それでもお話は続く? Copyright (C) 2002-2012 Milk Mutuki. All rights reserved
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「回り続けるものなのだよ」
そう師匠は言う。 こうしてあたしが語り部の仕事を選んだのも 生まれる前から決まっていたのだ、と
「いや、今生に生まれる前も同じようにわしとアークこのようにして話していたかもしれん」
「勿論そのときは語り部ではなかったかもしれん。大工だったかもしれんし宗教家だったかもしれん。それでも今と同じようにお前と自分たちの 仕事の役割について議論しあっていたのだろう。」
同じ道の上をただひたすらぐるぐると回っていると言うのだろうか?
じゃあ、家族も?と思いかけたとき 「わしらの周りにいるものもみな同じようにまわりつづけるのじゃ」 「ねじって作った輪っかを真ん中で切っていくとできる形がわかるかね?」 ああ、∞なかんじ?と手で示すと 「そうじゃ、その形それがわしらの時間じゃ。いつまでもとまらぬ。死んでもなお止まらぬのじゃ」 「とまらない?」「そうじゃ」
終わりのない輪の中でわしらは歩き続ける、喜怒哀楽を繰り返し、生と死を繰り返し、その輪の中から抜けられぬのじゃ。 抜けることができるとすればそれは道をそれたときじゃろう。 道をそれると今の姿を保てなくなる。何に変化するかはわしもわからん。もしかするとこの姿が道をそれた姿やもしれん。 どうかな、そんなことを伝えるためにわしらは各地の御伽噺やらを集めて語り継いでいるのだとは思わんか?
あまりに難しくあまりに単純な話で混乱した。 あたしたちは常に同じ方向へいつ何時も同じ輪の中を回り続ける栗鼠と同じだと言うのか?
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