a Day in Our Life


2007年02月27日(火) 地球を守るアイドル。(濱&大)

 「エイトは凄い」

 惚けた顔でそう言った中田を振り返った濱田は、すぐに何の話かを理解した。
 「うん、凄かったな」
 昨日、初のドーム公演を大成功に収めた関ジャニ∞のそのステージにバックとして上がらせて貰ったのだけれど、今までとは全く規模の違う会場に、自分達は足が竦んでしまった。
 「あんなおっきな会場を埋めてまうんやもんなぁ」
 実際、埋めて尚、満足に足る内容だったと少なくとも中田達は思う。それは彼ら関西ジュニアとメインである関ジャニ∞とではまた、受け止め方も違ったかも知れないけれど。先輩達はまだまだこんなものでは満足しないと言うかも知れないし、それ以上に、あの人は。
 「惚れ直したんやろ?」
 要するにそういう事なのだろう、と濱田は中田を促した。先ほどから惚けた表情を戻せない中田は、余程感動をしたらしい。殆ど恍惚とした顔で、それはもはや、崇拝にも似た。
 愛情と憧憬を交差する中田の感情は、今や日毎に進化して。最近の中田の会話の中身は、8割が村上の事だった。近頃は面と向かって「村上君を目指してます」を公言する中田に村上も満更ではないらしく、何かと話を振ってくれるのも嬉しいらしい。そうは言っても甘いだけではない先輩に、冷たく突き放される事だってあるのだけれど。あんまりアピールが過ぎて、村上以外のメンバーの報復的返しを受ける事も。つい昨日の公演でも、思わず濱田が似合わないフォローに走ったくらいだった。
 「まぁね…でも、それだけ俺らとの差は歴然って事で」
 俺”ら”と一応言った中には、もちろん濱田だって入っている筈だった。先輩達の全国47都道府県公演(!)の影で自分達もGWに大阪城ホールでの公演が決まって。けれど彼らのようなステージを作れるだろうか、自信は100%ではない。
 好きだけれど。今現在、あまりにも遠い存在に足元がぐらつく。
 好きとかもう、おこがましいような気になってしまう。憧れで終わっておけばいいのに、手に入れたいだなんて、罰当たりだと言われるのだろうか。
 「何、弱気になってんねん。大智」
 中田の心情を正確に見抜いたらしい、顔を上げると濱田がじっと覗き込んできた。
 「好きなんやろ?引くつもりもないんやろ?それやったら、先に行くしかないやん」
 所詮自分ではないから、そんな強気な事が言えるのかも知れない。けれど、と濱田は思う。
 「俺がちゃんと後ろにおるから。逃げ道があるってそれだけで楽になるやろ?」
 って、この前何かのドラマで言ってた。とぺろりと舌を出した濱田に思わず中田も笑ってしまう。そういうの、濱田らしい優しさなのだろうと思う。
 「やからアカンくても戻ってくればええから。安心して当たって砕けておいで」
 「や、砕けると決まった訳ちゃうやん」
 尤もな中田の言い分に、思わず声に出して笑った。



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エイトオーラスお疲れ様。

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