a Day in Our Life


2002年11月09日(土) UFOキャッチャー。(中亀+田SSS)


「亀ちゃんなにしてんの?」
 仕事帰りになんとなく立ち寄ったゲームセンターの、UFOキャッチャーの目の前で。ゲームをするわけでもないのに、なにか真剣な顔をして、亀が四角いケースを見ていた。
「ん〜、なんにもしてない」
「欲しいもんでもあるの?」
 そのケースの内側には色鮮やかでファンシーなマスコット人形がところ狭しと押し込められていて、およそ亀が欲しがりそうとも思えなかったけど。
「なんかねーガラスの内側に、入ってみたいなと思って」
「この中に?」
「うん、この中に」
 思わず亀を見た。
 ケースの中には、積み込まれた人形たちの山。
 その中に入りたいの?
「人形になりたい訳じゃなくてさ。なんていうか。特に理由はないんだけど。ガラスってきれいじゃん。だからこの中に入ったらどんな気持ちかなーって」
「ふーん…」
 飽きず人形、いやケースを見つめる亀に倣って、俺もガラスに目を向ける。
 アクリル版に電飾が反射して、それはひどく安っぽく見えた。亀はガラスって言ったけど、それだってイミテーションだ。安っぽい透明の板、その中に亀は入ってどうするの。それを見たら俺は切なくなると思う。しばらくして、さすがに飽きたらしい亀が他のゲームに目をやっても、俺はしばらくその箱から目が離せなかった。
 なんだろう、亀は。
 たまにおかしなことを言う。
 精神が不安定なのかって思うけど、そうじゃなくて、きっと亀には亀なりの世界観があって、俺はたまにそれに置いていかれる。今も。亀が言いたいことは他にあったんじゃないかって、考えたけど分からなかった。
 こうゆうの、田口になら分かるだろうか。
 ふと思いついたばかりの優しい笑い顔を、反射的に消した。



(おまけもあったり)



「さっき、なんか真剣な顔してUFOキャッチャー見てなかった?」
「え?」
「中丸と」
「あー」
「亀梨はともかく、中丸がねえ、ちょっと表情消えてたよ」
「UFOキャッチャーの中に入りたいって言ったんだ」
「中に?」
「うん、この箱の中に入ってみたいって言ったら、中丸が」
「入りたいの?」
「ちょっとだけね」
「ふーん」
「変かな」
「ううん?その時は俺がちゃんと亀梨を取り出してあげるから、安心して」
「田口はそう言うと思ったよ(笑)」


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日記潰しに書いた中亀。
某パチ写リスペクト。

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