夢が足元でうずくまっているのに 声をかけることもできない 朝のプラットホーム 背を押す鐘 線路の切っ先 飛び散った、誰かの跡
部屋のすえた匂いが 町中に広がったら すべてが自分になる気がした ダンボールから咲き乱れる花 その養分である犬
いたるところに肉が落ちているのに 誰も拾うことはしない 骨付きじゃないとそそらないのだろうか
眺めるだけでは すべての事象が通り過ぎていくだけだ 手を差し伸べる そんな傲慢なことはしたくないけれど 透明な存在を 不可視の命を 少し愛おしく、見つめるだけで
世界に許してもらえるんだろうか
|