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2006年05月06日(土)
脳を衰えさせないための「トレーニング法」

「週刊アスキー・2006.4/18号」の対談記事「進藤晶子の『え、それってどういうこと?』」より。

(脳機能の権威である、久保田競さん(京都大学名誉教授/日本福祉大学教授)と進藤さんの対談の一部です)

【進藤:脳に個体差はないんですか。

久保田:実は生まれたての脳の働きの違いはわずかで、たとえば生まれたときに手を握っているか、開いているかといった程度。個人の差はほとんどありません。脳の働きの差は、結局どれだけ学習したか、経験したかで出てくるものですから。

進藤:「生まれつき頭が悪い」と言ったりしますが、使いこなしていないだけなんですね。

久保田:そうそう。だから、数学的な脳とか、文学的な脳といったことも、なにをどれだけ勉強したかで決まってくるものなんです。

進藤:人間の向き、不向きも生まれつきではない。

久保田:要は使い方で決まるんです。

進藤:先生は、いくつになってもトレーニングさえすれば、脳は鍛えられるとおっしゃっていますが。

久保田:歳をとるとボケると、みんな思っているでしょ。

進藤:恐れてます、すでに(笑)。

久保田:ここ2〜3年でわかってきたことなんですが、認知症やアルツハイマー病が起こるのは結局、脳を使わないから。逆に使っていれば、発症率は低くなってくるんです。

進藤:では、脳をトレーニングすれば予防できる。脳を衰えさせないためのよい方法って……。

久保田:歩くこと、考えること、ゲームやトランプ、クロスワードパズルをやるのでもいい。脳は、それぞれ使ったところがよく働くようになっていくのが原則ですから。

進藤:ゲームなら、たとえばどんなものがいいんですか。

久保田:ロールプレイングゲームは、ものすごくいいと思いますよ。

進藤:少年犯罪が語られるとき、ゲームが諸悪の根源のように言われることもありますが……。

久保田:そんなことはないと思います。脳の働きを高めるように使えばいいんです。】

〜〜〜〜〜〜〜

 この久保田競さんは、あのニンテンドーDSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」を監修している東北大学の川島隆太教授を指導・育成された方なのだそうです。さすがに、ゲームに対しても理解があるなあ、と思いながら、僕はこの対談記事を読んでいました。まあ、「週刊アスキー」で、ゲームの悪口を言いまくるわけにもいかないでしょうけど。

 これを読むと、先天的な「頭の良し悪し」というのは、ほとんど無いもののようです。僕たちはよく、「文系だから」「理系だから」なんて自分の向き不向きを判断しがちなのですが、それは、あくまでも後天的な経験の差によるものらしいです。いや、正直なところ、「本当にそうなのかな…」とか、その「手を握っているか開いているかという程度の差」というのは、意外と大きいのではないか、とか考えたりもするのですが。「認知症やアルツハイマー病が起こるのは、脳を使わないから」というのも、「そんなふうに、決め付けてしまってもいいのだろうか…」という気もします。いや、脳の研究者はそれでいいかもしれないけれど、医者がそれを言うわけにはいかないよなあ、とも思うしね。
 
 ところで、久保田さんは、「ゲーム脳」に対して否定的な見解を持っておられるようなのですが、僕がこの久保田さんの話を聞いていて感じたのは、「ゲーム脳」なんていうのは眉唾ものだけれど、「脳は使ったところがよく働くことになる」のであれば、同じようなゲームばかりを繰り返してやっていれば、脳の一部だけが過剰に鍛えられてしまって、他の部分とのバランスを崩してしまうようなこともあるのかもしれないな、ということでした。
 「ゲームは諸悪の根源ではない」けれど、もちろん、「ゲームばかりやっていればいい」というものではないようです。
 大事なのは「バランスよく脳を鍛えること」で、イメージとしては脳の機能とは関係なさそうな、「歩くこと」が、脳のトレーニングになったりもするみたいですよ。