沢の螢

akiko【MAIL

My追加

お菓子の時間
2006年04月14日(金)

けさ、何年ぶりかで、ケーキを焼いた。

我が家の朝食は、和食である。
ご飯にみそ汁、納豆、野菜のおひたし、香の物。
そのくらいが定番。
食後には、果物を食べることもある。
納豆は、以前は卵の黄身、大根おろし、鰹節、もみ海苔を混ぜて、ほぼ完全食品に近い食べ方をしていた。
南米にいた頃、週に2度くらいは日系人が経営する店に行き、現地産の日本的食材や調味料を買い、納豆も豆腐も、食べることが出来た。
醤油さえあれば、かなりの食材も、日本人の口に合う料理に変身させられることも、外国暮らしの中で、発見した。
日本から派遣されてきた独身の若い人が、週末になると、わが家に食事に来るのが習慣になっていた。
上に書いた納豆の食べ方は、その人が教えてくれたのである。
「ご飯とみそ汁、それにこの納豆があれば、完璧ですよ」と、その人は言い、日曜日の遅い朝食に、我が家の家族と共に、その食べ方で、納豆を食べるのを楽しみにしていた。
これは息子の大好物になり、日本に帰ってからも、我が家の納豆は、このやり方だった。
しかし、息子が家を離れ、やがて夫婦二人になると、納豆はもっとシンプルな方がいいと夫が言い出し、最近は、ネギとタレだけで納豆を食べている。

今朝、食後のバナナを食べようとして、身が大分柔らかくなっているのに気づいた。
「きのう買ったばかりなのになあ」と夫は皮をむきかけたまま、皿に戻した。
以前は、食べ時を過ぎた果物は、庭の木に刺しておき、野鳥の餌にしたのだが、今は、鳥寄せを止めている。
「腐ってるわけじゃないから、ミキサーで牛乳と混ぜてジュースにしようかしら」と言いかけて、昔、南米で、よくバナナケーキを作ったことを思い出した。
現地では、パンもケーキも、毎日のように作っていたし、息子のお弁当に持たせることもあった。
しかし日本では、パンもケーキも、美味しい物がふんだんに出回っているので、作らなくて済んでしまう。
柔らかくなったバナナを、ケーキに使おうと思ったのは、どういう風の吹き回しかと、我ながら、不思議だが、思い立ったら吉日とばかり、朝からケーキを作ることになった。
バナナ4本を細かく刻み、潰す。
卵、砂糖、マーガリンを混ぜ、ふるった粉と重曹を入れる。
牛乳で適当に伸ばす。
分量はみな適当である。
ハンドミキサーがあったはずだが、長年使っていないので、見つからない。
泡立て器と、フォークを使う。
ほどよく生地が出来たところで、さあ、焼こうとして、ガスオーブンの使いかたが分からない。
最近は、何でも、電子レンジですませてしまうことが多いので、台所の一角を占めている大きなガスオーブンは、ほとんど使わず、操作を忘れてしまっている。
電子レンジには、パウンドケーキの型が入らない。
使い方説明書を取り出して、やっと蘇った。
そうそう、まず余熱を入れるのだった。
150度に設定、熱くなったところに、パウンド型を入れる。
そして一時間。
その間に洗濯をすませ、ベランダに干し、夫は会合に出かけ、パソコンを覗き、ケーキが焼き上がった。
型から外し、端っこをちょっと食べてみると、ちょっと甘みが足りない。
でも、バナナの匂いはするし、いかにも家庭で作った素朴なケーキと言うところである。
分量も、味も、アバウトなので、人には勧めないが、夫なら、食べてくれるだろう。
午前10時半。
怠け者の主婦が、珍しく、いい時間を過ごした。



BACK   NEXT
目次ページ