a Day in Our Life


2004年12月12日(日) マリア。(亮雛)


 「……ごめん」

 「亮」
 「ごめん」
 「何が?」
 「ごめん」
 「何で亮が謝るん」
 「…村上くん、ごめん」
 どう問い掛けても、錦戸はただ謝るだけだった。村上は困惑して、目の前の錦戸を見遣る。目が合って、またごめん、と言われた。
 「何がごめんなん。言ってくれな分からへんよ」
 それはただ分からないのか、それとも分かろうとしないのか、と錦戸は思う。聡いように見えて案外鈍い村上の、それは要するに関心と執着の問題なのだ。彼にとって大事なものとそうでないもの。錦戸のことを”分からない”と言うのなら、それは彼が理解する努力をしないだけなのだと思う。
 そんな薄情な人を、けれど自分は好きで。
 その人が、自分ではない他人を愛していると知っている。
 彼の執着を一身に受ける相手が極度の妬きもちやきだと知っていて、それでも彼を好きでいることを止めない。止められない、のかも知れないと思う。
 だからこそ、その不純を。その非生産性を詫びているのに、彼はそれに気づかない。
 「ごめん。」
 「……亮、」
 今度こそ村上は困った顔をして、それからこの局面をどう乗り切ろうと思案を始める。分かったふりをして頷くのならそれでもいい。それを自分は都合よく、肯定と捉えるから。

 「あなたを好きで、ごめん」

 それでもあなたは笑って赦してくれる?



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結局そこに行き着くわたしですみません。

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