熊賞をはじめ全4部門受賞、アメリカでも半年間ものロングラン上映を果たし、大ヒットした作品なんだそーですわ。

映画冒頭6人それぞれの日常がアトランダムにバラバラに描かれている。
その6人を最終的に繋げていくのが「イタリア語講座」という訳で、見ていて「ラブ・アクチュアリー」を彷彿とさせる作りですね。つーか、こっちの作品の方がラブ・アクチュアリーよりも先に製作されてんのか?(^_^;)

そんな訳でどうしても「ラブ〜」と比較してしまうのですが、「イタリア語講座」の方がちょっと最初の6人のエピソードがかったるい感じがした。「ラブ〜」よりももっと「フツーの人々」の日常なんだけど、何て言うのか・・・あまりキャラクターにもエピソードにも魅力を感じなかったって言うのか。

それが俄然面白くなって来るのはジャンジャン人が死に始めてから(笑)
つーか、この手の映画では普通考えられないんだけど、恋愛モノでありながら結構ハードに人がバッタバッタ死んじゃうんだよね。しかもその死に方ってのもかなりトラウマの残りそうな。(つーか、明らかに犯罪ってのもあったし!)
人がジャンジャン死ぬ割に、不思議な事に殺伐とした感じは全くない。
死に至るまでに、彼らが懸命に家族の為に尽くしていた事を観客は知ってるし、その家族が足かせになっていた事も観客は知っているからかもしれない。「逝っちゃって良かったんぢゃん?」くらいの気持ちになっちゃうんだよね(をい)

紆余曲折があって舞台はベニスに移るんだけど、ベニスに行った辺りで一気に恋愛モード加速。
ここまで来るまでにも結構笑わせてくれる小ネタがチョロチョロ出て来るんだけど、ぴよのお気に入りキャラはイタリアンレストランで働く女の子「ジュリア」
とっても敬虔なクリスチャンで、常にマリア様に祈りを捧げてるんだけど(とは言っても自分の都合のいいお願いばっかりしてんだけどね。笑)、ベニスでの告白シーンはとってもチャーミングで可愛かった♪

みんなが少しずつ前向きになって、少しずつ変化して、少しずつ歩み寄って、そして少しずつハッピーになって行く。
いい話だとは思ったんだけど、何かピンと来なかったっつーか・・・映画中、ベニスで通りがかりの人が撮ってくれた集合写真同様、この映画のエピソードもまとまってはいるものの少しボヤけてる感じがしたんだよな(苦笑)

何か1つ際立つエピソードとキャラがいた方が、話が締まったかもしんないなーってね。






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2004年02月12日(木) アドルフの画集

監督:メノ・メイエス
出演:ジョン・キューザック
    ノア・テイラー
    リリー・ソビエスキー、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
1918年、第一次世界大戦に大敗したドイツ・ミュンヘン。戦場で右腕を失った裕福なユダヤ人マックス・ロスマンは鉄工所跡地に画廊を開いた。ある日ひょんな偶然でポートフォリオを抱えた復員兵の青年に出会った。その青年こそ若き日のアドルフ・ヒトラーだったのだ。
ロスマンとヒトラーは奇妙な友情関係を結ぶようになる。ところが貧乏なヒトラーは、生活の為に軍の宣伝演説をするようになった。ヒトラーの言動に不安を感じたロスマンはもっと絵に打ち込むようにヒトラーを諭すのだが・・・


【感想】
「カラー・パープル」や「インディ・ジョーンズ」シリーズの脚本家で知られるメノ・メイエスの初監督作品。
この映画には製作段階から困難が付きまとい、ヒトラーを題材に取り上げるという事で資金集めに難航し、主演のジョン・キューザックがノーギャラで出るという荒業をこなした事で、何とか製作に漕ぎ着けたんだそーですわ。
しかも、日本公開に合わせて渋谷の映画館でヒトラーの描いた絵画を展示する予定だったのが、世界中から問い合わせが殺到し急遽取り止めになったとか。今もアドルフ・ヒトラーという人物は世界中を震撼させてますね。

ヒトラーが若かりし頃画家を目指していたというのは余りに有名ですね。彼は結局開花する事のなかった自分の才能と芸術の方向性に固執するあまり「退廃芸術展」を開催したというのも、歴史を勉強した人なら誰でも知っているでしょう。
映画中にも、後のヒトラーの「退廃芸術論」を示唆するようなくだりがあります。

この映画のスゴイところは、この「最も映画の題材として扱うのはタブー」と誰もが思うアドルフ・ヒトラーを、実名で堂々と登場させている点。更に彼の軍人としての頭角を現す前、芸術家を目指す純粋な青年時代にスポットを当てるという点だとぴよは思います・・・これだけ新鮮なアプローチの作品なら、誰だって興味持つよねぇ。

まず目を惹くのが、その映像の決め細やかで美しいトコロ。
映画中、部屋の様子のカットインやカメラを引いて俯瞰するシーン等、非常に手の込んだ作りになっていて、1つ1つの小さなショットがそのまま1枚の絵画のような美しさです。(実際にそれをかなり意識して撮影されていると思う)
シーンの1つ1つが、フェルメールだったり、セザンヌだったり、ドガだったり、様々な巨匠達の絵画を彷彿させます。

ところが、映画を見ていても何かしっくり来ません。(^_^;)
何がしっくり来ないのかなぁ・・・と思って考えていたんだけど、根本的にこの映画を見に来る人は、この映画のタイトル「アドルフの画集」に惹かれて劇場にやって来ると思うんですよね。つーか、ぴよはそーだったのさ(苦笑)
映画に期待するモノが「アドルフ・ヒトラーの青年時代」という所に力点が置かれていたんですよ。

しかしながら、この映画の原題は「Max」
本来この作品が見せたいモノはヒトラーの青年時代よりも、ヒトラーと交流のあったユダヤ人画商マックス・ロスマンの方だったんだろうと推察する訳です。実際映画中、ロスマンの描写の方が決め細やかだったように思いますし、ヒトラーの内面の描写というのを、映画中から余り感じられなかったんだよね。

ヒトラーはユダヤ人をバッシングしながらも、ユダヤ人画商ロスマンの言葉を信じて彼と交流を交わす。
自分の才能を見出してくれるこのユダヤ人を、ヒトラーは実際のトコロどう思っていたのでしょうか?映画を見ててもヒトラーという人のアイデンティティが、ぴよには見えなかったのよね。

「で?アンタはユダヤ人を排除したいんだよね?それで自分の絵をユダヤ人に託すってどーなの?」

・・・まあ、実際のヒトラーもこんな混乱した男だったのかもしれませんし、この映画の話が事実を元にしているのか、それとも全くの虚構なのかぴよは知りませんので判断付かないんですけどねぇ。
クライマックスのヒトラーが演説する様子とロスマンが祈りを捧げるシーンを交互に差し挟む辺りも、何を意図しているのかがぴよにはよく理解出来なかったんですわ。(>_<)

で、結局この映画の主題って何だったんだろ???(をいぃ〜)






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2004年02月11日(水) 女はみんな生きている

監督:コリーヌ・セロー
出演:カトリーヌ・フロ
    ラシダ・ブラクニ
    ヴァンサン・ランドン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
平凡な主婦エレーヌ。大学に通う息子は一人暮らしをして放蕩三昧、夫のポールは会社経営に忙しく無関心な夫婦関係。まるで家政婦扱いの日々だったが何の疑問も持たずに生きて来た。
ある日夫の友人宅に向かっている途中、エレーヌ夫婦の乗った車に娼婦らしき女が何者かに追われて助けを求めて来た。ドアロックして無視する夫。目の前で女が暴行されるのをなすすべもなく見過ごしたエレーヌは、気が咎めて翌日女を探して病院を訪れたのだが・・・


【感想】
「赤ちゃんに乾杯!」で一躍有名になった女流監督コリーヌ・セローの最新作。
本国フランスでは130万人以上の観客動員数を記録し、半年以上のロングラン公開になった大ヒット作。
平凡な妻がひょんなきっかけで組織に追われる娼婦に出会い、今までの人生観がガラリと変わり、それまで散々虐げられて来た夫と子供を放り出して新しい世界に飛び立つ!という痛快コメディ。

この映画に登場する男達は、どいつもこいつもどうしようもなく女に依存した、しかもプライドだけは一人前の「最も女に忌み嫌われるタイプ」の代表的パターンを網羅している。
エレーヌの夫も子供もサイテー野郎だし、エレーヌが出会った娼婦「ノエミ」の父親や兄弟達もクソ野郎揃い。
映画観てて「さすがにここまでヒドい男ってちょっといないでしょ」と、思わず男の弁護がしたくなる程の悲惨さでしたが、この映画のテンションを考えればこれくらいキワモノ揃いの方が、女性がより楽しめるのかもしれません。

要は、「今まで虐げられて来た女達の逆襲」が主題なんですけどね、これが結構笑えちゃいます。
この映画にはエレーヌと娼婦ノエミ、そしてもう1人エレーヌの姑(ポールの母)が登場するんだけど、この姑が何ともいい味出してます。

エレーヌが病院からノエミを連れ出して姑の家にかくまうんだけど、姑は今まで息子に散々無視され続けて来て淋しい思いをしていたのが、エレーヌがノエミ連れて来た事ですっごく嬉しそうに嬉々として世話をするのね・・・
このシーンはかなりぴよはお気に入りです。
この姑は、全世界の女性の心の訴えを凝縮するような存在のような気がするのね。エレーヌの苦悩もノエミの苦悩も、全部ひっくるめて歳食っちゃったのがこの姑って感じがしたんだよね。
その彼女が嬉しそうにしている姿を見るだけでも、ぴよは癒されましたねぇ〜

散々男に虐げられ続けた女達は男共をギャフンと言わせ、男達はどいつもこいつも女の報復に遭って行く。

確かに女性の目から見れば痛快ですが、ぴよは何か淋しい気持ちになっちゃったんだよな。
だって、地球上には男と女しかいないんだよ?(オカマとオナベの存在はこの際横に置いて、性別として考えてネ)
男と女が愛し合わなければ子供も出来ないし、慈しみ合って生きて行かなければ余りに淋し過ぎると思いませんか?

映画のラストシーンで、女達が海辺のベンチに腰掛けているんだけど・・・
エレーヌもノエミもノエミの妹も、何か淋しそうな表情に見えたんだよな。
唯一満足そうな微笑みの表情を浮かべる姑が、この映画の言わんとしている事を代表しているんだろうけど、それでもやっぱり全く男性を廃絶した状態って、何かいびつなような気がして仕方ないんだよなぁ・・・

逆に、「この世には男と女しかいないんだから、世の男性諸氏はもうちょっと女性を慈しんで下さいナ」というメッセージだと受け取れば(この映画を見た男性がネ)、辛らつながらもかなり気の利いた映画だと思うんだけど。

この映画を見た男性の感想が是非聞いてみたいですね。






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2004年02月09日(月) 10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス

監督:アキ・カウリスマキ 「結婚は10分で決める」
    ビクトル・エリセ 「ライフライン」
    ヴェルナー・ヘルツォーク 「失われた一万年」
    ジム・ジャームッシュ 「女優のブレイクタイム」
    ヴィム・ヴェンダース 「トローナからの12マイル」
    スパイク・リー 「ゴアVSブッシュ」
    チェン・カイコー 「夢幻百花」
※オムニバス作品により、出演のクレジットはなし
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
世界の巨匠と呼ばれた15人の監督達が、10分間という制限時間と決められた予算を使って短編フィルムを製作し、2つのコンピレーションフィルムに仕上げた内の1本。
誰の人生にも訪れるある瞬間―結婚、誕生、進化、孤独、死、運、郷愁―を7人の巨匠達が色鮮やかに描き出す。


【感想】
カンヌ国際映画祭27回、ヴェネチア国際映画祭11回、ベルリン国際映画祭12回、アカデミー賞10回、全60冠!・・・ってコピーには思わず笑っちゃったけど、これはこの作品に参加した監督達が受賞した数の総合計です。

オムニバス形式の作品は既に数多く作られてますが、それが「10分間」という短い時間で・・・というとなかなかない。
かつて日本でも「刑事まつり」という10分間という制約付オムニバス映画が作られましたが(ぴよは未見)、それのもっとスケールのデカいヤツだと考えればいいのか?・・・たぶん全然違うな。(笑)

この手の作品は、観て「超面白かった!」という感想にはなりにくいし、逆に「すげーつまんねー」という感想にもなりにくい。お好みの話もあればまるで琴線に触れない作品もあって当たり前だもんね。

ただ、観ていて意外に思ったのは「10分間って、短いようでいて結構長いな」という事。
たった10分で何が出来る?と、正直半信半疑の気持ちで観に行ったんだけど、それぞれの監督が工夫を凝らして、たったの10分間で色とりどりのドラマを見せてくれる。10分間でも人に訴えかけるモノを見せる事というのは充分に可能なのだというのを、この映画は教えてくれる。

観てる時は「なんじゃ、こりゃ」と思ってたんだけど、時間が経ってみると何やら面白いなぁ・・・と思ったのはアキ・カウリスマキの「結婚は10分で決める」
いきなりプロポーズして、それに女がアッサリOKして、しかもいきなりそのまま行った事もない場所に移住するって、そりゃあんまりだろーよ!と思ったんだけど、きっとこの男と女の間には10分では語り尽くせない(1日かけても語り尽くせない)様々な紆余曲折があったんだろうなぁ・・・と後で色々想像させてくれて、何だか妙に後を引く話だったな。

ストレートにムダを省いて観客に訴えかけて来るのは、ヴェルナー・ヘルツォークの「失われた一万年」
ドキュメンタリーの王道的作りだね。これは誰が観ても判り易く、心に訴えかけられる話だと思う。

この作品群の中では異色な作りなんだけど、スパイク・リーの「ゴアVSブッシュ」
「ただインタビューを繋げてるだけぢゃん」って思って観てたけど、いつの間にか彼らの話に引き込まれて行くから不思議なんだよなぁ〜。これはインタビューの繋ぎ方・見せ方が上手かったんだと思うよ。不思議なパワーがあったわ。

お正月に北京に行ったばっかりだったから、チェン・カイコーの「夢幻百花」にはちょっとジーンとした。
今、北京はオリンピックを控えて物凄い勢いで発展し続けている。その中にあって古き良き時代の建物や、低所得者層のコミュニティーがどんどんと開発の波に揉まれて取り壊され、そして打ち捨てられている。
それを目の当たりにして来たぴよにとって、この映画のテーマは非常に切ない気持ちにさせられました。


等々、観た人によって色んな気持ちを引き出してくれるという意味では、オムニバスもたまには楽しめるなぁ、と。
ただ・・・10分で話が切り替わって行くってのは、やっぱり観ててちょっと疲れるね(^_^;)

話の間を繋ぐトランペットの響きが、なかなかいい緩衝材になってたように思います。






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2004年02月07日(土) ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

監督:ピーター・ジャクソン
出演:イライジャ・ウッド
    ショーン・アスティン
    ヴィーゴ・モーテンセン、他
オススメ度:☆☆☆☆☆


【あらすじ】
冥王サウロンの指輪を葬る旅に出てバラバラになってしまった仲間達。フロドとサムはゴラムの案内で滅びの山に近付いていたが、指輪を取り戻したいゴラムが密かに策略を練っていた。
一方ヘルム峡谷での戦いに勝ったアラゴルン達はようやくピピン&メリーと合流した。再会を喜んだのも束の間、サウロンが人間の国・ゴンドールを襲うらしいと知ったガンダルフは、ゴンドールの執政デネソールに忠告するため、ピピンを連れてミナス・ティリスの都へ向かったのだが・・・


【感想】
世界中で大ヒットした「LOTRシリーズ」の完結編。堂々3時間40分の上映時間ですぜ!心して見よ!!

さて、いきなりですがこの作品の「オススメ度」は参考にしないで下さい。
何故ならこのシリーズは超お気に入りなので、劇場で鑑賞出来たという感動だけで既に☆5つ確定しちゃってます。この映画に全く興味のない方とか、まさかと思うけど「旅の仲間」も「二つの塔」も見ないでいきなり「王の帰還」を見ちゃった方は、きっと全く感想が違うでしょうしネ。
・・・つーか、いきなり「王の帰還」だけ見るヤツっているのか?見てもさっぱりわかんないよねぇ。(^_^;)

この作品は「指輪を葬る」という主軸があって、それに付随するこの時代―「中つ国」の第3期から第4期に移行していく激動を平行して描いているという二重構造になっているのは、今更説明するまでもないでしょう。
主軸の「指輪を葬る話」と付随する「中つ国の激動の話」の両方を大団円に持って行かなければならないので、そりゃー上映時間も長くなる訳です。

で、見てて3時間40分は長過ぎましたか?
ぴよは全然長さを感じなかったんだけどネ・・・って、この映画シリーズ好きで好きで仕方ないって人なら、長過ぎてつまらなかったって言うヤツはいないでしょう。いる訳ありませんや。(笑)

何度も何度も書いて来たけど・・・本当にこの作品の映像の素晴らしさ、時代の描き込みの緻密さ、魅力的なキャラクター、そして壮大なスケールには「感動」の一語しかありません。
今作の副題は「王の帰還」、要するにアラゴルンがナルシルの剣を手にして、本来継ぐべきゴンドールの王として復権するというのが大きなネタになってます。

が。

今作で1番活躍し、尚且つ1番感動を呼び起こした人物・・・それは「サム」を置いて他にいないでしょう。

食い意地がはって、鈍重で、フロドの足を引っ張るばっかりだったサム。
そのサムが「二つの塔」編で格段に成長し、己のなすべき役割を魂が悟り、そして「王の帰還」編で全とうする。
フロドに誤解されて悔し涙に暮れるサム、それでもフロドを助けようと後を追うサム、そしてもはや自力で歩く気力もなくしたフロドに「貴方に課せられた負荷を負う事は出来ませんが、貴方を背負う事は出来ます」と言って、フロドを背負いながらモルドールの山を登るサム。
サムの存在無くして「指輪物語」の完結編は有り得なかったと言っていい。

「二つの塔」編でその友情の結束を固くした「ギムリ&レゴラスコンビ」の掛け合いも楽しい。
生きるか死ぬかの決戦の中、倒した相手の数を競い合う姿に微笑みながらも清々しさを感じた人も多いでしょう。

素晴らしい映像と素晴らしい役者の演技、演出に支えられた、映画史に残る名作。

ただ、指輪の決着が着いてアラゴルンが即位した後の顛末が・・・
原作を結局読む事なく全編見たぴよにとっては、多少冗長な感じがしなくはなかったです。
あのシーンを端折って上映時間を少し短縮しても、作品の質に変わりはなかったとも思えますが・・・
ラストシーンのフロドの何とも言えない微笑をスクリーンで見た人なら、きっと満足して劇場を後に出来るでしょう。

幾人もの映画人が映画化を試みたものの成し得なかった伝説の名作。
それを、ここまで映像に蘇らせる事が出来た現代の映像技術、そして優秀なスタッフとキャストに、一介の平凡な映画ファンでしかないぴよですが、心から賛辞と拍手を送りたい。

ありがとう。ロード・オブ・ザ・リング。






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2004年02月05日(木) 半落ち

監督:佐々部清
出演:寺尾 聰
    原田美枝子
    柴田恭兵、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
元敏腕捜査員として知られた梶総一郎が警察に出頭して来た。3日前にアルツハイマーだった妻を殺害したと言うのだ。取り調べを進める内に、妻殺害後自首するまでの空白の2日間の梶の足取りが問題になって来た。黙秘を続ける梶だが、どうやら新宿歌舞伎町に行っていた事がわかったのだ。
あんなに愛していたはずの妻を何故殺害し、そして何故その妻を残して梶は新宿まで行ったのか・・・


【感想】
30万部を越す大ベストセラーになった横山秀夫氏の同名小説の映画化。
この原作本は直木賞の選考を巡り「オチの重要な部分が現実に有り得ない設定だ」という事で問題になり、後に喧々諤々の大騒ぎになったので知っている方も多いでしょう。
ぴよは原作未読だったのですが、この「直木賞問題」のニュースをネットで色々見ている内に、オチが書いてあるサイトをたままた見つけて読んでしまったので、オチだけは判っちゃってたんですけどね。

芸達者な役者をふんだんに起用して、なかなか「泣かせ」な作りになっています。
ぴよは「絶対に泣いてやるもんかー!」と頑張って見てたんですが(何もそこまで気張らなくても・・・苦笑)、クライマックスの寺尾氏演じる梶の独白には、思わずポロッと来ちゃいましたねぇ。ウマ過ぎますわ。
つーか、寺尾氏の顔って卑怯だと思うんだよなー。すげー善人そうで、尚且つ泣きそうな顔してんだもん(笑)

原作をきちんと読んでいないので、映画内のエピソードと原作がどれくらい違ったり減らしたりしてあるのか判らないのですが、少々盛り込み過ぎな感が否めないです。

取り調べをした刑事、検察、弁護士、事件を担当している新聞記者、そして裁判官。それぞれこの事件に関わった人達のエピソードをまんべんなく見せてくれるので(つーか、見せてくれ過ぎるので)、どうしても展開がぬるくテンポが悪くなっていると思う。もっと言うと、映画途中から「誰が主人公やねん」って思っちゃう。(^_^;)

それにしても、吉岡秀隆クンが演じた裁判官。全然合ってなかったな〜!(をい)
この裁判官のエピソード、もしかしたら全部取っ払っちゃってもよかったかも?
それと、鶴田真由ちゃんの演じた新聞記者。上司と不倫してて、その上司と本社栄転を目論んでるらしいですが、何か違和感があるんだよなぁー。彼女の個人的事情は差し入れなくてもよかったかも?

1番の問題は・・・
原作ではどこまで裁判シーンで空白の2日間の理由についてつまびらかにされているのか知りませんが、少なくともこの映画の作りは先の「直木賞問題」に絡む重大なオチに触れずに進んでいるので、空白の2日間の意味と、何故梶が自殺しなかったのか?という1番肝心な部分が説明不足で判りにくくなっちゃってます。

もしかしたら、敢えて問題になった部分に直接触れないように作ったのかもしれません(その可能性大だな)
でも結果的にその部分をきちんと表現しなかったせいで「何となく寺尾氏の泣きの演技につられて泣かされちゃったんだけど、結局何で自殺しなかったの?」という「超・消化不良状態」になっちゃいました。

現実には有り得ない設定だったとしてもいいじゃないか!とぴよは思う。
それよりも、その「問題の箇所」を敢えて避ける事で作品の質を落としてしまう事の方がよっぽど罪だと思う。
原作者の横山氏だって、あのオチの部分にはきちんと触れて表現して欲しかったのではないだろうか?

きっと原作は素晴らしい作品なんだろうと思いますね。機会があったら是非読んでみたいです。






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2004年02月04日(水) 仕立て屋の恋

監督:パトリス・ルコント
出演:ミシェル・ブラン
    サンドリーヌ・ボネール
    リュック・テュイリエ、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
ある殺人事件の容疑者として疑われた、強制猥褻罪の前科がる仕立て屋のイール。孤独な彼は余りの潔癖症と人間嫌いにより周囲の人々に嫌われており、売春宿通いと得意のボーリングの腕を披露して小銭を稼ぐ日々を送っていた。そんな彼の生活に変化が起きていたのだ。たまたま自宅の向かいのアパートに住むアリスの部屋が丸見えなのに気付いたイールは、毎夜彼女の様子を盗み見、そして彼女に恋焦がれて行くようになったのだ。
ところがある夜、アリスが自分を覗き見しているイールの存在に気付いてしまった・・・


【感想】
以前からDVDショップやレンタル屋でタイトルだけは見かけていて、異常に気になっていた作品。
過去見た映画の中でも「タイトルに惹かれて」という動機で見た作品で、特に印象に残っていて、尚且つお気に入りの映画の1つに「髪結いの亭主」という作品があるのですが、この「仕立て屋の恋」も髪結いの亭主のメガホンを取ったルコント監督作品でした。(見るまでしらなかった)
どーやらぴよは、ルコント監督の作品のタイトルが好きらしい(笑)

この作品は「髪結いの亭主」よりも前(1989年作・日本公開1992年)に作られた作品なんだそーですが、全く古さを感じさせない瑞々しい映像に、ぴよは冒頭から骨抜き状態になっちゃいましたね♪

はっきり言ってかなり感じ悪い・・・つーか、勝手に覗き見して勝手に相手に恋しちゃってる「控えめなストーカー」ちっくなオヤジの恋の顛末の話なんですけど、見てて何故だかイールの気持ちも、そして覗かれてた立場のアリスの行動や気持ちも妙に「こういう気持ち、判るなぁ〜」って思えちゃったんだよな。

あ。別にぴよは覗きの趣味もなければ露悪趣味もないし、ましてや犯罪に荷担した事もないんですけどネ(苦笑)

本当に切ないんですよ。イールという男が。
冷静に考えれば、思いっきり「社会不適合系」の感じ悪いおやじなんだけど、見せ方がうまいのか役者の演技がいいのか、映画を見ている内にイールの恋愛の形がさも「究極の純粋な恋愛の表現」のように感じてしまう。

そして、アリスの取った行動も何故か自然に納得出来てしまった。
この映画を見た大半の人(特に男性)は、アリスという女性の行動を激しく嫌悪するでしょうけど、ぴよはかなり彼女に同感しちゃったんだよね。

自分の生活を覗き見されていたと知ってご機嫌なヤツはいない。
しかしながら、覗き見していたヤツの顔を知ってしまったからには「一体この人どんな人なのかしら?」くらいの興味は持っても当然だと思うし、ぴよがアリスの立場でも、自分の生活を覗き見していたヤツがどんなヤツなのか確かめてみたくなるよーな気がするんだ。
(この映画の場合はそれ以外に、イールに会って確かめなければいけない重要な理由があるんだけどね)

で、実際に会って見ると案外悪い人でもなさそうで。しかも相手が明らかに自分に骨抜き状態になってる(自分の言いなり)と判れば、ちょっと浮き足立っちゃっても仕方ないよな、なんてナ♪(笑)
アリスが「私は同時に2人の人が愛せるのよ!」と語るくだりが、それを物語ってるぢゃーないか。

でも本当に守りたいのは恋人なのよね。これもよく判るわ。
だから、クライマックスでアリスが祈るような顔でイールを伺い見た複雑な心境もぴよには痛い程判ったし、裏切られたイールが彼女の顔を見て言ったセリフを聞いた時は、本当に本当に切なくて泣きたくなった。

「笑うだろうが、君を少しも恨んでいないよ。ただ切ないだけだ。でも構わない。君が喜びをくれた。」


この映画の唯一の難点は、そのラストだと思う。
クライマックスの上記のセリフの後に取ったイールの行動は、いささか生臭過ぎて興をそがれたし、その後の展開は全く不必要だったんじゃないかと思うんだよね。

散々切ない思いをさせられたのに最後はかなりシニカルだったのが、余りに惜しかった・・・






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2004年02月03日(火) 火山高

監督:キム・テギュン
出演:チャン・ヒョク
    キム・スロ
    シン・ミナ、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
キム・ギョンスは幼少時代に雷に打たれた事がきっかけで特殊な力を得たものの、自分で力をコントロール出来ずに今まで8回も高校を退学になって来た。これがラストチャンスと心して転校して来たのが「火山高」だった。ところがこの「火山高」は、学園の覇権を巡り生徒同士の争いが常に渦巻くとんでもない学校だったのだ。
尚且つ教頭が実権を握ろうと画策し、校長が持っている武術の極意を記したとされる秘伝書『師備忘録』を手に入れるために、学園ナンバー2のチャン・リャンと手を組んだ事で益々混乱を来たして行くのだった。


【感想】
随分予告編は見まくって、「見なきゃ、見なきゃ・・・」と思ってる内に公開終了になっちゃった映画。
DVDレンタルで(旧作1本100円デーだったし♪)ようやく鑑賞。

この作品、丁度「マトリックス」でみんながド肝を抜いたワイヤーアクションやCGアクションにワクドキ☆状態の頃に作られてる映画なんですよね。だから、マトリックスの焼き増し状態のアクションてんこ盛りになってる。

きっと劇場公開時に見ておけば「ほほー。この映画もなかなか頑張ってるねぇ♪」くらいの感想が持てたのかもしれないけど、既にマトリックスを踏襲した似たり寄ったりのアクション映画がごまんと世に出ている今見ても、何の驚きもなければ何の新鮮味もない、単なる「有り得ないすっ飛んだアクションを見せて、観客を驚かせよう」という意図プンプンの映画、それだけになってしまう。(^_^;)

話は、廃頽しまくった「火山高」という高校で生徒やら教師の覇権争いが繰り広げられていて、そこにたまたま転校して来たこれまたとてつもなく強い生徒が巻き込まれて収拾着かなくなって行く・・・というアクションコメディ。

まあ、設定とかキャラの描き込みとか展開の齟齬とか、そーいう事は全部忘れて下さい(笑)
とにかくこの映画は、ワイヤー&CGアクションを楽しむ為に強引に話を作り上げた・・・というだけの作品です。
もっと簡単に言えば、映画界で今出来得る(当時出来得る)CG処理の最先端見本市だと思っていただければ(笑)

そんな訳で、映画を見ながら終始思っていた事はただ1つ。
『劇場公開時に見ておけば、もうちょっと楽しめたかもしれないよなぁ〜』
・・・これだけです。(をい)

まあ、そこそこ楽しめるように作ってありますし、出演キャラも結構可愛かったりしてソツがないんですが。

映画見終わっても、シナリオ自体に思い入れの出来る部分は1つもなく、ただただ派手なCGアクションだけが目に焼きつくという、典型的「映像だけに頼ったクソ映画」の見本帳みたいな状態になっちゃいましたね。(^_^;)






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2004年02月02日(月) 夏至

監督:トラン・アン・ユン
出演:トラン・ヌー・イェン・ケー
    グエン・ニュー・クイン
    レ・カイン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ベトナム・ハノイに住むスオン、カイン、リエンの3姉妹はとても仲良し。母の命日に集まった3人はおしゃべりに花を咲かせながら料理を作る。だが実は3人はそれぞれ人に言えない秘密を抱えていた。長女のスオンは夫に愛人と子供がいる事を知りつつ、自分もまた年下の男性と逢瀬を重ねていた。次女のカインは妊娠した事を姉妹に内緒にしていたが、夫の浮気の証拠を見つけて動揺していた。3女のリエンは学生で、役者の卵の兄と2人暮らし。最近恋人としっくり行かないのが悩みだ。


【感想】
先日「青いパパイヤの香り(2004.1.18の感想参照)」と一緒に借りたベトナム映画。実は時間がなくて結局見ないでそのまま返しちゃったんだけど、とある有識者の方から「夏至は是非見た方がよい」という助言を頂きましたので、再度借り直して鑑賞しましたわ。・・・M様、情報どうもありがとうございました♪
監督は「青いパパイヤの香り」と同じトラン・アン・ユン、出演しているトラン・ヌー・イェン・ケーは監督の奥方なんだそーだ。彼女は「青い〜」にもガッツリ出演してますけど、ベトナム人は夫唱婦随なんですなぁ。
ま、これだけ美しい嫁さんだったら他の役者を使う気にもなるまい(笑)

話は母の命日から始まり、そして翌月の父の命日まで間の3姉妹の様子をドラマ仕立てで見せている。
映画前半、料理を作りながら語り合う3姉妹の楽しいおしゃべりに、思わず見てるこっちもつい微笑んでしまう。
ぴよには残念ながら姉も妹もいないので(ぴよは兄貴と弟の3人兄弟さ)、大人になって各々独立した姉妹のアケスケな会話というのが実際はどんなものなのか判らないのですが、この映画の姉妹の会話は非常に和やかで面白い!
映画見ながら「ねーちゃんか妹が欲しかったなぁ〜」と切実に思ったわね。

この映画は何がいいって、その映像美でしょう!
映画全体を支配しているのは様々なトーンの緑。目にも鮮やかな森林や草花の緑、壁に塗られた微妙な色合いの緑、黄色がかったカーテンの緑、チャラチャラと涼しい音を立てて光るビーズ暖簾の緑。
それら緑の中に真っ赤な花や目の覚めるような藍色の衣装が実に映えて、どのシーンを見ても1枚の絵画を鑑賞しているような静謐な美しさをたたえています。
カメラワークもコ洒落てましたね。3女のアパートの様子なんて、実物のセットよりもきっとキレイに撮れてると思うよ。

話は母の命日後、3姉妹のそれぞれの秘密がつまびらかになって行くんだけど、はっきり言ってネタはバラバラに展開されたままどれも収束しない(苦笑)
オチがない話なので「なんじゃ、そりゃ」って感じなんだけど、何となく雰囲気を楽しませてもらっちゃってるので「まあ、こんなんもアリか?」と納得してしまうという不思議な映画だわ。(はははっ)
強いて言えば、それぞれの秘密を最後に共有する事でハッピーエンド?・・・とまで言ったら強引か(^_^;)

独特の映像美と、BGMや途中歌われる楽曲も非常に情緒的で雰囲気があり、役者の演技も押し付けがましくなく、この作品の少しアンニュイで官能的な様子を大切にしているのが好感持てる一作でしたね。
ベトナム映画・入門編としてオススメしたい1本です♪
 





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2004年02月01日(日) ミニミニ大作戦

監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:マーク・ウォールバーグ
    シャーリーズ・セロン
    エドワード・ノートン、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
ベニスで難攻不落の金庫に眠る金塊50億円を強奪しようと、天才的知性を誇る窃盗界のカリスマ・チャーリーがドリームチームを結成。潜水、爆破、ハッカー、ドライバー、そして金庫破りの天才達が集まって見事に強奪に成功した。ところが仲間の1人が裏切り、金庫破りのジョンが殺された上に金塊を全部持ち逃げされてしまったのだ。
それから1年後、裏切り者がL.A.にいる事を突き止めたかつてのドリームチームは、復讐と金塊奪回に向け再び動き出した。ジョンの娘で父譲りの金庫破りの才能を持つ美女・ステラを迎えて・・・


【感想】
劇場公開時、なんとなーく見過ごしちゃった一作。つーか、タイトルからして「B級臭いなぁ」と思って、他の映画を優先させている内に公開終了していたというのが本当のトコロか。

これが、よくよく見てみると結構豪華なキャストなんだよね。
マーク・ゴールドバーグにはあんまり興味ないけど、シャーリーズ・セロンなんてこの手の映画の紅一点にはもってこいの配役だと思うし、ステラのパパ役はベテラン俳優ドナルド・サザーランドを起用。悪役にはその演技力には定評のあるエドワード・ノートン(でもぴよはコイツの顔があんまり好きじゃないわ〜。苦笑)
でもぴよが1番注目なのは、何て言っても「ハンサム・ロブ(この呼び名もステキ!)」役のジェイソン・ステイサムね♪
「トランスポーター(2003.1.30の感想参照)」で初めて彼の存在知ったんだけど、やっぱ彼はカッコいい!!

話は前半・後半に分かれてて、前半はベニスが舞台。そして後半(こちらがネタのメイン)がロサンジェルス。
でも言っちゃ〜何だが、ベニスでの強奪シーンの方が断然面白いのだ。(^_^;)
あの金庫の奪い方はお茶目でワクワクするし、水の都を凄まじい勢いでボートで逃げまくるシーンもハラハラドキドキしてすっごく楽しめる!ちなみにこのボートで逃げまくるシーンが余りに過激だったため、今後ベニスでは映画の撮影を一切許可しないというお達しまで出たそーだ。

ロスの街を疾走するミニクーパーは確かに可愛くて絵になるし、ミニクーパーを利用したからこそ地下鉄やら下水道という逃げ道が使えたんだ、と思えば「なるほどなぁ〜」と感心もするんですけどネ。

最初の「何故ミニクーパーを利用しなければならないのか」という理由になった作戦。
これがいともあっさり切り捨てられて、全然違う利用法になっちゃったのはちょっぴり勿体無い気がするの。あのクラッシックでゴージャスなお屋敷の中をミニが疾走するシーンも見てみたかった・・・と思うのはぴよだけではあるまい(^_^;)
どーせなら、お屋敷の中もクーパーで走りまくってもらって、更に地下鉄や下水道も突っ走ってもらいたかった。
・・・あ。そーすると金庫強奪のシーンが使えなくなっちゃうのか。う〜ん。

何かね、「ミニミニ大作戦」というタイトルの割に、ミニがそんなに活躍してなかったよーな気がするんだよな。ミニの活躍と言うよりも、信号機を絶妙なタイミングで操作したハッカーの活躍・・・って感じで(苦笑)
これって、ベニスの強奪シーンが余りに良く撮れ過ぎてるのか?それともミニのシーンの迫力が今1つだったのか?

でもね、結構楽しめる作りになってるんだよな。各々のキャラもきちんとしてるし、設定に破綻するトコロもないし、展開もテンポが良くてダレないように作ってあるし、オチも映画冒頭でジョンが語ったセリフを上手く踏襲してるしネ。
そう考えると、きっちり及第点は付けられるエンターテイメントには仕上がってると思うんだ。


何がこの映画をB級臭くしちゃったのかなぁ〜・・・と考えると、主役のチャーリーが猿顔だったからなのか?等と(をい)







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