今まで世界は狭かったんだなと。 僕の閉じこもっていた箱は、なんて狭くて、安全で、フィットしていたんだろう。
いまさら思う。
空気のように密着して、居心地がよすぎて窒息する。
ああ、ああ。 なんか書き出したら、あふれそうだ。 気持ち悪い。 普通の人になりたいんだ。 頭の中が、わーってなる人種とは違うのだ。
祥子が言ってた。 私と君は似てる、頭がわーってなるひとだ。 ああ、似てるんだよね。 似すぎてる。
だから普通の生活をしていては、あふれて気がふれてしまうのだ。
でも僕には向こうみずに飛び込む勇気はない。 気がふれても、普通の人のふりをするしかない。 精神科にでもかよって、サラリーマンや公務員になって、何も残さずに死のう。
遠いいつかわからない死が前提にあるなんて、なんて甘っちょろいんだろ。 死ねるともわからないのに。
僕は僕を偽れない。 でも誰にも僕を晒せない。 イグアナの娘みたいなものだから。
銃を捨てました。 射撃をやめました。 僕にはもう、引き金に指をかける気力がないので。
ああ。 ああ。 あああああ。
どうしよう、何を言えばいいんだろう? 誰に、何を。 ただ言葉だけがあって、ベクトルが定まらない。
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