ふた昔も前に見た映画。 当時ソビエトだった時代のロシア映画である。 昭和30年代に一度公開され、その時は「戦争と貞操」という題だったらしい。 題名が悪かったのかどうか、あまりヒットせず、消えた。私も見ていない。 2度目の公開は、原作に添って、「鶴は翔んでいく」というタイトルで、六本木の「シネヴィヴァン」で、上映された。 その時初めて、この映画を見た。 戦争に行った夫の帰りを待つ女性が、夫の兄弟や、友人たちに、性的は誘惑を受けながら、必死に身を守り、経済的な苦労もしながら、銃後を生きていく。 そして、待っていた彼女にもたらされたのは夫の死だった。 映画のストーリイや、細かな描写は忘れてしまったが、女が銃後を生きていくつらさ、最後に、花束を持って夫の帰りを迎えに行った彼女が、その死を聞かされ、涙をこらえながら、帰ってきた他の女性の夫に向かって、花束を投げかけるシーンがわすれられない。 下界の喜び悲しみを俯瞰しながら、鶴が飛び立っていくところも、心に残った。 戦争は、多くの悲しみをもたらすが、同時に、こうした素晴らしい映画も生み出している。 それが、映像だけのことであるように、祈りたい。
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