どこにいるの
どこで見ているの
空気の中
遠い命
ただ感じるだけ
存在するということを
言葉など要らない
それは必要ない
声などいらない
言葉や声で想いを伝えることのどこが大切なのだろう
それが一番大切だなんてくだらない
大切なことは
言葉や声じゃなくても
たとえ伝えられなくても
胸の中にある想いの力が
人のコントロールできる能力を越えて
形に変わる
それは物理的な距離や
生と死という違いにさえも
超越する力になる
私に声は必要ない
人と人は
愛で結ばれることが頂点ではないかもしれない
愛以上の
つながりが
もしかしたら存在するかもしれない
| |
一人でどこか 遠くへ 行きたい
ひと雫を 海に返すために | |
目の前の石を磨いても 美しい宝石にはならない だけどこの石を磨く時 星のような小さな欠片がキラキラと床に落ちる
それは 磨師が肩を落として 作業場を去った後に 窓から入った風と共に空高く舞い上がり
世界中の空を輝かせる
そして見上げた誰かの心に落ちては 雨のように波紋が響きあう
誰かは自殺を思いとどまり 誰かは許し 誰かは救い 誰かは愛した
出来そこないの磨師は 相変わらず落ち窪んだ目で背中を丸め かたいパンをかじり 継ぎはぎだらけのベッドにもぐりこみ 次の朝を迎える そして今日も作業場へ向かう。 大きな宝石を夢見ながら | |
私はこうして背中が痛くなるほど 毎日前かがみになって 外にも出ず 画面に向かっているけれど 心はいつも 何か違う 遠い国に居た
そこは赤い砂漠だったり 空と海の堺であったり 銀河の岸辺だったりするのだけれど
この頃は いつも君のことを考えている もっと現実的な世界で。 君がチョコレートを売っているその店までいったことだってある。 大きな自動扉を通り抜け 照れくさそうに目があって それから手をつないで どこかに逃げてしまうとか。
それから君の居た大学に行って 同じ講義も受けてきた。 小さな君と公園で遊んでいたりね。 もっと未来にも行ったことがあるよ。
そして気がついたら 仕事が終わっていたりしてね。 毎日とても楽しいよ。 君のお陰で。 | |
無言で伝えた日
白い部屋は広すぎたから
膨らみすぎた想いを伝えきれない
なんて
言い訳のように。
ラウンジの窓の向こうの 音のないセスナ機が今でも見える
次の言葉を待つ までの間は 意味などまるでなくて。
ただ未だに こうして後悔しているのは
未練とかではなく 否定されるのが怖くてたまらなった 自分の弱さ | |
|